ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第122回」

2011-08-22 |   ビタペクト配布活動
 8月22日にビタペクトTと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第122回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクトTを9個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2とビタペクトTは合計1856個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1610部となりました。
  
 今回で通算132回目のビタペクトT(ビタペクト2)の配布となりました。延べ人数ですが、1856人の子どもにビタペクトT(ビタペクト2)を、1610家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクトTを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a



 今回は2家族がミンスク州ベレジノ市(チェルノブイリ原発から約280キロ)からSOS子ども村に保養滞在していました。それぞれの家族に話を伺いました。

(家族A)

 お母さんが6人の子どもを引率していました。そのうち実子は4人で、1人は甥、1人は知り合いの子どもでした。
 この家族には4個のビタペクトTを渡しました。この家族は2006年12月にもSOS子ども村に保養滞在しています。そのときのようすはこちらの過去ログ「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第52回」(べレジノ市から来た家族)をご覧ください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/2006/no52.html



 前回の滞在ではこの家族は体内放射能値が少なかったため、ビタペクト2を渡していません。
 新しく女の子が生まれ、家族が増えています。7人の子どもがいますが、そのうち2人は甥と姪で養子にしているそうです。前回来ていた姪は現在イタリアに保養滞在中でいませんでした。また前回、喘息を持っていると言っていた息子は大きくなったので今回は保養滞在していません。 
 前回と今回のそれぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。

 
母親(事故発生時10歳)12ベクレル → 13ベクレル
長女(12歳)12ベクレル → 16ベクレル ○
次男(11歳)7ベクレル → 37ベクレル ○
三男 (9歳)6ベクレル → 0ベクレル
次女 (2歳)(今回初測定)16ベクレル 
甥  (9歳)6ベクレル → 30ベクレル ○
男子(15歳)(今回初測定)23ベクレル ○

 この家族は5年前の測定のときよりずっと放射能値が増えていて、お母さんはショックを受けていました。
 特に長女と次男はいっしょに7月オーストリアへ保養に行き、里親の元ホームステイをしたそうです。
 それなのに、長女は16ベクレルで次男は37ベクレルという結果にびっくりしていました。さらに2歳の次女が16ベクレルなのを心配していたので、ビタペクトTは3歳以上が対象ですが、長女にビタペクトTをあげたので、それを半分ずつ飲むようお母さんに話しました。
 もし次女のほうに下痢などの症状が出たら、すぐに飲むのをやめて、残りは長女が飲むように指導しました。

 長女は1年前から背中の痛みを訴え、背骨が湾曲していることが分かり、マッサージなどを受けているそうです。
 次女は2歳4ヶ月のときに骨盤と大腿骨の間にある関節の大きさが成長しないという病気にかかっていることが分かりました。歩くことはできますが、体の大きさに合わせて関節だけ大きくならないというのは、これからどうなるのか、全く予想がつかないそうです。

 知り合いの男の子は生まれつき心臓病で、いろいろな病気を抱えているそうです。現在は足の関節痛に悩んでいるそうです。保養には来ていませんが、1歳年下の弟がいて、その弟も生まれつき心臓病で同じ病気になっており、兄弟で病院通いをしているそうです。ベレジノ市の病院の医者は
「兄弟が病弱なのは、母親が高齢出産だったから。」
と説明しているそうです。しかし、私にはそんな説明は信じられません。
 兄が生まれたとき、母親は38歳だったそうですが、同じぐらいの年齢で初産でも、元気な子どもを生んでいる人はたくさんいます。高齢出産は全ての説明にはならないでしょう。
 お母さんは
「ベレジノ市にはまともな医者がいない。」
と憤慨していました。もう一人のお母さんもうなずいていました・・・。


(家族B)

 5人の子どもがいますが、末っ子は生後7ヶ月で測定をしていません。それから知り合いの子どもを引率していました。この家族には5個のビタペクトTを渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。

母親(事故発生時8歳)19ベクレル
長男(12歳)36ベクレル ○
次男(11歳)36ベクレル ○
長女(10歳)35ベクレル ○ 
三男 (5歳)31ベクレル ○
女子(15歳)28ベクレル ○


 このうち次男は6月と7月にスペインに保養に行っていましたが、行っていないほかの兄弟とほとんど結果が同じです。お母さんは
「どうしてこんな結果になったのか、分からない。」
と驚いていました。

 この家族は牛乳をたくさん飲む、と話していました。この家族の隣に住んでいる人が乳牛を飼っていて、その牛乳(原乳)を安く買っているそうです。
 これが内部被爆の原因でしょうが、子どもたちは乳製品が大好きで、牛乳を飲むのをやめさせることはできない、とお母さんはつぶやいていました。
 子どもたちは全員比較的健康で、持病などはないそうです。
 しかし今回の測定結果がショックだったので、ビタペクトTをちゃんと飲む、と話していました。

 今回もいつものように子ども達に折り紙、折り紙の作り方のコピー、おやつ昆布などをプレゼントしました。
 子どもたちは海草が大好きだそうで、
「昨日もサラダにして食べたよ!」
と話していました。ベラルーシ国民に海草を食べる食生活が年を追うごとに浸透しているようで、うれしいです。
 画像は記念撮影したようすです。ただ(家族A)の2歳の次女はお昼ね中で写っていません。

 今回子どもたちに渡した9個のビタペクトTのうち、4個を購入するために、CD「月と日」の売上金4枚分を充てました。
 ベラルーシ語で歌う日本の歌が収録されたCD「月と日」を1枚購入すると、その売上金の一部がビタペクトTを1個の購入する費用としてチロ基金に還元されます。
 CD1枚の売り上げが、ビタペクトT1個分、つまりべラルーシのチェルノブイリ原発事故の被災児1人に無料で渡すというこの活動につながっています。
 CD「月と日」について詳しくはこちらです。(HP「ベラルーシの部屋」内)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/songs/index.html


 京都にあるヨーロッパ輸入雑貨店「Vesna!」店頭やそのネットショッピングで購入できます。購入をご希望の方、詳しくはこちらをご覧ください。

http://vesna-ltd.com/shop/b_music.html

 どうか皆様のご協力をお願いいたします。

 最後になりましたが、ビタペクトTの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や昆布など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。