prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「呪怨 THE JUON」

2005年02月17日 | 映画
製作に加わった知人に聞いたところでは、アメリカ側の注文はポップコーン・ムービー、つまりアメリカのティーンがポップコーンを食べながらはしゃいで見るものを、ということだったらしい。
だからCGとか特殊メイクとかもっとガンガン使うかと思ったら、画面の質などとともに技術的な仕上げは良くなっているけれど、目覚ましい違いはない。
それとも、あっちの連中はこれ見てキャーキャー言うのかな。まあ、もともとストーリーはあってないようなもので、お化け屋敷でワッと脅かすような作りですからね。

場面場面がほとんどオリジナルと同じで、キャストだけ外人になっているものだから、なんだかパロディみたいに見える。
白塗りの男の子と四つん這い下着女も、お馴染みさんになっちゃってるから今更コワくない。
「13日の金曜日」のジェイソンみたいにアイドル化していくのだろうか。というか、もうなっている。日本でも、俊雄くん人形が売られてたりしてましたものね。

ピーター(ビル・プルマン)が伽椰子と関係あると新聞の同じ紙面を見ただけでわかるのは、なんで? 自殺したという以外に、なんか関係あると書いていた?
家の中で灯油まいて火をつけて火事にならない(らしい)って、なんで?
惨劇の原因を描いて理由付けしている割に、全体としてスジが通っていない。

不思議なことに、基本的には日本人スタッフによる日本の風景が、キャストが変わると“外人の眼から見た日本”じみて見える。
サラ・ミシェル・ゲラーがなぜかカップラーメンの蓋を破いて中を嗅いでから買うし(どういう意味? 商品を傷つけていいの? レジの店員は見過ごしたのか?)、石橋凌の刑事がなぜかいかにも日本人風にオジギをするし。

どうでもいいけど、元の惨劇が起きた「佐伯家」って佐伯日菜子からとったのではないか。
劇場版の「2」で「ホラー・クイーン」なんて表現出てきたし。

オープニングの設定を説明するタイトルの日本語字幕が、英語字幕でgrudgeなどだけ赤くなって消えるのに合わせて「呪い」という文字が赤く残るのは、気がきいている。
オリジナルでところどころに挟まっていた人物の名前だけ白い黒画面が、ただの黒画面になっているのだけれど、字がないと黒が締まらないのだね。
字、特に漢字はどこか怪しい感じがある。

なお、全米で日本人監督初のNo.1というのは、「ポケットモンスター」の湯山邦彦監督のはず。
(☆☆★★★)




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「アメリカン・ガン」

2005年02月17日 | 映画
ジェームズ・コバーンの遺作。
娘をピストル強盗に殺された老いた父親が、そのピストルの持ち主を追う過程にアメリカのさまざまな銃にまつわるシーンがちりばめられる。理不尽な暴力で肉親を失った遺族の苦悩を描いて、銃社会を批判しているわけだな、しかしコバーンが若い頃出征して戦場で戦友を誤射してしまうエピソードなどなんか余計だなあと思っていたら、それがラスト本筋と関係してくる。
だが、ネタばらしになるから書かないが、そのくっつけ方が作り過ぎで元の設定をブチ壊してしまっていて索然とさせられた。
もっぱらコバーンの渋さに支えられた一編。
(☆☆★★★)