とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

夢の新素材「セルロースナノファイバー」

2016-01-27 22:12:02 | サイエンス
日本人が開発した優れた技術の一つに、「セルロースナノファイバー(CNF)」という物質がある。最近初めて知ったのだが、これこそ正に夢の新素材である。どんなものかというと、植物の構造の骨格を成している基本物質「セルロース」を化学的、機械的にほぐして再構成した繊維材料である。CNF繊維1本の直径は数ナノ~数十ナノ(1ナノは10億分の1)メートルであるが、鉄の5分の1の軽さで強度は5倍と、炭素繊維と同等近い性能があるという。しかも透明で、熱を加えても膨張しにくく、化粧品などに加えると粘りを出すこともできるそうだ。

このCNFの原料といえば、言わずとしれた日本では身近な「木」という天然資源だ。日本は、四季に恵まれ、夏は高温多湿な風土で樹木がよく育つ。どんな樹木や植物からもCNFの原材料であるセルロースを得ることができる。森林資源の豊富な日本の企業にとっては、原料調達が容易というメリットがあり、CNFが社会で本格的に活用される時代を迎えれば、日本は再生可能な素材の資源大国になるといった夢も描けるという。

ただ、今のところはいくつかの技術的課題があるという。たとえば、樹脂とCNFをなじませることは、水と油を混ぜるようなもので、高度な技術が必要となる。また、製造コストは1キロあたり数千~1万円と、炭素繊維の3000円程度より高い。しかし、量産体制が整えば500円以下に抑えられそうだという。どちらにしても、今後の研究成果によって、高度な技術も量産体制も整っていくはずだ。

CNFをどんなことに利用するかというと、プラスチック材をCNFで強化するということがあげられる。これらを車の部品として使う事によって、車の重量が軽くなり燃費の向上に繋がる。しかも、強度も増すことで安全性も高まる。あるいは透明な性質を利用して、ガラスの代わりに使うことも可能だという。また、透明な紙も作れるということでもある。つまり、炭素繊維の6分の1程度のコストで、車のボディから家電製品まであらゆる工業製品の材料になる可能性を秘めているという訳である。

これだけ聞くと、いかに凄い素材だという事がわかってくるが、何か弱点がないのか気にはなる。現在、政府が掲げた「アベノミクス第三の矢」の中の施策の1つにCNFの研究推進が盛り込まれているということで、今後、いろんな問題点も解決されていくだろう。そして、CNFの普及は、森林資源の有効活用や過疎化の防止に道を開く。まさに、大きな産業革命をもたらすことのできる夢の素材であることは間違いない。今後の研究成果を大いに期待したいものである。

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