ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ボーカステルのシャトーヌフ・デュ・パプ飲み比べ

2012-05-01 16:37:08 | ワイン&酒
贅沢ワインこっそりレポート第3弾は、南仏のシャトーヌフ・デュ・パプをお届けします。

シャトーヌフ・デュ・パプは南ローヌを代表する素晴らしいワインではありますが、目玉が飛び出るほど高価なものではありません。
ところが、“ある生産者のあるワイン”となると話が違ってきます。

それは、シャトー・ド・ボーカステル“オマージュ・ア・ジャック・ペラン” です


Chateau de Beaucastel Chateauneuf-du-Pape Hommage a Jacques Perrin 1990

シャトー・ド・ボーカステルは、シャトーヌフ・デュ・パプの中で成功している生産者の筆頭といって間違いないでしょう。
ボーカステルを運営するのはペラン家で、現在の成功をもたらしたのはジャン・ピエールとフランソワのペラン兄弟です。

ペラン兄弟が、1978年に亡くなった彼らの父 ジャック の名をつけて1989年に4,800本だけ瓶詰めしたワインこそ、“オマージュ・ア・ジャック・ペラン” です。



ボーカステルのシャトーヌフ・デュ・パプはAOCで認可されている13種のブドウをすべて使って仕込む ことで知られていますが(厳密には、グルナッシュは黒と白のブドウを使うので14種)。

彼らの通常のシャトーヌフ・デュ・パプはグルナッシュとムールヴェドルを30%ずつ使用し、残りの品種を少量すつブレンドしていきますが、オマージュ・ア・ジャック・ペランに関しては、特別によく出来たムールヴェドルを主体で、少量のグルナッシュ、シラー、クーノワーズをブレンドします。よって、このグランド・キュヴェは、素晴らしい年にしか仕込まれません。

ムールヴェドルの特徴は、豊富なタンニン分と色素の濃さ、芳香、適度な酸味。

よって、今回飲んだオマージュ・ア・ジャック・ペラン1990年も色が非常に濃く黒みがかり、比べて飲んだ通常のシャトーヌフ・デュ・パプ1989年よりも若々しい外観をしていました。

ボディに厚みがあり、複雑味、旨味がありますが、少々の野暮ったさ、重さを感じました。ムールヴェドルらしい重たさです。まだまだ熟成の途中にあり、これから徐々に花開いてくるのでしょう。20年の時を経て、エチケットの状態はボロボロでしたが、中のワインは実にタフで逞しい!
これは完全に長期熟成型のワインです。
彼らによると、「定年まで保存しておくべきワイン」 とか(笑)




Chateau de Beaucastel Chateauneuf-du-Pape 1989

1989年のシャトーヌフ・デュ・パプとオーマジュ1990年の飲み比べをしました。
こちらは色が淡く、透明感があります。果実味が甘く軽やかで、うまみたっぷり。ピノ・ノワール的なデリケートさがあり、今飲むなら確実にこちらがおいしくいただけます。

同じ造り手のシャトーヌフ・デュ・パプでありながら、オマージュ・ア・ジャック・ペランとはスタイルがまったく違い、飲んだ印象も違うのは面白いですね。これも贅沢な飲み比べでした



白ワイン好きとしては、ルーサンヌ主体+グルナッシュ・ブランで仕込む白ワイン Chateau de Beaucastel Chateauneuf-du-Pape Blanc樹齢の高いルーサンヌ100%で仕込む Chateau de Beaucastel Chateauneuf-du-Pape Blanc Vieille Vigne (1986年より生産)も飲みたいですし、幻の “インポッシブル・ドゥ・ボーカステル” (ルーサンヌの甘口、非売品)もいつか現地で!と願っています(笑)


コメント (2)
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