柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

象徴

2009-08-16 07:44:14 | Weblog
沖縄で新型インフルエンザによる国内初の死者が出たと騒いでますマスコミ。舛添さんは落ち着いて慌てずにと言うだけ、紙上には識者のコメントが載ります、強毒化したわけではないから今まで通りに対応しろと。毎年普通のインフルエンザで何万人も死んでいるんですよ、そこを隠すからおかしな騒ぎになるんです。しかも今回の例は人工透析している、過去に心筋梗塞の既往のある、よく新聞やらTVで但し書きされているハイリスク群そのものの例です、つまり予想通りの結果ではあるのです。普通。極々普通の感染様式なのです。小児のインフルエンザ脳症が頻発し始めたとか、余病のない若い世代が死に始めたなんて事態なら大変ですが。季節はずれの、真夏のインフルエンザにご用心。これで十分です(今のところは)。
 ボブディランが危ないところ(治安の悪いところ)歩いていたら、20歳代の若い警官に職務質問されたんだそうです。誰だ?ボブディランだ。誰?身分証明書出せ。って話だったそうです。先の黒人の大学教授の自宅へすら入れなかった事件(オバマさんが官邸に呼んで警察と仲直りさせた事件)と重なって面白いことです。ボブディランの方はその後お咎めなしにちゃんとコンサート会場へたどり着けたそうで、新聞は彼ほどのスーパースターでも若い年代には知らぬ者も多いのだという嘆息で括っていますが、こんなものなんでしょうね。レコードジャケットやグラビアで覚えているスターの顔はきっと全盛期のものが多いでしょう、つまり若々しい頃の顔。60超えて70近くなった顔と一致しなくても無理のないことです。とは、ボブディランを知っているであろうという前提での話です。全く知らない人たちも居るわけですから。あのボブディランを知らぬか?なんて表現しますが、全盛期でも興味のない人は何も知りませんから。知ろうとしませんからね。人が知らなくても別段に驚くことではない、あなたが知っているだけの事なのだから。そうですね。
 毎日新聞のコラムが孤独死のこと書いてます。東海地震で本に押しつぶされて死んだ人、大原麗子の例を引き合いに出して、一人で死ねば即孤独死と括って哀れがるのはいかがなものか、という論調です。賛成です。世の中に蔓延しているレッテル貼り、弱者救済という名の大差別、博愛という名の蔑み、挙句に非難する先は必ず社会構造、福祉行政、国です。何の進歩ももたらさない、非難のための非難。大声出すだけ。こっち方向へはコラムは言及していない(毎日新聞とすればあまり進めない方向です)のです、孤独死だからといって一律に哀れみ悼む必要もなかろうと言ってるだけです。人の生き方がさまざまであれば(毎日さん達の勢力はさまざまでなければならぬのですが)死に方もさまざまである筈です。単純なことです。ピンピンコロリなんて面白がって大言している年寄りさんに限って死にたくない人が多いのですが、人に迷惑かけずに死にたいなんて言う人は本当に多い、でもその実要求がとても多いのも確かです。一人で死んで行きたい。この思いが、叶えられぬ希望のうちで上位に来るものです。宝くじに当たりたい、大金を拾いたいなんて願いと同じレベルの非実現さです。倒れたら誰かが見つけて救急車です。厄介者扱いされながら生きるばかりです。家で?誰が看るんです?家族に看取られて病院で。これがお望みならそれでいいのですが、今時一人暮らししていなければ一人で死ぬなんてはできません。好きな本に押しつぶされての往生なら幸せじゃないでしょうか。病勢強かったのかどうかは知りませんが大原さんにしても覚悟しての伏臥だったのでしょう、それでいいじゃないですか。この世界で生きてきた人です、人から受ける毀誉褒貶で生きてきた人です、こういう事態になればこうなるだろう(昔をほじくられてあれこれ言われる)とは十分に想定しての最期だったに違いないでしょう。哀れねとか独り身の悲しさねとかの評価は当たらないことと思います。象徴的によく例に出されること、子どもの食卓の貧困さを非難するに「やはり母親の手料理に過ぎたるはなし」という安易な結論を振り回してそれでよしとする風潮そのままです。世論の身勝手さ。他人事とわかれば人は好きなこと言います。自分のやってきたこと、やっていることは全て高い棚の上に押し隠して、正義の味方のコメンテイターです。あなたが家族に囲まれて幸せな最期を迎えられるならそれはそれでいいことなのでしょうが、それを他人に押し付けなさんなということですね。他人に迷惑かけない且つそのことによって当事者の身に傷害の及ばないことなら放っておく。したり顔で他人の暮らしに手を突っ込みなさんな、です。隔靴掻痒感を拭えないのですが、今朝の毎日コラムには賛成です。ご一読を。
 
コメント
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