鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

高級ブランド品信仰に警鐘鳴らした塩野七生

2008-01-10 | Weblog
作家の塩野七生が文芸春秋2月号のコラムでイタリアのブランド品制作の裏側を報じたテレビドキュメンタリー番組の紹介をして、「ブランド品には御注意を」と呼びかけている。東京・銀座に世界のブランドショップが勢揃いして日本にブランドブームが起きているが、行って見る度に価格が一ケタ高いのに驚く。塩野七生はそのからくりを暴き、イタリア製といっても実は中国製といってもいいくらいだ、という。それでも日本のブランドブームが醒めるとは思わないが、警鐘を鳴らしたのは事実である。
 塩野七生が紹介するイタリアのドキュメンタリー番組は「レポート」と題したもので、最近イタリアのファッション・モード業界を取り上げて、日本でも知られているいくつかのブランド品の工程の70%を中国から輸入したもので賄い、残り30%をイタリア国内で生産している、という。しかもイタリア国内の生産に携わる職人も不法滞在の中国人によるものだ、という。イタリア政府は製品の30%が国内で作られればイタリア製と認める、という。
 番組はこうした事実の確認をプラダ、ドルチェ&ガッパーナの代表にインタビューを申し込んだが拒否された、とも報じ、番組で取り上げた製品が実際に店頭でいかに高い価格で販売されているか、を暴きたてる。
 もっとも塩野七生は番組で取り上げたプラダやドルチェ&ガッパーナはジョルジョ・アルマーニやタニーノ・クリッシなどより断じて安く、流行に敏感な若者向きで、造りも雑で壊れやすい、としており、裏側を知っていることにこしたことはない、と逃げをうっている。
 塩野七生は15年にわたって書き綴った「ローマ人の物語」15巻を書き終え、
一年前は一躍、時の人的に取り上げられていた。文芸春秋には6年くらい前から「日本人へ」として2ページのコラムを毎号書いていて、明快な論旨の展開には定評がある。ローマに住んで、外から見た日本を辛口で批判しているのが小気味いい感じであった。今回もそれに沿ったものではあるが、もうひとつ踏み込みが足らず、いつもの冴えが見られないのが残念である。
 それでもブランド信仰に一石を投じたのは事実で、日本でもいま食品の産地、消費期限など偽装に対する監視の目が厳しくなっているが、そのうちにファッション、ブランドなどその他の製品に対しても表示に偽りがないか、との吟味が始まることだろう。それに価格が飛びぬけて高いものがあり、いずれそこにメスが入れられることも起きてくることだろう。
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