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ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動 「マリーシャさん支援プロジェクト(熱傷痕への美容整形手術支援)」その5

2010-09-28 | チロ基金
1回目の手術から2ヶ月。8月末の様子です。この画像はコシェリコフ先生が撮影しました。
(マリーシャさんご本人とコシェリコフ先生の承諾を得て、この画像を公開しています。)
バルーンがふくらみ、毛根があるところの皮膚がこのように伸びています。 
 これぐらい伸びる、つまり皮膚の面積が広がれば、毛根のない部分の皮膚を取ってしまっても上からかぶせることができます。
 こうして9月1日、再び手術が行われました。植毛手術は成功。麻酔がまだ効いているマリーシャさんの顔の部分にも美容整形手術が行われました。
(チロ基金は顔の部分の美容整形手術に対してのみ支援を行いました。)

チロ基金の活動 「マリーシャさん支援プロジェクト(熱傷痕への美容整形手術支援)」その4

2010-09-28 | チロ基金
 バルーンを皮膚の下に埋め込む手術をして2日後、6月末に撮影した画像です。
 マリーシャさんご本人の承諾を得て、この画像を公開しています。)
 顔の横にプラスチック製の容器がぶら下がっていますが、これはこの画像を撮影した次の日には取り外されました。バルーンに空気をいれるための穴が開いていて、そこからチューブが垂れ下がっているのですが、術後すぐは血が微量ですが出てしまうので、このような容器に溜まるようにするのだそうです。
 何だか痛々しいけど、大丈夫? しかしマリーシャさんは
「ちょっと、変な感覚がするけど、全然痛くない。」
と話していました。

 この後、2ヶ月かけてこのチューブを通して、少しずつバルーンに空気を入れていきました。
 それも痛くないのか? と見ているこっちのほうが心配になるのですが、マリーシャさんは
「空気を入れるのは痛くなかった。でも最後のほうになってきて、皮膚がかなり伸びたときは、ちょっと痛かった。」
と退院時に言っていました。
 

チロ基金の活動 「マリーシャさん支援プロジェクト(熱傷痕への美容整形手術支援)」その3

2010-09-28 | チロ基金
 この画像はコシェリコフ先生が撮影しました。手術中の様子です。
(マリーシャさんご本人とコシェリコフ先生の承諾を得て、この画像を公開しています。)

 これは植毛手術の様子を撮影したものです。(チロ基金はこの手術に対しての支援はしていません。)
 植毛手術と言えば、普通は自分の毛の場合、毛があるところから毛のないところへ毛根を移植します。
 しかし、この熱傷治療センターでは、もっとすごい手術をしていました。
 それは「バルーン方法」というものです。この方法はどんなものかと言うと・・・

 まず、毛が生えていない部分に近い部位で、毛の生えている部分を切開します。毛が生えていない部分の面積によって切開部分の数が変わります。マリーシャさんは2箇所です。
 切開したら、皮膚の下にバルーン、つまり風船を入れます。画像に写っているビニール状のものがバルーンです。
 バルーンを入れたら切開した部分を縫合しますが、手術後もバルーンに空気を入れられるように小さい穴を開けておきます。
 手術後、2ヶ月かけて少しずつ外部からバルーンに空気を入れ、膨らまします。バルーンが大きくなるにしたがって、それを覆っている皮膚が伸びていきます。伸びた皮膚の部分には毛(毛根)があります。
 充分に皮膚が伸びたら、2回目の手術をして、毛根のない部分の皮膚を切除。バルーンは外して、伸びた皮膚を代わりにかぶせます。すると頭全体を毛根がある皮膚が覆うことになります。つまり、頭全体に髪の毛が生える・・・ということです。

 すばらしい! しかし大変そう・・・。時間もかかるし・・・。でもこれが一番根本的な治療になるそうです。
 2ヶ月の入院生活を送らないといけないため、9月に2回目の手術をすることになりました。
 その手術直後のまだ麻酔が効いている間にマリーシャさんの顔の部分の美容整形手術を行うことになりました。
 しかし1回だけでは美容整形手術は終わらず、最低でも2回、場合によっては4回手術しないといけないそうです。
 話し合いの結果、2回目の美容整形手術は12月に行うことになりました。
 
 
 

チロ基金の活動 「マリーシャさん支援プロジェクト(熱傷痕への美容整形手術支援)」その2

2010-09-28 | チロ基金
 マリーシャさんはミンスク市内にある救急病院に入院しました。どうして救急病院? と思われるかもしれませんが、その中、5階と6階に「熱傷治療センター」が入っているのです。
 その熱傷治療センターで働くコシェリコフ先生がマリーシャさんの担当医です。コシェリコフ先生はベラルーシの熱傷治療の権威です。
 この画像はコシェリコフ先生が撮影した物です。入院直後、手術前々日のマリーシャさんです。
(ご本人とコシェリコフ先生の承諾を得て、この画像を公開しています。)

 このように頭の右半分が火傷のため、毛根を失ってしまい、毛がない状態です。右耳も上部がなくなっています。
 今回の手術では、頭に自分の毛根を植え付けることと、そして顔の部分の美容整形手術です。
 後者の顔の部分の美容整形手術のみをチロ基金が支援しました。
 でもせっかくなので、植毛手術についてもご紹介したいと思います。

 マリーシャさんは頭の左側の髪の毛を伸ばして、右のほうにやったり、帽子をかぶったり、かつらをつけることも考えたそうですが、ご両親の最優先の希望で、植毛手術をうけることになりました。  

チロ基金の活動 「マリーシャさん支援プロジェクト(熱傷痕への美容整形手術支援)」その1

2010-09-28 | チロ基金
 2010年9月、新しいチロ基金の活動として、「マリーシャさん支援プロジェクト」を始めました。
 これは分かりやすい簡単な名称で、具体的にはゴメリ州に住む18歳のマリーシャさんの顔の部分にある熱傷痕(やけどの痕)を薄くする美容整形手術の費用をチロ基金が本人に代わって負担する、という支援活動です。

 まずはチロ基金とマリーシャさんの出会いをご説明します。
 当時15歳だったマリーシャさんと初めてお会いしたのはSOS子ども村でした。詳しくはこちらの過去ログをご覧ください。

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第68回」

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/8e0659625ebc56a74669fe75a7e88c9d


この過去ログ記事内でもご報告していますが、マリーシャさんが火傷を負った経緯をここでもご紹介します。
 マリーシャさんは5歳のときにガソリンによる大火傷を負いました。近所に住んでいる子どもたちが止めてあったオートバイからガソリンを盗み、いろいろな物にしみこませて火をつけ、遊んでいたところ、偶然マリーシャさんが通りかかりました。
 子どもたちはマリーシャさんに燃やしていたものを投げつけて、逃げました。マリーシャさんは服に火が燃え移り、病院に運ばれ、一命は取り留めたものの、痕が体の右半分に残ってしまいました。
 最初はゴメリ市の病院に通っていましたが、後にミンスクの専門医の元へ通うようになりました。
 15歳のときには、皮膚移植をしても、成長してから引きつれなどの問題が出てくる可能性があり、本格的な治療は成人してから、と言われました。
 ゴメリ州に住むマリーシャさんはチェルノブイリ原発事故の被災者救援活動の一つとして、ドイツへ頭部の手術治療に行きました。ところが、かえって傷跡の状態が悪化。帰国してからベラルーシの担当医に治療し治されました。
 そしてもう少し成長してから、(つまり大人になって頭蓋骨の大きさが成長しきってしまうこと。)美容整形手術を受けるよう担当医に勧められました。それが18歳です。
 
 2010年7月に18歳になるマリーシャさん。直前の6月に高校を卒業しました。しかしご両親は手術を早く受けることに決め、進学の道を1年延ばし(つまりマリーシャさんは現在浪人中。)ミンスクの病院に入院することになりました。
 6月下旬に入院。しかし手術は頭部のみで、髪の毛の再生手術のためだけでした。
 頭髪再生手術は、入院した日が18歳になる直前だったため、ぎりぎり「未成年」扱いとなり、無料で受けられることになりました。(ベラルーシは18歳が成人年齢。)

 話し合いの結果、チロ基金は顔の部分の美容整形手術への費用を援助する、ということになりました。それにかかる費用は日本円に直して約2万円。
 (良かった、億万長者でなくても、チロ基金から出せる金額だわ、とほっとしましたよ。)(^^;)
 日本の常識だったら、やけどを負わせた加害者が治療費を出すのが当たり前だと思います。実際にベラルーシでも加害者に請求が行くケースがほとんどです。
 しかしマリーシャさんの場合、やけどを負わせたのが子どもだったので、「おとがめなし。」として処分されています。
 でも、被害にあった側からすれば、やけど跡は広範囲で、目に付くうえ、心にも大きな傷が残ってしまっています。そのときに味わった恐怖感も一生忘れられないと思うし、全くもってかわいそうです。
 マリーシャさんは犯罪被害者で、大火傷をしたのも、本人は何も悪いことしてないのに・・・とSOS子ども村で出会った数多くの子どもの中でも、印象に残った人でした。

 今回チロ基金からマリーシャさんに支援活動ができ、よかったと思っています。
 そしてこの手術費用は群馬県のお住まいのWさんからの寄付金、そして、年に2回開催されている日本ユーラシア協会大阪府連主催の「ユーラシアバザール」での売上金から出させていただきました。
 Wさん、日本ユーラシア協会大阪府連の皆様、本当にありがとうございます!
 おかげさまで、マリーシャさんに手術をすることができました。
(日本ユーラシア協会大阪府連主催「ユーラシアバザール」について詳しくはこちらです。)
 
http://www011.upp.so-net.ne.jp/jes


 これから順を追って、この支援活動についてご報告いたします。

 画像はマリーシャさんの18歳の誕生日にご両親といっしょに撮影した物です。場所はミンスクの病院敷地内。
 これは手術前の画像です。(ご本人の承諾を得て、この画像を公開しています。)


チロ基金の活動「第6回 医療器具寄贈」その4

2010-04-10 | チロ基金
 本当に医療器具の寄贈が今年もできてよかったです。
 この病院では近々、チロ基金が寄贈した内視鏡手術器具を使った手術を紹介するビデオ作品を製作する予定です。このように広く手術の様子が公開されること、ベラルーシの他の医療機関の関係者にも刺激になるのではないでしょうか。
 このビデオ作品はチロ基金にもいくつか譲っていただけることになっていますので、手術器具購入のため寄付をしてくださった方や、関心のある方にぜひ見ていただきたいと思っています。
 詳細はまた改めてこのブログにてご報告いたします。
 ご協力くださった方に深く感謝いたします。
 
 

チロ基金の活動「第6回 医療器具寄贈」その3

2010-04-10 | チロ基金
 これがその最新式のメスです。これはもちろん普通の開腹するためのメスではなく、内視鏡手術中に患部を切除するためなどに使うタイプのメスです。
 ハサミと違い、このメスは刃の部分が筒状の部分から出ている構造であるため、手元のギザギザ部分で刃渡りを微調整することができます。つまり患部の大きさなどにより刃渡りを変えることが可能です。
 このような小さいメスがあると、生後1週間ぐらいの新生児の手術も今までより簡単にできるようになります。

チロ基金の活動「第6回 医療器具寄贈」その2

2010-04-09 | チロ基金
 今回もミンスク市内で開催された医療器具の見本市で、購入しました。不況のため、出店する企業が減るのではないかと心配されていましたが、そのようなことはなく、会場となったミンスク市にある屋内サッカースタジアムは、盛況な様子でした。
 逆にカール・シュトルツ社は新しいタイプの製品の開発も進めており、今回は最新式のメスを購入しました。
 購入した医療器具は全て小児外科センターで働く医師の希望を優先し、カール・シュトルツ社のロシア支社がミンスクの医療器具見本市に出品するときに、モスクワから持ってきてもらったり、実際に見本として出品したものを購入しています。
 カール・シュトルツ社ロシア支社は「チロ基金はお得意さんだから。」とかなり安い価格で5点を売ってくれました。

 お医者さんたちも大変喜んでいました。
 現在では小児外科センターで1年間に腹腔内視鏡手術は500件行われるほどに、増えてきているそうです。
 これは病気の子どもが増えた、というわけではなく、今まで器具やスタッフの不足から、普通の開腹手術をしていた子どもが、最近は設備も充実してきたため、体に負担の少ない腹腔内視鏡手術を受けられるようになってきた、ということです。

 寄贈式典の後でも
「今から早速生後8日の新生児の小腸部分の手術をこの器具を使って行います。」
と早速消毒処置室のほうへ回されていました。

チロ基金の活動「第6回 医療器具寄贈」その1

2010-04-09 | チロ基金
 2010年4月9日、第6回目となる医療器具寄贈活動を行いました。
 寄贈先は今まで同じく、ミンスク市立第1病院内小児外科センターです。

 寄贈した医療器具は腹腔内視鏡手術器具5点です。ドイツの医療機器製作会社カール・シュトルツ社製の鉗子3種、はさみ1種、メス1点をチロ基金への寄付金1000$で購入しました。
 この寄付金を寄付してくださったのは、Nobu-sanです。

 長期にわたり、先の見えない世界的不況が続く中、高額の寄付金をチロ基金に寄付してくださり、深く感謝しております。この活動が続いているのが奇跡のようです。本当にありがとうございました。

 今回は小児外科センター内の会議室で寄贈記念式典を行いました。
 お医者様方との記念撮影のようすは画像をご覧ください。ちょうどベラルーシ医科大学の学生さんたちも参加していたので、いっしょに記念撮影しました。
 将来この手術器具を使うことになる医師がこの中から育っていくと思います。とてもよい寄贈式典でした。

・・・・・・・

第1回 医療器具寄贈についてはこちらです。

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/medical/index.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/medical/no2.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/medical/no3.html


ベラルーシ国内の報道記事はこちらです。(ロシア語)


http://www.sb.by/post/21374/



第2回と第3回 医療器具寄贈についてはこちらです。

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/index.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no2.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no3.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no10.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no11.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no12.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no13.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no13.html



http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no14.html


第4回 医療器具寄贈についてはこちらです。


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/a41e56845b5a7ba409518ef917d2920a



http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/f907e11b2b84fac83cce91a6336e8439



http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/888508e1b1f8c7f32f59daa6cd9987f7


第5回 医療器具寄贈についてはこちらです。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/f362a9d818c615f944f204980f3b6aaf



http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/3c7a964e55836902dfa2db5666f7847c



医療機器製作会社カール・シュトルツ社の公式サイト(日本語版はありません。)
http://www.karlstorz.de/cps/rde/xchg/SID-6E394DE7-5A0E0057/karlstorz-en/hs.xsl/index.htm


チロ基金の活動「水頭症児童への支援活動」

2010-02-23 | チロ基金
 チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第99回」でもご紹介しましたが、水頭症の児童への支援活動を行いました。
 この子はゴメリ州ルドニヤ・マリモノワ村に住む 3歳半の男の子、サーシャ君です。
 生まれつき水頭症を持っています。よく手術をして治療することが多いのですが、サーシャ君の場合、投薬治療の結果、頭に水(脳脊髄液)が溜まるのは止まりました。
 しかし、知能のほうは発達が遅れています。
  
 昨年、知能発達のための投薬治療を数年に分けて行うことを担当医から言われました。
 そしてこの1月から半年間はパントガムという薬を飲むことになりました。1ヶ月を過ぎたころ、この男子は初めて「ママ。」「チョーチャ(おばさん)。」と意味のある言葉を話し始めたそうです。
 
 この薬はロシアの製薬会社ピーク・ファルマが作っています。この会社のサイト内のカタログはこちら。(画像は見られますが、ロシア語表記のみです。)

http://www.pikfarma.ru/products/pantogam.html


 脳内の血液の循環や代謝を活性する働きがある薬ですが、重度の障害には効果はないようです。また長期間にわたって摂取しても、効果がよくなり続けるわけではありません。(当然ですが、この薬を飲み続けても知能が平均以上によくなり、天才になるわけではないです。)
 そのため、飲む期間も半年だけ、と決まっているようです。
 しかし、この薬はロシア製でベラルーシ製ではないため、障害児向けの割引制度も無効です。さらにあまり薬局では売られておらず、なかなか手に入らない、とお母さんは話していました。
 一箱50錠入りで、1日に3回飲まなくてはいけません。1ヶ月で2箱近く必要と言うことは半年間でおよそ11箱買わないといけません。もう2箱買ったので、あと9箱買わないといけません。1箱はおよそ14ドルします。

 ちょうどSOS子ども村へ保養で行くことになったため、お母さんはミンスクでできるだけたくさんこの薬を買っておきたいと考えました。首都であるミンスクのほうが手に入りやすいと考えたからです。 
 この男の子は障害者と認定され、助成金をもらっています。しかし、今ある助成金ではまとめ買いはできません。
 そこで、9箱全部でなくてもよいので、チロ基金から何とか支援を受けられないか、と持ちかけられました。
 この薬がそんなに効果があるのなら、ぜひチロ基金の支援活動の一つとして、一部でも購入のお手伝いができたら、と考えてその場では承諾しました。

 その後、あちこちの薬局でこの薬を売っていないかきいて回ったのですが
「置いていない。」「めったに売られていない薬。」「ロシアから注文取り寄せになる。」(←もうすぐサーシャ君はSOS子ども村での保養を終えて帰宅するので、時間がない・・・。)
 となかなか見つかりませんでした。
 しかし、ベラルーシ全国にチェーン店を持つ薬局に行ったところ、すぐに4箱の在庫が見つかりました。この薬局はゴメリにもチェーン店を持っているので、サーシャ君のお母さんもゴメリまで行けば、比較的簡単に手に入るのでは、と思いました。(ロシアから取り寄せるより、ミンスクからのほうが早くて簡単でしょう。)

 さっそく、SOS子ども村へ薬を持って行きました。家から持って来ていた薬はなくなりかけていて、1錠を半分に割って飲ませたりしていたそうで、お母さんはチロ基金からの援助に大喜びでした。
 サーシャ君もちゃんと意味が分かっているようで、薬の箱を手にして飲むまねをしたりしてニコニコしていました。(画像をごらんください。)

 これで2ヶ月間は大丈夫なのですが、後は何とか6月になるまでがんばってほしいと思いました。
 この薬4箱を購入するために、チロ基金支援者である大阪のH様の寄付金、そして、日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザールでの売上金の一部を充てました。
 H様、ユーラシア協会大阪府連の皆様、バザースタッフの方々、またバザーでベラルーシ民芸品をお買い上げくださった皆様に、厚くお礼申し上げます。 
 サーシャ君のお母さんは、本当に喜んでいました。日本の支援してくださった皆さんに深くお礼申し上げたい、と話していました。

 サーシャ君がますます健康になるよう、祈ってやみません。もしまた機会がありましたら、サーシャ君への支援活動、そして可能であれば、その後の成長をレポートしたいと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2012年4月にサーシャ君に再会することができました。そのときのようすはこちらをご覧ください。
 チロ基金の活動「ビタペクト2(セルロース)&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第132回」

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5c299109f50d02aa7afb7f43e07e3332


SOS子ども村にて。「折り紙できたよ!」

2010-02-20 | チロ基金
 チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第99回」のときにゴメリ州から保養滞在していた子どもたちに折り紙をプレゼントしました。
 (もちろん完成作品ではなく、折り紙用の紙と作り方です。)

 渡してから10分後、現れたのは幼稚園に通っているという女の子。
 あ、もう3つも作っている! やってきたのはもちろん、みんなに自慢するため。
 それにしても早い! しかも上手です。もしかして折り紙の天才かも・・・。

 水頭症の男の子はうまくしゃべれないんですが、私が帰ろうとすると、コートをかけてあるところに、走っていって待っている。コートを着ると、今度は玄関のところに走っていってドアの前で待っている。
 つまり、これはコートのある場所や玄関のある場所を私に教えているのです。
 知能の発達に障害があるというのは、ひょっとして間違いで、この男の子は実はすごく頭がいいのかも・・・。それがわれわれには分からないだけでは・・・と思った一瞬でした。
 ブラックジャックの漫画で、水頭症の子どもなんだけど、実は天才だった、というような話、ありませんでしたっけ?

 

名誉女性区民に選ばれました

2009-10-15 | チロ基金
 私はベラルーシの首都ミンスクの中でもペルボマイスキー区という区内で居住し、また働いています。
 そして区内に住んでいる人の中から名誉区民が選ばれているのですが、今年そのうちの1人として、私が選ばれました。

 10月14日はベラルーシでは母の日です。この日に名誉区民のうち女性をお祝いすることになりました。
 しかも日本文化情報センターがある第5児童図書館内に、フォトギャラリーが開設され、名誉女性区民のポートレート写真が飾られることになりました。
 そのオープニングセレモニーも母の日に行われました。
 この画像はフォトギャラリーでの記念撮影です。私がシャッターを押したので自分自身は写っていませんが、ほかにも名誉女性区民ではない人や子ども(^^;)も写っていますのでご注意ください。
 (ちなみに私のポートレート写真は向かい側の壁のほうに展示されています。)

 名誉女性区民は約30人いるのですが、選ばれている方々というのは、まず第2次世界大戦時に従軍看護婦だった方、科学アカデミー会員、有名企業勤続40年で高い技術を持った方などなど・・・です。
 正直言ってベラルーシ人でもない私がどうして選ばれたのかよく分かりません。

 最初この話があったときも、辞退したのですが受け入れられず、詳しい履歴書の提出を求められました。
 チロ基金で行ってきた子どもたちに対する支援活動が評価されたのだと思います。
 しかしそれは私一人の力でできたことではなく、チロ基金に寄付してくださったり、そのほか有形無形の支援をしてくださった日本人の方々がいたからこそ、活動ができたのです。
 
 今回は私の名前が名誉女性区民に選ばれましたが、本当は私一人ではなく、チロ基金の活動を支えてくださった日本人の方々が、ベラルーシで評価され、このような形で感謝されたのだと思っています。
 それをここに謹んでご報告いたします。

 名誉女性区民に選ばれた人は長年にわたっての専門職への従事、地域社会への貢献が評価された方たちばかりです。
 私は10年ほど続けただけで名誉女性区民の間に名を連ねることができたわけですが、これは他の方と比べると本当に少ない年月です。
 これからも長くチロ基金の活動を続けていきたいという気持ちを新たにしました。
 

スベトラゴルスク図書館のサイト

2009-07-14 | チロ基金
2007年にスベトラゴルスクの児童図書館の日本文化コーナーにチロ基金から日本の本やおもちゃなどを寄贈しました。(詳しくはこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/208af274acdd9babb29cfdad6a54b6f2


 スベトラゴルスクの図書館は最近サイトを立ち上げ、その中で日本文化コーナーや日本のおもちゃのことも紹介されています。
 記事はロシア語ですが、画像は見られますので、ぜひアクセスしてみてください。

スベトラゴルスク中央児童図書館内「日本文化コーナー」

http://www.svetlib.gomel.by/japan_place.htm

 内容が追加されて、とても充実しています。すばらしい! スベトラゴルスクの図書館は本当にいつもがんばっています。

 スベトラゴルスク第3児童図書館の「世界のおもちゃ博物館」に寄贈した日本のおもちゃも、すでに仲間入りしています。
 このおもちゃについてもスベトラゴルスク図書館のサイトで見ることができます。こちらをどうぞ。
 このページの一番最後に日本のおもちゃが紹介されています。

http://www.svetlib.gomel.by/musei_igrushki_mira.htm


 寄贈した日本のおもちゃがスベトラゴルスクの図書館で紹介されていることが分かり、うれしく思っています。寄贈してくださった皆様、ありがとうございました。
(ただこのスベトラゴルスク図書館のサイトで写っている将棋は駒を箱から出して展示してほしいです・・・。でないと何のおもちゃなのかよく分からないではありませんか・・・。)

新しいチロ基金の活動 「日本児童文学コレクション」

2009-04-18 | チロ基金
 2009年、日本文化情報センター開設10周年にあたり、新しいチロ基金の活動「日本児童文学コレクション」を始めました。
 日本の最近の作家(村上春樹など)や日本昔話など必ず売れる、あるいはいつの時代でも必要、とされる日本文学は常にロシア語に翻訳され、ベラルーシの書店にも並んでいます。

 しかし、日本児童文学書は私が知っている限り、ベラルーシでもロシアでも、ロシア語訳の新書、あるいは再版ですら、ここ20年ほど出版されていません。
 売れるか売れないか?が翻訳するかしないか、の判断基準ではなかったソ連時代(50年代から90年代)に、約20冊の日本児童文学がロシア語に翻訳され、ロシアで出版されました。その多くは最近再版されることなく、図書館で貸し出しされ続け、現在保存状態が危機的状況です。

 例えば、日本文化情報センターのあるミンスク市立第5児童図書館には、4種類の日本児童文学書のロシア語版がありました。
 そのうちの1種、「1945年8月6日広島は語りつづける」(伊藤壮 作・丸木俊 絵。ロシア語版は1984年出版)は2部あったはずが、1部は行方不明、残った1部はボロボロの状態です。
 「コッペパンはきつね色・ねこによろしく」(松谷みよ子 作・ロシア語版は1977年出版)と「窓際のトットちゃん」(黒柳徹子 作。ロシア語版は1988年出版)はかろうじて、1部ずつ見つかりました。(でも状態がいいとは言えません。)
 
 このように、あと10年もすれば、ベラルーシ中から日本児童文学のロシア語版は、廃棄処分されるか、行方不明になるかのどちらかだと思います。
 また「売れない。」とロシアの出版社に思われている日本児童文学書が再版される可能性は大変低いです。
 そこで、今何とか保存する方向に誰かが進まなくていけないと思い、今年からチロ基金の活動として「日本児童文学コレクション」の収集を始めました。
 すでに日本文化情報センターのベラルーシ人向けロシア語サイトではお知らせを更新しています。 

http://blog.goo.ne.jp/fondchiro/e/df58db53d70cd15cb202df7274950aad


http://blog.goo.ne.jp/fondchiro/e/10266fedd5ec676d4a014cc4fa99073e


 ベラルーシの図書館に残っている本ではなく、個人蔵の本をチロ基金が買い取って、日本文化情報センター内「日本児童文学コレクション」に加えて、永久保存を目指す、という試みです。
 しかし、最新の翻訳書でも1991年発行ですので、多くの家庭で古本として処分されてしまった可能性が高いです。
 どれぐらい集まるのか分かりませんが、数年はこの呼びかけを続けようと考えています。

 私が知っている限りで、ロシア語に翻訳された日本児童文学で、買い取りをベラルーシ人に呼びかけているのは以下の19冊です。(表示している発行年度は原書ではなく、ロシア語版の発行年度です。)

1)「おしょうさんとこぞうさん」 羽仁説子 1956年
2)「子どもの頃の日々」 徳永直 1958年, 1965年
3)「あかつきの子ら」 片山昌造 1960年
4)「コロポックルの橋」 森和男(一歩)1963年
5)「つるのとぶ日」 いぬいとみこ 1966年
6)「いやいやえん」 中川梨枝子 1967年
7)「赤い鳥小鳥」 1967年
8)「うみねこの空」 いぬいとみこ 1968年
9)「龍の子太郎」 松谷みよ子 1970年,1978年
10)「ゆびきり」 早乙女勝元 1973年
11)「さらば、ハイウエイ」 砂田弘 1974年
12)「300番地の子どもたち 谷真介 1976年
13)「風の中の子ども」 坪田譲治 1978年
14)「パパはのっぽでぼくはちび」 平塚武二 1981年
15)「1945年8月6日広島は語りつづける」 伊藤壮 1984年 (1部はありますが、状態が悪いのでリストに入れました。)
16)「天の赤馬」斎藤隆介 1985年(1部はありますが、状態が悪いのでリストに入れました。)
17)「三コ」 斎藤隆介 1988年
18)「窓際のトットちゃん」 黒柳徹子 1988年(1部はありますが、状態が悪いのでリストに入れました。)
19)「むかしむかしおばあちゃんは」 神沢利子 1991年

(注意! これらの日本語の原書を集めているのではなく、ロシア語版を集めています。)

 図書館員さんたちは「こんな昔の本、なかなか見つからない。」と悲観的です。
 しかし、何もしないよりはましだろうと、私は思います。
 この活動については、また改めてご報告します。(日本文化情報センター開設20周年のころの報告になるかも・・・。)(^^;)
 
..........................

以下は5月18日の追加書き込みです。
 リスト中の
17)「三コ」 斎藤隆介 1988年
 ロシア語版を購入できました! 
 初めての1冊です。とてもうれしいです!  
 
 「ノンちゃん雲に乗る」(石井桃子 作・三浦みどり 訳)(これは翻訳者の三浦さんが自費で1997年にロシアで出版したものです。)
「手袋を買いに」(新美南吉 作・三浦みどり 訳)(これは本ではなく、1999年にロシアの雑誌に掲載されたものです。)
「橋をかける 子ども時代の読書の思い出」(美智子 著)(児童文学書ではなく、皇后美智子様が子ども時代に親しんだ読書の思い出の記。1999年すえもりブックスから発行。)
「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治 作・中澤敦夫 訳)(2002年に新潟大学で出版されたもの。)
「窓際のトットちゃん」「コッペパンはきつね色・ねこによろしく」「1945年8月6日広島は語りつづける」「天の赤馬」(この3冊だけがうちの図書館に残っていました。)
 
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以下は2010年3月3日の追加書き込みです。
 リスト中の
9)「龍の子太郎」 松谷みよ子 1970年度版を購入しました。時間はかかっていますが、少しずつコレクションが増えています。とてもうれしいです。

 画像は現時点で集まった「日本児童文学コレクション」です。
 この調子で少しずつでも買い集めたいと思っています。また改めてこの活動についてはご報告いたします。

チロ基金の活動「第5回 医療器具寄贈」その2

2009-04-05 | チロ基金
 今回寄贈した器具の画像です。それぞれ太さ3ミリ。とても小さいです。比較のためボールペンを置いてみました。
 上から、鉗子(これで患部を広げる)、はさみ(腫瘍などをこれで切り取ります。)、鉗子(はさみで切り取り作業中、これで腫瘍をはさんで動かないようにします。)
 どれも同種の器具の中では最小サイズに当たり、主に新生児の腹腔内視鏡手術に使用されますが、必要な場合は1歳以上の年齢の子どもを対象にした手術にも使われます。
 担当医の方々は大変喜んでおられました。寄贈してすぐに殺菌、パッキングされ、翌日朝の手術から早速使われることになりました。本当によかったです。
 現在この病院では、1日で多いときには7件の腹腔内視鏡手術が行われているそうです。2つの手術室をフル回転させて、行っているそうですが、手術数は増えていると思います。そのたびにこの手術器具が使用されることになります。

 今年も昨年と同様に医療器具の見本市がミンスク市内で開催されました。あいにく、日本文化情報センターでの着物展と時期が重なり、私は行くことができませんでした。しかし世界的不況のため、会場の半分しかブースが埋まらなかったそうです。
 そんな中、ドイツの医療機器製作会社カール・シュトルツ社ロシア支社が見本市で、この2種の手術器具を展示。1点350ユーロもするものでしたが、3点で1000ドルにしてくれました。おかげさまで助かりました。
(売る側としても、商品を少しでも販売するほうがいいですからね・・・。)
 
 チロ基金が募った寄付金で購入した医療器具が、ベラルーシの子ども達のため使われるようになったこと、深く感謝しております。ご協力してくださったNobu-san、本当にありがとうございました。
 不況が続いている現在、今年も無事に手術器具の寄贈ができたこと、ベラルーシ関係者一同大変うれしく思っております。