『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

ジビエを頂く「ピジョン・ラミエ」

2023-11-30 10:15:25 | フレンチ

 

 

月の第五週目で
「私的五連休」になり、
きのうは一月前から予約していた
三ツ星フレンチで、
アラカルトにオーダーしていた
ジビエ(野鳥)のピジョン・ラミエ
(スコットランド産山鳩)
を味わってきた。

晩秋から初冬にかけて、
当地では狩猟解禁となり、
散弾銃の弾(たま)も
身に喰い込んでいるような野禽を
フザンタージュ(熟成)させて
ガラで出汁を取り、
アバ(内臓)共々、丸々調理するのが
この時季のフレンチの楽しみでもある。

*

20代から
もう40年来、通っている
常連店なので、
シェフとマダムとも懇意で
我が家のダイニングで
食事を頂いているような
心地よさである。

いつものように、
グルヌイユ・ダルジャン
(銀の蛙)が銜える
カルト・ド・ムニュに目をやると、
初めての
「カステルマーニョ」なるものが
目に留まり、
(・_・?) ハテ…
(何だろ、こりゃ・・・)
と、思った。

ま、あとから、
シェフが説明に来られるので、
それまでの
お楽しみという事にした。

カラフルな模様の入った
イタリア産アンディーヴの
「カステルフランコ」の亜種かな・・・
と想像していた。

かつて、
京都の『レ・シャンドール』で
アンディーヴのグラタンが
ガルニチュール(添え物)として
供されたのを覚えている。

飾り皿は、
名陶『レイノー』の
『パラディ』(天国)という
野鳥類を描いたもので、
これからジビエをやるのに・・・
なんだか、少しばかり
罪深い思いをもした・・・(笑)。

美味なる鳥を食べる人には
「パラディ」なのかもしれないが・・・(笑)。

 



*

ひと皿目は、
『ウィートル・アンルレ・
ドゥ・パンチェッタ』
(Huîtres enroulées de pancetta/
牡蠣のパンチェッタ巻)。

魚介+シャルキトリー(豚バラ塩漬け)
というマリアージュは、
いかにもフレンチらしく、
エピナールとブールブランが
さらに、重層的な味を構築していた。



*

続いては、
クール(ハツ)と
ジェジエ(砂肝)が、
ブロシェット(串刺し)で
焼き鳥風に供された。

それぞれ、
ひと口でパクリ。

山鳩のは初めてで、
クールはアッサリ味だったが、
ジェジエには仄かな苦みが
感じられて、いかにも、
野生種を思わせた。



**

メインは、
ポワトリーヌ(胸肉)のロティを
フォア(レバー)を用いた
濃厚なサルミ・ソース。

ガルニは、
カステルマーニョという
イタリア産の
熟成フロマージュ(チーズ)を
用いたラビオリのグラタン。

まずは、
ソースに触れていない部分から、
火入れしたままの
素の味を賞味した。

繊細で高貴な香りが
鼻孔をくすぐり、
次いで、独特のサン(血)の
鉄分の味が味蕾に感じられた。

まごうことなき
最高峰のピジョンの味である。

メキシコ料理の
「モーレ・ネグロ」
(チョコレートソース)のような
見た目・テクスチュアだが、
ガラやフォア(肝)で創れらた
濃厚このうえないソース。

本来は、
一羽を半身で二人分に
デクパージュ(切り分け)されるが、
今回は、特注アラカルトなので
丸々一羽分を堪能した。

これほどの濃厚ソースでも、
野禽の身肉の力強さは
少しも負けていず、
皮は薄くて体脂肪率も
「0」かと思うほどの
引き締まったジビエであった。

クルマで出向いた
デジュネ(ランチ)故、
グラン・ヴァンとの
マリアージュは叶わなかったが、
ヘビータイプの
『シャトーヌフ・デュ・パプ』
(ローヌ)なぞは
ガッシリ受け止めるだろうな・・・と、
脳内マリアージュをしてみた。



**

続いては、
また野禽料理のような
シンプルなキュイソー(腿)と
ピロン(手羽元)。

これは、
両端を持って、
ガシガシと齧る(笑)。

その刹那、脳内には、
名作『ヴァベットの晩餐会』での
将軍が鶉を
同じようにガシガシやるシーンを
彷彿させられた。

同時に、野禽一羽を
食べ尽くす・・・という
野趣をも感じられた。



*

マダムが
「ミルキーな美味しいバターですよ」
と仰って、
天然酵母のパンを
持ってきて下すった。

言われるがままに、
ナッペしてみると、
なるほど、極上なブールであった。

シェフは、
カステルマーニョの現物を
持ってきて下さり、
素材の味見もさせて頂いたが、
パルミジャーノの味に
ややゴルゴンゾーラの風味が
ふとするようだった。

アオカビが出始めた頃が
熟成のピークのようで、
シェーヴル(山羊乳)ではなく
fromage de vache(牛の乳)だそうな。



**

時に手づかみの
野禽のフルコースは、
お上品な二品のデセールで
ホッと安堵するような
甘やかな時を迎えた。

つづいての
プチフールも頂き、
最後は、つんもりクレマの立った
香り高い熱々のエクスプレスで〆た。

それは、さながら、
極上の茶懐石の〆に頂く
お薄のようであった。

 



*

ふと、窓辺に目をやれば、
「もうすぐ、ノエル
(Xmas)だなぁ・・・」
と想わせるオナメントが
ひっそりと飾られていた。

***

来月は、
ノエルの二日後に
ジビエ第二弾の
「ペルドロー(山鶉)」
を試食すべく、
シェフにアラカルトをオーダーした。



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