万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランは何故アメリカを敵視するのか?-イランの挙動不審

2019-06-22 14:57:56 | その他

イランが秘かに核・ミサイル開発に乗り出した理由は、中東におけるイスラエルとの対立にあります。しかしながら、よく考えてもみますと、イランには直接的にイスラエルを敵視する合理的な理由は見当たりません。イランの対イスラエル、並びに、対米姿勢には、どこか腑に落ちない点があるのです。

敢えてその主因を探すならば、イスラエル建国、並びにその後のパレスチナ紛争に端を発したユダヤ対アラブの中東戦争にあり、アラブ側に与したイランは、同対立軸においてイスラエルを敵国認定したこととなります。つまり、‘味方の敵は敵’という間接的な関係に過ぎず、イランは、第一次から第4次中東戦争に至るまでアラブ連合軍に参加してはいません。パレスチナ領やゴラン高原の入植地とは異なり、国境を接していないイランはイスラエル軍によって領域を占領されることもなかったのです。イランによるイスラエル敵視政策は中東和平の動きに水を差し、むしろ、戦線を拡大する方向に作用しているのです。

それともイランは、イスラエルのみが核を保有する現状に不満を抱き、ペルシャ帝国の再来を夢見て核・ミサイル開発を試みようとしたのでしょうか。仮に同地域における核のバランスを考慮したのならば、自らがNPT条約違反の行為に手を染めるよりも、イスラエルに対して核放棄を迫るのが筋なはずです(イランは、公式には宗教上の理由から核開発を否定している…)。この方法であれば、国際的な支持を受けることもできますし(ICANも支援?)、厳しい制裁も受けずに済んだはずなのです。中東の覇者となることが核・ミサイル開発に着手した真の動機であるならば、イスラエルの脅威は言い訳に過ぎないのですが、曲がりなりにも国際法が存在する今日にあって、イランが覇者となるために周辺諸国との核戦争に訴える、あるいは、核で脅迫するというシナリオは、得るものも殆どなく非現実的なように思えます。

 それでは、イランのイスラエル敵視は、安全保障上の理由ではなく、合理性を越えた宗教的信条に基づいているのでしょうか。歴史的にみますと、イスラム教とユダヤ教とがかくも激しく敵対するのはイスラエル建国以降となります。『コーラン』にあって、ユダヤ教徒はイスラム教に改宗すべき聖典の民ですが、ユーラシア大陸の大半の地域では両者は共存しており、むしろ協力関係を築いていた場合も少なくありません。キリスト教と比較すれば、ユダヤ教の方がイスラム教との間に親和性が高く、食事にタブーを設ける等の生活習慣や戒律等においても共通性を見出すことができるのです。また、イラン国以内にもユダヤ教徒が居住しておりますので(何故か、ホメイニ師の親族にもユダヤ人がいる?…)、イランがユダヤ人をとりわけ敵視する理由も薄いと言わざるを得ないのです。

 もっとも、イランのイスラム教徒の多くはシーア派であるものの、イランの現体制はイスラム原理主義に近いため、ユダヤ教のみならず、他の一切の宗教や宗派に対して攻撃的なのかもしれません。サウジアラビアに対する敵視も同国がスンナ派の分派であるワッハーブ主義を国教とする国であるからなのでしょう。双方ともが原理主義故に両国は火花を散らすことになるのでしょうが、イランとサウジアラビアとの対立は、イスラエルを主目的としたイランの核・ミサイル開発に対してサウジアラビアが強固に反対する構図となっています。奇妙なことに、イランの核開発は、宗教的に対立していたはずのイスラエルとサウジアラビアとの間に共闘関係をもたらしており、イランは、イスラム教国の結束を打ち砕く役割を果たしてしまっているのです(上述した‘味方の敵は敵’論も成り立たなくなる…)。

 そして、イランがアメリカを敵視する理由となりますと、さらに訳がわからなくなります。イランにとりましてのアメリカとは、ユダヤ系人口が多く、そのロビー活動が政策決定に多大な影響を与えている故のイスラエルとの同一視にあります。確かに、イスラエルはアメリカの事実上の同盟国ではありますが、ここでアメリカとイランが開戦に至るとなりますと、アメリカは代理戦争を戦うと言うことになりましょう。そしてイランは、自ら世界屈指の軍事大国を挑発して戦争に望むという愚を犯していることともなるのです。

  以上に述べましたように、イランの行動は国際社会に混乱と戦争のリスクをもたらすのみであり、自らの首を自らの手で絞めているようにも見えます。イランの指導者が愚かではないとしますと、あり得るシナリオは、イスラム革命以来、イランが何らかの国際勢力によって操られているという可能性です(一種の‘八百長’?)。一見、合理性を欠いた行動でも表向きとは異なる目的を想定すれば理解の範疇に入ることは多々ありますので、イランの挙動不審な言動については、その背景こそ見極めるべきではないかと思うのです。
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イラン情勢-戦争の発端は‘藪の中’

2019-06-21 17:25:12 | その他

近現代の戦争には、古代や中世にはあまり見られない特徴があります。それは、戦争の発端がしばしば‘藪の中’となることです。各国、あるいは、国際勢力が開戦の責任を転嫁するため、あるいは、戦争を正当化するために、盛んに工作活動を展開するからです。今般、日本国の安倍晋三首相がイランを訪問したまさにその時、日本企業保有のタンカーが砲撃を受けましたが、これもまた諸説が入り乱れ、どの組織による犯行なのか事件の真相は不明のままです。米軍無人機も撃墜されていますので、革命防衛軍であれ何であれ、イランによる犯行である可能性は高いのですが、それを確定することができないのです。

 第一次世界大戦はセルビアの一青年による‘サラエボの一発の銃弾が引き起こした’とされていますが、謎がないわけではありません。教科書的には、オーストリアによる1908年のボスニア・ヘルツェゴビナの併合に反対し、大セルビア主義の夢に酔ったボスニア系セルビア人、プリンチップがオーストラリア皇太子夫妻を狙撃した暗殺事件として説明されています。しかしながら、プリンチップの所属した「青年ボスニア」に注目しますと、同組織には、ボスニア系ムスリムやボスニア系クロアチア人も含まれていることに加え、その信奉するイデオロギーもユーゴスラビア主義と汎セルビア主義の二本立てでした。しかも、ドイツ・ロマンティズム、無政府主義者、ロシア系革命主義、ドストエフスキー、ニーチェ、反トルコ主義からも影響を受けていたおり、雑多な思想が入り混じっていたそうです。また、セルビア軍の秘密結社であった「黒手組」からも支援を受けており、その「黒手組」もフリーメーソン等と国際組織との繋がりに関する噂もあります(「青年ボスニア」は、ドイツやイタリアの同様の組織をモデルとしているが、日本国の‘維新の志士’や「青年トルコ」等も同系統かもしれない…)。パレードのコースの変更などケネディ大統領暗殺事件と類似する組織的な工作の痕跡も見られ、幾重にも組織がオーバーラップするサラエボ事件については、真の犯人を見極めることが極めて困難なのです。

 現代の戦争の発端が不透明となる理由は、真の目的、あるいは、計画者を一般の人々の目から隠す必要があったからなのでしょう。盧溝橋事件等にも同様の指摘ができますが、今般のイランをめぐる状況を見ますと、その不透明性こそが、戦争の前兆のようにも思えてきます。そして過去の歴史からしますと、それは、おそらく、上部から敵味方とされる両国の双方において巧みに操られ、流されるままに戦争へと誘導されるのでしょう。しかし、過去の歴史を教訓といたしますと、防ぐ手立てはあるかもしれません。いずれにいたしましても、何れの国の国民であれ、また、如何なる利害関係に身を置く者であれ、相互に善良な一般の人々を殺害し合い、人類文明を破壊するような戦争は防ぐべきです。人類は、教科書ではなく、真の歴史の教訓にこそ学ぶべきなのではないではないかと思うのです。
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フェイスブックの「Libra」参加は大丈夫?

2019-06-19 16:05:35 | その他

SNSにおいて全世界を網羅するプラットフォームを構築したフェイスブックは、いよいよ金融の分野にも進出する模様です。報道に依りますと、スイスのジュネーブを本部とするリブラ協会が発行・運営してきた仮想通貨「Libra」に参加するそうです。

 当初はフェイスブックがビットコイン形式の独自の通貨を発行するのではないかとする憶測もありましたが、結局は既存の「Libra」への参加というスタイルになりました。マイニングによる‘無から有を生み出す’ような通貨発行ではなく、各国が発行している公定通貨や短期国債といった変動率の低い資産を準備としますので、一先ずは、公的な信用の裏付けがあります。また、米ドルやユーロとの交換も保障されている「ステーブルコイン」であり、いわば‘兌換通貨’なのです(一方、アリババの送金システムは人民元とのリンケージが予測される…)。同社の仮想通貨の目的については、日経新聞朝刊(6月19日付)は、(1)国境を越えた送金・決裁システムの提供、並びに、(2)独自通貨圏の形成の二つを挙げています。

 第一の目的については、27億人とされるユーザーの強みを持ち、グローバルなプラットフォームを有するフェイスブックと「Libra」のメンバーであるマスターカード、ペイパル、ビザといった他の決裁企業との間で利害が一致したのでしょう。今日、全世界で銀行口座を持たない人口は17億を数えると言います。アフリカやアジア諸国が想定されますが、これらの人々は、「Libra」を利用さえすれば銀行に口座を開設しなくとも送金や決済が自由にできるようになります。銀行システムが未整備な諸国は、決裁企業にとりましてもフロンティアであり、ビジネスチャンスでもあります。あるいは、ジンバブエのようにハイパーインフレーションに見舞われたり、自国通貨に対する信頼性の低い国では、自国通貨に代わって「Libra」が通貨の役割を果たすようになるかもしれません。

 第二の目的は、フェイスブックと「Libra」に参加している他のIT関連企業との思惑の一致として理解されます。各社が構築してきたプラットフォームをLibraシステムの内に融合させれば、そこには、一大経済圏が出現する可能性があるからです。現在、ウーバーテクノロジをはじめ30社ほどがLibra協会に加盟していますが、今後、さらに参加企業が増加すれば、自国通貨を使用しなくとも‘Libra圏’で生活できるようになるかもしれないのです。

 以上の二つの目的は、フェイスブックの野心的な経営方針からしますと、何れも理解に難くはありません。しかしながら、これらの二つの目的を同時に追うことはできるのでしょうか。二つの目的を切り離して考えますと実現は可能なように思われるのですが、両者の間には二律背反的な問題が潜んでいるように思えます。

 EUにおいて単一通貨圏となるユーロ圏を構想するに際して、その主たる阻害要因として指摘されたのは、各国間の物価水準の違いです。単一通貨圏内において同じ製品やサービスに対して同一の価格を付けることが難しくなるからです。このため、EUでは収斂基金等を設けて経済レベルの低い諸国を底上げするための積極的な投資を行い、物価水準の平準化を図ろうとさえしてきました。‘Libra圏’でも、国境を越えた送金・決裁が行われるのですから、この問題に直面するはずです。しかも、アフリカやアジア諸国とアメリカ等の先進国との間の経済格差は、EU加盟国間の比ではありません。

 第一の目的を追求するためには第二の目的を諦めて途上国への送金のみに機能を特化しなければなりませんし、第二の目的を追えば、サービス対象を物価水準が同程度で推移している先進諸国に限定し、第一の目的を断念せざるを得なくなりましょう。このように考えますと、フェイスブックの‘Libra圏’構想には、相当の無理があるように思えるのです。

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新年のご挨拶

2019-01-01 09:27:58 | その他
 謹んで 初春の賀詞を 申し上げます

 旧年中は 格別のご厚情を賜り あつく御礼申し上げます


 皆さま方のご健康と幸多きを祈りつつ


 あらたまの 年のはじめに ふる雪の み空に舞ひて 春をことほぐ




*お正月の三が日につきましては、本ブログの記事掲載はお休みさせていただきたく存じます。拙いブログながらも4日頃に初記事を掲載いたしますので、何とぞご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
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新年のご挨拶

2018-01-01 08:12:23 | その他
 謹んで 年頭のご挨拶を 申し上げます


 昨年中は いろいろとお世話になりまして ありがとうございました

 皆さまのご多幸と健康をお祈りして


 のどかなる 春のそらに 雲わたり
  初日を照らし 年のあけゆく


 
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“慰安婦”総領事発言-事実は撤回できない

2017-07-01 15:54:40 | その他
米ジョージア州レポーターニューズペーパーズからのインタヴューに応じた際に、篠塚隆駐アトランタ総領事が“慰安婦は、強制的に連行されたのではなく、性奴隷ではない”と発言しことを受けて、韓国国内では、激しい反発が起きているそうです。この時ばかりは、慰安婦合意の精神に反するとして…。韓国外務省の報道官は、記者会見の場で“発言の撤廃と謝罪を求める”と息巻いていますが、日本国政府は、この要求に決して応じてはならないと思うのです。

その理由は、第1に、昨年末の日韓慰安婦合意は、歴史的な事実に関する説明には及ばないからです。合意当時、歴史事実が有耶無耶になり、慰安婦=性奴隷の既成事実化を招くとする日本国内の批判に対して、日本国政府は、歴史的事実が適用外である点を強調しております。総領事の発言は、歴史的事実に他なりません。

 第2に、仮に韓国政府の要請を受けて本発言を撤回したとしますと、日本国政府が、公式に慰安婦を性奴隷と認めたと受け取られかねません。今般の一件は、アメリカのメディアの取材過程において生じており、韓国国内やレポーターニューズペーパーズの読者に限らず、国際社会全般に慰安婦=性奴隷という“フェークニューズ”が定着することとなりましょう。

 第3に、文政権発足と時を同じくして、米国内での慰安婦像の設置活動が活発化してきているようです。その背景には、慰安婦問題で共闘する中国や北朝鮮の影も見え隠れしており、当該発言については、中国外交部も韓国に同調し、「第二次世界大戦中、日本が反人道的な罪を犯したことは動かしがたい事実だ」と述べて批判しています。先日発表されたアメリカの人身売買報告書では中国は最下位のランクに引き下げられておりますが、一時的には対北対策で緩和した米中関係も、再度、緊張を高める気配を見せており、本件も、この文脈において理解されます。乃ち、韓国の慰安婦問題の“蒸し返し”は中韓北連合の復活の兆しであり、そうであればこそ、米中韓の結束強化の側面から安易に韓国に妥協すると、逆効果となる可能性も否定はできません。

 何れにせよ、歴史的事実は撤回することはできません。日本国政府は、今度こそ、判断を誤ってはならないと思うのです。

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ミサイル実験を急ぐ北朝鮮ー”米中100日合意”が元凶では?

2017-05-22 13:18:40 | その他
北朝鮮対応「100日猶予を」 中国・習主席、米に要求
 朝鮮半島において米朝睨みあいの緊張が続く中、北朝鮮は、国際社会からの批判を嘲笑うかのように、ミサイル実験を繰り返しています。北朝鮮の辞書には自制という言葉はなく、何としても対米核攻撃力を有すべく、核・ミサイルの開発に邁進しています。

 米軍から空爆されるリスクを冒してまでミサイル発射実験を連続して敢行する北朝鮮の態度は理解に苦しむところでしたが、本日、その背景を伺わせる情報が飛び込んできました。その情報とは、習近平主席が4月上旬に訪米した際に、トランプ米大統領に対して北朝鮮問題について100日間の猶予を与えるよう要請したというものです。中国側の要請をトランプ大統領が承認したかどうかは不明ですが、仮に、経済問題のみならず、北朝鮮問題においても米中間で”100日合意”なるものが成立していたとしますと、この期間は、北朝鮮にとっても”猶予期間”となります。つまり、100日の間であれば、北朝鮮は、中国が釘を刺した核実験を除いては、凡そ何をしても許されることになるのです。この100日間の猶予は北朝鮮にとりまして貴重な戦争準備期間であり、金正恩氏が新型ミサイルの量産を命じたのも”米中100日合意”を想定すれば容易に理解できます。

 マスコミ報道がなく、非公開の情報であったにも拘わらず、北朝鮮が”米中100日合意”の存在を知っていたとすれば、後ろ盾である中国側が情報を漏らしたとも推測されます。あるいは、”関係筋”からの情報提供という形であれ、アメリカ側が”米中100日合意”の存在を意図的に表にすることで、中国に期限内における北朝鮮問題解決を迫る、あるいは、中国に対して対北情報漏洩の責任を問うているのかもしれません。何れにせよ、北朝鮮には、事実上、100日間の猶予が与えられたわけですから、”米中100日合意”は、極秘でこそ意義があったと言わざるを得ないのです。

 ”米中100日合意”が存在しているとすれば、そのタイムリミットは7月中旬頃となります。猶予期間を戦争準備期間と捉えている北朝鮮の行動は、核放棄の可能性が極めて低いことを示しており、中国が”問題解決”に失敗すれば、アメリカは、北朝鮮問題について重大なる決断を迫られることとなると思うのです。

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皇室問題には国際的視点が必要ではーイギリスとの”特別な関係”

2017-05-20 15:30:11 | その他
【天皇陛下譲位】避けられぬ皇族減少 ご公務集中、増す負担 「精査必要」指摘も
 皇室を巡っては、平成の世を迎えて以来、水面下に潜んでいた様々な問題が表面に浮かび上がってきたように思えます。皇室とは、日本国の歴史と伝統を背負う存在なだけに、皇室問題についても、日本の国内問題として見なされがちです。しかしながら、明治維新による王政復古の流れを考慮しますと、皇室問題の解決には、国際的な視点からの検証を要するのではないかと思うのです。  

 明治維新がイギリスに拠点を置く一部勢力の世界戦略とは無縁ではなかったことは、武器商人であったトマス・グラバー等のイギリス人が背後で暗躍したことからも、容易に推測されます。日英の”特別な関係”は、明治維新に遡ることができます。こうした日英関係の特殊性は、歴代天皇が英国国王からガーター勲章を叙勲していることからも伺えます。最初の叙勲は明治天皇であり、日英同盟締結後の1906年のことです。軍事同盟を機としたことは、儀礼的な名誉としての勲章の授与というよりも、軍事的紐帯というこの叙勲の封建的性格を表わしています(1873年には、軍事的要衝であったことから、ヴィクトリア女王は、ペルシャのシャーに対してガーター勲章を授与している…)。以後、大正天皇、昭和天皇と続き、今上天皇も1998年にイギリスを訪問した際に叙勲されています。

 純粋なる封建制の視点からしますと、叙勲による騎士団への加入は、主君に対して”騎士”が忠誠を誓うわけですから、両者の間で主従関係が生じることを意味します。ガーター勲章は、日本国の天皇の他にもヨーロッパ各国の君主に授けられており、この制度は、いわば、英国国王を頂点とする世界王室・皇室ネットワークの形成に一役買っているのです(ガーター騎士団は一部に過ぎず、その背後には、国際経済勢力とも結びついたさらに巨大な組織が潜んでいる可能性も…)。ガーター騎士団の一員であることは”名誉”である反面、日本国の立場からしますと、天皇が外国の君主の”家臣”の立場となりますので、国家の独立性の観点からすれば、必ずしも”名誉”とは言えない側面があります。日本国内のマスメディアでは、第二次世界大戦で敵国同士となったものの、概ね好意的に報じられていますが、対等というよりは、封建的ヒエラルキーにあっては、日本国は格下として位置付けられているとも言えます。

 この”特別な関係”に起因してか、東宮のケンブリッジ留学をはじめ、皇族のメンバーがイギリスの大学に留学するという”イギリス詣で”の慣習が根付いています。比較的真面目であった東宮の性格が激変したのも、イギリスでの経験が影響したとの指摘があります。イギリスの影響を抜きにしては、日本国の伝統的天皇のあり方と今日の皇室の思考や行動との著しい乖離は語れないと思われるのです。そして、今日の皇室は、日本国の伝統から離れ、自ら、英国王室化を図っているようにも見えます。今般の”内親王婚約近し”の一件にしても、マスコミと支援団体が騒ぐことで一昔前ではあり得ない民間人が配偶者となる点において、近年の王室・皇室の婚姻のパターンを踏襲しているようにも見えます。そしてそれが、明治以来の”特別の関係”に由来しているとなりますと、日本国政府も国民も、その流れを止めることは決して容易な事ではありません。明治以来、皇室は、国際ネットワークと緊密に結びついているからなのかもしないのですから。保守層の期待が常に裏切られるのも、皇室のこうした国際性において説明されます。

 皇室問題を国際的な視点から分析することは、未来に向けて日本国の国制を考える上で、重要な作業となりましょう。原因を突き止めれば、自ずと、対策も見えてくるからです。おそらく、皇室をも統制下に置く国際ネットワークは、様々な組織をも配下に置いているのでしょうが、皇室問題の表面化は、日本史のみならず、世界史をも抜本的に見直す転機となるのではないかと思うのです。

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米国務長官の訪ロー対北強行措置の根回しか?

2017-04-06 15:28:21 | その他
米国務長官、ロシア訪問へ 北朝鮮問題など協議
 報道によりますと、アメリカのティラーソン国務長官は、今月12日からロシアを訪問するそうです。両国間の議題として、シリア内戦、ウクライナ情勢、テロ対策、北朝鮮問題などが予定されているそうですが、緊急性からしますと、北朝鮮問題が主要テーマとして協議される可能性があります。

 トランプ政権の誕生により、アメリカの対北政策は180度転換し、従来の”戦略的忍耐”の方針は放棄されています。そこで、アメリカの一連の外交日程に注目しますと、この転換に際して、単独主義を唱えてきたトランプ政権も、新方針への円滑なる移行を実現するために、六か国協議のメンバー国に対して根回しを試みているようにも見えます。日本国に対しては、安倍首相の訪米時に際して既に了解を取り付けたと推測されますし、中国に対しては、習主席の訪米時において二者択一を迫る形で、米中どちらかによる対北強硬措置が選択されることでしょう。韓国については、軍事指揮権が米軍にあり、かつ、大統領選を控えた政権移行期間にあるため、アメリカの方針に従うものと見なされているかもしれません(この点、親北の候補者が大統領に就任する可能性がある新政権発足後の方が、合意を得るのが難しくなる…)。そして、六か国協議の残る一つのメンバー国がロシアであり、ロシアの合意さえ取り付ければ、アメリカの政策転換は、全ての関連諸国の合意の上で達成されることとなります。

 イラク戦争時には、大量破壊兵器に関する証拠が不十分であったため、米国主導の軍事行動に対して国際世論も割れましたが、今般の北朝鮮のケースでは、自ら核保有を宣言しているため、軍事行動を含む強硬措置の実施は、国際社会のコンセンサスと言っても過言ではありません。日本国内でも、対北軍事制裁に対しては、日頃から戦争反対を訴える絶対的平和主義者が少なくない左翼勢力からも反対の声は殆どないのです。北朝鮮包囲網が狭まっている現状に鑑みますと、ティラーソン国務長官の訪ロは、空爆を含む対北強硬措置の実行日が近づいていることを示唆しているように思えるのです。

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新年のご挨拶

2017-01-01 07:12:53 | その他
 謹んで 初春の賀詞を 申し上げます

 旧年中は 格別のご厚誼をいただきまして まことにありがとうございました 
 本年も どうぞよろしく お願い申し上げます

 今年が伸びやかな年となることを祈りて

 ゆきとけて 野辺のみどりの おさなきも 春のひかりに そらへ 伸びゆく



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人類誕生の要因は加熱調理では?ー有効成分の飛躍的摂取

2016-11-30 15:20:27 | その他
 人類は、本当のところは自らの存在について全てを知っているわけではなく、生物の起源に至っては、未知の世界といっても過言ではありません。科学技術が進歩した現在の人類の知性を総動員しても解き明かすことができない謎は、数多く残されているのです。

 ところで、ダーウィンに代表される進化論では、大まかに言えば、適者生存の法則が人類を誕生させたと説いています。しかしながら、二本の足で歩く人間の身体は合理的、かつ、視覚的にも美しいフォームですし、その高い知能・知性は、他の類人猿から一歩抜きん出ています。”何故、人類だけが他の動物とは違うのか”という問題を考えた時、適者生存のみでは説明が不十分なように思われるのです。弱肉強食をも意味する適者生存だけが進化を齎すならば、今日にあっても、恐竜といった獰猛な生物が”地球の王者”として君臨してもおかしくはないからです。

 そこで推測されるのは、人間による火の使用です。他の動物は、火を極端に恐れますが、人間のみは、火を様々な目的に使うことができます。そして、火の使用による主たる効用の一つは、加熱した食物を食べることで、自然界に存在する様々な有効成分を摂取することができるようになったからではないかと思うのです。古代から人間が薬草を利用してきたことは知られており、中には、脳の神経細胞を増殖させたり、刺激する成分を有する植物もあります。今日では、これらの植物が効用や効能の多くは、科学的成文分析によって裏付けられています。薬草を特定するに至らないまでも、人間は、調理を通して知らず知らずの内に様々な有効成分を体内に取り入れることで、知能のみならず、様々な機能を、比較的短期間の間に急速に発展させたとも考えられるのです。

 この仮説が正しいとしても、何故、人間のみが火を怖れないのか、といった根本問題は謎のままですし、有効成分は人間のDNA配列に変化を与え、進化モーターとして働いたのか、あるいは、既存のDNAに何らかの機能の発現を促す促進作用を及ぼしたのか、といった問題も残ります。人間とは一体何なのか、あらゆる分野で混乱に見舞われている今日、もう一度、人間自身を見つめることも無駄ではないように思えるのです。

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連舫氏の国籍問題への対応は政府や国会の義務

2016-10-16 09:18:05 | その他
蓮舫氏、日本国籍の選択を宣言 「行政指導されたので」
 昨日、民進党の蓮舫代表は、自身の国籍問題について、台湾籍の離脱届が不受理となったため、行政指導に従って日本国籍の選択を宣言した旨を明らかにしました。この説明によれば、これまでの17歳で手続きしたという過去の発言は虚偽となりますが、一体、氏は、何時、日本国籍を取得したのでしょうか。

 氏の場合、出生時において日本国籍を取得したわけではなく、当時の国籍法に基づいて、父系の台湾籍のみを取得しています。1985年に国籍法が父系主義から両系主義に改正されたのを機に日本国籍を取得した、というのが、これまでの説明でした。しかしながら、昨日の発言によれば、国籍選択の時期は”2016年10月〇日”となるのですが、氏の場合には、ここで重大な疑問が発生します。それは、1985年以降、氏が、今日に至るまで国籍選択をしていないならば、日本国籍も取得していなかったのではないか、という疑問です。

 国籍法では、出生時における国籍選択の留保によって、一定期間の間のみ二重国籍の状態が認められています。氏の場合には、父系主義により出生時の取得国籍が台湾籍ですので、出生時における留保手続きを経ておりません。即ち、1985年の法改正に際し、有資格者に対して採られた行政手続きによって、国籍取得と同時に国籍の選択が宣言された可能性が高いのです(未確認ですが…)。この時、国籍選択の手続きをしていないとなりますと、氏は、日本国籍も取得していない、といったこともあり得ないわけではないのです。

 ところが、氏は、昨日、日本国籍の選択宣言を行ったと述べており、それが事実であるならば、それ以前に日本国籍を取得していたこととなり、それが、何時であるのか、全く以って不明なのです。17歳での手続きとは、国籍留保の手続きであった可能性もありますが、17歳という年齢は選択の期限が迫る年齢ですので、この可能性はそれほど高くはないようにも思えます。また、村田信之氏との婚姻に際して日本国籍を取得した可能性もありますが、仮に、このケースであれば、国籍選択ではなく帰化となりますので、改めて国籍選択の宣言を行う必要性もないはずです。謎は、深まるばかりです。

 何れにしましても、二重国籍の解消のための国籍選択宣言と日本国籍取得とは、似て非なるものです。民主党時代に、蓮舫代表は国務大臣を務めておりますので、本人のみならず、政府や国会もまた、事実関係を明らかにする義務があると思うのです。

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新年のご挨拶

2016-01-01 07:46:51 | その他
 謹んで新年の祝詞を申し上げます

 このひととせも みな様方が お健やかに過ごされますよう 心よりお祈り申し上げます

 やはらかき 風のふきぬく 谷川に 木のめにささやく 春の音を聞く


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中台首脳会談-”現代版冊封体制”へのステップでは?

2015-11-05 15:04:13 | その他
「対話常態化への第一歩」=中台首脳会談で馬総統
 1949年10月の中華人民共和国の建国以来、台湾の中華民国との間には、長らく首脳会談の場を設けることはありませんでした。その理由は、首脳会談を行えば、相手側を相互に”主権国家”と見なすことになり、”一つの中国”を主張する中国にとりましては不都合であったからです。

 ところが、台湾での総統選挙を来年に控えた今月3日、台湾の総督府は、7日にシンガポールにおいて中国の習近平主席と中台首脳会談を開く予定にあると公表しました。マスコミの大方の味方によりますと、中台関係の安定を印象付けることで、来年の総統選において敗北が確実視されている国民党に梃入れをすることが目的のようです(仮に、この目的であれば、ソフトな脅迫路線…)。しかしながら、台湾国内では、若年層を中心に反中感情が渦巻いていますので、冷静に判断すれば中台接近策は”火に油”となり、逆効果が予測されます。にも拘らず、敢えて中台接近をアピールする背景には、別の意図が隠されている可能性があります。この点に関して注目すべきは、首脳会談に先立つ記者会見において、馬総統が、首脳会談の”常態化”に言及していることです。”常態化”とは、中台首脳会談の制度化を意味しており、来年の総統選における国民党の敗北も織り込み済みなのです。制度化に成功すれば、今回の首脳会談で然したる成果はなくとも、干渉ルートさえ確保できれば御の字なのでしょう。首脳会談の制度化は、先の日中韓首脳会談にも観察される中国の方針であり、独裁傾向の強い中国好みの手法でもあります。そして、敢えて華僑系の強いシンガポールが会談地に選ばれたのも、アジア一帯を見据えた”制度化”への野心の現れなのかもしれません(シンガポールは中国の”庭”?)。中国が目指す”制度化”とは、おそらく”偉大なる中華民族復興”の証としての”現代版冊封体制”の構築なのでしょう。

 歴史上の冊封体制では、国家間の対等な立場での対話の仕組みを欠いていたこと、そして、今日にあっても、中国は、対話による合意を一方的に反故にする傾向にあることを考慮しますと、中国が中心に位置する”現代版冊封体制”とは、馬総統が説明するような”意思疎通のルート”ではなく、毎年定期的に、中国の意向や要求を属国に一方的に伝えるルートとなるかもしれません。”現代版冊封体制”の成立を阻止してこそ、アジアのより良き未来は開かれるのではないかと思うのです。

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日本国も南シナ海に自衛艦を

2015-10-29 15:17:19 | その他
豪、軍艦派遣も選択肢=南シナ海問題で
 アメリカの「航行の自由作戦」は、中国に対して、南シナ海における一方的な”領海設定”は無効であることを改めて見せつける結果となりました。中国の反発を激しく、”アメリカこそ国際法に違反している”といった、中国流のオウム返しの批判も聞かれます。

 ところで、中国国内では、アメリカのイージス艦ラッセンの航行について、大国アメリカの艦船であるから黙認されたのであって、より小国であれば、こうした”侵犯”は許されないはず、との意見があるそうです。航行の自由は、アメリカ限定であると言わんばかりです。しかしながら、南シナ海は国際水域として全ての諸国に対して航行の自由が保障されていますので、アメリカであれ、他の国であれ、中国に対する通告なくして航行できるはずです。オーストラリアは、既に、南シナ海への軍艦覇権を検討していると報じられておりますが、日本国政府をはじめ、他の諸国も、南シナ海での航行の自由をより明確にするために、南シナ海への軍艦派遣を検討すべきです。否、アジアの未来のために、日本国こそ、このリスクと紙一重の任務を引き受けるべきなのかもしれません。仮に、中国が、航行の自由を妨害する行動に出たとしても、むしろ、中国の国際法違反行為がより明白となり、国際社会における対中制止・制裁行動に関するコンセンサスが形成しやすくなります。

 それにいたしましても、中国は、”アメリカが国際法に違反している”と批判するならば、何故、国際司法手続きに訴えようとしないのでしょうか。尖閣諸島についても、領有権は一方的に主張しても、日本国に対して国際司法の場での解決を求めようとはしません。今後、中国が提訴される可能性もあるのですが、中国を応訴を拒絶するとしますと、航行の自由は、実力を以って実現するしかない状況に至るのではないかと思うのです。

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