prisoner's BLOG

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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦

2019年01月30日 | 映画
ラインハルト・ハイドリヒ暗殺を扱った映画としては1975年のルイス・ギルバート監督、ティモシー・ボトムズ、アンソニー・アンドリュース主演の「暁の七人」がすでにあって、史実を扱っているのだから当然だが、大筋はそんなに変わらない。
邦題から「七人の侍」系統のチームによるアクション映画かと思ったらとんでもなく重い史実ものなのに仰天したことがある。

監督が007シリーズのルイス・ギルバートとあって娯楽色が強いかと思いきや、むしろこの2017年作より重いくらい。
本作はシャンテにかかったからハイブロウな作りかと思ったら、渋谷パンテオン系・新宿ミラノ座の戦艦級チェーンにかかったのよりこの新作の方がアクション色が強い。

「暁…」の重さの要因はハイドリヒ暗殺に対するナチの報復の凄まじさがより多く描かれるところにあって、リディツェとレジャーキという暗殺計画に関わったとされた村の住人のうち男は全員銃殺、女子供と老人は収容所送り、村の建物はすべて破壊し地図からも抹消したという徹底ぶりが描かれていた。
また、実在の登場人物たちのその後がエンドタイトルで流され、そのほとんどが子供に至るまで収容所で殺されているのに愕然とした。

そういう重さはややこの新作では薄く(意外というのは、だいたいにおいて時代が下った方が突っ込んで描けるようになると思いがちだからだが)、クライマックスの教会の攻防など重機関銃や爆薬まで持ち出してアクションを描きこんでいる。

こちらはチェコという小国がイギリスの支援をとりつけるための本気を見せるための戦いといった切羽詰まった政治的な意味合いの味付けが強くなっている。

暗殺シーンそのものでハイドリヒの護衛が猛烈に撃ち返してきて銃撃戦になり、近くにいた一般市民も巻き添えになるなど派手めにしている。
「暁の七人」ではなんとか逃げ延びたメンバーが陸橋の上で嘔吐し、白煙を吐く列車がその下を走り抜ける、というカットが鮮烈だった(撮影はフランスのヌーヴェル・ヴァーグを支えた名手アンリ・ドカエ)。

拷問の残酷さは小便を漏らすなどもっと生々しく描いていて、メンバーが自決用の青酸カリを持ち歩いていて追い詰められると服用したり拳銃で自決するのをいちいち描いている。

さらにハイドリヒその人を描いているらしい新作の「ナチス第三の男」が公開中。こちらはどんな扱いになるか。

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 - 公式ホームページ

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