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とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画『風立ちぬ』

2013-08-04 21:56:06 | 映画


この映画は、0戦設計者の堀越二郎の人生と堀辰雄の「菜穂子」という小説をあわせた内容だという。冒頭から夢と現実が交差する内容でファンタジーなのか、0戦設計者の夢がかなう話なのか、ラブストーリーなのかよくわからないお話だった。正直言って、見終わっても特にどこが良かったのか感想を聞かれても答えようがない。唯一、キュンと来たのはエンディング曲のユーミンの「ひこうき雲」だ。大画面に流れるこの曲を聴きながら映画の余韻に浸っていた。

宮崎駿がこの映画を作った経緯によると、当初雑誌に漫画版を連載していたそうだが、その時は映画化することは全く考えていなかったそうだ。その後、鈴木敏夫が映画化を提案したが、宮崎は本作の内容が子供向けでないことを理由に反対していた。鈴木は戦闘機や戦艦を好む一方で戦争反対を主張する宮崎の矛盾を指摘し「矛盾に対する自分の答えを、宮崎駿はそろそろ出すべき」と述べて映画化を促したという。宮崎は製作意図について「この映画は戦争を糾弾しようというものではない。ゼロ戦の優秀さで日本の若者を鼓舞しようというものでもない。本当は民間機を作りたかったなどとかばう心算もない。自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである」と述べているという(Wikipediaより)。

この経緯を知って、この作品の意図はある程度分かったような気がするが、それでも、何か中途半端で心を打つような内容に思えなかったのが残念だ。やはり今までの宮崎駿の映画とは違いすぎる。ひたすら、美しい飛行機を作ることにしか興味がない主人公と、一台も残らず残骸となった0戦の山を見て虚しさばかりが残った。

堀越二郎の人生と堀辰雄の「菜穂子」が何故一緒の話になってしまったのだろうか。本来これらの話は別々で作ったほうが、ストーリーに入りこめて行けたような気がする。大人向けの作品だというが、大人が見ても評価が大きく割れるのは間違いないだろう。

映画『真夏の方程式』

2013-07-25 23:56:31 | 映画
映画『真夏の方程式』予告編


解説: 東野圭吾の小説が原作のテレビドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版第2弾。とある海辺の町を訪れた物理学者・湯川学が、そこで起きた殺人事件の悲しい真相に直面する姿を、一人の少年との出会いを絡めて描く。テレビ版と前作に続いて福山雅治が主演を努め、子どもが苦手なのにもかかわらず、少年のために事件に挑む湯川を体現する。『妖怪人間ベム』シリーズの杏、ベテラン風吹ジュンら実力派が共演。科学技術と自然の共存という、劇中に盛り込まれたテーマにも着目を。(シネマトゥデイより)

あらすじ: きれいな海に面した玻璃ヶ浦で計画されている、海底鉱物資源の開発。その説明会に招待された物理学者・湯川学(福山雅治)は、緑岩荘という旅館を滞在先に選ぶ。そして、そこで夏休みを過ごす旅館を営む川畑夫婦(前田吟、風吹ジュン)のおい、恭平と知り合う。次の朝、堤防下の岩場で緑岩荘に宿泊していたもう一人の客・塚原の変死体が発見される。図らずも事件に直面した湯川は、旅館廃業を考えていたという川畑夫婦や、夫婦の娘で環境保護活動に奔走する成実(杏)らと塚原の思わぬ因縁を知る。(シネマトゥデイより)


東野圭吾原作とあらば、やっぱり見ておきたい。なかなか土日にいけないので、平日の夜、夕食を早々終えて近くの映画館まで出かけた。今年3月に公開された「プラチナデータ」に続く東野圭吾原作の映画化である。さすが売れっ子作家だけあって映画化される作品も次々と話題作である。

さて、今回の「真夏の方程式」は、福山雅治主演のフジテレビのテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版第2作という位置づけだ。ガリレオシリーズの映画化第1作『容疑者Xの献身』以来5年振りの作品である。原作を事前に読んでいたから、やはり原作との違いがあるとどうしても気になってしまうところだが、主人公・湯川の相棒である刑事が柴咲コウ演じる内海薫から、吉高由里子演じる岸谷美砂へと変更された事以外は、ほぼ原作通りだったといいっていい。個人的には、柴咲コウの続投のほうが良かったのだが、いろんな内輪話によると柴咲コウが続投できなかった深い理由があったらしい。

さて、この作品は単なる推理ドラマで終わっていないところがいい。このガリレオシリーズでは、奇怪な事件を科学的な推理で解決していく内容が多いのだが、今回は湯川が苦手としていた少年との交流が物語の軸になっていることや、湯川自身が最初に事件に遭遇して、積極的に真相究明に乗り出しているのが他の作品と一線を画す。たまたま出会った少年との交流と、その周辺で起こった殺人事件を通して、湯川が気づいてしまった真相が、この作品の核心部分である。

キャッチコピーは「これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは。」となっているのだが、早い時点で湯川は事件の真相がわかってしまったらしい。そして、その真相が公になってしまうことで「ある人物の人生が捻じ曲げられる」ことを防ぐために、警察よりも先に積極的に事件の真相に迫っていく。この結末には、賛否両論があるようだが、親を思う気持ち、子を思う気持ちを真相まで解き明かし、単なる正義感だけで終わらず、それもありだなと共感を与えるところが東野作品のいいところだ。

中でも、湯川の人間味がさりげなく表現されているのが、少年とのふれあいと彼への接し方だ。200mさきの海底の様子を見てみたいという少年のために、ペットボトルロケットとパソコンを使って、何度も実験を繰り返すシーンは、まるで父親が息子のために夏休みの自由研究を手伝っているかのようだ。ペットボトルロケットを飛ばすことで、どうやって海底が見えるのか不思議だったが、中に携帯が入っていてテレビ電話機能を使ってリアルタイムで海底の映像が送られてくるのにはビックリだ。少年が、携帯の映像を見ながら感激しているシーンが印象深い。こんな科学的な発想は、理科系出身の作家である東野圭吾の得意とするところである。

映像的には、真夏というタイトル通り、海岸や魚たちが泳ぐ海のシーンは美しい。静岡県の西伊豆等でロケしたらしいが、西伊豆にこんなにも美しい海岸があったのかと改めてロケ地を見に行きたくなったほどだ。また、「科学技術と環境保護」というテーマを織り交ぜ、科学者の湯川が環境保護活動家との対立を通し、どのような考え方を持っているのかを描いているが、さすが科学者らしい考え方だと感心した。環境保護だと声高にに叫び何でもかんでも反対ではなく、相手の主張にも理解を示し感情だけで行動すべきではないという。環境保護団体のかたくなな反対運動が、映画のワンシーンで一考を要することもあるなと、合理的で公平な見方を原作者から教えられた気がした。

映画『奇跡のリンゴ』

2013-06-27 23:18:43 | 映画


解説: 『ポテチ』の中村義洋がメガホンを取り、『舞妓 Haaaan!!!』の阿部サダヲと『ジーン・ワルツ』の菅野美穂が夫婦を演じた感動作。石川拓治原作のノンフィクションを基に、夢物語だといわれていたリンゴの無農薬栽培を成し遂げた農家の苦難の道のりを映し出す。笹野高史や伊武雅刀、原田美枝子や山崎努らベテラン俳優たちが豪華共演。実話をベースに描かれる、地道な研究から奇跡を成し遂げた家族の波瀾(はらん)万丈の生きざまに感極まる。(シネマトゥデイより)

あらすじ: 1975年、秋則(阿部サダヲ)は青森県弘前市で妻の美栄子(菅野美穂)と共にリンゴを栽培していた。彼は、年に十数回にわたり散布する農薬が原因で皮膚に異常をきたしてしまい、寝込むこともある妻の体を心配して無農薬でリンゴを育てることを心に誓う。だが、農薬を使わないリンゴ栽培はその当時「神の領域」ともいわれ、実現するのは絶対無理だと思われており……。(シネマトゥデイより)


妻が前から見たいと言っていたので、平日だが夕食後に近くの映画館まで見に行ってきた。予告編やテレビ、ラジオの紹介でだいたいの内容は知っていたので、ストーリーについて意外性はない。しかし、結末の予想がついたものの、感動して泣けるという点では見に行ってよかった。

阿部サダヲが主演となると、大げさでコミカルな演技が予想されたが、この映画ではかなり抑えた演技でストーリーに真実味が持てた。また、この手の映画は、脇役陣の演技力に依るところが大きい。オヤジの山崎務の重厚さや子役の3人の娘たちの存在は大きい。りんご栽培がうまくいかなくなって、秋則がもうやめると言い出した時、長女の雛子の言った「やめたら何のために私はこんな貧乏してるの!絶対やだ!」にはグッとくる。まさにこのシーンは、泣かせる場面だ。監督の思惑通り泣けてしまった。

そして、一番光っていたのは妻役の菅野美穂だろう。ツンとしたちょっと生意気な美女というイメージがある菅野美穂だが、この映画では、家族を顧みない夫をやさしく見守る妻の役を上手に演じていた。家を飛び出し、いなくなった夫と再開するシーンの笑顔がたまらなく可愛い。女優として十分なキャリアを持っている彼女ではあるが、結婚して円熟味が増してきたような気がする。

この映画を見て無農薬でりんごを栽培するというのが、いかに大変かということがよく分かった。この映画は実話であり「奇跡のりんご」は実際に販売されているそうだが、入手するのは大変らしい。無農薬で収穫できるようになるまで10年以上かかったのだから、大量には作れないのだろう。りんごは大好きだが、いったいこの「奇跡のりんご」は、どんな味がするのだろうか。

映画『オブリビオン』

2013-06-08 21:38:38 | 映画


久しぶりに映画を見てきた。最近のSF映画では、結構評判がいいようだし、トム・クルーズ主演ということでそれなりに期待していた。概要はこんな感じだ。

チェック:『ミッション:インポッシブル』シリーズなどのトム・クルーズ主演によるSF大作。エイリアンの襲撃で半壊して捨てられた地球を監視していた男が、謎めいた人物との遭遇を機に自身と地球の運命を左右する事態に巻き込まれていく。『トロン:レガシー』で注目を浴びたジョセフ・コシンスキーが監督を務め、名優モーガン・フリーマン、『007/慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコら、実力派たちが脇を固めている。壮大かつ予測不可能なストーリーに加えて、半壊した地球の鮮烈なビジュアルからも目が離せない。(シネマトウデイより)

ストーリー:エイリアン“スカヴ”の侵略を食い止めたものの、その戦いによって地球が半壊してから60年。生き残った者たちがほかの惑星へと移住してしまった中、ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)だけが地球に残って上空から偵察していた。パトロールに向かっていた彼は、誰一人として生存しているわけがないエリアで何者かの襲撃を受けてしまう。混乱するジャックの前に現れたのは、ビーチ(モーガン・フリーマン)という謎の男。彼との遭遇を機に、ジャックは地球、人類、そして自身の運命を担う冒険に出ることに。(シネマトウデイより)

キャスト
・トム・クルーズ - ジャック・ハーパー、
・モーガン・フリーマン - マルコム・ビーチ
・オルガ・キュリレンコ - ジュリア・ルサコヴァ、
・アンドレア・ライズボロー - ヴィクトリア・オルセン


前半は、地球上には一人の男と一人の女しかいないという設定だ。エイリアンの侵略で人類は戦いには勝ったものの、放射能で汚染した地球を捨て、他の惑星と宇宙ステーションに避難していて、地球には、エイリアンの残党から地球を守るために二人の人間で監視をしているということになっている。唯一の男ジャックは監視ロボットのドローンを修理するのがメインな仕事で、唯一の女ヴィクトリアはジャックをサポートする役目だ。エイリアンの退治は、球状のロボット「ドローン」が勝手にやっているということになっている。映像的には、荒廃した地球の様子や、ジャックとヴィクトリアが住む居住施設のデザインがなかなかいい。また、ジャックが移動のために乗る「バブルシップ」という名の宇宙空間と大気圏を飛べる2人乗りの航空機がかっこいい。こんな乗り物で、地球を思いのままに飛び回れたらいいなと思えた。

さて、内容といえば、エイリアンがなかなか出てこない。何かしら怪しい生命体が時折姿をみせるが前半は謎のままだ。その後、次第にその正体がわかってくるのだが、それ以上明かすとネタバレになってしまう。ただ、地球上にはジャックとヴィクトリア以外にも人間がいたのだ。それは、モーガン・フリーマン扮するマルコムという男だ。ジャックはマルコムと出会うことで、次第に隠された重大な事実に気づいていくのである。

前半途中からは、宇宙船が地球に落下してきて、謎の美女だけが生き残る。この美女が、ジュリアだ。「007慰めの報酬」に登場したオルガ・キュリレンコが演じている。黒髪で日本人受けするエキゾチックな女性だ。このジュリアの存在は、ジャックにとって重大なカギになる。この映画は、SFでありながら、ジャックと二人の女性との絡み合いを描いたラブストーリーでもある。

全体的には、『2001年宇宙の旅』や『スター・ウォーズ』のオマージュのようなシーンが多い。宇宙船の名前は「オデッセイ」だし、海に浮かぶ巨大な三角形の物体はモノリスのようだ。また、巨大宇宙ステーションが爆発するシーンは『スター・ウォーズ』でも見たようなシーンである。また、人工的に植えつけられた記憶で行動するのは『トータル・リコール』でもあった。いろんなSFのエッセンスを組み合わせ、二大スターのトム・クルーズとモーガン・フリーマンが共演すれば、ヒットしないわけがない。ただ、最後までエイリアンの本当の姿が出てこなかったことや、エイリアンの侵略の目的がよくわからなかったのは残念だった。他にも、突っ込みどころはあるが、めでたしめでたしのラブストーリーで終わったのが良かったのかもしれない。最近の映画って後味の悪い終わり方が多いが、『オブリビオン』だけは、安心して見終わることができた。もっとも、こんなハッピーエンドもありなのかなあと思う人もいるだろうな。SFでは、いろんなことがありなのである。

因みに『Oblivion』とは、“完全に忘れている状態”“忘却、忘我、無意識状態”と言う意味だという。忘れていた記憶が戻った時、恐るべき事実が明らかになったという訳だ。

映画「プラチナデータ」

2013-04-01 22:03:54 | 映画
プラチナデータ  予告編


チェック:さまざまな作品が映画化されている東野圭吾の小説を、『ハゲタカ』『るろうに剣心』の大友啓史監督が映画化したサスペンス。DNAデータを基に犯罪捜査が行われる近未来を舞台に、自らが携わるDNA解析捜査で連続殺人事件の容疑者となってしまった科学者の逃亡劇を描く。天才科学者から逃亡者へと転落する主人公には、嵐の二宮和也。彼を執拗(しつよう)に追跡するベテラン刑事に豊川悦司がふんするほか、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏ら多彩なキャスト陣がそろった。(シネマトゥデイより)

ストーリー:政府が極秘に収集した国民の遺伝子情報“プラチナデータ”を基に犯罪捜査が行われ、検挙率は驚異の100パーセントで、冤罪(えんざい)は皆無となった近未来の日本。警察庁の科学捜査機関に所属する科学者の神楽龍平(二宮和也)は、DNA捜査システム関係者の連続殺人事件を担当することに。しかし、同システムは神楽自身を容疑者として示し、思考を繰り広げた結果彼は逃亡するが……。(シネマトゥデイより)

キャスト
・神楽龍平/リュウ - 二宮和也(嵐)
・水上江利子 - 鈴木保奈美
・志賀孝志 - 生瀬勝久
・白鳥里沙 - 杏
・蓼科早樹 - 水原希子
・浅間玲司 - 豊川悦司


東野圭吾原作の映画化という事で、早速見に行ってきた。原作は、新刊で出た当初、珍しく購入までして読んでいる。内容は分かっているので、映画化でどんな味付けになったかという興味で見たかった作品だ。感想としては、可もなく不可もなくといったところだった。まあ、だいたい原作通りに作られていたようだが、違うといったら犯人の設定が女になっていたところか。また映画化ということで、原作から削られている描写も多く、サスペンスというよりアクションに重きを置いたような展開だった。

キャストについて一言いうと、主役の二宮和也は、演技力があってアイドルグループのメンバーにしてはいい俳優さんだと思う。しかし、このドラマでの天才科学者と芸術家の二重人格を持つ役柄は、今一つピンとこなかった。そして、原作では男性だった遺伝子研究で世界的な医師である水上教授を演じたのが、鈴木保奈美である。最初、誰だかわからず気になっていたのだが、エンドクレジットで彼女だったと分かり意外な感じがした。二人とも、天才科学者や高名な医師にはとても見えない。この映画のキャラクターには、ミスキャストとしか思えない。見終わってからの昂揚感みたいなものがなかったのは、そんな事だったのかもしれない。

存在感があったのは、刑事役の豊川悦司だ。執拗に主人公を追い詰める姿は、映画「逃亡者」でトミー・リー・ジョーンズの演じた刑事を彷彿させる。トヨエツならではの渋さが光っていたといえる。また、自閉症で天才数学者の蓼科早樹を演じた水原希子も良かった。ほとんどセリフがなく、冒頭で殺されてしまうので出番は少ないのだが、ミステリアスな少女の雰囲気がよく出ていた。それにしても、白鳥里沙役の杏が、あっけなく殺されてしまったのは残念だった。

この映画で一番感じたことは、近未来において国民一人一人のDNAが国に登録され、監視カメラで管理されてしまう社会になってしまうことの恐ろしさだ。DNAで人間の性格や行動、体型、顔が全て決まってしまうというのは、ちょっとありえないような気がするが、いきつくところまで科学が進んでしまうと、あり得るのかなとも思ってしまう。原作が書かれたのはかなり前なので、その当時からDNAについての先見の明があったということでは、さすが東野圭吾は凄いと思う。小説や映画の中だけに存在する話では無く、国家権力が先端科学を都合のいいようにねつ造し操る日が来るかも知れないという警鐘を与える映画だといえる。どんな完璧なシステムだとしても、そのシステムを作ったのが人間である以上、人為的なものが入ってしまえば、信用できないものになってしまうのは当然である。


映画『クラウド アトラス』

2013-03-19 23:27:34 | 映画


たまたま見たネット広告で、興味を引いた映画だった。監督が、「マトリックス」のラナとアンディのウォシャウスキー姉弟という事と、トム・ハンクスやハル・ベリーといった豪華キャストが出演しているSFドラマという事で見たくなったのである。ところで、ウォシャウスキー姉弟というのが気になった。たしか「マトリックス」はウォシャウスキー兄弟だったはずだが、姉さんもいたのかなあと思ったら、何と兄さんは性転換して姉さんになっていたというのだ。現実の世界は、映画以上に複雑である。

《解説》
デイヴィッド・ミッチェルの小説『クラウド・アトラス』を映画化したSFドラマ。6つの時代と場所で6つの人生を生きる男の数奇な経験を描く。共同監督は「マトリックス」のラナとアンディのウォシャウスキー姉弟、「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ。出演は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のトム・ハンクス。(goo映画より)

《あらすじ》
初老の男ザックリー(トム・ハンクス)には、時空を超えたいくつもの“自分”の物語があった。1849年の太平洋諸島。“彼”は医師ヘンリー・グースとして弁護士ユーイング(ジム・スタージェス)と出会う。ユーイングはホロックス牧師(ヒュー・グラント)と奴隷売買の契約を交わす。島で罹患したユーイングに、グースは無料の治療を買って出る。1936年、ユーイングの航海日誌を読む音楽家フロビシャー(ベン・ウィショー)は父親に勘当され、恋人シックススミス(ジェイムズ・ダーシー)のもとを離れて、スコットランドの作曲家エアズ(ジム・ブロードベント)の家へ押し掛ける。フロビシャーはエアズの採譜者を務めながら、後に幻の名曲となる「クラウド アトラス六重奏」を作曲する。フロビシャーからの最後の手紙をシックススミスが受け取った37年後の1973年、サンフランシスコ。物理学者となったシックススミスは、人命に関わる原発の報告書をジャーナリストのルイサ(ハル・ベリー)に託そうとして殺される。原発の従業員アイザック・スミスである“彼”はルイサと恋におち、会社を裏切る決意をする。2012年のロンドンで“彼”は作家ダーモット・ホギンズとして著書を酷評した書評家を殺し、カルト的英雄となる。大儲けした出版元のカベンディッシュ(ジム・ブロードベント)はダーモットの弟たちに脅迫される。2144年、遺伝子操作で作った複製種を人間が支配する全体主義国家ネオ・ソウル。複製種ソンミ451(ペ・ドゥナ)は密かにカベンディッシュ原作の映画を観て自我に目覚める。革命軍チャン(ジム・スタージェス)と恋におちた彼女は、自ら反乱を率いる。ソンミが女神として崇められる地球崩壊後106度目の冬の地で、進化した人間コミュニティーからの使者メロニム(ハル・ベリー)が若き日のザックリーの村を訪れる。ザックリーがガイド役となり悪魔の地と呼ばれる険しい山の山頂にたどり着くと、メロニムの驚くべき使命が明かされる……。(goo映画より)

《キャスト》
トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェームズ・ダルシー、ジョウ・シュン、キース・デヴィッド、デヴィッド・グヤシ、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント


とにかく長い映画だった。3時間近い作品で、過去、現在、未来と6つの時代を行ったり来たりするストーリーである。最初から、6つの物語はバラバラに始まり、どこからどこまでが同じ話なのか分からないくらい自然に別の物語につながっていく。しかし、訳がわからないという事はなく、着ているものとか、周囲の状況から、時代が変わったことがわかる。ただ、それらの話が、どういう意味があってつながっていくのかがすぐには分からない。それだけは、だんだん理解していくしかない。

6つの物語には、それぞれ主人公がいるのだが、別の物語にも脇役として登場している。トム・ハンクスやハル・ベリーなどが主役を張っているのもあれば、ちょっとした脇役で登場しているのを探すのが面白い。主要キャストは性や人種が違うキャラをも熱演しており、生まれ変わりをイメージしたような構成のようだ。

それぞれの物語が、最終的にエンディングに向かっていくうえで、何となく一つの話に繋がっていったような感じはしたが、やはり、その時点で気づいても最初の細かいシーンがどうだったかが思い出せない。この映画、一度見ただけでは完全に理解するのは難しい。最後のエンドロールで、誰が何の役をやっていたかが種明かしされるのだが、思いもよらない役をあの俳優がやっていたのかとビックリする。性も人種も違う役が同じ人物だったのが分かり、その意外性が面白かった。誰がどの役やっているか分かった上でもう一度見ると楽しいかなと思うが、もう一度映画館に行くのはやはりつらいかなあ。

個人的には、人類を救う伝説の女神になるクローン人間のソンミ451(ペ・ドゥナ)が良かった。どこかで見た女優さんだなあと思っていたが、調べてみたら「空気人形」に出ていたのを思い出した。心を持ってしまった空気人形の役を演じていた韓国の女優さんだが、そのイメージが、この作品でもうまく表現できていたと思う。

映画『テルマエ・ロマエ』

2013-03-06 22:37:02 | 映画


《解説 》
マンガ大賞&手塚治虫文化賞のW受賞を果たした、ヤマザキマリの大ベストセラーコミックを実写映画化。古代ローマで浴場の設計をするルシウスと現代日本の風呂好きたちが、ローマのために闘う。理由は分からないが、とにかく古代ローマから日本にタイムスリップしたルシウス。漫画家志望の真実の恋心に気づいてか気づかないでか、新しい風呂とローマの未来に思い悩む。現代人の真実は、歴史の知識を活かして、ルシウスの力になろうとするが…。出演は、阿部寛、上戸彩、北村一輝、市村正親、宍戸開、笹野高史。日本を代表する顔の濃い役者を集め、原作のイメージを全く崩していないことに拍手。監督を務めるのは、「のだめ」シリーズの武内英樹。(goo映画より)

《あらすじ 》
古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格から時代の変化についていけず、職を失ってしまう。落ち込んだ彼は、友人に誘われて公衆浴場を訪れるが、そこで突然、現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは、漫画家志望の真実(上戸彩)たち“平たい顔族”、つまり日本人だった。日本の風呂文化に衝撃を受けたルシウスは古代ローマに戻ると、そのアイデアを利用して大きな話題を呼ぶ。タイムスリップを繰り返すルシウスは、ローマで浴場技師としての名声を得ていくのだが……。風呂を愛する2つの民族が時空を超えて出会った時、世界の歴史が大きく動き出す。(goo映画より)


映画館の予告で見た時は、コメディぽく変な映画だなあと思いつつ、それっきりになっていた。しかし、その後の興行収入は50億円を突破し、公開後1週間を待たずに観客動員100万人を突破する大ヒット作になったという。さらに、世界20カ国以上からの公開オファーが殺到し、海外でもすごい人気になったという「テルマエ・ロマエ」を初めて見た。

数日前、WOWOWで放送があったので、ビデオに録っておいたのだ。邦画としては空前のヒット作品だったというので、やはりどれだけ面白いのか興味があった。題名の「テルマエ・ロマエ」は、ラテン語で「ローマの浴場」という意味だ。

原作は漫画であり、けっこう適当な展開でまじめに見ても仕方がない。コメディとして楽しめればいい映画である。まあ、古代ローマのテルマエと、日本の銭湯文化をうまく結びつけた発想は面白い。なんで、古代ローマから、現代日本の銭湯や温泉にワープするかよく判らないが、ローマ人のルシウス(阿部寛)が日本の銭湯文化、機能、小物に驚きと感銘を受ける様子は笑える。また、日本のウォシュレットにも、びっくりする様子も笑える。阿部寛は、まじめな顔してコメディやシリアスな役を見事にこなすので結構好きな俳優だ。映画の前半は、そんなローマと日本の浴場の違いを面白おかしく描いていたので、結構楽しめた。

しかし後半は、ローマ帝国の存亡をかけた歴史ドラマにテロマエを絡ませた展開となり、コメディから真面目な歴史物に変わってしまった。真面目な歴史物として見た場合には、なんか安っぽい映画になってしまった感が強い。コメディならコメディでそのまま突っ切ってしまったほうが笑いに徹することができたのに、今一つ中途半端な展開だったように思える。

阿部寛、市村正親、北村一輝などの「濃い顔」の俳優たちが演じるローマ人と、「平たい顔族」の日本人との対比が、この映画では一番面白い。また、温泉好きとしては、伊豆河津にある大滝温泉「天城荘」の大滝と露天風呂が映っていたのはうれしい。他にもロケ現場となった栃木県の北温泉もよさそうな温泉だ。パート2も制作決定したらしいので、コメディに徹し、日本の温泉の良さをいろいろ紹介できるような作品になったらいいなと思う。

今年のアカデミー賞とラジー賞の結果

2013-02-27 19:06:05 | 映画
先日WOWOWでも放送されたが、第85回アカデミー賞が発表された。
結果は下記の通りだ。

【第85回アカデミー賞 主な受賞者・作品】
主演男優賞 ダニエル・デイ・ルイス 「リンカーン」
主演女優賞 ジェニファー・ローレンス 「世界にひとつのプレイブック」
助演男優賞 クリストフ・ヴァルツ 「ジャンゴ 繋がれざる者」
助演女優賞 アン・ハサウェイ 「レ・ミゼラブル」
監督賞   アン・リー 「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」
作品賞 脚色賞 編集賞 「アルゴ」
外国語映画賞 「愛、アムール」
脚本賞 「ジャンゴ 繋がれざる者」

どれも、予告編を見た程度なので特にコメントすべきことはないが、作品賞をとったのが「レ・ミゼラブル」「リンカーン」ではなく、「アルゴ」だったというのは、如何にもアカデミー賞らしい。だいたい有名監督の大作とか、有名作品の映画化作品は、外れることが多い。アカデミー会員の推す作品は、当たり前すぎる作品を外す傾向にある。

また、監督賞候補と前評判の高かった「リンカーン」のスティーヴン・スピルバーグ監督も外れてしまった。監督賞は、「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のアン・リー監督だった。やはり、スティーヴン・スピルバーグ監督は有名すぎて、違う人に与えたほうがいいという判断なのかもしれない。

さて、「アルゴ」はイラン革命時のスリリングな米人救出劇を描いた作品で、6人のアメリカ人外交官をイランから救出するため、CIAが『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げて救出するという実際の話である。ただ、この作品がアカデミー賞作品賞を受賞したという事で、イランは激怒しているという。アメリカ人にとっては、痛快な映画だろうが、イランにとってはCIAの宣伝映画ととられても仕方がない。ハリウッド映画は、アメリカの主要産業であり、政府と密接に結びついている。政治色は少なからずあるだろう。しかし、単純にストーリーを考えれば、相当面白い作品であることは間違いないだろう。

さて、アカデミー賞発表の前日に発表された「第33回ゴールデン・ラズベリー賞」(通称:ラジー賞)は、ヴァンパイアロマンス超大作『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』が、見事10部門中7部門で「サイテー映画」の栄冠に輝いた。
結果は下記の通りだ。

【第33回ゴールデン・ラズベリー賞 受賞結果一覧】
最低映画賞 『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』
最低監督賞 ビル・コンドン(『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』)
最低女優賞 クリステン・スチュワート (『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』、『スノーホワイト』)
最低男優賞 アダム・サンドラー(『That’s My Boy』)
最低助演女優賞 リアーナ (『バトルシップ』)
最低助演男優賞 テイラー・ロートナー 『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』
最低スクリーン・アンサンブル賞 『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』
最低脚本賞 『That’s My Boy』(原題)
最低リメイク・パクリ・続編映画賞 『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』
最低スクリーン・カップル賞 マッケンジー・フォイ&テイラー・ロートナー(『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』)

これだけ受賞するとは、『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』のサイテー度は、素晴らしいというしかない。「最低女優賞」を受賞してしまったクリステン・スチュワートは、足の裏の親指のつけねを深く切ってしまうという事故に見舞われ、ラジー賞翌日のアカデミー賞授賞式には、松葉杖で現われプレゼンターを務めたという。まさに踏んだり蹴ったりの女優さんになってしまった。

最低映画の称号がついたが、私はこのトワイライト・サーガシリーズは結構好きな映画だ。映画館では見損なったが、WOWOWでの放送を待ち焦がれている。どれだけ、最低な映画だったか見届けてみたいものだ。

「おしん」映画化が決定

2013-02-05 21:26:38 | 映画


ネットニュースで「おしん」の映画化が決まったという事を知って驚いた。
NHKの朝ドラで放送され、テレビドラマ史上過去最高の視聴率62.9%を記録したという伝説のドラマである。
世界86の国と地域でも放送され、海外でも「おしん」という名前は広く知られているそうだ。

主要キャストは、主人公の谷村おしん役には、約2500人の中から選ばれた宮崎県出身の新人、濱田ここねちゃん(8)、
テレビ版で泉ピン子が務めたおしんの母・ふじ役は女優の上戸彩が演じる。
その他、おしんの最初の奉公先となる中川材木店・奉公人、つね役を岸本加世子、
2番目の奉公先となる加賀屋・若奥様、みの役を小林綾子、
加賀屋・主人、清太郎役を乃木涼介、おしんの祖母、なか役を吉村実子、
脱走兵、俊作役を満島真之介、炭焼き老人、松造役をガッツ石松、
加賀屋・大奥様、くに役を泉ピン子が演じることが発表されている。

主役となった8歳の濱田ここねちゃんはリンゴ色のほっぺの可愛らしい子だ。
だが、可愛いだけではなく、苦難を強いられても決して負けることなく、ひたむきで、
愛らしく健気な「おしん」をどこまで演じることができるかだ。
初代「おしん」の小林綾子のイメージはかなり強烈に残っている。
伝説のドラマのリメークともなれば、どこまで小林綾子を超えられるかが問題だ。
撮影は2月中旬から山形県でのオールロケーションで行われ、10月公開予定だという。
はたしてどんな作品になるか、期待してみることにしよう。

映画『さよならドビュッシー』

2013-02-04 21:23:33 | 映画


テレビや新聞広告などでさかんに宣伝が行われていたので、どんな映画だろうかと気になって見に行ってきた。映画の内容は、下記の通りだ。

《解説》
第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した中山七里の同名小説(宝島社・刊)を、俳優として活躍するほか「クロエ」が第51回ベルリン国際映画祭に出品され監督としても評価の高い利重剛が映画化。火事により家族を失い自らも大怪我を負った少女が、ピアニストを目指して練習を重ねていくうちに、不可解な事件に巻き込まれていく。主演は「桐島、部活やめるってよ」「貞子3D」の橋本愛。「神童」やテレビドラマ『のだめカンタービレ』で演奏シーンの吹替を担当した人気ピアニストの清塚信也がピアノ教師役を演じている。また、テレビドラマ『新参者』の脚本を手がける一方、音楽家としても活躍する牧野圭祐が利重剛とともに脚本に携わっている。(goo映画より)

《あらすじ》
両親や祖父、帰国子女の従姉妹らに囲まれながらピアニストを目指す16歳の少女・遥(橋本愛)。ある日、祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残った遥も全身に大怪我を負う。それでも遥は不遇にめげずに、ピアニストになる夢を実現させるべくコンクールに向けて練習を積み重ねる。そんな中、彼女の周辺で次々と不可解な出来事が起こる……。(goo映画より)

《キャスト》
•香月遥:橋本愛
•岬洋介:清塚信也
•香月玄太郎:ミッキー・カーチス
•片桐ルシア:相楽樹


ミステリーは好きなジャンルなので、音楽が絡んだミステリーとはどんな話なんだろうという興味が大きくて見たかった映画だった。しかし、結論から言うと、ミステリーとは、ほとんど言えないような内容で、そんな期待を持たずに見たほうがよかったくらいだ。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残った遥は大怪我を負いながらも、従姉妹のルシアとの約束を果たそうとピアニストの道を目指す。だが、その後、遥の身の回りで彼女の命を狙うような出来事が続発する。祖父の遺産が莫大なことから、その遺産争いにまつわる事件だろうというのは、だいたい察しがつく。しかも、登場人物は限られ怪しい人物もあらかた察しが付いていた。この映画はミステリーというよりも、ピアニストを目指す少女の熱血根性ものといった側面のほうが大きいくらいだ。遥の命を狙った犯人は、後半いとも簡単に明らかとなり、探偵の謎解きのような場面も全くない。脇役で登場するキャストたちも、ミステリー映画に登場してくるようなアクが強いような俳優ではなく、今一つ物足らない人選だったような気がした。

とはいえ、それだけの感想で終らせるような映画でもない。ミステリー物としては物足らないが、火事で全身大やけどを負いながらもピアニストの夢を追うヒロイン・香月遥を演じた橋本愛は素晴らしい演技だったといってもいい。やけどの後遺症による厳しいリハビリに打ち込みながら、最後にピアノコンクールでドビュッシーの「月の光」を見事演奏し終わる様子は感動ものである。同曲のイメージには「優しい」「癒し」「切ない」「温かい」など多数のキーワードが挙がり、日本人に好まれる要素だという。橋本演じる遥がコンクールで弾く「月の光」のピアノ演奏はほぼノーカットだったそうで、もともとピアノが弾ける俳優さんだったのかもしれないが、その美しい旋律は十分聞きごたえがあった。

また、もう一つの見どころは、孤独な遥を献身的に支えるピアノ教師・岬洋介を演じている現役ピアニストの清塚信也である。「神童」やテレビドラマ『のだめカンタービレ』で演奏シーンの吹替を担当したピアニストで、この作品で俳優デビューを飾ったという。初めてながら、優しくて温かく遥を指導するピアノ教師の役は、まさに彼の風貌とともに嵌っていた役どころといえる。劇中、清塚信也が弾くリストのピアノ曲「超絶技巧練習曲第4番マゼッパ」は、さすが現役のピアニストは違うなと圧倒されてしまう。

ただ一つ、ミステリーとしてヤラレタと思ったことがある。それは、遥の抱えていた重大な秘密だ。ミステリー好きで感のいい人なら、早い時点で気づいたかもしれないが、私はまったく気づかなかった。この秘密がわかった時、遥の苦悩が改めて思い知らされたのである。その秘密は何かという事については、映画館で確かめてもらうしかない。

《おまけ:作品中に登場した曲目》
•超絶技巧練習曲第4番『マゼッパ』:リスト
•アラベスク:ブルグミュラー
•熊蜂の飛行:リムスキー
•ヴァイオリン協奏曲:メンデルスゾーン
•アイネ・クライネ・ナハトムジーク:モーツァルト
•ピアノ協奏曲第5番『皇帝』:ベートーヴェン
•12の練習曲:ショパン
•月の光:ドビュッシー
•アラベスク第1番:ドビュッシー