ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ボジョレー・ヌーヴォーどれを選ぶか?

2021-11-19 17:36:27 | ワイン&酒

昨日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日でしたので、2021年の作柄情報などをお伝えしました。

4月の深刻な霜、低温続きの2カ月、7月の低温と雨と、気象条件には恵まれず、8月後半からの好天で盛り返したものの、実際に口にするまでは不安でした。

そこで、解禁日の昨日、届いたボジョレー・ヌーヴォーを開けて飲んでみました。

 

アルベール・ビショー ボジョレー・ヌーヴォー 2021

 

ブルゴーニュの名門「アルベール・ビショー社」のヌーヴォーです。

「明るい色調、美しいアロマの凝縮感が感じられ、ボージョレ・ヌーヴォーらしいスタイルでありながら、よりフレッシュさとエレガンスが増すワインに仕上がりました」ということですが…

 

口にすると、予想していたよりも色濃く、果実味がしっかりしていて、ヌーヴォーらしいイキイキとしたフレッシュ感とみずみずしさが心地よいワインでした。

難しい年でも、きっちり仕上げてくるのはさすがです。

 

 

生ハムをつまみに晩酌で楽しみました。

ボジョレー・ヌーヴォーを飲む時、生ハムやチーズを並べるだけでも、ウキウキします

※輸入元:メルシャン

 

 

さて、本日は、どのボジョレー・ヌーヴォーを選ぶか? という悩ましい話題もお届けしましょう。

 

どれがオススメですか?と訊かれますが、その人の好み、思い入れもありますからね。

 

1)予算優先?

2)生産者で選ぶ?

3)付加価値で選ぶ?

 

1)予算優先の場合、出来るだけ安く!1000円以内で、いくら高くてもOK!と、それぞれが求める価格ゾーンをまず決めるといいと思います。

以前は、最安値を競う時代もありましたが、今は違いますよね。

スーパーでは1000円以内のボジョレー・ヌーヴォーもありますので(ペットボトル入りが多いかも)、とりあえず飲んでみたい、何種類か飲みたいから安めで、という人は、低め価格のものから選んでいくといいでしょうか。

 

2)生産者で選ぶ場合、誰もが知るメジャー生産者が安心という人もいるでしょうし、この人と決めた生産者を毎年ずっと買い続ける人もいるでしょう。

私のオススメは後者。色々飲んで、気に入った生産者に出会えたら、毎年それを選ぶのは楽しいものです。

私の友人、知人関係ではそういう人が多いですし、輸入元に聞いても、生産者にファンが付いている、と言います。

 

有名どころは、ボジョレーの帝王といわれる「ジョルジュ・デュブッフ」

 

日本で輸入されているボジョレー・ヌーヴォーNO.1の量を誇っている生産者です。

ボジョレー・ヌーヴォー以外でも色々なワインが日本に輸入されていますので、ヌーヴォーを扱う店のほとんどで目にすると思います。

 

昨日出かけたスーパーで見たジョルジュ・デュブッフのヌーヴォーで驚いたのが「オレンジ・ヌーヴォー」なるワインがあったこと!

 

右が「ジョルジュ・デュブッフ オレンジ・ヌーヴォー2021」

 

南仏産ワインで、格付けは単にヴァン・ド・フランス。

使用ブドウは白ブドウのグルナッシュ・ブランとミュスカ。果皮や種子を果汁と共に発酵させているので、オレンジ色のワインになっています。

ボジョレー産ではないので、ボジョレー・ヌーヴォーではありませんが、変化球として楽しむのもアリかしら?

※輸入元:サントリー

 

 

オレンジワインは近年の流行からでしょうが、オレンジがあるなら「ピンク」もあります。

 

 

アルベール・ビショー社のヌーヴォーで、左がベーシックなヌーヴォー、

右のロゼ色のワインが「ボジョレー・ヌーヴォー Pink 2021」

ボジョレー産のガメイ100%で造られた、正真正銘のボジョレー・ヌーヴォーです。

このピンクヌーヴォーは色も味もキュートで、色々なフードに合わせやすいので、私のお気に入りのひとつです。

 

栓がスクリューキャップで、デザインもかわいいのがまたいいですよね

 

アルベール・ビショーのボジョレー・ヌーヴォー特設サイトでは、フランスからのリポート動画などが公開されていて、現地に行った気分にさせてくれるのでオススメです。

https://www.kirin.co.jp/alcohol/wine/nouveau/movie.html

 

3)付加価値、これは人によって違ってくるでしょうか。

上で紹介したオレンジ・ヌーヴォーやピンク・ヌーヴォーも特別なヌーヴォーですよね。

 

とにかく美しいラベル必須!という人もいるでしょう。

オーガニックやサステーナブルの認証を取得しているものがいいという人、

評価ポイントが高い生産者のワインがいい人、ストーリー性のあるワインがいい人、

ノンフィルターワインが好きな人、古木から造られたワインが気になる人、

気になるポイントが合うワインが見つかれば、それが相思相愛ワインかと(笑)

 

 

え?こんなこともしているの?! と驚いたのが、「ラブレ・ロワ社」のヌーヴォー。

驚いた理由は、フランスのラブレ・ロワ社と、日本の輸入元であるサッポロビールが共同ブレンドのボジョレー・ヌーヴォーをオンラインで造り上げたからです。

 

2社の共同ブレンドは2019年から行なっており、サッポロワインの醸造家が渡仏し、現地で共同で造り上げたコラボレーションヌーヴォーが2019年に発売されています。

しかし、2020年はコロナ禍ということで、コラボレーションヌーヴォーが製造できませんでした。

 

2021年は…と考えたのが、初のオンラインブレンドヌーヴォーでした。

畑やぶどうや発酵の状態により、香味が異なるロットのワイン(原酒)を混ぜ合わせ、より品質の高いワインやお客様に合わせたワインをつくることが目的です。

まず、発酵が終わったばかりのワインの原酒をフランスから日本に空輸します。

ブレンド当日、双方が事前にテイスティングし、原酒(複数)の特徴を掴むんだ後、双方からブレンド比率の提案を行ない、お互いに試し、最善のブレンド比率を探り合いました。

 

ラブレ・ロワ社の担当は、チーフワインメーカーのブリジット・プッツ氏(フランス)

 

サッポロワインからはグランポレールのワインメーカーを務める久野靖子氏(日本)

 

2021年10月18日に実施し、 所要時間約2時間をかけて、オンラインでブレンド比率を検討しました。

その結果できあがったのが、こちら。

 

ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー2021 by ラブレ・ロワ&久野靖子

 

「渋味は柔らかく、フルーティさがあります。とてもエレガントなワインで、素晴らしい複雑性と将来性を感じさせる良い酸をあわせもっています」とブリジット氏。

 

「口中では様々な要素があり、密度の高いしっかりとした味わいを感じられます。焼鳥、チャーシューや北京ダック、スパイシーな料理におすすめ」と久野氏。

 

同じように二人がオンラインブレンドした白ワイン「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー by ラブレ・ロワ&久野靖子」もあります。

どちらも興味惹かれます。

※輸入元:サッポロビール

 

 

フランスと日本をつないでのオンラインブレンドには驚きましたが、コロナのご時世ですから、色々なアイディアから生まれたボジョレー・ヌーヴォーが他にもあるかもしれませんね。

 

昨年に続き今年も、以前はあった試飲販売はほぼないようで、ワイン売り場で試飲して気に入ったものを買うということができないのが残念です。

でも、せっかくの新酒解禁ですから、気になる情報をチェックして、ぜひお気に入りのヌーヴォーを見つけてください

 

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