万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

採用取り消しから子供達が学ぶこと

2008年08月31日 15時42分54秒 | 社会
大分教員汚職 採用取り消しを通達 県教委 大半は不正合格知らず(西日本新聞) - goo ニュース
 大分県の教員汚職事件は、不正合格者の採用取り消しという、重い処分に至ることになりました。中には賄賂の受け渡しを知らなかった教員もおり、自分の意思に因らない点においては同情の余地はありましょう。しかしながら、この事件については、やはり、未来を担う子供達の教育のためにも、厳しくせざるを得なかったと思うのです。

 もし、この事件が、うやむやのままに幕引きとなったならば、子供達は、大人の社会では、お金でなんとでもなるとか、不祥事を起こしても権力があれば責任を取らなくてもよいとか、あるいは、不正採用でも頬被りできると思い込んでしまったかも知れません。大人の世界は汚い、という先入観と諦観が、心に染み込むことになったかもしれないのです。これでは、不正採用による教育レベルの低下に加えて、心の教育も荒廃してしまうことになります。

 厳しい措置のようですが、長い目で見ますと、この事件を通して子供達は、多くのことを学んだかもしれません。試験は公平であるべきこと、賄賂は罪であること、悪いことをしたら責任を取らねばならないこと、などなど。大人達が、不正を正し、かつ、二度と不正が起きない制度作りに真剣に取り組んでいる姿を見せれば、子供達は、その背中を見て育ちます。そうして、何時の日か、次世代の社会造りに繋げてくれるのではないか、と思うのです。

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底なし沼の予感

2008年08月30日 15時02分30秒 | 日本経済
減税含んだ総合対策のばらまき色否めず、政策効果に疑問の声(トムソンロイター) - goo ニュース
 原油や食糧価格の高騰を受けて、政府は、財政拡大政策に舵を切ったようです。しかしながら、もしかしますと、現時点での景気対策としての巨額の財政出動は、むしろ、リスクが高いかもしれないのです。

 何故ならば、肝心の根拠となるべき”不景気”の判断基準が曖昧だからです。そもそも、今回の不景気の原因は外因性のものであり、長期的な不況への入り口なのか、それとも、一過性の現象による落ち込みなのかも、誰も正確に判断することができません。また、ここ数年来続いた好景気と比較すれば、現状を景気後退と捉えることができますが、それは、あくまでも比較の問題に過ぎないのです。つまり、以前の状況を基準にし、その水準を回復するまで財政で埋め合わせをしようとする政策には、無理があるのです。

 もし、今後、不景気が長期化し、今以上に景気後退が深刻化するとしますと、政府には、これ以上の財政出動を行う余力は残されているのでしょうか。ある時点で、国庫が枯渇し、積み上がった莫大な財政赤字に押しつぶされて、財政崩壊が起きるとも限りません。長期的な展望なく財政出動をしますと、底なし沼にはまりますので、財政拡大策には、くれぐれも慎重であるべきではないか、と思うのです。

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盾vs.矛の新冷戦?

2008年08月29日 15時57分39秒 | 国際政治
ロシアの孤立深まる、ICBM発射実験も実施(トムソンロイター) - goo ニュース
 グルジアの危機により、国際社会には俄かに緊張が走り、新冷戦までも取り沙汰されるようになりました。そうして、かつての冷戦との違いは、新冷戦では、矛と矛ではなく、盾と矛の対立になりそうなのです。

 20世紀の冷戦は、米ソを盟主とする両陣営が相互に軍拡を競い、より破壊力のある兵器の開発に鎬を削りました。それは原爆に始まり、水爆、大陸間弾道ミサイル、あるいは、ミサイル誘導装置といった様々な大量破壊兵器やハイテク技術を生み出してきたのです。そうして、レーガン政権時代に、現在のMDの走りであるSDI構想が打ち出されますと、間もなくして、ソ連邦は、軍拡、否、兵器開発競争にも敗れて崩壊してゆきます。つまり、盾の開発を目の当たりにして、ソ連邦は、一端、矛を収めたことになります。

 しかしながら、本日、ロシアがMD対応型のミサイル実験を行ったことは、ロシアが、盾との戦いを諦めていないことを示しています。むしろ、軍事力を強化し、盾を打ち砕こうとでもしているかのようです。矛が攻撃力であり、盾が防衛力であるとしますと、守りの盾のほうが、攻めの矛よりも、よほど平和的な兵器です。盾こそ、破壊力を無力化する力を秘めているのですから、ロシアのMD対応型のミサイルをも迎撃できるMDの技術開発を急ぐべきではないか、と思うのです。

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イスラム諸国はアフガニスタンを助けよ

2008年08月28日 16時17分28秒 | 国際政治
外国人すべて標的 アフガン 盗賊横行(産経新聞) - goo ニュース
 タリバン政権時代から、アフガニスタンの農地の多くが麻薬畑と化し、国民が餓える原因となったことはよく知られています。麻薬密売でタリバンが資金を稼ぎ、麻薬栽培に手を出した農民自身もタリバンに依存せざるを得なくなるという悪循環は、まさに、”悪の支配”とでも言うべき状況でした。

 アフガニスタンの人々が、このタリバン時代の過酷さを、すっかり忘れてしまったはずはありません。それにも拘わらず、アフガニスタンでは、刻一刻とタリバンが勢力を伸ばし、国家権力を再び掌握しようとしているのです。アフガニスタンのために尊い命を捧げられた伊藤和也氏は、この悪循環を断つべく、農地の再生に尽くしておられたと言います。アフガニスタンの復興を支援する方々にまで、タリバンやその支援勢力が惨い仕打ちを加えるとしますと、かの国の行方を案ぜざるを得ません。

 アフガニスタンの戦争は、アメリカが主導したためにか、今でも、かの地でのタリバンとの戦いは欧米諸国が担っています。しかしながら、タリバンの行っている非道は、おそらく、イスラム教にあっても神が許すはずはありません。イスラム諸国は、宗教的な連帯感によってタリバンを擁護しがちですが、このままではアフガニスタンは再び犯罪が蔓延る悪の巣窟になってしまいます。イスラム教国こそ、アフガニスタンの状況を直視し、宗教を共にするアフガニスタンの人々の幸福のために、タリバンの蛮行を抑えるべきではないか、と思うのです。

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南オセチアとアブハジアはロシア領になる?

2008年08月27日 15時54分29秒 | 国際政治
南オセチアとアブハジア 露大統領、独立を承認 米欧と対立鮮明に(産経新聞) - goo ニュース
 南オセチアとアブハシアの独立を承認したロシアの次なる野望。それは、ロシア連邦への”両共和国”の加盟ではないか、と思うのです。

 南オセチアの人々に、ロシア政府がロシア国籍を付与し始めた時点から、この謀略は、既に水面下で進行していたのかもしれません。もし、ロシアの傀儡政府となった”共和国”政府が、住民投票や議会での議決などにより、ロシア連邦への加盟、あるいは、南オセチアの場合には、北オセチアとの合併を決定するとしますと、このシナリオは、現実のものとなるかもしれないのです。しかも、ロシア連邦憲法には、共和国に連邦からの脱退権を認められておらず、一たび加盟すれば、もはやそこから抜けることができません。オセチア人が、自らの独立国家を建設しようとしても、それももはや叶わぬ夢となるのです。

 ロシアは、帝政時代から、周辺諸国を貪欲に飲み込んで版図を広げてきました。このロシアのDNAとでも言うべき拡張主義は、ここにきて再び隣国を襲い、国際秩序を破壊しようとしてるようです。もちろん、このロシア連邦加盟説は、予測されるシナリオの一つに過ぎません。しかしながら、そのシナリオが現実とならないよう、国際社会は、最大限の圧力をロシアにかけるとともに、オセチアやアブハシアの人々もまた、自らの将来について真剣に考えるべきではないか、と思うのです。

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反対者を”干す”体質に発展はない

2008年08月26日 15時45分43秒 | 日本政治
【政論探求】民主党はこれでいいのか(産経新聞) - goo ニュース
 国益や国民を無視して、”政治は権力闘争”と割り切ってしまいますと、確かに、ライバルを徹底的に”干す”ことは、一つの政治手法であるかもしれません。しかしながら、政治は国民のためにあり、良い国家をつくるためにある、というスタンスに立ちますと、反対者排除の手法は、いただけないと思うのです。

 そもそも、民主主義には、異なる意見や利益を持つ者が、相互に主張をぶつけ合い、議論を通して合意を形成するという価値が含まれています。組織の論理からみましても、トップ・ダウン方式の独裁型よりも、多様な意見を取り入れる柔軟性や寛容さを持つ組織の方が発展するものです。それは、多くの知恵や経験を結集することができるからです。全体主義体制の国家が停滞する理由も、ここにあるのですが、民主党の体質が、異端者排除であるとしますと、民主党の党名は、名ばかりということになりましょう。この”干す”という言葉に、独裁体制における”粛清”という言葉が思い浮かばれてしまうのです。

 もちろん、他の政党にありましても、反対者排除の手法が常態化しているとしますと、やはり、これは、国政に携わる政党として大いに問題でありましょう。日本国の将来を考えますと、まずは、オープンで柔軟な組織に向けての政党の組織改革から始めるべきなのかもしれません。党の組織改革できずして、国政改革などできるはずはないと思うのです。

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深刻な危機に鈍感な外務省

2008年08月25日 16時21分21秒 | 日本政治
【政論】グルジア紛争、傍観許されぬ(産経新聞) - goo ニュース
 グルジアの危機は、冷戦時代に世界の時計の針を大きく戻すことになるかもしれないことは、マスコミなどを通して、再三、指摘されてきました。それは、軍事力を持つ国が、隣国を軍事占領するという行為によって、現在の国際秩序を支えている侵略の禁止と主権平等の原則が破られるからです。

 それにも拘わらず、日本国の外務省の対応は、あまりに鈍感で他人事です。中国や韓国といった近隣諸国の要求には敏感に反応しながら、国際秩序そのものを破壊する行為に対して関心を払わないとしますと、外事を司る外務省としてあまりに無責任と言わざるを得ません。今後の展開によっては、著しい自国の国益の損失を招くかもしれず、ロシアに続き、中国もまた、近隣諸国に対して同様の行動をとることにでもなったら、日本国は、どうするのでしょうか。グルジア問題は、自国の安全保障の問題でもあるのです。

 最近、専門家やプロの実力に疑問符が付くケースが多く見受けられるのですが、これでは、外務省が、外交のプロ集団であるのかも疑わしくなります。本物のプロであるならば、たとえ国民が無関心であったとしても、”平和維持部隊”という怪しげな名のついたロシア軍の撤退を要求すべきですし、今後について、あらゆるシナリオに対応できるように準備を進めるべきと言えましょう。それとも、外務省の”沈黙”には、何か、国民に隠された意図でもあるのでしょうか?
 
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武術には”道”が伴う

2008年08月24日 15時44分53秒 | 社会
五輪=テコンドー、マトスが暴力行為で永久資格停止(ロイター) - goo ニュース
 現代では、すっかりとレジャー化してしまった観がありますが、その昔は(今でも?)、スポーツには、心身を鍛えるという目的がありました。身体のみならず、心を鍛え育むことも、スポーツの重要な役割であったのです。我が国にあっても、剣道、柔道、弓道など、武術に”道”という言葉が付けられているのは、武術を志す者は、求道者でもあった時代の名残かもしれません。

 ところで、オリンピックの競技中に、審判を蹴ったというこの事件は、スポーツには、伴うべき精神性があることを忘れられてしまったからかもしれません。身体を使って勝敗をつける競技は、ルールや審判がなくては、すぐにでも殴り合いに堕してしまうものです。それを、スポーツたらしめているのは、実に、競技者の精神性、つまり、ルールを守り、審判や競技相手にも敬意を払うというスポーツマン・シップに他ならないのです。

 ”道”なき武術は、もはや、武道ではなく、スポーツマン・シップなきスポーツも、もはやスポーツの名に値しないのかもしれません。前代未聞の審判への暴力事件に、ふと、スポーツの将来を案じるのでした。

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韓国の起源主張は”知的財産権”の侵害?

2008年08月23日 16時04分28秒 | アジア
【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 中国の“嫌韓感情”(産経新聞) - goo ニュース
 韓国には、他国の文化や伝統を自国起源と主張するという、他の国には見られない行動パターンがあります。中国において、激しい嫌韓感情が起きている理由は、やはり、この韓国の起源への執着にあるのではないか、と思うのです。

 特に中国は、北京オリンピックの開会式の演出で強調されていたように、紙、火薬、羅針盤、活版印刷など、自国発の発明に、殊更の誇りを持っているようです(いささか、疑うべき点もあるのですが・・・)。国家を挙げて宣伝するのですから、中国の起源に対する執着もまた人一倍強いと言えそうです。それにもかかわらず、長らく自国の朝貢体制の下にあった歴史を持つ韓国が、自国起源を主張するわけですから、これが、中国人の癇に障らないわけはありません。つまり、中国にあっては、いわば、発明という”知的財産権”が侵害されたように感じたのでしょう。

 中国の対韓感情の悪化が、韓国の人々に、他国の文化や伝統の起源を主張することが、相手国に対して不快感を与え、失礼であることを知らせる機会となれば、これは、日本国にも良い影響を与えるかもしれません(日本国もまた被害者ですので・・・)。

 文化には伝播性があるため、他国から伝わったものでも、それを自国の文化に取り入れたり、その国の精神性に合わせて独自の展開をみせることもあります。文化とは、それぞれの国の歴史の中で、長い時間をかけて醸成されてくるものなのです。相互に他国の文化を尊重することが、まずは、国際社会のマナーの第一歩なのかもしれません。

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チベット亡命政府はジェノサイドで提訴を

2008年08月22日 14時42分31秒 | 国際政治
「チベットで中国軍発砲、140人死亡か」ダライ・ラマ発言(読売新聞) - goo ニュース
 チベットを救うためには、あらゆる手段に訴える必要があり、このまま手を拱いていますと、チベットは、中国によって”民族浄化”されてしまうかもしれません。そこで、まずは、チベットの亡命政府が、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を試みてはどうか、と思うのです。

 ICJへの提訴は、一般の国際法ですと、紛争の当事者となる両政府が合意しなければなりません。しかしながら、ジェノサイド条約に限っては、それが、人道上の重大な罪に当たるため、両者の合意がなくとも、当事国であれば、訴えることができるのです(同条約第9条)。ダラム・ラサのチベット政府は、亡命政府ではありますが、法人格は維持しています。むしろ、国際裁判上の当事者となることで、チベット亡命政府は、国際的な立場も強化できるかもしれません。

 当事国以外の国の政府でも、チベットを救うために、中国による虐殺の防止行動を安保理に要求することもできます(同条約第8条)。時間は待ってはくれませんので、できることから始めませんと、手遅れになってしまうかもしれないのです。

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グルジア情勢が示唆する給油活動の延長

2008年08月21日 16時07分44秒 | 日本政治
米大使、海自の給油継続を要請 麻生氏も重要性を指摘(共同通信) - goo ニュース
ロシア軍のグルジア侵攻は、国際社会の安定が如何に脆く、また、軍事的な脅威が未だ過去のものではないことを思い知らせることになりました。日本国とて、この脅威と無縁でいられるはずもありません。この現実を考慮すれば、やはり、インド洋沖での海上自衛隊の給油活動の継続は、日本国の国益にかなっていると思うのです。

 もし、日本国が、国際的な協力体制の下で行われている給油活動から抜ける、となりますと、テロとの戦いのみならず、対ロシアでの結束にもひびが入りることになります。今、国際社会が結束してロシアに圧力をかけませんと、人類に取り返しのつかない災難が降りかかるかもしれません。ロシアのグルジア侵攻が許されれば、策略と謀略に長けた中国とて、台湾や尖閣諸島への軍事侵攻を巧妙に画策し、居座ってしまうかもしれないのですから。

 グルジアは、地理的には日本国と離れており、このため、我が国では、遠い国の出来事と思われがちです。しかしながら、国際秩序の歯車の一つが狂い始めますと、その余波は、大波となって、すべての諸国に襲いかかってきます。国連が機能せず、自力あるいは同盟でしか自国の安全を守ることができない国際社会の現状を直視すれば、給油の継続問題への答えは、自ずと決まってくるのではないでしょうか。

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一国の行為が国際秩序を破壊する

2008年08月20日 16時24分04秒 | 国際政治
NATO、対ロ関係を一時停止=ロシアの孤立は自身の責任-ライス長官(時事通信) - goo ニュース
 グルジア紛争が示していることは、国家主権の相互平等を基礎とした国民国家体系の維持こそが、人類の進むべき道なのではないか、ということなのではないでしょうか。

 大国が、外国の領土に軍隊を侵攻させたり、近隣諸国の政治をコントロールすることをよし、とする人は、そう多くはないはずです。この嫌悪感を支えているのは、如何なる小国であっても主権国家である限り、領土や国民を侵害されたり、政府が外国の支配下に置かれることは、許されざる行為であるという、人間の自然な感情があります。そうして、それは、国際法においても、武力による国境線の侵犯は、侵略行為とされているのです(ロシアの言い分によれば、自国民保護とも・・・)。もちろん、南オセチアなどの独立問題は、別に考えるべき必要がありますが、国際社会における基本的な行為規範を破る国が登場しますと、当然に、国民国家体系も危機に瀕することになるのです。

 ところが、不思議なことに、学問上の議論にあっても、国民国家体系否定論が進歩的な理論として持て囃されたり、また、アジアにおいても、21世紀は、中国を中心とした華夷秩序が構築されるべき、との論調もあります。しかしながら、国家間の主権平等の原則の否定が、即、属国化への道を準備するのが現実です。そうして、それが、軍事力によって為されるとしますと、人類は、再び、法なき弱肉強食の世界に引き戻されてしまうかもしれません。一国の行為が、人類を破滅に導くことがあることを、歴史は教えています。

 国際社会は、有効な圧力をかけることでロシア軍の撤退を実現し、ソ連から引き継がれてきた思考および行動パターンを改めさせることはできるのでしょうか。この作業に失敗しますと、人類に未来はないかもしれないのです。

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国家ぐるみの偽装はばれない?

2008年08月19日 15時51分16秒 | アジア
「本当は何歳?」体操女子“金”の中国選手に質問集中(読売新聞) - goo ニュース
 幼さを残したあどけない顔の少女が、軽々と難易度の高い技をぴたりと決める。この演技に、オリンピック会場は、中国人観客の割れんばかりの拍手に包まれました。その一方で、テレビの放映を通じて、この少女の様子を見た人々の多くは、首を傾げたに違いありません。それは、どうしても、この少女が、16歳に達しているとは見えなかったからです。

 体操女子は、年齢が低いほど身軽であり、有利であることは常識となっております。かつて、ソ連邦では、薬物を使ってまで選手の成長を抑えたとも言われており、体操界の汚点として記憶されたものです。それ故に、この競技では、16歳以上という厳格な年齢制限を設けているのですが、もし、この制限に中国選手が違反しているとすれば、メダルを剥奪されても仕方がない、ということになります。

 普通の国であれば、様々な書類や証言から選手の年齢を確認することは容易であり、うそをついたとしても、すぐにばれてしまします。しかしながら、中国に限っては、それが、国家ぐるみであれば、誰も、選手の本当の年齢を確かめることができないのです。参加選手の年齢調査も、中国のオリンピック委員会が行っているとなれば、尚更のことです。

 この年齢疑惑によって、自国の信頼性がさらに低下してしまったことに、中国政府は、気づいているのでしょうか。メダルを数多く獲得するよりも、信頼を失うことの方がはるかに国益を損ねることに、中国政府は、思い至るべきではないかと思うのです。

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それでも払拭できない投機無罪説

2008年08月18日 16時18分36秒 | 国際経済
円安で株価は上がる:藤巻健史(フジマキ・ジャパン社長)(1)(Voice) - goo ニュース
藤巻氏は、本ニュースで、原油高や穀物高の犯人は投機ではなく、新興国の需要の増加である、とする投機無罪説を展開しています。それでは、本当に、投機は、商品市場の価格上昇の犯人ではないのでしょうか。

 氏の論説では、マグロの取引を引き合いに出して、マグロ価格の上昇を予測して投機家が先物でマグロを大量に買っても、消費者が牛肉にシフトしたり、マグロの大漁により値が下がれば、結局は投機家の損失となるので、投機は価格形成に大した影響はないと論じています。しかしながら、原油や穀物、あるいは、鉱物資源などは、企業の生産や消費者にとって必須の商品ですので、他に代替を求めるには相当な時間がかかります(マグロから牛肉へのシフトのような即応性がない)。また、資源は有限ですので、生産量や供給量を即時に増やすこともできません。このことから、先物の対象となる商品の性質によっては、やはり、需給のバランスを超えた価格の高騰が起きることになると考えられるのです。市場が対応するまでの間、投機家が投機的な先物買いを行った分だけ、価格を押し上げるのですから。

 実際に、政府当局が、先物市場の規制を強化したことにより、原油価格などの低下が観察されており、投機無罪説の反証ともなっています。ただでさえ、新興国の需要増加による値上傾向があるのですから、この傾向を増幅するような投機は、考えものと思うのです。

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アメリカ合衆国はラテン国家化するのか

2008年08月17日 15時59分06秒 | アメリカ
米マイノリティー、34年後に過半数へ 増加ペース加速(朝日新聞) - goo ニュース

 アメリカ合衆国が、建国以来、多くの国々から移民を受け入れ、その膨大なエネルギーを発展の原動力としてきたことは疑いのないところです。アメリカは、自由で開かれた国であり、”アメリカン・ドリーム”こそその象徴であったのです。しかしながら、その行き着く先に、マジョリティーとマイノリティーとの間で人口比の逆転があるとしますと、アメリカは、建国以来の国柄を維持することができるのか、という、深刻な問題も見えてくるのです。

 民主主義国家にあっては、人口は、社会のみならず、政治に対しても大きな影響力を与えます。現在行われている大統領選挙にあっても、マイノリティー票が、選挙の勝敗を左右する現象が観察されていますが、将来において、アメリカ合衆国の政治の主導権を握るのは、非白人系の人々ということになるかもしれません。もちろん、アメリカ史上初のヒスパニック系やアジア系の大統領の登場も十分に予測できます。そうして、アメリカの政治文化が上手に移民の人々に継承されないとしますと、アメリカの国柄自体が大きく変質する可能性もあるのです。

 現在の人口の伸び率から予測しますと、ヒスパニック系の人々の人口比率はさらに大きくなりそうです。これは、南アメリカと地続きであることに起因しているのですが、やがて、アメリカ合衆国は、ラテン系国家の一員となるのかもしれません。アメリカ合衆国の人口比逆転の予測は、内部から国家の姿が変わるという現実を映し出しているのです。

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