万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民主党は法の支配に基づくアジア秩序の建設を

2009年08月31日 15時32分52秒 | アジア
鳩山民主 中国は「アジア重視」に期待(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党政権の誕生により、中国では、日中関係の大幅な改善を期待しているようです。しかしながら、チベットやウイグルの問題を置き去りにして、日中関係を強化するとしますと、それは、アジアの将来に暗い影を落とすことになるのではないでしょうか。

 チベットとウイグルに対する中国の力による支配は、消滅したはずの植民地主義の亡霊と言えます。台湾には自国や自国民を防衛する軍隊がありますが、チベットやウイグルにはその兵力もなく、このままでは中国の身勝手な支配に甘んぜざるを得ません。中国政府は、チベットやウイグルの苦しい立場を理解せずして、”権利のための闘争”である独立運動を、テロ活動と同列に扱おうとしているようですが、他者の権利を力で奪う行為は、法の正義には反しています。中国の近代化された軍隊を前にして、武力による独立戦争が事実上不可能であるならば、国際社会は、チベットやウイグルの人々を中国の暴力から守る術を考案すべきと言えましょう。

 民主党は、アジアの将来を思うならば、法の支配に基づくアジア秩序の確立を目指すべく、中国との対立を恐れず、チベットやウイグルとの対話に応じるよう提案すべきなのではないでしょうか。中国の植民地主義を、ゆめゆめ是認してはならないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本国民より韓国がフィーバーする政権交代とは

2009年08月30日 15時34分16秒 | 日本政治
韓国メディアも「カウントダウン」 日本の総選挙を注視(朝日新聞) - goo ニュース
 選挙での民主党圧勝の予測を受けて、韓国では、鳩山総理の誕生にフィーバーしているようです。鳩山代表夫妻の写真が新聞の一面を飾り、「新 日本 D3」というフレーズを掲げてカウントダウンを行うぐらいですから、尋常ではありません。

 その一方で当の日本国では、韓国紙が報じるほどに政権交代の熱気であふれているわけでもなく、期待を寄せる人々がいる反面、不安をもって見守る人々もおり、歓迎一色ではありません。韓国のフィーバーぶりは、むしろ、民主党政権の応援団が韓国であったことを如実に物語っていますし、”新 日本”といった表現にも、何か、日本が日本ではなくなるような悪意を感じます。韓国の人々も、外国から”新 韓国”の誕生と言われたとしますと、内心穏やかでいられないのではないでしょうか。

 この現象から見える将来の民主党政権とは、親韓国政策の推進であり、従軍慰安婦問題を始めとして、歴史認識についても、事実確認の作業を経ることなく、韓国の要求をそのまま受け入れることになるかもしれません。日本国民よりも、韓国にとって大歓迎の政権が誕生するとしますと、その先行きが思いやられるのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国に対話路線は禁物

2009年08月29日 15時36分36秒 | 日本政治
《にっぽんの争点:外交安保》対米、連携か 間合いか(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党は、政権与党となった暁には、日米同盟を強化するよりも、アジア諸国との協調路線を優先させると伝えられております。このアジア重視が、中国との関係強化であるならば、敢えて危険な道を選択することになるのではないでしょうか。

 共産党政権の成立以来、中国が、国際法を誠実に順守し、話し合い路線を歩んだというお話はめったに聞きません。台湾問題然り、チベット問題然り、ウイグル問題然り、そうして、尖閣諸島問題然りです。中国の手法は、軍事力で脅すか、既成事実を作るか、あるいは、一方的に国内法を制定して自国領に組み込んでしまうという方法が常でした。この行動パターンから判断しますと、この国に限っては、話し合い路線には限界があると見た方が賢明と言えそうです。力は力で抑え込みませんと、一歩引いた途端に、暴力を振るわれる可能性もあるのですから。

 冷静に分析しますと、融和路線が危険であることはすぐにも分かることです。にもかかわらず、民主党は、何故にか、この最も危険な道を選ぼうとしているのです。中国の経済力に期待しているのかもしれませんが、経済力が増しているからこそ、軍事力の拡大に備えて、自国の防備を固める必要が高まっているのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

力を以て仁を借る者は覇なり

2009年08月28日 15時52分37秒 | アジア
中国、武装警察法を採択 暴動鎮圧・テロ対策を正当化(朝日新聞) - goo ニュース
 孟子の言葉に、”力を以て仁を借る者は覇なり”という名言があります。これは、「兵力権力などで天下をとり、表面だけ仁者をよそおうのは、実は、王道の仁をかりものにしているもので、覇道を行う覇者のやりかたである(『中国古典名言辞典』、講談社学術文庫より)」 という意味なそうです。

 現在の中国の様子を見ますと、まさに、この言葉が戒めた覇者の道を進んでいるようです。現代風にアレンジしますと、”力を以て合法性を借る者は覇なり”と表現すればよいでしょうか。法律さえ制定すれば、如何なる非道な行為も正当化できると信じているのですから。今月27日に、全人代の常務委員会で制定されたという武装警察法の制定は、武力弾圧を、公に法律で認めたに過ぎないのです。

 元より独立の権利があるチベットやウイグルの人々に対して、対話での解決を拒絶する一方で、抵抗運動を力で弾圧する態度は、到底”仁”を備えた者の行為とは言えません。武装警察法は、覇者に手段を与える悪法なのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (6)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

市場統合なき東アジア共同体のリスク

2009年08月27日 21時28分47秒 | アジア
東アジアで通貨統合、安保協力=民主・鳩山氏が米紙に寄稿(時事通信) - goo ニュース
 民主党の鳩山氏は、特に通貨統合と安全保障の分野を挙げて、東アジア共同体を目指すと明言しているようです。これらの枠組みが中国の覇権を許す可能性が高いこともさることながら、このプランには、何故にか、欧州市場の最大の成果とも言うべき市場統合が抜け落ちているのです。

 その理由を推測しますに、おそらく、市場統合には、公平で中立的な共通ルールの導入を伴うからなのではないかと思われるのです。もちろん、通貨統合にも同様の問題が指摘できますが、広域的な市場を形成するためには、自由な経済活動とフェアな競争を実現させるための共通ルールが必要不可欠です。一方、近年に至って市場経済を採用した中国では、市場法そのものが未整備でありますし、共通のルールの導入は、共産党が握っている”経済利権”の放棄をも意味します。鳩山氏が市場統合を敢えて無視している理由は、中国への配慮とも考えられます。

 中国の市場を健全化するためには、むしろ、ルール志向のアプローチの方がふさわしいにも拘らず、中国の政治力がリスクとなる分野をわざわざ選ぶことは理解に苦しみます。法の支配なき中国ほど、周辺諸国の政治にとっても、経済にとっても脅威となるものはないのですから。

 よろしけれな、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フロンティアなき時代の移民の変質

2009年08月25日 17時15分11秒 | アメリカ
ニュースを斬る 「極貧ブルース」が聞こえる 米国境線、仕事をもらえぬ不法移民物語(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 リーマンショック以来の景気後退の影響を被って、メキシコから仕事を求めてアメリカに不正入国した不法移民人々の仕事が激減していると報じられています。本国への帰国を決意する人々も現われているようですが、この現象に、アメリカにおける移民の変質を窺うことができるのです。

 18世紀から20世紀初頭にかけてのアメリカへの移民の多くは、西部開拓に象徴されるように、森林を切り開き、荒野を耕して農地を広げる開拓農民が占めていました。また、アメリカで一旗揚げようとして渡米してきた人々の中には、自ら企業を興し、裸一貫から億万長者となる幸運な人も出現しました。アメリカン・ドリームとは、アメリカの地に根を下ろし、骨を埋める覚悟の人々によって実現してきたのです。しかしながら、フロンティアなき時代の移民は、それ以前の移民とは違っているようです。現在の移民の仕事は、サービス業や単純労働が大半であり、かつ、”アメリカン・ドリーム”とは、アメリカの地での成功物語ではなく、母国に錦を飾ることを意味しているようなのです。つまり、経済格差がある故に、不法移民や正規の移民がアメリカで獲得した外貨が、本国で富裕層を形成しているのです。

 この移民の流動化の現象は、アメリカの移民モデルの転換をも示唆しているかもしれませんし、また、周辺諸国の貧困を根本的に解決するためには、海外移民に頼らない経済発展の手法を編み出す必要性をも示しているかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へにほんブログ村
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原因は小泉改革か、中国の台頭か

2009年08月25日 15時36分31秒 | 日本経済
「かつてないほどに自立困難」…厚生労働白書(読売新聞) - goo ニュース
 投票日を控え、各政党とも現下の不況からの脱出を、有権者に熱心に訴えているようです。特に、派遣問題や失業率の上昇を取り上げて、4年前の小泉改革に全ての原因があるとの主張が聞かれます。しかしながら、より根本的な原因は、中国の経済的な台頭にあるのではなかと思うのです。

 郵政民営化の問題はここでは論じないにしても、少なくとも、正規雇用からの派遣へのシフトや雇用の喪失は、日本企業が、中国の安価な労働力を前に競争力を失ったことによるものです。いわば、現実への対応として現われた政策の一つであって、原因そのものではないのです。日本国を取り巻く外部環境が変化しているのですから、この政策を放棄したとしても、必ずしも日本経済が元の状態に戻るわけではありません。そこで、もし、各政党が、日本経済の復活を試みるならば、それは、小泉改革に代わる競争力回復政策を打ち立てる他にありません。しかも、雇用の安定を守りつつ、中国経済の武器である廉価な労働力に対抗できる何らかの優位性を確保しなければならないのですから、これは、大変な難題なのです。

 日本国が、自由で民主的な国柄であることを利点とするならば、やはり、企業の組織を柔軟化し、豊かな発想を生かす技術力で道を切り開くしかないかもしれません。質の高い製品を作り続け、誠実なるビジネスに努めれば、市場は世界に広がっていると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
コメント (8)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イスラム諸国はウイグルと中国との仲介役に

2009年08月24日 16時13分18秒 | アジア
経済力で反中封印 イスラム諸国と関係強化 胡錦濤指導部 (産経新聞) - goo ニュース
 中国政府による東トルキスタン併合が、非合法的な手段であったことを考えますと、ウイグルの人々には独立した国家を持つ権利があるはずです。中国政府は、得意の宣伝作戦でウイグル人と漢人との”友好”を演出しようとしてるようですが、ウイグル人の自治権の承認を伴わなければ、無意味なのではないでしょうか。

 ウイグル人と漢人は、歴史、言語、慣習、宗教、伝統文化が異なる異民族ですので、中国政府がウイグル人の定住地を自らの版図に組み込み、漢人の入植者を送り込むことは、明らかに異民族による植民地支配です。植民地主義は、戦後の国際社会では放棄されたのですから、中国もこの国際ルールに基づいて、ウイグル人に統治権を返還すべきと言えましょう。香港やマカオが返還されたように。現在の悲劇は、ウイグル人が、国境管理や治安に関する権限をはじめ、自らを守るための権利を一切保有していないことに原因があるのです。

 イスラム諸国は、中国の経済支援に惑わされることなく、ウイグル人の権利の擁護を訴えるべきであり、むしろ、ウイグル人と中国との間の交渉役を買って出るべきなのではないでしょうか。連邦制であれ、自治共和国であれ、完全な独立した国家であれ、ウイグル人が自治権を獲得すよう協力すべきと思うのです。  

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (8)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党は本心からの地方思い?

2009年08月23日 16時02分07秒 | 日本政治
マニフェスト点検「分権」…財源と権限、地方渇望(読売新聞) - goo ニュース
 地方分権が声高に叫ばれ、自民党も民主党も分権化の方針には賛成のようです。自民党が主張する道州制の導入にも問題がありますが、民主党もまた、本心から地方を思って市町村の重視を訴えてるのでしょうか。

 何故このような疑問を抱くのかと申しますと、民主党が、沖縄ビジョンなる計画を提起しているからです。沖縄ビジョンとは、沖縄に1000万人の諸外国の人々を移住させて、経済の活性化を図ろうとするものらしいのですが、果たして、この計画には、沖縄県民の意向が反映されているのでしょうか。もし、日本国政府が一方的に沖縄に大量の移民を招くとなりますと、地方重視と言うよりは、中央の政策の押し付けとなるかもしれません。東トルキスタンでは、中国政府による計画的な移民政策が、ウイグル人と漢人との間の流血の事態を起こしたことを考慮しますと、沖縄県民の同意なき移民政策の遂行は、わざわざ紛争の要因を作り出す行為となる可能性もあるのです。

 地方重視を訴えるならば、移民の増加がもたらすリスクや社会的な影響をも十分に検討した上で、当事者である地方の合意を得る必要があると思われるのです。民主党は、定住外国人への地方参政権付与を進めたいようですが、この問題もまた、国民多数が反対する場合には、世論を無視して強引に法案を成立させてはならないのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国連が加盟国の民主主義を侵害する?

2009年08月22日 15時56分35秒 | 社会
日本の女性婚姻「18歳からに」…国連委が勧告(読売新聞) - goo ニュース
 民法、特に家族法の分野とは、多かれ少なかれ、その国の国民意識や慣習が反映されているものです。国連は、良かれと考えて、民法改正を勧告しているようですが、上からの改革という方法ですと、立法権への介入による民主主義の否定ともなりかねないと思うのです。

 もちろん、日本国の民法では、何故、女性の結婚年齢が男性よりも低いのかを議論しなくてはなりませんし、DNA鑑定が普及した時代においては、六か月の再婚禁止は不合理な規定であるかも知れません。もっとも、女性は男性よりも、子をもうけることができる期間が短いことから、結婚年齢を低くしているのであるならば、それは生物学的な理由となり、必ずしも不当な差別には当たらないとも考えられます。何れにしても、この問題は、日本国民が議論すべきことであって、国連の勧告とは別の結論に至る可能性も否定できないのです。

 法律が不合理であるということと、国連の権限の問題は、基本的には分けて考えるべきであり、国連に立法権があるとしますと、加盟国の国民は、自らの意思や選択を自国の立法に反映させることができなくなります。女子差別撤廃委員会は、民主的に選出された人々によって構成されているのではありませんので、国連が、一方的に上から法案を押し付け、民主主義を蔑にしますと、むしろ加盟国から反感を持たれてしまうのではないでしょうか。 

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無党派層が握る政権の行方?

2009年08月21日 16時24分22秒 | 日本政治
衆院選情勢調査<1>民主旋風、津々浦々に(読売新聞) - goo ニュース
 前回の衆議院選挙では、郵政民営化を訴えた”小泉旋風”の下で、自民党圧勝という結果となりました。今回は、全くその逆の”民主党旋風”が吹いていると伝えられています。

 民主党の獲得議席は、300議席を超えるとも予想されており、こちらもまた圧勝の勢いですが、もし、この予測が実現するとしますと、一つだけ確実に言えることは、無党派層が政権を決定しているということなのではないでしょうか。何故ならば、前回の自民党も、今回の民主党も、特定の固定票によって勝利を手にしたのではなく、不動票が自民から民主に大量に移動したことによって勝敗が決せられたからです。この現象は、国民本位の政治という観点から見ますと、望ましい変化であるとは言えます。政党は、特定の支持団体ではなく、国民一般の利益を考えなくてはならなくなるからです。

 民主党もまた、選挙に勝って政権与党となったとしても、国民からの信託であることを忘れてはならいと思うのです。政治権力を獲得した途端、支持団体向きの政策を強行したり、世論の反対を無視するような政策を行いますと、国民の期待は一気に萎み、支持率の低下に悩まされることになるのですから。
 
 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (10)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮の演出に騙されて政策目的を見失ってはならない

2009年08月20日 15時39分38秒 | アジア
北朝鮮、21日に弔問団訪韓 関係修復探り合いも(共同通信) - goo ニュース
 クリントン元大統領の訪朝以来、北朝鮮は、金大中元大統領の葬儀へ弔問団を送るなど、積極的に関係国との関係改善に乗り出しているようです。しかしながら、こうした”融和”の演出は、北朝鮮の核放棄や拉致被害者の帰国に繋がるのでしょうか。

 答えは、否、のように思われるのです。むしろ、金大中元大統領が太陽政策への道を開いたことを考えますと、迂闊な北朝鮮への妥協は、核開発の時間稼ぎのチャンスを与えるか、あるいは、核保有を認める方向に流されるとも限りません。人的交流や外交使節の交換は、核放棄のための交渉を伴うものではありませんので、これらの諸問題が進展するとは考えられないのです。アメリカや韓国の態度が軟化したところで、北朝鮮が快く核を放棄したり、拉致被害者を解放するはずはありません。

 北朝鮮という国は、外国に工作員を潜入させて宣伝工作や世論操作を行いますので、充分な注意が必要です。各国政府は、北朝鮮が仕掛けた友好ムードに流されて、実現すべき政策目的を見失ってはならないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民投票が国民を政治に惹きつける

2009年08月19日 15時45分05秒 | 日本政治
衆院選 18、20歳「就職が…経済対策を」「上から目線」(産経新聞) - goo ニュース
 かつて民主党は、憲法改正に伴う国民投票を法制化するに際して、国民投票の対象を一般の法案にも拡大するよう対案を提出していたと記憶しています。国民の政治への関心を高め、かつ、現行の制度的な欠陥を補正するためには、国民投票の制度化は、極めて効果的な方法なのではないかと思うのです。

 民主党への政権交代が現実化した背景として、しばしば”一度、民主党に政権を取らせてみよう”という国民意識が指摘されています。国民投票についても、専門家ではない国民に判断を任せることは不安として、反対する人々もいます。しかしながら、国民の権利や義務に直接関連するような法案は、当事者である国民が直接に判断しても何らの問題もないはずです。子供手当制度、公的年金改革法案、定住外国人への地方参政権付与法案、人権擁護法案、家族法の改正法案・・・などは、この方法が適していますし、一時給付金や裁判員制度もまた、本来は、国民投票に付すべき法案であったと言えますしょう(国民の自由、権利、義務に変化が生じる法案や莫大な予算を要する政策・・・)。現状では、国民投票の制度ないがために、国民多数の反対を押し切ってでも、国民に不利益を与える法案が通過することになるのです。

 国民のための政治を掲げるならば、まっ先に掲載すべきは国民投票の導入であり、民主党が、マニフェストへの国民投票の導入の記載を見送ったことは、まことに残念なことです。政党ごとの一括選択であるマニフェスト方式では、国民が全ての政策を支持しているのか分かりませんので、政権発足後にあっても、政治に国民世論を反映させる制度が是非とも必要なのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国家は内部からの破壊に弱い

2009年08月18日 17時06分35秒 | 日本政治
「国旗切って民主党旗」首相指摘、鳩山氏陳謝 党首討論(朝日新聞) - goo ニュース
 外国の国旗を損傷しますと、その行為は、刑法上の罪として刑罰の対象になります(刑法第九二条)。その一方で、刑法には、自国の国旗を侮辱する罪は定められていないのです。

 そのためにか、日本国では、自国や自国民の心情を傷つける行為が平然と行われてきました。あろうことか、日本国の政党であるはずの民主党までも、国旗を引き裂いたマークを使用したと報じられており、その感覚には驚きを禁じえません。民主党は、かねてより人権擁護法案などには賛成の意向を示し、外国人を不愉快にするような行為は差別として糾弾しようと訴えてきましたが、自国や自国民に対しては、いくら侮辱しても構わないと考えているようなのです。

 国民のための政治を掲げながら、これでは、民主党はどこの国の政党であるのか疑問なところです。国家とは、案外、内部からの破壊には脆弱であることを考慮しますと、民主党政権が成立した暁には、内側から壊されてしまうのではないかと心配になるのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。 
 
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (8)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東アジアとEUは違い過ぎる

2009年08月17日 15時42分28秒 | 国際経済
東アジア経済連携協定締結へ、検討開始で合意(読売新聞) - goo ニュース
 東アジアの経済圏が論じられる度に、欧州市場を造り上げたEUが、参考とすべきモデルとして取り上げあられてきました。しかしながら、東アジアとEUとでは、あまりに政治・社会状況が違い過ぎると思うのです。

 そもそも、EUは、自由主義国の集まりとして発足し、現在でも、加盟条件として、経済的な条件の他に、民主主義、基本的自由と権利の尊重、法の支配・・・といった政治的な価値を実現することが求めらています。こうした政治的な条件は、単なるスローガンではなく、EUの機構設計の原則となりますし、また、こうした価値観が加盟国に定着していませんと、加盟国間、あるいは、加盟国と個人との間で紛争やトラブルが発生してしまうのです。翻って東アジアを見ますと、これらの条件が満たされているとは思えません。しかも、もし、EUに倣って”人の自由移動”を認めるとしますと、東アジアの労働市場は、政治力をバックとした中国からの移民で占められてしまうかもしれないのです。また、中国政府が、長野での聖火リレーで起きたように、海外に居住する自国民を政治目的で動員する可能性も否定できません。経済協力の枠組みは、中国による周辺諸国支配の便利な道具と化すかもしれないのです。

 中国では、自国の国内ですら”人の移動”は自由化されておりません。この状態で、海外への自由移動だけは許可するとなりますと、その先の展開は見えています。EUの場合、中国のような人口大国であり、かつ、突出した軍事力を持つ国がなかったわけですから(むしろ、結束によるソ連邦への対抗の側面が・・・)、東アジアに覇権国を誕生させるような経済協力のあり方は、回避した方が賢明なのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする