
ウィンブルドンの
女子シングルス決勝をライヴで観た。
セーリーナ戦、ラドバンスカ戦と
ずっと応援してきたレジキーが、
自らの敗因を
「決勝の雰囲気に呑まれた」
と語ったように、
生彩を欠いたプレイで惨敗した。
2セット目1-3の状況で、
ダブル・フォールトを連発し、
空余裕で? 1度目は苦笑いをしたが、
2度目はラケットで顔を覆って
泣き出した。
(おいおい、試合中に泣いたらアカンやろ・・・)
と元テニス部監督として
思ってしまった。
(せっかく笑顔の素敵な
スマイリング・サビーネの
愛称を献上したのに、
クライング・サビーネに
なってまうやないの・・・)
気持ちはワカル。
(わたし、何やってんだろ・・・)
と頭のなかが
真っ白になってしまったのだろう。
でも、試合中に泣いたらアカンぜよ。
中継のアナウンサーにも
「芝の女王には簡単にはなれません。
メンタルを強くし、
自分をコントロールできなければ・・・」
と言われた。
その点、バルトリは強かった。
一々ガッツポーズで
自分を鼓舞し、プレイに
迷いがなく思い切りがよかった。
これが、決勝経験者と
初チャレンジャーの違いで、
両者ともそれをインタヴューで
語っていた。
レジキーは
「マリオンこそチャンピオンにふさわしい」
と讃え、バルトリは
「自分もかつて決勝で負けたので
サビーネの気持ちがよく解る。
でも、次にまたここに戻ってくるだろう」
と励ました。

優勝杯を抱くバルトリの姿は、
頂上を極めた勇者のような
輝かしくも誇りに満ちた
いい表情であった。
レジキーも
最後は準優勝杯を掲げ、
笑顔と感謝のキスで
観客の拍手に応えていた。
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魂理学随談
ボーダレス
奈保子 現代は、あらゆる点で、ボーダレスの時代と言われたりしていますが、先生は、どんな点で感じられますか。
先生 それで思い出すのは、十六節気とか節分のような「節で分ける」といういにしえの日本人の考えは、案外、知恵なのかもしれないということです。冬至にはカボチャを食べる、なんていう慣わしは段々すたれてきましたけどね。私も若い頃は、そのようなステレオ・タイプの季節行事をバカにしていたんです。でも、歳を重ねてきて、そのことの意味が最近わかるような気がしてきました。
奈保子 節目を設定するというのは、1年365日のボーダーレスな時間の性質に、さながらゴルフのOBのように境界線を引くことでもあるんですね。
先生 そういうこってす。
五十路になって、近頃やっと、季節ごとの味わいを楽しめるようになった気がするんです。茶の湯を長いことやってきたせいもあるかもしれないけど…。梅雨には雨に濡れそぼる紫陽花の美しさに目が奪われますし、黄色く熟する枇杷の実とか、ユスラウメが赤々と稔るのとか、愛でるものが沢山ありますものね。
奈保子 先生がケータイをお持ちじゃないわけが、何となく解るような気がします。スマホの画面ばっかり見ている現代人には、紫陽花も枇杷も眼に入りませんものね。
先生 そう。情報ばっか見ている。それと、中身のないようなメールやソーシャルネットとかね。もっとも、私もブロガーだから、偉そうには言えないけどね…。
奈保子 時間というのは、本来、ボーダレスなものなんでしょうが、人間はそれに時刻や時間というタイム・スタンプを設定したんですね。
先生 それで、今、思い出したんだけど…。いっ時、夜明け前に家を出て、神参りに出かけ、夜が明ける頃に戻ってくるという朝参りを40日間続けたことがあるんです。自分に課した心業期間っていうか…。その時、いろいろな「非日常的」な体験をするなかで、夜と朝の間を愛でる、という初めての楽しみを発見したんです。
奈保子 はぁ。夜と朝の間ですか…。
先生 むかし、『夜と朝のあいだに』というピーターの歌がありましたけど…。
奈保子 ……?
先生 ハハハ。奈保子ちゃんが生まれる前だから、知らないでしょうね。
ま、兎に角、それはいいとして…。それで、その発見を通して、一日を、未明・黎明・早朝・午前・正午・午後・夕刻・宵の口・夜更け・真夜中というふうにいくつかの節目で捕らえて、その間をどう生きるか、と考えたことがあるんです。
奈保子 不思議な捉え方ですね。
先生 じゃ、訊きますけど…。奈保子ちゃんは、一日でいちばん好きな時間ってありますか。
奈保子 う~ん。言われてみますと、急には思い浮かばないですね。
先生 強いて言えば?
奈保子 え~と。暮れなずむ夕映えの頃でしょうか。
先生 なるほど。なんだか、金八先生の主題歌を思い出してしまいました…(笑)。
奈保子 はぁ?
先生 いや。失敬失敬。そういう歌があったんですよ。
私の同居していた祖母は、皐月晴れの日に、そよ風が穏やかに吹く午前の10時半頃に亡くなったんですが、それが、後から思うに、いい死に日和、いい死に時だったなぁ…と、なんだか羨ましく思えたんです。
それで、私は、午前の10時半を「マイ・フェイバリット・タイム」と称しているんです。
奈保子 アハハハ。初めて伺いましたが、なんだか、妙なお話ですね。
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