柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

思い込み

2008-05-07 08:42:28 | Weblog
玉三郎が京劇(昆劇というのだそうです、この違いわかりません)に挑戦、なんて報道です。いつものおやまでなく、あの派手な化粧の、チャラチャラ飾り満載の、胡弓と鉦太鼓をバックに踊るあれです。それでも女真似は万国共通と見えます、流し目やらシナの作り方やらはいつもの仕草ですが大喝采のようです。向こう(京劇)では女は女ですよね、違いましたか。男が女を演じる無理を楽しんでいるという、いわば異様倒錯した世界ですが、人は玉三郎に女を見て楽しんでいるのでしょうか、単に上手な女真似を愛でているのでしょうか。どちらでもいいことなんでしょうが、あの強烈な流し目を見るに、あんな仕草は隣のおばちゃんでもできることなんだろうに(もちろん我が女房様にも)と思うとそれがどうしたのよって気分になる、天の邪鬼でした。芸事とは無駄を愛で楽しむことなのだ。そういうことなんでしょうね。
 日高敏隆という動物行動学者をご存知でしょうか。週刊誌とか雑誌に結構エッセイ書いている人、もちろん著作も多い人です。同じ分野に女学者がいますね、なんとか久美子(最近本当に人の名前が出てきません、危ないかなと思っています)って人、この人の方が有名かも知れません、雄の鳥は尾羽の長くきれいでシンメトリッなものが子孫を残していくなんてことを言ってる人ですそういう学問です、その人のお師匠さんと思います。この人が新聞に特集されてました。この人の属する学問の世界ではこうなるそうです、少子化に対しては、天動説やら死後の世界で象徴されるように人間は物事に変な話の筋をつけ、それを信じ込む動物。出産だけでなく自己表現をしようなどと勝手な理屈を作り、縛られていると。格差社会については、利己的な遺伝子を人は持つ、だから仕方のないことだと。動物は種の繁栄のためではなく、自己の遺伝子のコピーを増やすため利己的に振る舞うのだという説、動物や人間を「遺伝子の乗り物」としか見ない考え方に乗っての話です。種の繁栄のために生き物は淘汰されて進化してきたというダーウィンの説は廃れて今はこういういわば身も蓋もない説が科学的に解明された真実なんだそうです。遺伝子の乗り物、というのを言い換えれば、生殖細胞を保持するためにこの体があり頭脳がある、例えば男の一生は受精(授精というべきなのか、奉精、捧精と書くべきか)こそが目的であり、次の個体に自分の遺伝子を保全するためにあるもの、それ以外は付け足し、余分という考え方です。それが科学で解明された真実だそうです。そういう前提でモノを言うならまぁこういう捉え方になりましょうか。格差社会は仕方のないことだそうです。遺伝子まで話を持っていくと(遺伝子から人を眺めると)、全ては決まっていることだとなります。つまりは神の思し召しのままにとなります。宗教的諦観に繋がります、というよりその強要になりますか。私は運命論者だとこの欄に書きました。人生は必然の積み重ねだと思っていると書きました。でも、さすがにこんな身も蓋もない諦めでもないのです。もっと余裕のある、ふくらみの残った諦めなのです。学者の悪い癖で、学説こそが人生の真実だって思い込むんです。人間は・・する動物だって決めつける。こういう断定に人は弱い(それが適当なものであればあるだけ信じます、都合いいですからね)のです。人も動物だって言われると人は安心するんでしょう、ああそうなんだ俺も犬猫と同じ動物に違いないんだ、だからもっと楽に生きればいいんだなんてね。違うぞ!って。誰でもいいから人を殺したかったなんて言うおかしな奴らを指して、遺伝子のコピーを増やすという観点から見ておかしい、んだそうです。そうですかね。自分しかいなくなれば自分の遺伝子が残る確率は高くなりますわね。他の男を全部殺せば、ね。誰でもいいというのが引っかかるんでしょうか。女殺したら遺伝子残りませんからね。ライオンの雄の有名な行動、出産間もないメスを手に入れようとしたら産んだ子を全部殺すんだそうですね、その理由に利己的な遺伝子なんて概念を持ってきて説明しているだけです。ライオンに聞いたのか?いえ、おちょくっているのではなくて本当にそう思います。先の雄の鳥の尾羽の形の話にしても、それは人が勝手に作ったストーリーでしょう?これが一番確からしいってだけです。何の確証もありません。雌の鳥に聞いたんですか、あの雄鳥が格好いいと思うの?って。勝手な解釈に過ぎぬでしょう?それに科学の衣を着せてまるで古来からの真実なのだと言い騙る。私はこの手の学者の思い上がりには注意するべきだといつも思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする