用事がてら
昼食をしに出かけたら、
突然の雷雨に遭遇した。
歌舞伎の科白じゃないが、
まさに、
「一天俄かに掻き曇り」
叩きつけるような豪雨に
ワイパーも効かないような状態で、
どの車もヘッドライトを点灯していた。
家に着いても
雷は鳴り止まず、
ドッカン、ドッカンと、
恰も空爆のごと
落ちていた。
例年ならば、雷鳴と共に
梅雨が明けるものだが、
今年はまだ長引く模様である。
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『あまちゃん』を語る
物語の重層性
奈保子。『あまちゃん』は、ひとりの少女が夢を叶える、というビルドゥングスロマン(成長物語)でもありますよね。
先生。うん。ヒロインのハッピーエンドは、希望に満ちた普遍的テーマだものね。
奈保子。でも、「故郷編」では、春子の青春が執拗に描かれていて、まるで、物語はここから始まった…というかのように、北三陸線のテープカットのシーンが何度も出てきましたでしょ。
先生。はいはい。なんだか、春子は、もうひとりのヒロインのようでしたね。それと、キョンキョン(小泉今日子)自身が元アイドルだったから、なんだか現実とドラマがオーバーラップして、まるでマトリョーシカ構造のようでもありますね。
奈保子。登場人物名を見ると、夏に春子にアキ…と、四季の巡りから、円環する時をも暗示させます。
先生。そうですね。アキが春子と同じ海女をやったり、アイドルを目指したり…と、まるで世代間伝達のようですものね。
奈保子。春子は、父親が遠洋漁業でずっと不在でしたが、アキの父親もタクシードライバーなので勤務が深夜に及んだりしてかなり不規則だったんじゃないかと想像できるんです。ですから、どちらも父性性の物理的不在と心理的不在の傾向があったんじゃないかと思うんです。
先生。なるほど。それは面白い視点だね。すると、どっちも、ややプチAC(アダルト・チルドレン)の傾向があったかもしれないね。
奈保子。はい。ですから、春子は「プチぐれ」になったり、家出という不適応行動に至り、アキは「引きこもり」になりましたね。
先生。まさしく、ACの世代間伝達ですね。どちらも、若干、機能不全家庭だったんだ。
奈保子。春子の場合は、夏の母性性が強すぎて、いわゆるグレート・マザーに呑み込まれまいとしていたんだと思います。
先生。母娘結合の切断をし、社会性を促す父性性が不在だったものね。だから、「母殺し」の家出だったんですね。
奈保子。北鉄「開通の日」が、彼女の「家出決行の日」というのは、なんだか、「北三陸に縛られている娘」は死んで、東京で再生するという、「死と再生」がコンステレート(布置)しているように見えますね。
先生。そうだね。そしてそれは、ユイちゃんとも重層的な構造になってるね。
奈保子。そうなんです。それと、ユイ・ママも東京に出ていっちゃいますね。
先生。そうそう。それともどこかで繋がっている。
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