万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

投票は景気回復への第一歩

2012年12月16日 16時03分00秒 | 日本経済
苦境シャープ、2960人が会社去る 早期希望退職(産経新聞) - goo ニュース
 前回の衆議院選挙と比較しますと、午後2時の調査における投票率は、今回のほうが7%から8%ほど下回りっているそうです。国民の出足は鈍いようですが、大手電機メーカーの大量リストラが報じられる中、投票所で一票を投じることは、景気回復の第一歩なのではないかと思うのです。

 民主党政権が成立して以来、民主党は、急激な円高と深刻な電力危機を引き起こすことで、露骨なほどの産業虐めを繰り返してきました。利権獲得のためにか、中国や韓国、そして、再生エネ事業者だけは優遇する一方で、自国企業や既存の産業に対しては、冷酷な仕打ちに終始してきたのです。この結果、産業の空洞化は進行し、失業による生活保護世帯の数も最多記録を塗り替え続けています。政府主導の技術流出も懸念されており、世界広しといえども、自国の産業を本気で潰そうとした政権は、日本国の民主党ぐらいなのではないでしょうか。そして、他の政党の大半も、脱原発や卒原発を訴えるなど、民主党路線の継承、あるいは、さらなる衰退化政策を主張しています。

 幸いにも、今回の選挙では、経済政策やエネルギー政策も争点となっており、現行の自国衰退政策を根本的に転換させるチャンスでもあります。”一票を投じても、どうせ政治は変わるわけはない”、と諦めるのは早く、自らの職と生活を守るためも、投票所で一票を投じることは、決して無駄なことではないと思うのです。

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仕掛けられた戦争-左翼はどのように対応するのか

2012年12月15日 15時39分24秒 | 国際政治
楊外相「日本と断固闘争」 上陸も視野 侵犯常態化へ(産経新聞) - goo ニュース
 選挙を明日に控え、左派政党の候補者の主張は、戦争反対に比重を移してきているようです。自民党政権が誕生すると、即、戦争が起きるかのように…。しかしながら、戦争を仕掛けられた時、左翼政党は、どのように対応するつもりなのでしょうか。

 自国が他国から軍事的な攻撃を受けた場合、政府が、”戦争は絶対にしない”と決断しますと、それは、無条件に相手の要求を飲むことを意味します。つまり、戦わずして、尖閣諸島の領有権を中国に譲ることになります。あるいは、尖閣諸島への軍事的圧力を背景に、中国は、日本側から自発的に共同管理を提案するよう迫るかもしれません。圧力に屈して、日本国政府が戦争よりも譲歩を選べば、領有権の半分は、中国の手中に入ります。これらの行動は、戦争を回避したのですから、一見、”平和主義”を貫いたようにも見えます。左翼政党にしてみますと、この時こそ、平和主義の理想が実現した、記念すべき瞬間なのかもしれません。しかしながら、何れの行為も、中国側の国際法違反であることは明白です。日本国の戦争回避の判断は、中国の国際法違反の行為を追認し、国際社会の法秩序を崩壊させることに他ならないのです。このことは、左翼の人々が崇高な精神として礼賛する日本国の”平和主義”が、忌まわしき暴力主義の協力者となり、悪の側に引きずり下ろされることを意味しています。平和主義と暴力主義は、手に手を携えて、奈落の底に堕ちてゆくのです。

 中国の領土的野心が、尖閣諸島に留まるとは思われず、次は沖縄、そして、最後には本土にまで及ぶことでしょう。そして、日本国にも、チベットや東トルキスタンで起きてきた虐殺の悲劇が待ち受けていることでしょう。暴力主義が牙をむくとき、戦争回避を絶対命題とする平和主義が、正義に適った正しい選択であるとは、私には思えないのです。

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北朝鮮のスポークスマン化する韓国

2012年12月14日 11時17分15秒 | アジア
北の変化「教えてあげたかった」…韓国報道官(読売新聞) - goo ニュース
 先日、周辺諸国の裏をかくように、ミサイル発射を敢行した北朝鮮。不意打ちを食らう形となった背景には、ミサイルの発射台からの取り外し情報に基づく、韓国による”打ち上げ延期”の観測がありました。

 韓国政府発の情報が、北朝鮮を利した格好となったわけですが(否定も肯定もしない黙認の上での延期示唆とも…)、韓国報道官は、ミサイルが再設置されたこと把握しながら、”教えてあげたかったができずに残念”と弁明しているそうです。日米とも、自身の衛星情報から再設置を把握していた可能性はありつつも、結果としては、韓国政府は、北朝鮮の策略に加担することになったのです(少なくとも、訂正情報の発信を急いだ形跡は見られない…)。韓国政府は、真っ先に、自国内部における北朝鮮の工作活動を疑うべきなのですが、この事件に続いて、韓国政府は、”北朝鮮が、近々、核実験を行うとの見通しが強まった”とも公表しています。この見解も、よく考えてみますと、北朝鮮の意向を、韓国政府が代弁しているかのようです。つまり、北朝鮮は、韓国政府を通して、核実験計画を公表したかの如くです。これではまるで、韓国は、北朝鮮の協力者、あるいは、スポークスマンと化したようにしか見えません。

 これまで、北朝鮮に対しては、日米韓が連携して対峙する構図によって説明されてきました。しかしながら、今回の一連の動きを見ておりますと、韓国は、密かに、中国・北朝鮮側の陣営に組み込まれつつあるのかもしれません。北朝鮮と同様に、挙動不審な韓国に対しても、警戒を怠ってはならないと思うのです(そして、自国内部の北朝鮮工作員にも…)。

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原発再稼働反対派の冷酷-失業容認

2012年12月13日 15時53分26秒 | 日本政治
 脱原発や卒原発を主張する左翼勢力の人々は、きまり文句のように、”経済を安全に優先させるとはできない”と訴えています。反対派の人々の目には、原発再稼働を訴える人々は、”人命軽視の欲たかり”に映るようです。

 しかしながら、経済重視は、口汚く罵られるほど、悪辣な態度なのでしょうか。左翼の思想そのものが、労働という経済活動の一環に土台にしていることを考えますと、この態度は、自己矛盾でもあります。日本国内から雇用が失われれば、労働の場もなくなり、左翼勢力もまた、基盤を失って衰退してゆくことでしょう。経済こそが、人々の生活の糧であることは、どの時代も変わりはありません。農業が主要産業であった時代でも、水源の汚染を理由に、水田への水の供給が止められたり、使用料が高騰すれば、収穫も減少し、人々は、飢餓に襲われたはずです。左翼の人々は、国民に対して、”命こそ一番大事なのですから、職や所得を失っても、貧困に瀕しても、我慢すべきですね”と言葉巧みに同調を求めているのです。しかしながら、その先に待ち受けている悲惨な光景を、正確に予測しているのでしょうか。しかも、先の水田の例に譬えれば、水源は、0.01%確率で汚染されている可能性があるに過ぎないにも拘わらず、100%危険であるかのように宣伝し、水源の水を一滴たりとも使わせないようにしているのです。

 安全の確保もまた、原発ゼロや全原発廃炉のみが、唯一の手段ではありません。原発を使いながら、安全性を強化したり、先端的な安全システムを開発するという、別の道もあります。技術力によって、0.01%のリスクを、限りなく0に近づけることもできるのです。脱・卒原発派の人々の経済軽視、すなわち、失業容認こそ、冷酷な態度なのではないかと思うのです。

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北朝鮮のミサイル発射-”騙し打ち”の予行演習か?

2012年12月12日 15時20分36秒 | アジア
ミサイル取り外しの動き、「見せかけ」の可能性(読売新聞) - goo ニュース
 昨日まで、発射台からのミサイル取り外し作業が観察されたことから、”当面はミサイル発射はない”と見られていた矢先、北朝鮮は、不意を突くかのように、本日午後、ミサイルをフィリピン沖に向けて発射しました。表向きは、衛星の打ち上げとされていますが、長距離弾道弾ミサイルの発射実験であることは疑いようもありません。

 ところで、北朝鮮は、今回の実験では、念には念を入れて、周辺諸国の裏をかこうとしたようです。先立っては、技術上の問題が見つかったことを敢えて公表し、発射期間も29日まで延長しました。秘密主義の北朝鮮としては、異例なほどに素直に実情を公表したのです。加えて、ミサイル取り外し作業まで行ったのですから、周辺諸国が油断してしまったことも、無理からぬことです(別のミサイル基地から発射したという説も…)。最近になって、北朝鮮が、これまで以上に自国の映像を海外に発信するようになった理由は、映像を用いることで、国際社会を騙そうとしたのかもしれません。北朝鮮は、決して秘密主義から転換したのではなく、情報発信を騙しの手段に使っているに過ぎないのです。

 北朝鮮とは、手段を選ばない無法国家ですので、仮に、北朝鮮が、戦争に訴えるとしますと、それは、”騙し打ち”を以って始まるのではないでしょうか。突然のミサイル発射の目的が、周辺諸国の対応力や迎撃態勢を確認することにあったとしますと、今回のトリッキーな工作は、”騙し打ち”の予行演習であったかもしれないと思うのです。どこまで他国を騙せるのかを知るための…。

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再生エネは期待の新産業か-”タコ足経済”になる怖れ

2012年12月11日 15時19分29秒 | 日本経済
自民、絶対安定多数の勢い=民主激減、100議席割れも―衆院選情勢【12衆院選】(時事通信) - goo ニュース
 民主党など、脱原発を選挙公約に掲げている政党の多くは、再生エネを成長が期待される新産業に位置付けることで、有権者に支持を訴えています。しかしながら、再生エネは、既存の産業に代替する成長の原動力となり得るのでしょうか。

 再生エネによるエネルギーは、現在、他の電源と比較して割高であるために競争力がなく、再生エネ法によって手厚過ぎるほど手厚く保護されています。つまり、事業者間で競争が働かない仕組みの中で、再生エネの普及が促進されているのであり、この点、地域独占が批判されている既存の電力会社と変わりはありません。政府が打ち出している電力自由化とは、既存の電力市場を想定しているらしく、再生エネ法に対する態度は曖昧です。仮に、再生エネ法を廃止せずに、この分野への投資を増やすとしますと、当然に、電力料金の高騰は、産業と国民を直撃し、既存の産業に対しては、破滅的な効果を及ぼします。そして、それは、”タコ足”、つまり、タコが自分の足を食べてしまう現象に類似しているのです。再生エネが普及すればするほど、電力料金という基礎的な費用が増加し、それが、企業の収益と国民生活を圧迫し、全ての物価が上昇するとともに、国際競争力も失われてゆくのですから。再生エネ事業者だけは、一定の収益が確保できますが、所詮は、強制的な国民負担によるものであり、各政党がアピールしている新産業による雇用の拡大とは、国民負担の増加を意味するに過ぎません。再生エネは、成長どころか、衰退の原動力になりかねないのです。

 各政党は、国民に再生エネの夢をばらまいていますが、”タコ足経済”になる怖れがあることを、国民に正直に説明するべきなのではないでしょうか。それとも、再生エネ法を廃止して、自由競争による再生エネ電力の低価格化を目指すのでしょうか(低価格化できなければ、再生エネは、市場から撤退することに…)。リスクを語ることなく、魅力的な言葉を並べることは、前回の選挙と同様に、国民を騙すことになると思うのです。

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比外相の日本の軍事力強化歓迎-アジアに新時代が到来する

2012年12月10日 15時34分08秒 | アジア
日本の軍事的強化「歓迎」=「中国の対抗勢力に」と要望―比外相(時事通信) - goo ニュース
 近年、経済大国化を背景に、中国は、急速に軍事力を拡大させてきました。アジアに華夷秩序を構築してきた歴史があるだけに、中国の覇権主義の野望は、留まるところを知りません。こうした中、フィリピン外相は、フィナンシャル・タイムズのインターヴューに応える形で、日本国の軍事力強化を支持したと報じられております。

 戦後一貫して、日本国の左翼勢力は、”先の戦争で甚大な被害を受けたアジア諸国は、日本国の軍事的プレゼンスに反対している”と主張してきました。ところが、フィリピン外相は、この”虚像”を自らの言葉で初めて明確に覆し、日本国と共に中国包囲網の一翼を担う意思があることを表明されたのです。膨張しつつある大国の軍事的脅威に対しては、周辺諸国が結束して押さえ込むことは、バランス・オブ・パワーの原則に従うものです。中国が、国際法を順守せず、主権平等も民族自決をも否定する以上、周辺諸国は、軍事力を以って、中国の拡張主義を阻止するしかないのです。もし、この構想が実現すれば、それは、アジアの歴史において重大な転換点ともなります。史上初めて、独立した主権国家が集い、覇権主義を打ち砕くべく連携することになるのですから。

 中国包囲網を形成する構想は、”自由と繁栄の弧構想”の一環としても主張されてきましたが、フィリピン外相の発言は、アジアに新時代が到来することを予感させます。そしてそれは、中国が目指す華夷秩序復活構想と対峙し、それを阻止することでもあるのです。今度こそ、日本国は、同盟国であるアメリカとともに、アジアに法と正義に基づく秩序を、そして自由と平和を確立するために、国際社会に対する責任を果たすべきなのではないでしょうか。

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日本国の右傾化は防御的

2012年12月09日 15時43分03秒 | 日本政治
 近年、日本国が、尖閣諸島や竹島の領有権をめぐって周辺諸国と火花を散らしていることから、諸外国からは、日本の右傾化を懸念する声が上がっているそうです。右傾化と言いますと、どこかマイナス・イメージで語られることが多いのですが、今日の日本国の右傾化とは、敢えて言うならば、防衛的な右傾化、あるいは、正常化なのではないかと思うのです。

 中国や韓国・北朝鮮や国内の左派政党は、右傾化と表現することで、おそらく、日本国は、”危険な国家”というイメージを振りまきたいのでしょう。しかしながら、現在の日本国は、国際社会の秩序を重んじ、戦後に確立した主権平等の原則や民族自決権を尊重しています。中国は、日中戦争を”侵略戦争”と批判していますが、国際法が未整備であった戦前でさえ、日本国は、国民党軍や共産党軍と交戦状態にはあっても、中国大陸の領土を武力で併合してはいません(汪兆銘政権を支援…)。一方、左派が理想視する中国は、戦後に至ってからもチベットや東トルキスタンを事実上武力併合し、主権も領有権も奪っております(韓国は、竹島を武力で不法占拠…)。韓国・北朝鮮はもちろんのこと、思想的には左派でありながら、中国もまた、攻撃的で侵略的な国家なのです。今日の日本国は、逆に、軍事力を拡張させた中国や韓国・北朝鮮の領土的野心に晒されており、現在の日本国は、防御的な理由から右傾化しているのです。

 領土的な野心を伴う攻撃的な右傾化ではないのですから、それは、本来、危険な存在ではないはずです。もし、危険であると感じる国があるとすれば、それは、日本国に対して侵略的な意図を持つ国に他なりません。自らの野望を阻止される可能性が高まるのですから。日本国は、領土に関する解決方法も、第一義的には、ICJなどを利用した平和的な解決を模索しております。そして、相手が国際法を無視して武力行使を行う可能性があるからこそ、軍備の強化を必要としているのです。徒に日本脅威論を煽りますと、中国や韓国・北朝鮮の”攻撃的な右傾化”を助長することになるのではないかと思うのです。

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宣戦布告なき真珠湾攻撃-通説は覆されたのか

2012年12月08日 16時18分22秒 | 国際政治
真珠湾攻撃から71年、3000人が犠牲者追悼(読売新聞) - goo ニュース
 本日12月8日は、日本軍がハワイの太平洋艦隊基地を攻撃した、真珠湾攻撃から71年目に当たります。日米交渉の決裂が決定的となった末の開戦でしたが、無通告であったため、”宣戦布告なき騙し打ち”としてアメリカ世論を激昂させることにもなりました。

 これまで、真珠湾攻撃については、駐ワシントン大使館の不手際により、攻撃が開始されてから1時間後にアメリカ側に手渡されることになったと説明されてきました。ところが、本日の日経新聞によりますと、最近になって、米国立公文書記録管理局で発見された資料から、実際の理由は、現地大使館ではなく、本国外務省の打電が遅れたからであったとする研究が発表されたそうです。その根拠は、アメリカ軍の傍受記録によるものなそうですが(アメリカ側は、傍受しながら通信会社が暗号解読に手間取り、真珠湾基地に警告できなかったとも…)、これは、通説を覆す新事実なのでしょうか。紙面に掲載された表によりますと、最後の部分の電文-902号14部-が外務省から送付されたのは(902号は全部で14部から構成…)、日本時間の7日4時38分のことです。ところが、先に発信した902号13部(日本時間午前1時25分)との間に15時間の開きがあり、その間に、2本の訂正電文が入っているそうです。訂正電文の発信も、13部が打電されてから10時間が経過しており、この時間的な空白から、この資料を発見した九州大学の三輪宗弘教授は、意図的に外務省が電文を遅らせたのではないかと推測されているようです。確かに、この空白の10時間は謎ですが、真珠湾攻撃の開始時間は、日本時間8日3時20分です。つまり、現地大使館が14号を受け取ってから攻撃までの間には、約半日の余裕があるのです。本気で奇襲攻撃をかけようとするならば、14部は、攻撃開始後に発信するのではないでしょうか(もちろん、訂正電文に”8日3時20分以降に通告文書を渡すべし”とあったならば、別ですが…)。このように考えますと、外務省からの打電が遅れたことは判明したものの、通説を否定するまでには至っていないのではないかと思うのです。

 それにしましても、明治以降、国際法の遵守に努めながら、開戦という一大事に際し、”宣戦布告なき騙し打ち”と見なされたことは、返す返す、残念なことです。日米開戦を前にした12月1日の御前会議では、無通告攻撃は絶対にあってはならないとし、開戦30分以上前には宣戦布告を手渡すことが正式に決定されていました。国民の多くが、不本意にも国際法違反となってしまったことに対して、良心の痛みを感じていることが、せめてもの救いに思えるのです。

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原発継続こそ日本国民の覚悟では

2012年12月07日 11時16分17秒 | 日本政治
「脱原発」一色の選挙戦 東京18区で菅前首相「使命であります!」(産経新聞) - goo ニュース
 今年9月、野田首相は、2030年までに原発をゼロにする新たなエネルギー政策の方針を発表するに当たって、”原発ゼロは国民の覚悟”と述べました。しかしながら、原発継続こそ、真の国民の覚悟なのではないでしょうか。

 ここ数日、本ブログでも、「日本未来の党」のネット世論調査の顛末について書いてきましたが、閉鎖されたサイトの円グラフでは、参加者の大多数が脱原発に反対に票を投じていたそうです。このことは、野田首相が言う”国民の覚悟”は、一部の少数の国民の覚悟に過ぎず、実際には、国民の多くは、政府の説明のようには原発ゼロを支持していないことを示しています。過激な脱・反原発論者と一括りにされ、”国民の覚悟”の掛け声の下で、原発ゼロの路線をまっしぐらに直進されたのでは、国民は、民主党と無理心中をさせられるようなものなのです。幸い、「日本未来の党」が世論調査で失態を演じたため、国民多数の意見が思いもかけず表面化したものの、真の世論が隠されたまま選挙が実施されそうになったのですから、民主主義国家であるはずの日本国は、中国並みの極めて危険な状態にあったことになります(政府が世論を捏造する…)。日本人は、兎角に、”皆が○○している”という言葉に弱いそうですが、この国民性を利用した心理作戦であったのかもしれません(政府が国民の謀略を仕掛けている…)。

 福島第一原発の事故を経験し、国民の多くは、原発にはリスクが伴うことを痛いほど承知しています。被災された福島の方々を気遣ってもおります。しかしながら、それでもなおも逃げることなく、原発リスクを受容し、直面する危機を果敢に乗り越えていこうとしているのです。政府も、政党も、むしろ、この日本国民の覚悟こそ、尊重すべきではないかと思うのです。

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反原発世論の捏造-民主党政権を直撃した日本未来の党

2012年12月06日 16時12分16秒 | 日本政治
嘉田代表、名簿混乱で釈明「1週間で何もかも」(読売新聞) - goo ニュース
 日本未来の党は、相次ぐ不祥事により、自滅したとの評も上がっております。確かに、政党名簿の混乱については、自滅という表現が相応しいのですが、世論調査サイト閉鎖事件は、自滅というよりも、その破壊力は、脱・反原発を掲げる他の政党をも巻き込んだようです。

 特に、世論調査サイト閉鎖事件で直撃を受けたのは、民主党なのではないかと思うのです。民主党は、2030年に原発ゼロを目指す脱原発方針を決定するに当たって、”国民の声”や”国民の覚悟”を根拠として挙げていました。政府は、内閣府や経産省…も動員して、あの手この手で”世論は脱原発”を演出してきましたので、その誘導効果は、絶大と信じていたのでしょう。意見聴取会、討論型世論調査、パブリックコメント…どれを取りましても、調査結果は、”国民は脱原発を支持している”というものでした。ところが、蓋を開けてみますと、日本未来の党が先日実施したネット上の世論調査では、圧倒的多数が、脱原発に反対を表明していたのです。この結果に不満であった「日本未来の党」は、サイトを閉鎖するとともに、さらに批判が強まると、自党とは関係ないと回答した挙げく、最後は、遂に、自らが開設したことを認めるという失態を演じました。この失態で、「日本未来の党」は、国民からの信頼を失うとと同時に、民主党政権の信頼性をも失墜させてしまいました。つまり、”未来”の党は、未来の政権政党に相応しくないことを自ら示すとともに、民主党政権の”過去”の詐欺的な政権手法、つまり、反原発世論の捏造をも暴露してしまったのです。

 反原発世論の捏造には、マスコミも関与しましたので、その責任も重いのですが、政府が、民主的な正当性を得るために、民意を捏造した罪は、さらに重いのではないかと思うのです。表向きは民意に従うように見せながら、その実、自らの無謀な政策を国民に押し付けようとしたのですから。脱原発の結果、産業が衰退し、国民生活も逼迫するようになっても、おそらく、民主党政権の面々であれば、世論を捏造しておきながら、”それは、国民が決めたこと”として、国民に責任を擦り付けたのではないかと思うのです。

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家庭向け電力自由化の天国と地獄

2012年12月05日 15時35分16秒 | 日本経済
家庭向け料金設定、段階自由化 電力小売りで経産省方針(フジサンケイビジネスアイ) - goo ニュース
 経済産業省は、家庭向け電力小売りについても、段階的に自由化を進める方針を公表したそうです。杜撰な制度設計と見切り発車では、再生エネ法の二の舞となる怖れがあるのですが、果たして、この制度には、どのような運命が待ち受けているのでしょうか。

 独立系の発電事業者もあるにはあるものの、現行の制度では、一つの電力会社が、原子力、火力、再生エネの各電源による発電事業を包摂しています。電源によるコスト差は、一つの電力会社が販売元となることで、内部で平均化されているのです。ところが、電力小売りが自由化されるとなりますと、各家庭は、自由に電源の異なる発電会社と契約を結ぶことができるようになります。予測される一般家庭の行動は、当然、最も安い価格の電力を供給する電力会社と契約を結ぶことです。この制度では、各家庭は、再生エネ事業者だけを選択することもでますが、現実には、原発容認の国民の方が多いのですから、通常の価格の数倍に上る高値の再生エネ事業者と契約する家庭は、そう多くはないはずです。再生エネ導入によるコスト高は、自発的に再生エネ事業者と契約した家庭の負担となりますので、現行の強制負担よりは、公平な制度ではあります(再生エネ法は廃止?)。結局、自由競争を導入しますと、輸入燃料代が嵩む火力事業者も苦戦し、最終的には、原発を擁する電力会社が圧勝するシナリオもあり得ないことではありません。電源によるコスト差を無視して自由競争するのですから、これは、当然の結果なのです。

 再生エネ法による国民負担がなくなりますので、この点、一般の国民にとりましては、電力自由化は、朗報とはなります。その一方で、発送電の分離を想定しているとしますと、日本の送電施設が、中国系ファンドといった外資の手に握られ、国家の根幹にかかわるエネルギー部門を押さえらてしまうと共に、日本国民が、不利益を蒙る可能性もあります。このように考えますと、再生エネ法の見直しも含めて、エネルギー政策については、今月発足する新政権の下で、仕切り直しが必要なように思うのです。

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「日本未来の党」は「日本過去の党」になる?

2012年12月04日 15時42分38秒 | 日本経済
衆院選2012 未来が公約発表 「卒原発」工程表作成(産経新聞) - goo ニュース
 突如、女性の嘉田滋賀県知事を看板に、卒原発を掲げて登場してきた「日本未来の党」。ネット上で世論調査を実施したものの、大多数が脱原発に反対に投票したことで、既に、この路線は行き詰っているようです。

 卒原発路線の行き詰まりは、卒原発の道筋についても言えることです。嘉田代表は、卒原発の実現によって生じた電力料金の値上がりは、交付国債を発行することで、対応すると述べています。卒原発が、電力料金の大幅値上げを招くことを率直に認めている点は、評価すべきことなのですが(電気料金値の大幅上昇を伏せている政党もある…)、その額、一体、どのくらいになるのでしょうか。今でも、原発稼働停止により、3兆円ほどの火力燃料費がかかっております。加えて、再生エネが普及すれば、さらに電力料金は上昇し(太陽光に至っては、42円という法外な高値…)、卒原発に伴う廃炉費やスマート・グリッドの整備のための費用なども合わせれば、恐ろしい額に上ります。増税を避けるために、交付国債と主張しているのでしょうが、毎年、電力補助金のためだけに、最低3兆円以上の交付国債を発行し続けるとしますと、財政破綻は目に見えています。霞が関の埋蔵金も掘り尽くされているそうですし、電力料金の値上がり分の補填の他にも、「日本未来の党」は、民主党以上に民主党の政策を引き継ぎ、”ばらまき政策”を公約に掲げてもいます。たとえ、政権与党となっても、こうした給付中心の政策が、早晩、財源問題で立ち往生することは、民主党政権の3年4カ月を振り返れば、誰もが理解できます。

 「日本未来の党」は、自らの政党が示す悲惨な未来の予測図を冷静に分析することができず、かつ、過去の失敗した政策を引きずっているとしますと、現実の世界では、自滅してしまうのではないかと思うのです。そして、掲げる公約の理想が、現実には逆となるのと同様に、「日本未来の党」もまた、「日本過去の党」となるかもしれないのです。

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日銀の金融緩和―中央銀行の債権買い取りは普通の手段

2012年12月03日 15時46分24秒 | 日本経済
脅かされる日銀の独立性 「安倍総理」で大丈夫か? 無制限の金融緩和を提唱(東洋経済オンライン) - goo ニュース
 日銀に対する安倍自民党総裁の金融緩和要求をめぐり、”日銀引き受けは禁じ手””日銀の独立性を脅かす””ハイパー・インフレーション”を起こす、といった反論の声が聞かれます。しかしながら、中央銀行の歴史を振り返りますと、債権の買い取りによる通貨の供給は、中央銀行の基本的な金融機能の一つでもあります。

 中世以来、金・銀・銅といった希少金属が不足していたヨーロッパでは、商人達が発行した為替手形が、紙幣の役割を果たしていました。為替手形が流通することで、硬貨が乏しくとも、活発な商取引が可能となったのです。発行された手形は、高い信用の下で、最後には、市場に店を構えた両替商が現金と引き換えられました。やがて、通貨供給の仕組みは、債権一般にも用いられるようになり、銀行は、市中から債権を買い取ることで、市場に通貨を供給する役割を果たすようになります。現在の中央銀行制度とは、中央銀行が、通貨発行権を独占した形態であり、当然に、債権買い取りによる通貨供給機能を備えているのです(政府紙幣の形態もありますが、現在では、殆ど用いられていない…)。金融政策の主要な手段の一つとされる公開オペレーションは、この伝統を引き継ぐものであり、中央銀行は、日常業務として、債権を市中の金融機関から買ったり売ったりすることで(買いオペと売りオペ)、通貨供給量を調整しています。際限なく債権買い取りを行いますと、もちろん、インフレが起きますが(インフレ抑制には売りオペ…)、債権の売買自体は、ごく普通の政策手段なのです。

 デフレ下では、中央銀行が買いオペを増やすことは当然の対応なのですから、日銀が、独立性を盾にしてデフレ対策や円高対策を怠り(デフレでは自国通貨高になる…)、金融緩和を渋るのは、独立性の濫用のようにも思えます。中央銀行による通貨供給機能が正常に働きませんと、経済もまた、不健康になってしまうのですから。

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”第二の真珠湾攻撃”をしてしまった中国

2012年12月02日 15時33分00秒 | 国際政治
米、尖閣防衛を初明記 強い危機感、中国牽制(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、アメリカの議会上院で、尖閣諸島での防衛義務を追加するための、国防権限法の修正案が成立しました。異例の修正案が提出された背景には、誰もがわが耳を疑うような、中国側の爆弾発言があったそうなのです。

 中国が火消しに回っているためか、マスコミでは大々的には報じられていませんが、中国は、クリントン国務長官との会談で、”ハワイは中国領”とする趣旨の発言をしたというのです。これまで、アメリカ政府は、常に、中国に対しては配慮する姿勢を示しており、尖閣諸島問題についても、領有権については中立的な立場にあると表明してきました。しかしながら、この発言を聴いたアメリカは、中国という国が、自らが欲する領域に対して、国際法など無視し、平気で領有権を主張する国であることを、身を以って理解したのではないかと思います。クリントン国務長官は、中国が領有権を主張すれば、アメリカは、仲裁裁判所で自らの領有権の正当性を証明すると応じたそうですが、奇しくも、アメリカは、ハワイをめぐり、尖閣諸島問題を抱える日本国と同様の立場に立つことになってしまったのです(ICJでなくとも、日本国政府も、仲裁裁判所で自国の領有権の正当性を証明するという方法も…)。

 そして、中国のハワイ領有の主張は、71年前の真珠湾攻撃を彷彿させます。もちろん、当時の日本国は、現在の中国のように、ハワイの領有権を主張したわけではありませんが、この不意打ちと見なされた攻撃は、アメリカ世論を対日強硬論に一変させてしまいました。ハワイ領有の唐突な発言が、アメリカを対中強硬論に傾けたとしますと、中国は、事実上、”第二の真珠湾攻撃”をしてしまったのではないかと思うのです。

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