万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

不安定化を増幅するアメリカの決定

2008年07月31日 14時37分52秒 | アジア
米委員会、帰属先「韓国」に戻す=ブッシュ大統領、竹島問題に介入(時事通信) - goo ニュース
 地名変更が問題化するまで、日本国で、アメリカの地名委員会が竹島の帰属国を韓国としていたことを知っていた人は、極めて少なかったはずです。当の私も、ラスク書簡もありますので、当然に、日本国領と記載している信じてきました。それ故、この韓国領との記載も驚きだったのですが、それにもまして驚愕すべきことは、ようやくこの誤りの記載が訂正されたにも拘わらず、それを、また元に戻してしまったということです。

 さて、この措置に対して、憤慨しない日本人はいないはずです。何故ならば、アメリカは、合法的な領有権を否定し、実効支配の側に軍配を上げたのですから。しかも、中立的な立場を捨て、前言を覆し、韓国側に味方したのですから。もちろん、アメリカに帰属を決定する権限はありませんので、この行為により、竹島が韓国領であると確定されたわけではありません。しかしながら、このふらついたアメリカの態度は、今後の東アジア情勢に大きな禍根を残すことになったのではないか、と思うのです。

 第一に、日本のアメリカに対する信頼感が著しく低下したことです。アメリカは、日米関係よりも米韓関係を重視し、しかも、韓国による実効支配という”侵略”をも許容しました。これは、第二次世界大戦後に敷かれた”法による支配”への道に逆行したことになります。世界の警察官であるはずのアメリカが、北朝鮮をも含めて”ならず者”の方に味方するのですから、失望を禁じえません。

 第二に、アジア情勢を不安定化する要因を作ったことです。日米関係が揺らげば、中国の覇権主義は、やがて周辺諸国に牙をむくことになるでしょう。今回、アメリカの外交が日和見主義を露呈したことは、不安定化を狙う覇権主義諸国にチャンスを与えたことになります。既存の秩序を破壊しようとする勢力は、乱世こそ絶好のチャンスなのですから。

 第三に、この結果、日本国は、これまでの防衛戦略を見直し、核武装を含めた新たな戦略を構築しなければならなくなるかもしれません(もちろん、NPT条約の改正が必要ですが・・・)。つまり、防衛問題が、国家の現実的な政治課題として浮上していくる可能性もあるのです。

 日本国政府は、アメリカ政府に対して抗議を申し入れ、まずは、地名委員会が、韓国領と判断した経緯を問いただし、日本国に法的な領有権があることを証拠を示して説明すべきと言えましょう。その上で、日本国政府には、国際司法裁判所での解決の用意があることを伝え、アメリカ政府が、中立的な立場に戻るように説得すべきです。それでも、一度失われた信頼を取り戻すことは難しいことを考えますと、今回のアメリカの決定は、あまりに痛手であったと思うのです。

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迫りくる日本国の自力防衛

2008年07月30日 16時13分44秒 | 日本政治
「竹島問題、日韓どちらも支持せず」米国務省(朝日新聞) - goo ニュース
 国務省の報道室長の発言ともなれば、アメリカ政府の公式見解と考えられますので、おそらく、竹島問題が拗れて日韓の軍事的な衝突に至った場合、日米同盟が発動されることはないでしょう(米韓同盟もありますので・・・)。そこで、日本国政府は、自国が自力で守るべき範囲について、内々であっても、アメリカとの合意を形成しなくてはならないと思うのです。

 特に、問題となるのは、尖閣諸島です。日本国政府としては、中国や台湾との間には領土問題はないとする立場をとっていますが、相手国が自国の国内法によって領土として併合している以上、いつ何時、”自衛”を理由に、軍隊が侵攻してくるとも限りません。この時、日米同盟が発動するか、しないかによって、日本国の防衛戦略は大きく変わってきます。曖昧な状態にしておきますと、いざという時には即時に対応できず、混乱のうちに相手国軍隊の占領を許すとう展開も予測されます。

 もちろん、竹島と同様に尖閣諸島についても、アメリカ政府が公式に中立的な立場を表明した場合には、日本国政府は、これを不干渉宣言と捉えて、自力防衛の方針で備えるべきと言えましょう。来年度の予算編成では、防衛費の削減が盛り込まれているようですが、今後の安全保障体制の不安定化にも、十分に配慮すべきではないか、と思うのです。

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イラク撤退で内乱?

2008年07月29日 16時13分22秒 | 国際政治
女3人が次々と自爆、バグダッドで28人死亡(読売新聞) - goo ニュース
 アメリカ政府が米軍増強に踏み切ったことにより、ようやくイラクにも安定化の兆しが見えてきた矢先に、再び、かの地では、シーア派とスンニ派の対立によるテロ事件が発生したようです。もし、現在の小康状態が、力でシーア派とスンニ派の対立を抑え込んだ結果であるならば、軍隊の撤退は、再びイラクを内戦の危機に直面させることになるかもしれません。

 アメリカの大統領選挙でも、早くからイラク政策を批判し、同国からの撤退を唱えてきたオバマ候補が、現政権に批判的な有権者から高く評価されているようです。しかしながら、もし、現実問題として、イラクの安定化のために軍事力が必要であるならば、早期の撤退が良策であるとは思えません。アメリカが国威をかけて遂行してきた政策を、最後に”元の木阿弥”にしてしまうことは、アメリカにとっても、イラクにとっても、大きな損失であると考えられるからです。撤退時期を決めるに際しては、イラクの警察組織のみで治安を維持できるか否かを見極め、”力の空白”が内乱を誘発しないよう、十分な深慮が必要なように思うのです。

 なお、この問題は、アメリカに限ったことではありません。本日の新聞記事にも、日本国政府は、国連決議の期限切れを理由に自衛隊をイラクから撤収する方針を決めたと報じられており(本日付産経新聞朝刊)、ここでも”力の空白”による不安定化が心配されます。テロ組織が未だに攻撃の手を緩めぬ現状は、イラク撤退後の混乱を示唆しているとも言えるのです。少なくとも、撤退によりイラク情勢が悪化するならば、国内の党利党略に振り回されるよりも、現地の治安の維持を考慮して、その必要性がなくなるまで(イラク政府が撤退に同意…)、責任をもって駐留を継続すべきではないか、と思うのです。

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法整備で不安定化する奇妙な中国市場

2008年07月28日 15時39分51秒 | アジア
中国独禁法来月施行 日本企業に広がる不安 指針なく巨額制裁金の恐れ(産経新聞) - goo ニュース
 普通の国であれば、独禁法が施行されれば、市場の競争秩序が保たれるのですから、大いに安心感が広がり、将来への期待が高まるところです。ところが、これが中国となりますと、全く反対に、不安感の方が広がってしまうのです。

 その理由は、はっきりしています。それは、法治行政にはほど遠く、せっかくに独禁法が制定されたとしても、ガイドラインもないため、中国の競争当局による恣意的な運用がまかり通りそうだからです。しかも、本法律が施行される8月1日以降は、法的な根拠を手にするのですから、権力を振りかざしたい当局にとっては、鬼に金棒です。独禁法違反の廉で、気に入らない外国企業に対して、”政治的”に多額の制裁金を巻き上げることもできるのですから。

 民主集中制に基づく中国の国家制度は、建国以来、権力分立を否定しており、競争当局に、充分な独立性を保証しているとも思えません。もしかしますと、共産党の戦略に沿った政策運営が行われる可能性さえ残されているのです。中国の競争当局に独立性が保障され、中立・公平な市場の秩序維持者となり、さらに司法上の救済制度が設けらない限り、この不安は、完全に払拭されることはないでしょう。中国市場とは、法整備すればするほど不安定化するという、奇妙な市場なのです。

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「1000万人移民計画」の不幸な行く末

2008年07月27日 14時18分42秒 | 社会
外国人の生活保護世帯急増、登録外でも37自治体が対象に(読売新聞) - goo ニュース
 母国語ではない国に赴き、慣習の異なる社会に溶け込み、一廉の生活を送ることができると自信をもって断言できる人は、そう多くはないはずです。誰もが難しいと認めていることを、政府は、「1000万人移民計画」を唱えて、平気な顔で”できる”と言い募るのですから、これ程、現実を無視した政策提言も珍しいと言えましょう。

 実際に、外国人の生活が困窮しやすいことは、生活保護を受給する外国人世帯が急増していることからも窺うことができます。日本人であれば、血縁や地縁に助けられたり、日本語が話せ、充分にコミュニケーションがとれるということだけで、職を見つけることもできましょう。しかしながら、外国人の場合には、一度職を失いますと、再就職先を見つけることは遥かに難しくなるのです。諸外国の事例を見ましても、不景気には、外国人の雇用が減少する傾向にあります。この結果、生活保護を申請するということになるのですが、今後、1000万人の移民を受け入れることになれば、さらなる財政支出の増加は避けられそうにありません。今でも莫大な赤字を抱え込んでいる日本国の財政が、その負担の重みに耐えられるとは、到底、思えないのです。

 論理破綻している「1000万人移民計画」を無理やりに実行に移したあげく、財政が破綻し、日本経済が崩壊したのではお話になりません。日本人も移民も、全ての人々が不幸のどん底に突き落とされるのですから。日本国の経済力の維持は、人口規模ではなく、国民の質の向上を通して実現すべきではないか、と思うのです。

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金融は商品市場の闖入者?

2008年07月26日 14時10分04秒 | 国際経済
NY原油が反落、終値123・26ドル…1か月半ぶり安値(読売新聞) - goo ニュース
 昨今の急激な原油と穀物価格の上昇によって、物価高への対応という難問を、政府、企業、消費者ともどもは抱え込むことになりました。価格高騰の原因として、金融機関による投機マネーの流入が指摘されていますが、それでは、何故、商品市場における投機が、経済全体に破壊的な力を及ぼすのでしょうか。どうやらそれは、証券市場と商品市場とは、似て非なるものであるからのようなのです。

 第一に、証券市場にあって、金融は、企業の資金調達を助けるという重要な役割を果たします。この融通の機能なくして、市場のメカニズムは機能しませんので、金融の本領発揮ということになります。一方、商品市場においては、金融には、このような役割は期待されていません。期待されている役割があるとすれば、それは、価格変動のリスクに備えたヘッジです。つまり、商品市場では、先物取引が主要な取引内容になるのですが、現実の売買を伴わない先物取引は、容易に投機に転化してしまうのです。

 第二に、証券市場は、企業価値が株価という数値で測られることはあっても、”もの”の直接的な価格形成の場ではありません。一方の商品市場では、需給のバランスに基づいて、”もの”の価格が決定されることが期待されています。もし、価格形成の場に、大量の投機資金が流入するとしますと、当然に、適正な価格形成はできなくなりますし、価格の上昇は、物価を直撃することになるのです。
 
 第三に、証券市場では、将来性を見込んだ投資がありますので、金融は、企業を直接に育てる役割を果たします(企業と金融の利益は一致)。一方、商品市場にあっては、投機筋は、理由はともあれ”値上がり”期待によって判断します。つまり、商品市場では、企業や消費者にとって”良いニュース”である石油の増産や豊作は、金融にとっては、”悪いニュース”になるかもしれないのです。

 以上のように見てみますと、証券市場と商品市場とは別ものであって、その区別をなくしたところに、今日の悲劇があるのかもしれません。しかも、商品市場における価格上昇が、企業収益の悪化と景気後退をもたらし、証券市場における株価下落を招くわけですから、これでは、悪循環による自己の利益相反も起きてしまいそうです。金融は、そろそろ、金融の原点に帰る日が来ているのではないか、と思うのです。 

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韓国の”実効支配”とは”侵略”のこと

2008年07月25日 15時28分16秒 | 国際政治
韓国政府に「竹島対策班」 首都圏に博物館建設も決定(朝日新聞) - goo ニュース
 教科書の解説書への竹島問題の記載に端を発して、韓国政府は、実効支配の強化を打ち出しているそうです。しかしながら、この場合、韓国の”実効支配”とは、すなわち”侵略”を意味するのではないか、と思うのです。
 
 法的根拠なく、他の人の所有物を力尽くで占有した場合、それは、”窃盗”および”強盗”という名の罪と見なされます。竹島の場合も、韓国には竹島領有の法的な根拠がないのですから、”実効支配”と呼ばれながらも、国際法においては”侵略”と見做される罪を働いていることになります。竹島は、実効支配が要件となる無主地でもなく、韓国の実効支配強化は、既に法的な領有権が確立している土地、すなわち、他国の領土に対する侵害行為に当たるのです。

 ”実効支配”という言葉だけを取り上げますと、それほど強く罪のニュアンスが感じられません。韓国側が、この言葉に隠れた侵略性に対する自覚がなく、当然の権利の如く認識していることこそ、問題解決を阻む原因ではないか、と思うのです。

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弾圧国家の撲滅こそ難民問題解決への道

2008年07月24日 15時41分04秒 | 国際政治
難民「第三国定住」導入へ 10年度にも30人前後(朝日新聞) - goo ニュース
 政治的な弾圧が日常茶飯事に行われ、それに抵抗する国民が亡命せざるを得ない状況ほど、不幸なことはありません。亡命者こそ、真に自国を憂い、自国民のために身を呈して弾圧と闘ってきた人々であるのですから。

 難民問題を根本的に解決するためには、弾圧国家を撲滅することが何よりの良策と言えそうです。たとえ第三国が難民の受け入れ体制を整えたとしても、難民を生み出す根源がそのままであれば、難民の数は増え続けます。むしろ、弾圧国家は、自国にとって不都合な国民を、”危険分子”として積極的に国外に追放するかもしれません。難民問題とは、この世から弾圧国家がなくなり、全ての国家が安定を実現しない限り、小手先の対処療法では解決しないのです。

 日本国政府は、まずは、難民を生み出している諸国に対して弾圧行為の停止を求め、自国民の自由や基本権を保障するように圧力をかけるべきと言えましょう。そうして、受け入れた難民に対しては(日本国は、朝鮮戦争に際して北朝鮮からの難民を既に大量に受け入れています。今度の方針では、ビルマの難民が対象のようですが、チベット難民も受け入れては・・・)、弾圧国家が消滅した暁には、自国の良き国家造りに貢献できるよう、知識や技術を取得する機会を用意すべきではないか、と思うのです。

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外国人参政権がダメな理由

2008年07月23日 16時34分59秒 | 国際政治
竹島領有権問題、韓国の退役軍人らが長崎・対馬で抗議行動(読売新聞) - goo ニュース
 本日、竹島問題について圧力をかけるために、長崎や対馬で韓国人の退役軍人が激しい抗議行動を行っているそうです。ところで、こうした行為こそ、外国人への参政権付与が難しい理由を説明するのではないか、と思うのです。

 何故ならば、領有権といった国家の権利と直結する問題については、外国の人々は、国籍国、あるいは、出身国の側に立つ傾向にあるからです。もちろん、自由主義国では、大概の場合、外国人であっても政治的な主張を述べたり、デモなどの行動をとる自由が認められています。この自由を逆手に取ったのが、長野の聖火リレーにおける在日中国人の動員と言えるかもしれませんが(本国にはない自由を享受・・・)、言論の自由の域にとどまらず、もし外国人が、政治への参加権を持つとしますと、居住国の政策を、出身国有利に誘導する可能性は否定できません。今般議論されている法案は、永住外国人であり、しかも、地方参政権であるとする反論もありましょうが、永住外国人の大多数が、韓国並びに北朝鮮の出身者であり、地方自治体にも教育や安全保障などに関する権限があることを考えますと、隣国からの合法的な内政干渉の危険性はむしろ高まることになります。

 今回の抗議行動は、韓国から来日した方々によるものですが、我が国に居住している在日韓国・朝鮮人の方々が、竹島問題や”歴史認識”において、日本国の立場を支持しているとは思えません。アイデンティティーや立場の共有なくして、政治的権利を外国人に認めますと、それは、単に我が国の分裂要因、あるいは、混乱要因として作用するのみとなるのではないでしょうか。

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生活保護は国民納得の制度へ

2008年07月22日 16時56分12秒 | 社会
生活保護、自治体窓口で申請45% 国の抑制策背景に(朝日新聞) - goo ニュース
 生活に困窮している人々を公的に救済することは社会倫理に適っていながら、その一方で、現行の生活保護制度にまつわる問題点も数多く指摘されています。

 その主要な点を挙げてみますと、第一に、政府の財源は限られており、しかもそれは、国民の負担であることです。このため、無制限に支給対象を拡大しますと、他の国民の負担も無制限に重くなってしまいます。

 第二に、生活保護を受ける側の根拠が、曖昧である場合があることです。暴力団員が多額のタクシー代を請求したり、働ける状況にありながら、敢えて支給を受け続けている事例も見られます。

 第三に、生活保護の受給許可が、利権化しているという指摘もあります。つまり、組織的な”こね”があったり、政治家などの”斡旋”がある場合には、申請が通りやすいという不公平があるようなのです。これでは、本当に生活保護を必要としている人々が、むしろ、受給できなくなる可能性があります。

 そうして、将来を展望しますと、公的年金に加入していない無年金者の問題もあります。これらの人々が、高齢期に至って大量に生活保護を受けるとなりますと、深刻なモラルハザードを招くかもしれません(真面目に納めていた人々より高額の給付を受ける?)。

 以上の点から見ますと、現在の生活保護制度がベストであるとは到底言えないようです。これでは、負担を負う側にも受給者側にも不満が残ってしまうからです。そこで、財政負担を軽減しつつ、如何にして公平な制度とルールを造るのか、という問題が提起されることになります。

 例えば、1.生活保護の申請に先立って、職安や生活保護課の窓口での職業斡旋申請を義務づける(高齢者の場合は無理ですが・・・)。2.支援方法を、生活費全額給付型ではなく、公営の集合住宅の無料提供などに切り替える。3.2の集合住宅などでは、食事の無料提供を実施する。4.暴力団など、犯罪組織に属している場合には、脱退しない限り支給を禁じる。5.生活保護の公平性を確保するために、事務の透明性を高め、組織的、あるいは、政治的な”こね”が効かないようにする。6.将来を考えて、公的年金の保険料の徴収を強制化する、といった工夫が考えられそうです。

 生活保護制度が、生活困窮者を助けるために役立ち、かつ、悪用されないためには、国民が納得する制度造りを急ぐべきではないか、と思うのです。

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日本国は中国の体制崩壊も視野に

2008年07月21日 15時25分51秒 | アジア
五輪控え地方で暴動続発=警察不信、抑え込み困難-中国(時事通信) - goo ニュース
 中国共産党そのものが、汚職と権力濫用の温床となり、しかも、市場経済において経済的な利権をも独占していたとしたら、今後、中国には、どのような展開が待っているのでしょうか。

 古来、中国には、腐敗した為政者は、”天”から見放され、それ故に、権力の座から追放してもよいという思想がありました。もし、この思想が、共産主義体制下にあっても、中国の人々の心の中に生き残っているとすれば、体制崩壊という展開も、今後、十分にあり得るお話となります。政治体制とは、一度、その綻びが誰の目にも明らかになりますと、想像以上に脆く崩れやすいものです。昨今の連鎖的な暴動が、中国共産党の統治能力の欠如を表すとするならば、事態は、思わぬ方向に走り出すかもしれないのです。

 中国情勢が不透明感を増す中で、日本国政府は、表層的な日中友好に没頭するよりも、先を見通して、中国共産主義体制の崩壊というシナリオにも備えるべきではないか、と思うのです。

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矛盾に陥る美人コンテスト

2008年07月20日 16時51分04秒 | 社会
サイズじゃないのよ女は 80キロ、ミスコン入賞(朝日新聞) - goo ニュース
 現代という時代にあって、美人コンテストほど、難しいコンテストはありません。何故ならば、美の普遍性と美意識の多様性という、本来、相矛盾する目的を同時に追及しているのですから。 

 もし、美に関する絶対的な基準があれば、美人コンテストは、かくも難しくはなかったことでしょう。人間には、視覚を通して美しいと感じる比率があり、それは、しばしば黄金律や白銀律によって説明されてきました。しかしながら、様々なパーツから構成されている人間に対して、単純にこれらの構成比を適用することはできそうにもありません(縦横の比率を逆にすれば、痩せた人も太った人も美の基準に当てはまる?)。

 しかも、美の基準は、時代によって変化してきましたし、美意識に個人差があることも周知の事実です。そうして、現代では、美の多様性が尊重されており、むしろ、美の標準化が忌避されている傾向すら見られるのです。

 こうした時代状況を考えますと、もし、美人コンテストが、美の多様性を尊重するならば、もはや、開催する積極的な意義は見出せそうにありません。そうして、普遍性の名の下に、主催者側が、多様な美意識に対して一方的に順位を付けるとしますと、その時代に生きる人々に、新たな美の基準を押し付けてしまう可能性すらあるのです。どうやら、現代の美人コンテストは、解きがたい矛盾を抱えているように思えるのです。

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中国外交白書―自己評価は当てにならない―

2008年07月19日 12時10分42秒 | アジア
対日、ロ関係は発展と評価 近く発行の中国外交白書(共同通信) - goo ニュース
 自己評価は当てにならない、ということは、言わば常識なのですが、殊更、中国政府の発表(中国外交白書)と言うことになりますと、これは、かなり割り引いて考えなくてはならないと言えそうです。主観が全てで表面を取り繕うのが好きな”中国的”には、日中関係は、改善されたということなのでしょう。

 しかしながら、近年の日中関係を振り返ってみますと、少なくとも日本国では、むしろ、2007年は、中国の異質性が明らかになった年、あるいは、その始まりの年として記憶されそうです。中国側にとりましては、温首相の訪日の”氷を解かす旅”という表現に現れるように、本格的に日中関係改善のスタートを切った年と捉えたいのでしょう。しかしながら、現実は、その方向性とは逆の方向を向いてしまったようなのです。毒入り餃子事件以降は、両政府の思惑や友好の演出を離れて、日本国民の中に、中国に対する警戒心を高めてしまったのですから。

 さて、チベット弾圧により激しい国際批判を浴び、聖火リレーで各国の顰蹙を買い、そうして、北京オリンピックが開催されることになる2008年は、どのような年として評価されるのでしょうか。来年度の中国外交白書は、さらに、現実離れしたものとなるかもしれません。

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皇族に相応しいのは誘致の祈願

2008年07月18日 17時43分45秒 | 日本政治
「宮内庁のばかが」と、また批判 石原知事が五輪招致で(共同通信) - goo ニュース
 果たして、東京オリンピックの誘致活動に、皇族が関わることは望ましいことなのでしょうか。ブログの意見を拝見しますと、石原知事の発言に対しては、少ないくない数の国民が疑問を抱いていることは確かなようです。それでは、どこに違和感や批判点があるのでしょうか。

 それはおそらく、皇族が、何か政治的に利用されるのではないか、という漠然とした不安感なのではないかと思うのです。そうして、こうした不安感を国民に与えている現実こそが、やはり、皇族は、オリンピックの誘致活動をしない方がよいことを暗示しているようなのです。日本国の歴史を振り返りますと、天皇は、古代より、国と国民を統合する役割を連綿と果たしてきました。東京オリンピックの誘致については、国民多数の賛成があるわけでもなく、また、今回のオリンピックの開催地が北京でることを考えますと、再びアジアで開催する見込みはあまり高そうでもありません(順番ではアメリカ大陸かアフリカ大陸?)。政治的な対立要因を含み、かつ、外国と争う場に、皇族を引き出すことは、日本国の統合にとりまして、決して良いこととは思えないのです。

 もし、どうしても皇族に協力を請うならば、それは、日本国への誘致の成功を願う祈りを捧げるよう依頼することで十分なのではないでしょうか。

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竹島の譲歩は国際秩序を破壊する

2008年07月17日 16時01分39秒 | アジア
日韓外相会談提案拒否か=竹島問題で反発(時事通信) - goo ニュース
 世の中には、譲ったり、配慮したりしてもよい場合と、絶対にしてはいけない場合とがあります。竹島問題は、後者の事例なのではないか、と思うのです。

 それは、もし、日本国が、実効支配を行う韓国の圧力に屈して竹島を譲るとなりますと、法ではなく、力の支配がアジアで息を吹き返すことになるからです。曲がりなりにも、戦後にあっては、アジアにも法秩序が定着し、それぞれの諸国の国境線は法に基づいて保障されるようになりました。武力の行使による国境線の変更は侵略とみなされ、全ての国が、武力をもって領土を奪う行為を自制するようになったのです。ところが、韓国は、竹島の法的な領有権が日本にあるにも拘わらず、一方的に李承晩ラインを引き(現在では消滅…)、実効支配するといった、国際法に違反する行為を行いました。ここで、日本国が、法的な正当性を引き下げるとしますと、実効支配の優位性を認めてしまうことになります。実効支配の優位が確立しますと、当然に、より力を持った覇権主義国は、武力の行使に躊躇しなくなることでしょう。

 他国への迂闊な配慮は、一見、些細なことに見えても、時に、国際秩序そのものの破壊という大惨事に至る場合があります。一時の日韓関係に拘泥するよりも、法による国際社会の秩序を維持することこそ、日本国政府が、人類に対して果たすべき役割なのではないか、と思うのです。
 
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