万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

それでも晴れない不正選挙疑惑

2009年06月30日 15時26分03秒 | 中近東
イラン護憲評議会、大統領再選を承認「大きな不正なし」(朝日新聞) - goo ニュース
 イランの護憲評議会は、先の大統領選挙について一部再集計を行い、大きな不正はなかったとする最終判断を下したようです。しかしながら、この最終計によって、不正選挙疑惑は完全に払拭されるのでしょうか。

 この再集計の方法には、幾つかの疑問点があります。

(1)護憲評議会の信頼性
 不正の有無を調べる役割は、第三者が最も適しています。しかしながら、報道されている情報から判断しますと、再集計は、護憲評議会の手で行われたようであり、中立性に問題があります。選挙の公正性を保つことを任務とする護憲評議会そのものが怪しまれている場合、たとえ再集計が行われたとしても、その結果の信頼性には疑問符が付くのです。

(2)無作為抽出
 再集計は、票の10%の無作為抽出という方法が採られました。本当に”無作為”であったのかは外部からは分かりませんし、抽出の対象選挙区を作為的に選びますと、結果は大きく違ってきます。

(3)選挙前の不正
 再集計という方法では、投票時における不正しか調べることができません。今回の選挙では、投票用紙が不足したり、バシジから不当な圧力を加えられるなど、投票所の外での不正が報告されていました。

 以上に指摘した問題点を考え合わせましても、この再集計は、”はじめに結果ありき”のパフォーマンスであり、イラン国民の多くが素直に納得するとも思えません。むしろ、現政権側の強硬姿勢が浮き彫りとなったことで、国民の疑惑はさらに深まるのではないでしょうか。

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非核三原則を見直す時期では?

2009年06月29日 17時21分24秒 | 日本政治
米の核持ち込み密約、文書あったと元外務次官(読売新聞) - goo ニュース
 日本国には非核三原則があり、”核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず”を、佐藤内閣以来、モットーとしてきました。しかしながら、この三原則は、既に時代に合わなくなってきているのではないでしょうか。

 村田良平氏の証言によりますと、60年の安保改定に際して、核兵器を搭載した米軍の船舶などの寄港や領海通過を認める密約があった言います。密約とならざるを得なかった背景には、日本国内の核に対する拒絶反応や、国際社会における核不拡散体制への流れがあったものと思われます。しかしながら、現在、我が国が直面している安全保障上の問題は、周辺諸国から一方的な核攻撃を受けるというものであり、MDの技術が未完成であることを考慮しますと、アメリカから核の傘の提供を受けるか、あるいは、NPT条約の枠内で核保有国となるしかありません。どちらを取りましても、非核三原則から逸脱せざるを得ないのです。

 さらに、密約が存在している故に、宗谷、津軽、大隅、対馬(東水道、西水道)の5海峡の領海幅が、領海法で定めた12カイリではなく3カイリに狭められ、中国の艦隊も頻繁に通過しているという現状は、我が国の安全保障をさらに危うくしています。見直すべきは、密約ではなく非核三原則であり、公式に米軍の核持ち込みを承認すれば、海峡の領海に関する問題も同時に解決することができます。安全保障については、時代状況の変化に取り残されてはならないと思うのです。

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イランの第三勢力―正常化への希望の道か

2009年06月28日 15時20分59秒 | 中近東
イラン騒乱 第3勢力形成の動き 保守分裂 カギ握るラリジャニ国会議長(産経新聞) - goo ニュース
 不正選挙に対する改革派の批判を弾圧という手段で封じ込めたイラン保守派の態度は、改革派の支持者のみならず、国民多数をいたく失望させたに違いありません。イスラムの理想が、恐怖政治に転じたのですから。

 民兵組織のバシジを先兵とした現在の統治スタイルは、明らかに常軌を逸しており、独裁者の手法そのものです。1979年に発生したイラン革命は、パーレビ体制における秘密警察や治安部隊に対する国民の抗議から始まりました。この経緯を考えますと、今回の改革派の行動に対しても、国民の多くが、その意味するところを理解したはずなのです。その一方で、前体制と同様の体質を顕わにした保守強硬派の態度は、イスラム革命そのものの意義を失わせてしまいました。

 暗雲たちこめるイラン情勢ですが、ここに来て、保守派の中にも強硬派と距離をおく第三勢力が現われてきたというニュースが報じされています。もし、保守派の中で、第三勢力が多数を占めることができれば、イランは、首尾よく恐怖政治を終わらせることができるかもしれません。イランの将来には、なおも自己浄化という希望の道が残されているのです。

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台湾の人々の心を踏みにじったNHK

2009年06月27日 15時22分55秒 | アジア
パイワン族、NHKに質問状提出へ(産経新聞) - goo ニュース
 NHKが「JAPANデビュー」という番組を作成した狙いは、日本国が逸早く近代化したのは、台湾の人々を犠牲にしたからである、ということを強調することにあったのでしょう。しかしながら、この加害性を際立たせることが、台湾の人々の心を傷つける行為であることに、NHKは思い至っていなかったようなのです。

 19世紀末にあっては、世界各地に独自の文化と生活様式を保ってきた少数民族の人々はたくさんおり、日本国もまた、外国の人々から見ますと興味を惹くエキゾチックな存在でした。現在でも、文化の多様性を残すために、政府から手厚い保護されている少数民族の方々がおりますし、外国を再現したテーマパークも、日本各地で来場者を集めています。異文化の紹介という側面を考えれば、博覧会への参加は、侮辱的な意図をもっていたとは考え難いのです。それにもかからわず、NHKは、”人間動物園”なる用語を持ち出して、当時の日本が、あたかも台湾のパイワン族を見世物にした、というイメージを作り出しました。つまり、パイワン族の人々を貶めることで、視聴者に対する印象操作を行ったのです。

 これでは、NHKは、目的のために他者を犠牲にした、として自らが批難した戦前の"JAPAN"と同じ行為を行ったことになります。 結局、日本国を侮辱者として断罪したつもりが、実のところ、自分自身が、侮辱者として断罪されることになったのです。現代という時代に、日本国の公共放送が、台湾の人々の心を踏みにじるような番組を作成したことこそ反省せねばならず、台湾の方々には、大変、申し訳なく思うのです。

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自国の政府に抗議しない在外中国人の不思議

2009年06月26日 11時48分40秒 | 国際政治
「08憲章」起草者逮捕 中国当局(産経新聞) - goo ニュース
 当局による不正選挙とその後の国民弾圧に抗議して、イラン国外で暮らすイラン人の方々も、街頭デモを組織したり、改革派のカラーを身に付けるなど、自国の政府の不当な行為に対して抗議の意思を表明しました。これらの抗議運動は、イランの人々が自国の将来を憂う故の行動であり、外から国内の改革派を支援する役割を担ったのです。

 イランの行方が心配される中で、「08憲章」を起草した劉暁波氏が、北京の公安当局に逮捕されたというニュースが飛び込んできました。氏もまた、共産党一党独裁体制の限界を認識し、民主化を求めた改革派の指導者であり、中国の将来を真剣に憂いた人物の一人でした。ところが、イランとは対照的に、在外中国人の間では、中国当局の言論弾圧に対する抗議の行動は見受けられないのです。北京オリンピックの聖火リレーに際して、長野では、中国人留学生が動員され、中国政府の意向に沿った示威行動を行ったことで顰蹙を買いましたが、在外の中国人の人々には、自国の改革を外から支えようという姿勢が弱いのです。

 弾圧国家から自由主義の国に来た人々は、そこで自由や民主主義について学び、体験することで、自国の体制に疑問を持つに至るものです。もし、在外中国人の方々が、改革に無関心か、あるいは、無関心にさせられているとしますならば、そこには、何らかの理由があるはずです。もし、中国当局の自国民の監視網が、外国にまで及んでいるとしますと、これほど恐ろしい国もないのかもしれません。

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イラン―国民と改革派を引き離す作戦か?

2009年06月25日 17時31分14秒 | 中近東
ハメネイ師、改めて譲歩拒否=警官隊はデモ開催阻止-イラン(時事通信) - goo ニュース
 報道によりますと、イランのマスハーリ内相が、ムサビ氏を支持する改革派が、外国から資金援助を受けていたとして批判したそうです。真偽のほどは別としても、この批判は、イランの現状から見ますと、差し引いて考えるべきではないかと思うのです。

 何故ならば、保守派にとって、改革派に対する外国からの支援をことさらに強調することは、国民と改革派を引き離し、国民を改革派非難に誘導する最も効果的な方法であるからです。これまで改革派を支持していた人々に対して、抗議活動が外国からの干渉であると主張すれば、イスラムの本流としての立場を維持できるとともに、改革派を売国奴に仕立て上げることができます。つまり、自らを安全な場所に置きながら、イラン国民の愛国心を、改革派非難に向けることができるのです。

 こうした手法は、体制側が反体制派を追い込む常套手段でもありますが、はたして、イラン国民は、この主張に納得するのでしょうか。たとえ内相の指摘が事実であったとしても、不正選挙や弾圧の事実が消えるわけではありません。事態の行方は、イラン国民の良識と倫理観にかかっていると思うのです。

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イランは選挙の正当性を問う承認投票を実施しては?

2009年06月24日 15時36分00秒 | 国際政治
米大統領、イラン政府を強く非難「選挙の正当性に疑問」(朝日新聞) - goo ニュース
 イランでは、護憲評議会がムサビ氏の選挙の無効の訴えを否定したことで、事態はさらに混迷を深めそうです。国民の多くが疑惑を抱いているにも拘わらず、弾圧という強権をかざして結果を強引に国民に受け入れさせても、不満や不信感が募るのは目に見えています。

 ムサビ氏は、選挙の不正を示す報告書を作成して提出する、と述べたと伝えられており(日経新聞本日付朝刊)、この報告書が、不正選挙を証明するとなりますと、国民は、さらに現政権に対する反感を強めることになりましょう。このままでは、イランは、深刻な国内分裂の危機を迎えることになりますので、現政権は、最大限、国民の信頼を回復するための措置をとるべきと思うのです。イランの混乱について、アメリカのオバマ大統領は、「アフマディネジャド大統領の「勝利」を認めるかどうかについては、最終的な判断はイランの有権者に任せると」と述べているそうですが、大統領選挙の正当性を国民に問うための選挙を実施することも、一案なのではないか、と思うのです。

 アッラーの神も、自らの行為を真摯に反省し、正しい道に戻る者をお許しになるはずです。もし、自らの誤りを正すという痛みを避けるとすれば、イランは、イスラム教の名の下で不正が行われる国に堕してしまうと思うのです。  

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条約の無効論はチベットに

2009年06月23日 15時58分25秒 | 国際政治
韓日併合は反人道的犯罪のため無効、日本人学者(聯合ニュース) - goo ニュース
 今日の国際法では、武力による威嚇や武力の行使による条約の強制は無効とされております(「条約法に関するウィーン条約」)。しかしながら、1910年という時期において、この無効を主張することが妥当かと言いますと、いささか無理があるように思えるのです。

 民族自決の原則の定着には、時代や地域によってばらつきがあります。19世紀という時代にあっては、ヨーロッパでは民族自決が国家独立の根拠とされながらも、その他の地域ではこの原則は適用されず、合法的な植民地支配が続いていました。また、政府同士の合意による領土の割譲なども、合法的な行為とされていたのです。アジアでも、中国の冊封体制が敷かれていました。

 アジアやアフリカにまで民族自決の原則が拡大するのは、第二次世界大戦を経た後のことです。この見解には、もちろん、他民族の領土を奪うことは人類の普遍的な道徳に反するとする反論があるかもしれません。しかしながら、この原則を、いくらでも過去に遡って適用できるとなりますと、おそらく、すねに傷のない国はありません。現在、地球上に存在している国の多くは、他の国を滅ぼしたり、他民族の土地を奪って成立した歴史を持つからです。

 ようやく戦後に至って、武力や威嚇による条約の強要が禁じられるようになったのですから、無効論を展開するならば、チベットの「17条協定」こそ問題にすべきと言えましょう。現在の違法行為に目を瞑ってはならないと思うのです。

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日本国政府もイラン政府の不正と暴力に対して非難を

2009年06月22日 17時20分06秒 | 日本政治
女子学生も射殺されているイランを前に、板挟みのオバマ氏――ニュースな英語(gooニュース・ニュースな英語) - goo ニュース
 イランでは、改革派の抗議デモが中止されたものの、女子学生が射殺されるなど、さらなる惨事が報じられています。アメリカのオバマ大統領は、イラン政府の不正と暴力に対して抗議を行う旨の発言をされたようですが、日本国政府もまた、イランに対して厳しい非難を行うべきではないかと思うのです。

 もしこの事件が、純粋にイラン国内の内紛であるならば、改革派を支持する形で非難を行いますと、アメリカ政府が懸念したように、改革派が親欧米派と見なされ、窮地に陥れることになるかもしれません。しかしながら、主導権争いが背景にある可能性は指摘されつつも、イラン政府は、国民からの不正選挙を疑う声に誠実に応えようとせず、抗議運動に参加した人々を殺害するなど、明らかに非難されるべき暴力行為を行っています。この不正の隠蔽と弾圧行為は、改革派の支持者のみならず、誰から見ても許されるものではありません。

 日本国政府は、イラン政府に対して不正と暴力を咎め、問題の放置が、国際社会におけるイランの信頼を落とすことになることを、真摯に説くべきと思うのです。

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北朝鮮は”革命血統”でさらに退化する?

2009年06月21日 15時39分04秒 | アジア
北で金日成礼賛復活 3代世襲正当化の意図か(産経新聞) - goo ニュース
 現在の金正日体制が不人気なためにか、北朝鮮では、初代に当たる金日成礼賛が復活しているようです。それというのも、”革命血統”を強調することで、三代目の継承を正当化したいということらしいのですが、この方針は、さらに北朝鮮の退化を招きそうです。

 何故ならば、”革命”を前面に打ち出せば打ち出すほどに、体制の”改革”は遠のくからです。現体制にあって、一部市場主義を取り入れ、経済改革を行った時期には、金日成礼賛は消えたと指摘されています。この点から見ますと、金日成礼賛の復活は、改革開放路線との決別と、革命当時の統制経済への逆戻りを意味しているのかもしれません。つまり、若手へのトップ交代は、体制の改革をもたらすものではなく、”革命血統”による時代錯誤の”先祖がえり”となるかもないかもしれないのです。

 かくも後ろ向きな北朝鮮は、いったい、何処に向かって進もうとしているのでしょうか。誰もが体制を前向きに改革することができず、軍事優先体制への傾斜を強める北朝鮮は、ひたすら過去に向かって歩いているように見えるのです。

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イランは独裁への道を歩むのか―歴史は繰り返す

2009年06月20日 13時30分58秒 | 中近東
大統領再選は「国民の選択」=ムサビ氏支持デモの終結要求-イラン最高指導者(時事通信) - goo ニュース
 ホメイニ師亡き後、イランでは、バシジ(人民動員軍)と呼ばれる民兵組織が国民監視と弾圧を行うようになり、現体制を暴力で支えていると報じられています。この展開を見ますと、歴史上に数多く見られた独裁への道をイランもまた歩んでいるように思われるのです。

 古代アテネでは、ペイシストラトスの僭主(独裁)政治が成立するに際して、棍棒隊と呼ばれた親衛隊が活動したと伝えられています。現代に至っても、この手法は独裁体制樹立への常套手段であり、ヒトラーの親衛隊を挙げるまでもなく、独裁者たちは、民間に監視・弾圧組織を張り巡らすことで、国民を内部から抑圧し支配してきました。中東では、イラクのかつての独裁者フセインもまた、最後までスンニ派で固めた親衛隊に守られていたことで知られています。

 選挙の不正疑惑を発端としながらも、イラン国民の抗議運動は、今後、イランが進もうとしている方向に対する抗議の表明であると見ることもできます。最高指導者のハメネイ師の選挙結果の安易な容認は、イラン国民の危機感をさらに深めることになるかもしれないと思うのです。

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移植法と再生医療技術

2009年06月19日 12時59分53秒 | 社会
首相「世の中固まってない」―移植法A案反対議員の声(朝日新聞) - goo ニュース
 最近、医療の最先端技術として再生医療が注目されるようになり、マスメディアなどでも、自己の幹細胞を増殖させることで失われた機能を回復させる治療方法が紹介されるようになりました。昨日、移植法A案が衆議院を通過したことから、脳死の問題が議論されているようですが、再生医療の観点からの検討も必要なように思うのです。

 これまでの医学の定説では、脳細胞は、一旦破壊されると回復は不可能とみなされてきたようですが、脳の発育期にある幼少の患者さんや、脳の損傷が脳内に非常事態を作り出している場合には、大人の患者さんであっても、脳の幹細胞が働いて、新たな脳細胞を生みだしたり、あるいは、損傷を受けた細胞が修復されるという現象が観察されているそうです。もし、今後、再生医療が発展をするとしますと、脳死状態と判定されても、再生医療を施すことで意識が回復する時代が到来するかもしれません。移植法を議論するに際しては、医学的に否定されない限り、長期的な視点に立って、再生医療の可能性も論点に含めていただきたいと思うのです。

 最善の策は、他者に犠牲を求めない治療方法の確立です。再生医療は、脳死の人々を救うとともに、臓器の機能回復に役立つことができれば、臓器の病に苦しむ人々をも救うことになります。将来を見通して、再生医療や万能細胞の研究にも予算を振り向けることも、想起移植問題の一つの解決策のように思うのです。 

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日本国は防衛力強化の時期では

2009年06月18日 17時36分15秒 | アジア
日本射程のミサイル320基=北朝鮮が配備-シンクタンク分析(時事通信) - goo ニュース
 年々、北朝鮮のミサイル攻撃力が強化されており、射程距離を伸ばすのみならず、ミサイルそのものの保有数も増加させているようです。軍事バランスを考慮しますと、北朝鮮とは逆方向に軍事費を削減し続けた日本国の防衛力には、不安があります。

 アメリカの軍事専門家の見解では、北朝鮮軍部では反日思想に染まった若手将校の発言力が増しており、いざ戦争となりますと、韓国ではなく日本国を攻撃する可能性もあるそうです。もし、北朝鮮が日本国を攻撃するとなりますと、正当な攻撃理由などあるはずもありませんので、白昼堂々と侵略行為が行われることになります。かの国の軍部が国際法を学んでいるとも思えませんし、現状では、有効な抑止力を期待できる枠組みもありません。

 軍事力しか信じない国のことですから、話し合い路線には限界があります。日本国の採るべき対抗策は、MDや次世代技術の開発を含めた防衛力の強化なのではないでしょうか。世論調査の政党支持率を見てみますと、民主党政権の誕生を予測される結果が報じられていますが、殊、安全保障となりますと、”友愛”では如何にも心もとないように思えるのです。

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イランの不正選挙疑惑―追い詰められる保守派

2009年06月17日 15時53分47秒 | 中近東
イラン 革命後最大デモ 保守派独占に不満噴出 改革派の引き際いかに(産経新聞) - goo ニュース
 1979年にイランで発生したイスラム革命とは、西欧文明を腐敗の根源として拒絶し、コーランに基づく理想国家の実現を目指した革命運動でした。現在でも、イスラム法の最高権威者を国家の頂点に戴く体制を維持しているのですが、今回の不正選挙疑惑は、今後の展開次第によっては、この体制を揺るがしかねないのではないかと思うのです。

 イランの現体制が、”神の国”の実現を国民に約すことで自らの正当性を維持していることを考えますと、選挙の不正の黙認は、致命的な意味を持ちかねません。イスラム教にあっても、他者を騙すような不正な行為が許されるはずはなく、もし選挙に不正があったとしますと、自らが神の掟に背く行為を行っていることを、国民の前に晒すことになるからです。これでは、自己の存在否定になりますので、改革派のみならず、現体制に信頼を寄せてきた保守派の支持者をも失望させることになりましょう。

 最高指導者のハメネイ師もアハマディネジャド大統領も、国民からの抗議の声に誠実に応え、不正選挙疑惑を晴らしませんと、自らの立脚するイスラムの正義という土台をも掘り崩すことになるのではないでしょうか。

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正当防衛としての先制攻撃

2009年06月16日 14時59分19秒 | 日本政治
党委員長を辞任=「先制攻撃排除」に反発-小池元防衛相(時事通信) - goo ニュース
 刑法の第三六条には、急迫不正の侵害に対して、自己又は他者の権利を防衛するため、やむを得ずした行為は、罰しない」とあります。国際社会においても、侵略行為は”不正の侵害”に当たりますので、国家もまた、侵略に対する正当防衛の権利を保有していると解されているのです。正当防衛が要する場合には、先制攻撃=侵略とは見なされないのです。

 しかしながら、自民党の国防合同会議は、国防計画大綱の作成に際して、あたかも自国の正当防衛の権利を放棄するような意見を提言しようとしているようです。もちろん、予防的先制攻撃については、”脅威が顕在化する前の攻撃”とする解釈がありますので(6月10日付産経新聞朝刊)、”脅威が顕在化した後の攻撃”については、国際法上、正当防衛として認められることになりましょう。そうではありますが、わざわざ「予防的先制攻撃は行わない」という一文を提言書に書き込む必要は、全く無いのではないでしょうか。

 議論するとしましたら、それは、合法的に正当防衛を行うための手続きや(相手国への警告、関係諸国や国際機関への事前通告・・・?)、先制攻撃の手段や範囲なのではないかと思うのです。国連の能力には限界がありますので、国家の自己救済の権利まで否定しますと、抑止力も防衛力も弱体化してしまうのではないでしょうか。

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