ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

どうして体重1キロあたりの結果ではないのでしょう?

2011-08-09 | 放射能関連情報
 8月6日付で「福島県民の方が受けた測定の結果について」という記事を公開しましたが、その後、この記事を読んだ方から「日本のホールボディカウンターは体重1kg当たりではなく、体全体での数値のようです。」と教えていただきました。
 合点がいきましたよ。これでドイツのホールボディカウンタが検出できる下限の数値が20ベクレルというのも分かりました。
 体重1キロあたり20ベクレルだったら、5ベクレルというベルラド研究所の簡易型ホールボディカウンタより精密ではない、ということになっておかしい、と思っていたのですが、体全体で20ベクレルだったら、とても精密ですよね。さすがドイツ。
 
 しかしですよ、ベラルーシでは体重1キロあたりでどれぐらいのベクレルかを測定し、その結果に基づいて、「安心」とか「要注意」とか判断するのが、当たり前の常識です。
 私もいつもそれでチロ基金の活動をする目安にしているわけです。
 正直言って、体重1キロあたりのベクレルで結果を表示するのが、国際基準で「当たり前」だと私は思っていましたので、日本のホールボディカウンターの検査結果もそのように表示されるに決まっている、と思っていました。 

 どうして日本では体重1キロあたりの結果ではないのでしょうか?
 食品の測定も1キロあたりで計算して基準値より、上とか下とか判断するのと同じです。
 
 日本の場合セシウム134の検出限界が320Bq、セシウム137の検出限界が570Bq というのも、小さいお子さんのこと(体重が少ない)を考えると、大雑把だなあ、と感じます。
 例えば、体全体でセシウム137が569ベクレルの子どもがいたとします。でも限界値570Bq以下なので「不検出」とされます。
 もしこの子どもが体重10キロだとすると、体重1キロ当たり56.9ベクレルになります。
 ベラルーシだったら「要注意」レベルで、「ペクチン剤を飲みましょう。」と言われます。でも日本だったら「不検出」です。
 これでよいのか? と思います。

 「福島県民の方が受けた測定の結果について」という記事内での
 「体内に多く検出された方はセシウム137が3000ベクレル以上の方が3名、うち2名がセシウム134も約3000ベクレル、一人の方は約2800ベクレル検出」
 ・・・ですが、大人と子どもではずいぶんこの数字の意味が変わってきます。

 もし体重100キロの大人で、セシウム137が3000ベクレルとすると、体重1キロあたり30ベクレルで、しかも大人だから、「安心」になります。
 しかし体重10キロの子どもだと体重1キロあたり300ベクレルで、しかも子どもだから、「危険」になります。
 
 体重50キロの人だったら、体重1キロあたり60ベクレルです。 
 この人が子どもの場合だと「要注意」で、ペクチン剤を飲むなどの対策を取らないといけないとされます。
 この人が大人なら「安心」レベルですが、大人でもまだ若く、これから子どもを産む予定のある方の場合は「要注意」でペクチン剤を飲みましょう、と言われます。

 年齢によっても基準が変わってくるので、「体全体で○○○ベクレル」という数字だけを被験者に伝えるのは、大雑把だと思います。
 今回の検査では被験者の方に直接、もう少し詳しい説明をされているかもしれませんが・・・。
 
前述の「日本のホールボディカウンターは体重1kg当たりではなく、体全体での数値のようです。」と教えて下さった方は、北海道で検査された方に結果を伺ったそうです。

 その結果、セシウム137が800ベクレル代、セシウム134が6000ベクレル代だったそうです。
(すみません。細かく数値を教えてもらったのですが、そのままここで公開すると個人情報公開につながりますので、「ベクレル代」というあいまいな表現をわざと使っています。)

 検査した方に「体重1kg当たりですか?」と聞いたところ、「分からない。」とおっしゃっていましたが、医師からは微量だと言われたそうです。

 これが仮に体全体としての数値として、この被験者の方の体重が例えば50キロとすると、体重1キロあたりのセシウム137が約16ベクレル、セシウム134が約120ベクレルです。

 どうしてこれが「微量」になるのか、理解に苦しみます。(単位の種類の間違いではないですよね?)
 
 日本で測定を受けた方、体全体の数値を告げられても、体重1キロあたりに換算してから判断してください。