鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

いかにも公的な色彩を装った「日経テスト」なるものは日経の勇み足?

2010-04-08 | Weblog
 日本経済新聞社が推進している「日経テスト」なるものが気になっている。7日付けの朝刊にも1面全面を使って、「ビジネス力の定期検診」と題して6月13日と10月3日にテストを実施するとの自社広告を大々的に掲載している。いまはやりのご当地検定の一種ととれなくもないが、どうもひっかかる。ビジネスマンにとって経済知識を勉強するのは必要なことであり、それを支援するためのセミナーや教材発行まではいいとして、それをテストして公式認定証なるものを発行する、となると一企業の枠を超えているような気がしてならないのだ。
 「日経テスト」は経済・ビジネスの基礎、金融・証券、産業動向、企業経営、消費・流通、法務・社会、国際経済などの分野にわたって四者択一方式で100の問題を解くことで、満点1000点のスコアで成績が表示される。東京、大阪など全国8カ所で、実施され、60、もしくは70以上の正解であれば認定証が発行される仕組みであろう。日経の新聞紙面をくまなく読んでいれば、自ずと知識はついてくるであろうから、新聞の拡張を図る新たな戦略とみれなくもないが、いかにも公的なものであるように装っているのが気になる。
 どういう経緯で「日経テスト」がスタートすることになったのか、詳細はうかがってないが、セミナーの延長でビジネスマンの経済知識を得るのに手助けになれば、ということで始まったのだろう。履歴書に日経テストの点数を書いて、英語のTOEICのスコアと同じようなことにでもなればいい、とでも考えられたのだろう。
 日本経済新聞は経済に重きを置いた新聞で、経済に関する分野を取材して、記事にすることは業として当然のこととして理解できるが、取材して得たものを加工して、テストし、その結果次第でいかにも公的な資格を与えるようなことをすることまでするのはいかがなものか、と思われる。これまで経済の関する情報を読者に提供し、購読していただいてきたのが、今度は読者に対して「日経テスト」なるものでどのくらい知識を得たのか、試験をしてやる、という高姿勢で臨むことになる。
 主催にシンクタンクの日本経済研究センターの名前を連ねているが、これも民間企業で実質的には日経と変わりはない。日経という名称が日本経済の略で、ほぼ経済と同義語であるので、余計に公的なイメージを与える感じがするものの、あくまでも一民間企業に過ぎない。
 もし、「日経テスト」を正式に公的なものにするのなら、経済産業省の後援なり、協力名義を取り付けるか、公的な機関と共催するようなことにでもすれば、ねらい通りのものとなっただろう。もしくは日経本体で運営するのではなく、他の公的機関の協力のもとに第3セクターを設立して、そこで行うようなことにすればいいのかもしれない。
 日本経済新聞社は09年決算で132億円もの損失を計上し、戦後初の赤字決算となったが、この背景には一昨年来の広告不況に加えて、「日経テスト」を実施することで、そこまでするのは行き過ぎと感じた読者が離れていってしまっている、いわゆる読者離れ現象が起きているような気がしてならない。
 「日経テスト」は完全に日経の勇み足ということではなかろうか。
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