柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

皮肉

2009-08-04 08:18:18 | Weblog
しつこいですが、私の好きな話題なのでもう一度お付き合い下さい。古橋広之進さんの語録です。「魚になるまで泳げ」才能のある者が全国からピックアップされてそして日本最高の指導者のもとで最高の環境で練習する。そのエリート達に浴びせる言葉だったそうです。あの大地さんにも北島さんにもかけられた言葉だそうです。この人に言われれば頭を垂れて聞くしかないのでしょうね。新聞には頑固親父を貫いた人なんて評価ですが、さて選手達にとってこの爺さんは雲の上の人で口も聞けぬような存在だったのか、それとももっと近くにいた人だったのか、その違いも大きいとは思いますが、しかし実際に自分でやってきたことを元にした、そしてそうやって結果を出してきた人の言葉は重いでしょう。記憶は美しくなるばかり、面白くなるばかり、都合よくなるばかりなのですが、三十数度の世界記録更新の事実が色褪せるはずもありません。そんな人にガツンと言われたら効くんでしょうね。「ただ泳ぐだけなら魚の方が速い」この人は社会人としての成熟とスポーツとの両立にうるさかったそうです。いわゆる文武両道です。高校野球の指導者が安易に口にしがちな人間形成第一主義ですが、勉強しない水泳バカにはこう言い放ったそうです。これも効いたでしょうね。いつかのオリンピックで競泳陣全く結果を出せずに惨敗を喫した際に選手が「楽しんで泳げた」なんてコメントを出したことに激怒して、やる気のない奴は足手まといだと斬って捨てたという話。そうですね、これは私のような外野も思うことです。結果はともあれ、リラックスして楽しんで来たいなんて与太言う奴が増えてます、というかこういうコメントしないと格好悪いみたいになってます。日の丸は重いですけど、なんて前置きしてのことが多いです。楽しんでくるような奴に出てもらいたくない。そんな意気地のないことなら代表なんかになるな。あの手の与太コメント聞くたびにそう思います。古いところで恐縮ですが東京オリンピックの後の円谷選手みたいに自殺するくらいの重圧があんた達には感じられないのか?いや感じるから逃げるんですかね。じゃぁどうして逃げる?そういう話になります。それこそ国費でスポーツばかりして、海外にもただで行って。何ーにを胡坐かいてふんぞり返ってる?ハングリー精神なんてのはいまや死語でしょう。それに替わるべきは義務感使命感、俺がやらねば!という心意気。日の丸ってのはそういうことじゃないんでしょうかね。そういう意味では本当のオリンピックで日の丸挙げられなかった事実に一番足をとられていた古橋さんの言葉は重いんじゃないんでしょうかね。彼にとっては不幸、悲劇ではなくて、不名誉、慙愧であったのではないのでしょうか。世の評価がそうでなければないほど、メダルのないことが響くという皮肉。事を成し遂げた人の言葉はやはり沁みます。そういう人に私はなりたい。そう思います。
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