prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」

2019年01月04日 | 映画
映画人で監督や俳優のドキュメンタリーは多いが、まったくの裏方、ストーリーボードアーチストやリサーチャーを扱ったのは初めてだろう。

夫のハロルド・マイケルソンがセシル・B・デミルの「十戒」の時代からヒッチコックの「鳥」、「卒業」などのニューシネマ、さらにはスピルバーグのドリームワークスにまで参加する半世紀以上にわたる実に多彩な作品にストーリーボードを提供していた。

正直、監督のものとされてきたイメージが実はその前からストーリーボードとして描かれていたのがわかる。デミルとは会ったこともないという立場から、ドリームワークスの「シュレック」ではハロルドとリリアンという名前は王と王妃の名前として採用されるまでになる。

第二次世界大戦で爆撃機に乗り込んでいた経験があり、どんな気分かと聞かれて説明のしようがないと語る。口説く時に日本の皇后になるといいというのは誉め言葉か知らないが、戦勝国の人間でないと出てこない表現だろう。

のちに結婚するリリアンは孤児院の出で、典型的ジューイッシュ・マザーであるハロルドの母に結婚に大反対されて絶対幸せになってやると誓う。このあたり映画のバックステージものをはみ出た興味も湧く。
読書家で孤児院でもハインラインを8年から読んでいるという。

結婚して妊娠したらあたりまえのように解雇され、今の時代はそんなことないでしょうけれどとさらっと言うが、なんの、問題はまだ形を変えて残ってます。
二人の間に生まれた子供が自閉症で、フロイト式精神分析をする医者に母親の愛情が足りないせいだと最近の日本の親学みたいなことを言われ傷つき怒ったリリアンが敢然と医者から手を切ると一緒にかかっていた母親たちも離れたという。

ハリウッド離婚が多いのは、ロケで長期間分かれ分かれになっていることが多いからだ、というのは説得力あり。

リリアンがリサーチャーとして整備したライブラリーがあちこち転々しながら結局保全されているのは毎度のことながらあちらのモノモチの良さに感心する。というか、土台の哲学が違う感じ。
宗教と宇宙が並ぶという独自の整理法を編み出したというが、受け継がれているのだろうか。
AFIのライブラリーで働いていた頃、デヴィッド・リンチが頻繁に来たという。。
嘘をつく業界だから正確さにこだわると語る。

トランボと仕事した時は腰が悪くてバスタブでタイプライターを打つトランボの隣の洋式便器に座って仕事したという。

ふたりの人生を絵解きする画が全編にわたって使われているので、てっきりハロルドが描いているのかと思ったら、長期間にわたって取材したらしく、思いがけない展開を見せるひっかけに結果としてなった。




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