鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

振り込め詐欺は家族崩壊の隙間を衝いた犯罪

2009-02-08 | Weblog
 振り込め詐欺の増勢が止まらない。警察の防止策をあざ笑うような新しい詐欺手法が次から次へと編み出され、頭脳合戦の様相すら呈している。7日も神奈川県警が被害者に騙されたふりをして、集金の場へ行かせ、待ち伏せた警察員がやってきた資金回収人をひっ捕らえたとして、犯人4人を検挙した、とテレビ報道していたが、いずれも5万円もらって資金回収に来ただけのアルバイトで、組織犯罪の一団を逮捕するには至らないようで、大規模な犯罪集団の獏滅にはつながしそうもない。
 振り込め詐欺が出現したのは5年から10年くらい前からで、新聞紙上などで目にして、会社のなかで話題にしたところ、半分くらいの家にそうした電話がかかってきていることを聞いて驚いたことがある。被害者は大抵は孤独な老人世帯で、長く実家を離れている子息子女がいる。最初はご機嫌伺いの話をしながら、同情を誘い、身内であることを確認させたうえで、次第に「車をぶつけて修理代が要る」とか、「友達の借金の保証人になって、急に返済しまくてはならない」とか、「車でぶつけた相手が妊娠中で切迫入院して手術代が要る」などの話をして、直ちに振り込みしてくれなないと急場をしのげない、と訴える。相手に冷静に考える暇を与えないところが人間心理をうまくついている。
 最近は払った税金が還付されるとか、ネットの閲覧にからんだ支払いとか、いかにも流行りの言葉なり、状況を織り込んだ内容にして、リアル感をもたせたものになってきている、というから騙す方もあの手この手を駆使している。
 考えてみれば、こうした振り込め詐欺は日本の家族が崩壊しかかっている現状と子息子女のためにはお金を払うことを厭わない、という親の愛情を側面からついた犯罪で、日本しかない犯罪なのだ、と思う、欧米はじめ海外でこの種の犯罪があるとはあまり聞いたことがないし、特に欧米では一旦独立して出ていった子息子女に親がまとまったお金を用立てることはまずないことだろう。
 それと日本の高齢者は総体としては全部合わせれば1500兆円もの資産を持っていて、支払い能力があることもこうした犯罪を成り立たせる土壌となっているのだろう。そのうちの多くが、子息子女が出て行って、しばらく音信不通となっているか、何をしているかわからない状況となっているのだろう。
 自分の身内の電話の声が判別つかないほどになっているのが理解できないことだし、電話の途中で本人確認をするようなやりとりがなぜ出来ないのか、犯人側の騙しへのシナリオがよほどうまく出来ているのだろう。
 振り込み詐欺への対策は家族崩壊の隙間を埋めるべく頻繁に連絡をしあい、定期的に顔を出すような仕組みをつくり、騙しのシナリオに乗らないようにすることしかなさそうだ。

追記 その後2月はじめの週のテレビを見ていたら、中国で振り込め詐欺が起き、お金の回収に現れた大学生9人が逮捕された、と報道していた。中国は一人っ子政策で、大家族のなかで子供は一人しかいなくて、子供がとても大事にされる、ということだから、子供にお金をかける風習があるのだろう。だから、振り込め詐欺の生まれる土壌がるのかもしれない、と思った。
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