えーっと、前編はどこまで話したっけ?
そうそう、アメ横にはTV番組で東南アジアの市場のルポで見かけるようないろいろな屋台が出来ていて、若者に人気があるようだ。
アメ横の賑わいをあとに再び銀座線に乗っていつもの稲荷町で降り、駅のそばにある交番で永昌寺を聞くことにする。
「あのー、この近くに・・・あ、あった」
おまわりさんに道を尋ねようとして、最後まで話し終わる前に交番の隣に立っている「講道館柔道発祥の地」の案内板が目に入った。
講道館があった当時の建物は大震災で消失しているが、前回の吉良邸のようにそれらしい格好をした作り物の白壁とは違い、講道館の面影はないがここは今でも本物のお寺である。
しばし石碑の前にたたずむ。
講道館の四天王といわれた西郷四郎がモデルだと言われる富田常雄原作の「姿三四郎」を何度も何度も読み返していた50年前の自分がそこにいた。
今日もおとなの工作教室の前に一風呂浴びて行くことにして、資料を物色していると墨田区の本所に荒井湯という銭湯があった。
本所といえば「目指すは本所松坂町!」 ド~ン、ドン ドン ドンドンドンドンドン・・・・・・・・打ちィ鳴らすは山鹿流の陣太鼓・・・という、あの忠臣蔵の吉良上野介の屋敷跡があるところだ。
*しかし、地図で調べてみると、当時の本所松坂町は現在では両国3丁目となっていて、荒井湯とは地下鉄で3駅離れているようだ。
ここは是非とも訪れておかねばならないだろうと、工作教室は夜6時半からだが、目指すは本所松坂町とばかりに1時にはもう小田急線にに乗っていた。
Oh! これがあの吉良邸か・・・遠くから訪ねてきた吉良邸はこんな形で残っていました。
こんなミジメな形で残っていました。
上の吉良邸だけを切り取った写真では、それなりの形に見えるのだが、周りの風景と一緒に眺めると、どこが吉良邸の跡だかよく判らない。
*アズキ色の建物と向こうの白いビルのすき間にある白壁が吉良邸跡なのです。
2500坪あったと言われる吉良邸の今は、映画のセット並みならともかく、今の姿は学芸会の背景程度の規模でしかなく、内部もおよそ4間四方しかなく、10歩も歩けば向こう側の壁に突き当たるくらいでかなり残念な吉良邸だった。
気を取り直して銭湯に向かう道で、さすがに相撲の町で時津風部屋をみつけることが出来た。
*青銅の看板には「双葉山相撲道場」と書かれている。
さて、銭湯まで行き着かなかったが、長くなったので前編はここまで。
後編はすごこの下に続きますが、まずは自分でお茶でも淹れて一服してください。
*墨田浴場組合ののぼり
荒井湯はスーパー銭湯化が時流の中で、脱衣所につながる中庭、そして池には大きな鯉が泳ぐというスーパー銭湯では見られなくなった昭和の銭湯の面影を残していた。
さて湯から上がってまだ教室が始まるまでには間がありそうなので、ここからなら歩いてでもいけそうなスカイツリーに寄ってみることにしたが、バス停によってみるとさいわい1時間に1本という都バスが間もなく来る時刻だった。
スカイツリーそのものにはさほどの興味はなかったが、門前町ならぬ、塔下町の賑わいやいかにと出かけてみたが、ここは東京の新名所とは思えない何もない町だった。
スカイツリー構想から10年の間、行政も地元の商店街もひたすら棚ボタを待っていただけのようで、この塔に便乗すべく何らかの努力ををした形跡すら見られない。
奈良には大仏様だけが頼りで自らは何もしないことから大仏商法という言葉があるが、それでも奈良というブランド名でなんとかなっているが、この町はタワー商法すら成り立っていないさびしい町だった。
長年の東京暮らしだったが、名古屋育ちの私には東京の土地感がまったくなく、浅草と上野が地続きだということが今日やっとわかった。
名古屋の大須観音と浅草だって地続きだ!
そりゃぁそうだけど、私が言っているのは歩いて行ける距離だって話だ、話が長くなっちまうンで、途中でチャチャを入れないで聞いてくれ。
霊の(ほら、余計なことを言うから間違っってしまったではないか)、霊ではなくて、例の台東区銭湯マップを頼りに東上野にある教育センターの近くの銭湯を探していると「蛇骨湯」なるオドロオドロしい屋号の銭湯があり、いつもの稲荷町駅の一つ先の田原町駅で地下鉄を降り蛇骨湯を探し歩くうちに雷門方面という道標を見てここはもう浅草の一角であることに気がついた。
入り組んだ路地裏の蛇骨湯は江戸のむかしこの一帯を蛇骨長屋と称されていたことからつけられた屋号らしく、けっこう有名な銭湯のようで<蛇骨湯>のキーワードで検索をしてみたら、いろいろな人がこの銭湯について書いているブログなどがあった。
蛇骨湯をあとに上野方向にある社会教育センターまで歩いてみると、また新たな発見があった。
ビルの屋上に見えるあのコックさんの顔は・・・何とときどきTV番組で見かけるかっぱ橋道具街だ。
鍋釜、食器、厨房設備、看板のれん、菓子、喫茶材料などなどの道具類の店が800メートルの道具街の両脇に軒を並べる問屋街で、門外漢の私が専門の道具類を見て回るだけでも結構楽しめる商店街である。
そんな中で、一番楽しめるのが食品サンプル屋さんのウインドウだ。
見事な出来の食品サンプルに見とれているうちに、気がつくとスカイツリーが夕日に染まりだした。
急いで教育センターに戻らねば・・・。
おとなの工作教室の開始時間が迫ってきた。