柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

特典

2009-08-24 07:58:42 | Weblog
昨日の甲子園は久しぶりに泣かせましたね。悲運の好投手、怪我に散る。あれだけ相手に打たれれば(もちろん絶対のエースが投げないわ、相手は名だたる強力打線だわでは見えていた結果ですが)かえってさばさばもするのでしょうが、でもそれも外野の勝手な推量で、花巻の選手は皆泣きじゃくってましたね。昨日は実況アナ(NHK)も上手でした、試合終了のコールと同時にこらえていたものが溢れ出ます菊池投手、なんて名調子。私はここ何年か前からすっかり涙腺が弱くなっていますのでもうダメです。画面が霞んで困りました。彼が登場した場面はしびれましたね。彼はとても投げられる状態じゃなくて、それは自分が一番わかっていて、それでもあのピンチに彼しかいなくて、監督も体の事考えるに迷ったでしょうが、ここまでチーム引っ張ってきた奴に最後投げさせぬわけにはいかなかったんでしょう。と、あれこれ見ているものに思わせるところ、彼が役者だったということです。監督がブルペンで投げている彼に指示する、行け!と指差す、彼がマウンドに走る、万雷の拍手。ブルペンではキャッチボールの体もなしていないような投げ方だったのに、マウンドではびゅんびゅん来る。解説者が終了後の彼の涙姿を評して、菊池君は責任感が強い子なんでしょう、この最後の場面にマウンドにいられなかった口惜しさと申し訳なさに涙しているのでしょうと言ってました。今朝の新聞に、菊池は選手としては飛びぬけた才能を持っているが人間としての才能も高いとの監督のコメントがありました。誰が見ても彼の力でのしてきたチームでしょう、ワンマンチームなんでしょう。でも、彼のベンチでの態度仕草見ていると、先頭に立って声出しているように見えましたし出ている選手を迎える姿も守備が始まる前のベンチ要員のお決まりの動作も他の補欠連中と全く同じように率先してやっている、これは偉いもんじゃなと私もそう見てました。チームの花形が、全国レベルに注目されている選手が、なかなかできぬことじゃないんですかね。昔のドカベン香川やそこのピッチャー(名前また忘れました)、報徳の金村やらPLの清原、近いところでは大阪桐蔭の中田なんかのやんちゃ(つまり横着横柄)ぶりとの対極です。田舎の子の純朴さなんて括りは違うことでしょう。今時そんな地域差は一般論になりません。彼の資質です。もう一つあるとするなら親のしつけ、監督の教育。こういう「好ましい例」を見るときにこそ教育の大切さを知るわけです。高野連を褒めるのではありません、親を、この監督を褒めるのです。ううむ、それにしても昨日の試合は久しぶりに泣かせました。甲子園のあの大きな拍手がきっと彼の勲章でしょうね。羨ましいことです。才能のある者にだけ与えられる特典ですから。
コメント
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