鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

一瞬「題名のない音楽会」がサッカーの会場と化した

2010-04-01 | Weblog
 31日は東京・初台の東京オペラシティコンサートホールでの「題名のない音楽会」の公開番組収録に行った。前半は「刑事音楽を捜査せよ!」と題してのテレビの刑事番組のテーマ曲を特集した。テレビ朝日の放映する「相棒」のテーマ音楽から始まって、「古畑荏三郎」、「太陽にほえろ!」、「スパイ大作戦」、「西部警察」などのテーマ曲が演奏された。「太陽にほえろ!」ではタレントの柳沢慎吾がトレンチコートを着た刑事に扮して一人芝居を演じ、会場の喝采を浴びていた。
 聞けば、柳沢慎吾と司会で指揮者の佐渡裕とは同い年だそうで、柳沢慎吾はもうひとつの持ち芸である高校野球中継のパフォーマンスを強引に披露し、まるでお笑い番組ではないか、と錯覚を起こさせるような感があった。最初から最後まで音楽に関する話とならず、わずかに佐渡裕が犯人を追う刑事を主題にした音楽と、逃げる犯人をテーマにした音楽の違いを解説してくれた程度で、いつもなら1時間程度になるのに40分で終了してしまった。
 休憩をはさんだ後半は6月11日から始まるサッカーワールドカップに合わせて「サッカーを100倍楽しむ!応援音楽フシギ解剖」と題してサッカーの応援曲「FIFA ANTHEM」から始まった。演奏中にサッカーのユニフォームを着た応援団と称する若い男女15人程度の一団が登場し、旗を振って応援歌を合唱し、いきなり会場をサッカーの応援団の雰囲気にさせてくれた。
 ゲストの俳優、川平慈英が持ち前のハイテンションな話しぶりで嫌がうえにもサッカームードを盛り上げてくれ、会場はいまにも日本ーオランダ戦が始まるような雰囲気となってきた。佐渡裕の提案で応援歌のエンターティナーを最初は「ア」だけで、後半は「オ」だけで歌い、「オー」という発音がいかに志気を盛り上げるか、を認識させてくれた。
 そのあとはサッカーの応援歌にいろいろな曲が使われているとして、ヴェルディの「アイーダ」の凱旋行進曲が演奏され、この日初めて「題名のない音楽会」らしい感じとなった。いつも聴いていた曲がこんなに素晴らしい曲だったのか、と思われ、軽い曲ばかり聞いていて、クラシックな曲を聴くと改めてその良さを実感させてくれた。15年くらい前にドイツのハノーバーへ出張した際にオペラ劇場で「アイーダ」を公演しているのを知り、チケット売り場で当日券を買い求め、初めてオペラなるものを観賞したのはいいが、疲れから幕が上がると同時に眠りこけてしまい、要所要所で目を覚ましたものの、凱旋シーンをうっすらと見た程度の記憶しかなく、残念な思いをしたことを思い出した。
 「題名のない音楽会」はこの後、サッカーの試合前に双方の国歌を独唱することになっており、君が代はともかく、相手国の国歌を歌える人がいないことに話が及び、オランダ国歌の「ウイルヘルムス」をテノール歌手の中鉢聡が熱唱した。中鉢聡はこれまで15回サッカーの試合前に相手国国歌を独唱してきたが、これまで日本チームはいずれも勝つか、引き分けてきた、と前置きして歌ったのが面白かった。
 そして、最後に坂本龍一作曲の「日本サッカーの歌」なる曲を演奏した。佐渡裕が名曲であると解説していたが、事実いい曲だった。もちろん、初めて聴いたのだが、サッカーだけでなく、野球その他のスポーツでもこうした曲が演奏されてもいいのにな、と思った。
 収録が終わって、もう一人の司会の女性アナウンサーがこの日収録した番組の放送日などを紹介しているのに、いつもならさっさと楽屋に引っ込んでしまう佐渡裕が律儀に横に立って待っていたのは、この日の演奏をしていたシエナ・ウインド・オーケストラの主席指揮者であることを意識したのか、珍しいことだった。
 ともあれ、、前後半とも肩のこらない気楽に楽しめた「題名のない音楽会」だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする