ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第186回」

2015-11-30 |   ビタペクト配布活動
 11月30日にビタペクトと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第186回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 今回はセルロースを11個、そして「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを2部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2365個、セルロースの合計は66個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは2114部となりました。
 今回で通算201回目の配布となりました。
 延べ人数ですが、2365人の子どもにビタペクトを、約57人の子どもにセルロースを、2114家族に「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(ビタペクト3についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/922c333857741c5448f66d4fe00b25e1


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html



(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/bb1fb7afb4cac464789e2684181e7d42

(WBCによる測定、ビタペクトを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%89%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80


 現在のところビタペクト3のチェコからの搬入がなく、代わりにセルロース(1個で1人分)を配布することになりました。

 チロ基金は以前にもビタペクトに代わり、ペクチン入りセルロースを配ったことがあります。セルロースについてはこちらです。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/43f810eddd1efc451f5171ef3cd35a7a


 今回はこちらの投稿記事でご紹介しているタイプのロシア製セルロースを1人1袋(150グラム)渡すことになりました。


 今回は2家族がミンスク州からSOS子ども村に保養滞在していました。
 2家族とも家族タイプ孤児院の家庭でした。

(家族A)

 プレシチェ二ツィ(チェルノブイリ原発から約370キロ)から来た家族。お母さんが8人の子どもを引率していました。この家族には6個のセルロースを渡しました。▽の印の子どもに1個ずつセルロースを渡しています。それぞれの測定結果はこのとおりです。

母親(事故発生時15歳)14ベクレル
男子(16歳)15ベクレル
男子(16歳)15ベクレル
男子(15歳)28ベクレル ▽
女子(14歳)32ベクレル ▽
女子(14歳)26ベクレル ▽ 
男子(12歳)23ベクレル ▽
女子(11歳)39ベクレル ▽
女子 (7歳)28ベクレル ▽

 お母さんに子どもたちの健康状態についてお話をうかがいました。
 16歳の男の子は腎臓病です。
 15歳の男の子は背骨がゆがんでおり、専門の特別学校へ通っていますが、結果が出て、治ってきたそうです。
 14歳の女の子(32ベクレルのほう)は心臓病にかかっていましたが、だいぶよくなってきました。
 この14歳の女の子だけがお母さんの実子で、他の子どもは里子です。
 他人の子どもをこんなにたくさん育てているお母さんには頭が下がります。

 お母さんの話によると、ベラルーシに住んでいるいわゆる孤児のうち、天涯孤独というような子供は30%ほどで、後は両親がいるのに親権放棄された子ども、つまり捨てられた子どもだそうです。
 引き取った子どものうち1人は、実の母親から生後すぐに親権放棄されたそうですが、そのとき産院で、母親は医者に
「この子、いりませんから、臓器移植のドナーにでも使ってください。」
と言ったそうです・・・

 もちろん医者はこの子を施設に預け、その後家族Aのお母さんの元に引き取られていったそうです。
 引き取られてよかったですね。しかし生みの親のほうが考えていることが、私には理解できません。
 
 ベラルーシは出生率をあげるために、今年2月から子どもが生まれたら、国から祝い金をあげるという政策を打ち出しました。
 ちなみに今年11月に金額が改正され、現在のところ、第1子誕生には円に換算して約11万円、第2子以降は1人につき15万円ずつもらえます。
 ベラルーシ人の平均月収が約4万円なので、「2人目が生まれたら給料4か月分ぐらいのお金がもらえる。」という感覚です。(日本人の感覚だとどうなるのか、皆様計算なさってください。)

 少子化対策のため、子どもが生まれたらすぐお金をあげようよ、という意見は日本にもあります。
 こちらをご覧ください

 でもこの話をお母さんたちにしたら「やめといたほうがいいよ・・・。」という意見でした。
 やはりアル中の親が酒代ほしさに子どもを生み、お金をもらった後、それで全部飲んでしまい、
「お金がなくなって経済的に育児ができませんから。」
と親権放棄。子どもは孤児院へ・・・というケースがベラルーシにあるそうです。
 同じようなことが日本でも起こるわよ、というベラルーシで「育ての親」をしている方からの見解です。

 やはり「お金で釣って産んで、日本人の人口の頭数さえ増えれば少子化問題が解決するわけではない。」と私は思います。
 産んだ後、育てるほうがずっと大変ですよ。
 ちなみにベラルーシでは3歳になるまで毎月育児手当がもらえます。


(家族B)

 プホビチ地区コバリョワ村(チェルノブイリ原発から約270キロ)から来た家族。お母さんが6人の子どもを引率していました。この家族には5個のセルロースを渡しました。▽の印の子どもに1個ずつセルロースを渡しています。それぞれの測定結果はこのとおりです。

母親(事故発生時21歳)7ベクレル
女子(13歳)33ベクレル ▽
女子(11歳)26ベクレル ▽
男子 (9歳) 6ベクレル 
女子 (7歳)25ベクレル ▽
女子 (6歳)28ベクレル ▽ 
男子 (4歳)28ベクレル ▽

 このうち11歳の女の子は測定が終わった後、風邪をひいてしまい、保養を続けてもよかったのですが、帰宅しました。
 その代わりに別の兄弟が保養に来ました。ところが今度は4歳の男の子が熱を出し、私がSOS子ども村に来たときはずっと寝ていました。

 お母さんのお話では、帰宅した11歳の女の子は食物アレルギーで、詳しい検査をミンスクの専門病院で受けさせたいと希望していました。
 4歳の男の子が熱を出したのは牛乳のせいというお母さんの話でしたが、ちがうと思います。

 この一家は乳牛を飼っており、いつもその牛乳を飲んでいます。保養に行くときも絞ってきたのを持参していましたが、しばらくして全部飲んでなくなったので、市販の牛乳を買って飲んだら、熱が出たというのです。
 体質に合ってない物を飲んで体調が狂ったのかもしれませんが・・・
 この家で絞っている牛乳ですが、今までもいとども検査したことがありません。
 お母さんの話では、村に測定するところはないし、どこに行けば測定してもらえるのかも、全く分からないということでした。
 私からはベルラド研究所で測定してもらえるので、1リットルほど持って行ってはどうかと話をしました。
 
 このお母さんはミンスク生まれのミンスク育ちだそうですが、20年前の30歳のときにコバリョワ村に引っ越したそうです。
 子どもたちは里子で村の近くのいろんな地域からやってきています。
 
 お母さんが言うにはやはり簡単に子どもを捨てる人が多く、引き取った子のうちの一人の実の母は、出産した次の日に「紙おむつ買ってきます。」と言って産院から逃走。行方不明になったそうです。
 ベラルーシの産院から出産したばかりの人が逃げ出すのは難しいと思うんですがねえ。
こちらを参照。産院に入院したら着ている服を「没収」されて、子どもを連れて退院するまで服を返してもらえないんですが。)

 今回も子どもたちに折り紙、折り鶴、折り鶴の作り方(千羽鶴プロジェクト)、日本語で子どもの名前を書いた絵葉書、着物から作った巾着袋をプレゼントしました。
特に年長の子どもたちは難しそうだけど日本語を勉強してみたい、日本に行ってみたいと、話していました。
 
 画像は記念撮影した様子です。しかし熱を出して寝ていた男の子、風邪を引いて帰宅した女の子は写っていません。
 また1人のお母さんも「私太っているから恥ずかしいわ。」と逃げてしまった(^^;)ので写っていません。

 最後になりましたが、セルロースのの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や絵葉書、巾着袋など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に深くお礼申し上げます。
ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。