万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

竹島の日政府式典見送りの懸念

2012年12月22日 14時58分41秒 | アジア
「領土問題」のニュース - goo ニュース
 韓国の新大統領誕生を受けて、安倍自民党総裁は、竹島の日の政府式典開催の見送りを示唆したと報じられています。公式に見送りが決定されたわけではないそうですが、ネット上では、落胆の声が上がっているようです。

 式典見送りが検討されている理由としては、(1)日中韓とも新政権への移行直後となり、政権発足当初から波風を立てることが憚られたこと、(2)北朝鮮の脅威を前に、日米韓の連携強化が必要であること、(3)韓国の大統領就任式への出席を控えていること、(4)夏の参議院選までは経済政策を最優先にすべきこと、(5)式典開催に反対している公明党への配慮…などが指摘されております。どの理由も一理はありますし、軍事・外交上、考慮すべき点でもあります。しかしながら、その一方で、懸念すべき点があることもまた、否定のしようがないと思うのです。最大のマイナス効果は、自民党に対する国民の期待が失われてしまうことです。自民党に一票を投じた人々は、自民党が、民主党政権下の弱腰外交と中韓優先の姿勢を転換し、主張すべきは主張する日本を実現するものと信じていたはずです。しかしながら、たとえ相当の理由があったとしても、政権発足を前にして、既に韓国に対して譲歩と受け取られるような態度を示したのでは(額賀氏の派遣も含めて…)、肩を落とす支持者も少なくないはずです。

 選挙公約には、13年に竹島式典を開催するとは、掲載されていなかったそうですが、国民が裏切られたと感じる政策をとりますと、民主党の二の舞となります。また、日本側の譲歩が、中韓のより一層の強行な態度を誘発してきたことを考えますと、これもまた、過去の失敗と同じ轍を踏む可能性もあります。式典の開催時期を延期するにせよ、国民が納得するような明確な説明がありませんと、国民の間に失望感が広がることになるのではないでしょうか。

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コメント (6)
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