とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

本当の「イスラム」を知る

2015-02-13 19:19:50 | 政治
このところ、「イスラム国」と名乗るテロ組織の極悪非道な行動が世界を震撼させ、世界中に恐怖を広げようとしている。先日は、何の罪もない日本人二人が、見せしめとして殺害されてしまった。何ともやるせない出来事で、テロリズムの蔓延が身近なものになってきた気がして、この先世界はどのようになっていくか心配である。そして、イスラムと名の付く施設や人々が、日本やアメリカ、ヨーロッパでは異端のものとして差別や迫害を受けるような風潮も出てきているようだ。

だが、本当の「イスラム」をもっと知っておく必要はある。私も、そこのところはよく理解できてはいなかった。先日読んだ新聞には、本当のイスラム教は、こんなものだという記事が載っていたので紹介したい。

イスラムの語源は、本来アラビア語で『平和』を意味する『サラーム』から派生したものだという。イスラムが大切にするのは正義と平等であり、殺人は厳しく禁止されていて、自ら命を絶つことも許されないそうだ。人質をとって殺害したり、自爆テロを行うなんて、まったくイスラムの教えに反している行為であるのだ。

イスラムといえば中東というイメージが強いが、世界のイスラム教徒約15億人のうち約6割がアジアに住み、アフガニスタン以西の中東は約2割だという。以外に、アジアにはイスラム教徒が多いらしい。アジアは、仏教徒がほとんどと思っていたので、この事実を知らない人がかなり多いのではないかと思う。

また、イスラムの教えとして、火葬は地獄に落ちた者に神が与える罰とされ、人は土から作られ、死後は再び土に返すために土葬以外で葬ることは禁止されているという。IS(イスラム国)に拘束されたヨルダン軍のパイロットは焼殺されたとされるが、火を付けて殺すことは教えから完全に逸脱している事になる。この辺りからも、イスラム国というのが、本来イスラムと名乗る組織とは言えない証かもしれない。多くのイスラム教徒は、ISは狂信的な集団で、私たちと同一視しないでと訴えているという。

それにしても、テロリストが国家というべき巨大な組織を作りあげてしまったという事は、恐るべき事態だ。そんな事になってしまった背景には、米国が2003年に起こしたイラク戦争が遠因にあるという。敗戦で行き場を失った旧フセイン政権下の官僚や軍人がISに参加しているといい、国としての組織づくりが出来る人材が揃っていたのだろう。そして、そこに母国の腐敗した政治に失望したり、欧米社会で差別に苦しむ現実に直面していたりする若者が賛同して集まっていったといわれている。また、パレスチナ地域に1948年に建国されたイスラエルを米国が支持している一方、中東のイスラム各国はパレスチナ自治区を支援し、紛争がやむ気配がないというのも問題をこじらせている要因だ。

そして、嬉しい事に、イスラムの人々は日本を尊敬している人が多いという。何故かというと、日本は原爆を落とされても見事よみがえり、少ない資源を使って経済成長を遂げたという事を知っているからだ。日本は、これからも集団的自衛権の行使といった事よりも、省エネや、環境保護、職業訓練など他の国にはまねできない日本の『資産』を活用し、世界に貢献することをもっと前向きに進めていった方が、日本の存在感を高める効果が大きいと思う。このところ、それとは逆行するような方向に日本の政治が進みそうなのがものすごく危惧される。

日本人は、明治以降、欧米を目標にして近代化を進めた結果、欧米以外の価値観が抜け落ちていて、欧米の偏ったイスラムのイメージが入ってきているという。世界は欧米と日本だけで成り立っていないとまず理解することが大切ではないかと新聞記事は結んでいた。まさにその通りかもしれない。