鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

現代美術の「ゴス展」企画に拍手

2008-01-15 | Weblog
 14日は横浜・桜木町の横浜美術館で開催されている現代美術展「ゴス展」を見に行った。前日にNHK教育テレビの日曜美術館で紹介していたのを見て、なにやら面白そうな感じがしたので、出かけてみた。ゴスとは本来、中世ヨーロッパの芸術様式をさす言葉のゴシックからきている言葉で、スタイルを超えてある種の生き方を示す用語ともなっている、という。世界の6組のアーチストによる現代表現というか、パフォーマンスで、こうした活動に場を与えた横浜美術館に拍手を送りたい。
 横浜美術館の2階の展示室のほぼ半分を使ってリッキー・スワローらアーチストが作品を自由気儘に展開している。ある部屋は360度に展開した2つの隣り合わせのスクリーンに映像が映っており、一方は老女が絵筆を持って白いキャンバスに絵ともデザインともつかぬものを書きなぐっている。もう一方は手前に赤ちゃんの寝転ぶ映像が映り、スクリーンには牛の映像が映っている。
 隣の部屋では「束芋」と題して、天井から吊り下げられた360度のスクリーンの内側にたくさんの手がうごめいて動画が延々と映写されている。さらには壁いっぱいに現代の若者の生態を正面から撮影した写真が並べてあり、その前に白いウエディングドレスを着た花嫁の立体像が置かれてある。ただし、その花嫁には首がないし、その横に「毎日作者が作品に手を入れに来る」ようなことが書いた表示がある。
 さらにはいまにも倒れそうな骸骨が椅子に座っているのやら、しゃれこうべ(髑髏)の頭の部分から植物の芽が出ているもの、単に寝袋らしきものが並べてあるものなどなど、これが美術と首をかしげるような作品が展示されている。
 それぞれが意表をつくようなものばかりで、「へえー」といった感想しか出て来ない。なかには意味が全くわからないものもあるが、見ていてこれが作者が感じる芸術なのか、と考えることが楽しい。見ていて、頭の中をゴツンゴツンと殴られているような気もしてくるから不思議だ。この手の美術展は大方の理解を得られないのか、館内が閑散としていて、ゆっくり観られるのもまたいい。
 前にカルティエの現代美術展を見たことがあるが、それに近い感じである。このゴス展はどこかで開催していたのを横浜美術館にそのまま持ってきたのか、横浜美術館の学芸員が6組のアーチストを選定して企画したのか、わからないが、採算を考えずに実施したことにエールを送りたい。
 帰りに常設のオリジナル展を観て、一面ホッとしたのも事実であるが、今後、50年、100年したらいまもてはやされているようなフランス印象派の絵などより、こうした現代美術が主流となっているかも知れず、横浜美術館のような試みは欠かせないことだ、と思った。
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