万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

大量虐殺を阻止できない国際刑事裁判所の欠陥

2011年02月28日 15時54分23秒 | 国際政治
リビア西部で衝突の緊張高まる、米政府は反政府派と接触(トムソンロイター) - goo ニュース
 カダフィ政権による国民虐殺は、人道に対する犯罪として国際刑事裁判所による捜査が予定されているそうです。しかしながら、この事件は、国際刑事裁判所の限界をも示しています。

 国内における刑事事件の場合には、殺人がまさに行われようとしている場合、武器を携帯した警察官は、その行為を止めることができますし、実際に、殺害などが行われている場合には、犯人と戦い、物理的な力の行使によって犯人を取り押さえることもできます。しかしながら、現在の国際社会は、国内レベルほどには犯罪を制止する仕組みが整っていませんので、しばしば、手をこまねいて見ているしかない事態も発生するのです。国際刑事裁判所の役割も、事後的な裁判しか想定されていませんので、虐殺といった現行犯の犯罪行為に対しては無力です。捜査を行う検察や裁判所は存在していても、警察がいないのですから。

 この欠陥を是正するためには、安保理の決議、あるいは、国際刑事裁判所が、許可の”令状”を発給した場合、如何なる国も国際機関も、単独、または、協力して犯罪を制止し、犯人を逮捕することが許される、とする制度を設けることも検討すべき課題かもしれませんが(国際警察機構の創設という案もあるが、制度設計や常設化は難しいのでは…)、それでも現行犯の場合の対応は、事後承認とならざるをえません。反政府側の軍隊による整然としたトリポリ制圧が望ましいところですが、もし、カダフィ政権が、生物化学兵器の使用など、大量虐殺を手段として選ぶ場合には、緊急措置としての人道的な介入も、あり得るのではないかと思うのです。

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リビア情勢―出身国は傭兵の引き揚げを

2011年02月27日 14時29分53秒 | 中近東
リビア首都、市街戦へ動き活発化 カダフィ氏住居に戦車(朝日新聞) - goo ニュース
 リビアの首都トリポリでは、市街戦を想定したカダフィ独裁政権の活発な動きが見られるそうです。リビアでは、発生以来、外国人傭兵が、リビア国民を無差別に虐殺してきましたので、今後の行方が懸念されます。

 本日、国連の安保理でもリビアに対する制裁決議が成立したそうですので、傭兵の出身国である国の政府は、傭兵達に対して、自国への帰還、または、戦闘への不参加を命じるべきではないかと思うのです。外国に出向いている傭兵といえども、本国の政府の指示であるならば、対人主権が及びますので、従う義務があるはずです。一方、出身国の政府もまた、自らの国民が、傭兵としてであれ、人道的な罪に問われる行為を行うことを止めさせる責任があります。未必の故意は、許されないのですから。

 そもそも、傭兵として雇われた外国人が、他国の領土でその国の国民に対して銃を向けることは間違っています。しかも、その行為が、リビアの運命にかかわるとなれば、なおさらのことです。傭兵の出身国政府は、蛮行が行われる前に、傭兵の引き上げを急ぐべきなのではないでしょうか。

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カダフィ独裁政権側の懐柔策は”危険な罠”

2011年02月26日 15時46分52秒 | 中近東
カダフィ大佐「敵を打ち負かす」、演説で徹底抗戦呼び掛け(トムソンロイター) - goo ニュース
 反政府側が支配地を拡大し、首都トリポリに迫る勢いの中、カダフィ政権側は、国民懐柔政策を打ち出しているようです。しかしながら、これが、”危険な罠”であることは、言うまでもありません。

 政権側の懐柔策の内容は、1)各世帯への500リビアの配布と、2)公務員給与の最大5割アップとのことです。そもそも、カダフィ一家の不正蓄財は、この事件をきっかけとして暴露されてきており(海外資産が2兆円を越えるとも…)、500リビアの配布の約束は、財政に余裕がありながら、それを国民に隠してきた証拠でもあります。カダフィ氏の執拗で残虐な性格を考慮しますと、この配給を受けて国民が抵抗を止めた途端、一気に反政府側に対する弾圧と粛清に走ることは目に見えています。公務員給与の値上げにしましても、国民生活の向上よりも、自らの政権の藩屏となる”公務員”を増やし、利益を配ることで、政権支持派を固めたいだけなのです。

 エジプトでは、ムバラク独裁政権側が公務員の昇給を約束したことで、国民の怒りを買いましたし、バーレーンでも同様の懐柔政策が行われましたが、その効果はありませんでした。目先の利益をちらつかせ、後で、襲いかかるという罠を仕込んだ懐柔策には、国民は、充分に気をつけるべきと思うのです。

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リビアの夜明けは近い―暫定政府を樹立しては

2011年02月25日 15時51分10秒 | 中近東
リビア無政府状態…部族ら割拠、原油輸出に懸念(読売新聞) - goo ニュース
 首都トリポリの陥落は時間の問題との見方がある中で、リビア全土が無政府状態に陥ることが懸念されています。最悪の場合には長期戦となることもあり得ますので、カダフィ政権の支配が及ばない地域において、まずは、暫定政府を樹立すべきではないかと思うのです。

 リビアは、部族社会とのことですので、各部族や反政府勢力などの代表が集まる「暫定議会」を臨時に設け、当面の治安維持の方法などを話し合い、統治責任の分担と組織化を急ぐことができれば、とりあえず、無政府状態による社会的混乱を防ぐことができます。石油の採決権については詳細は分かりませんが、石油関連施設やガス田の安全が確保することによって、東部の港から輸出することもできるはずです。ただし、ここで、石油輸出による収入が独裁者や一部の人々の懐ではなく、国庫に収められるような透明性のある仕組みを造りませんと、利権をめぐる内紛がリビアを再び混乱と対立に陥れることになります。

 独裁体制が崩壊した後に、臨時に設立した暫定政府は解散し、統一リビアとしての憲法制定議会を設け、国民投票によって民主的な新憲法が制定されれば、リビアの未来は開けます。リビアの夜明けは近いのかもしれません。

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最少の犠牲でカダフィ独裁体制の崩壊を

2011年02月24日 15時50分10秒 | 中近東
カダフィ政権、東部の支配失う=リビア「分裂」、死者1000人か―軍の離反も進む(時事通信) - goo ニュース
 秘書官によるカダフィ氏暗殺が失敗に終わったとする情報が飛び交う中、リビア情勢は、何時終局を迎えるのか、予測し難い状況が続いています。当局の報道統制による情報不足と、未確認情報の交錯は、リビアを覆う煙幕となっているからです。

 ただ一つ、独裁体制打倒を目指す反政府軍とあくまでもカダフィ体制を維持したい政府側との闘いは、首都トリポリを最後の決戦場とすることは、確かなようです。カダフィ体制側は、おそらく首都に立て篭もる作戦を採らざるを得ず、そのまま戦闘状態に突入すれば、トリポリ市民を盾にするか、再度、無差別虐殺の挙に出る可能性もあります。トリポリ市内の様子は分かりませんが、これ以上の犠牲を避けるべく、反政府側は、トリポリを完全に包囲した後、まずは、カダフィ陣営側に投降を呼びかけてはどうかと思うのです。カダフィ氏本人が降伏しなくとも、政権を支えてきた人々が投降に応じたり、大挙して離反すれば、独裁体制は、おのずと崩壊します。もちろん、カダフィ政権側が、トリポリ市内で無差別虐殺行為を既に始めているとしたら、時間の猶予はありませんので、即、市民の安全を守るために戦闘となることは、致し方ありません。

 昨日のカダフィ演説は、平和的な手段による解決を自ら放棄したに等しく、こうなった以上、反体制側も、国民の犠牲を最少にとどめながら独裁体制を崩壊に導くべく、周到な作戦を練るべきではないかと思うのです。

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カダフィ独裁―国家の私物化を許してはならない

2011年02月23日 14時33分06秒 | 中近東
カダフィ氏「最後まで戦う」「一軒ずつ回って粛清」(朝日新聞) - goo ニュース
 国営テレビが報じたカダフィ氏の演説を聞いた反政府側の人々も、リビア国民を救うために、「最後まで戦う」ことを心に誓ったはずです。独裁体制に反対する国民を”くず”と罵り、冷酷な粛清を予告したのですから。

 リビアは、世界第8位の石油産出国である上に、天然ガスの輸出国でもあります。国家の歳入の大半は、天然資源によるものであり、その莫大な収入が、カダフィ独裁体制を支えてきたことは言うまでもありません。そうして、資源が富の最大の源泉であるからこそ、独裁者にとっては、国民は不要な存在なのです。むしろ、国民などいない方が、資源も富も自分一人で独占できると密かに目論んでいるのかもしれません。国家を私物化したカダフィ氏は、法外な給与で外国人傭兵を雇い、国民を大量虐殺してでも、権力と富を手放したくないのです。自分一人とリビアの土地があればよいのですから。

 支配欲と物欲の塊であり、国民など眼中になく、利己心のみで行動する誇大妄想家の独裁者に、リビアは乗っ取られているようなものです。カダフィ氏が、国民に刃を向けた以上、リビアの人々が自らの国を取り戻す道は、独裁体制の崩壊しかないのではないかと思うのです。

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カダフィ独裁政権の国民空爆―人道的軍事介入が必要では

2011年02月22日 13時17分55秒 | 中近東
リビア戦闘機がデモ隊攻撃 「死者160人超す」報道も(朝日新聞) - goo ニュース
 リビアの首都トリポリでは、カダフィ独裁体制側が、デモ隊に対して空爆を行い、多数の死傷者が出ているようです。通信が遮断されているため、詳細は不明ですが、このままこの蛮行を放置しますと、無差別殺戮による”皆殺し”が起きます。

 ユーゴスラヴィア紛争でも、NATO軍は、大量虐殺を阻止するために、人道的な軍事介入に踏み切りました。リビアで発生している国民の大量殺戮を阻止するために、国際社会は、一刻も早く、軍事的介入の準備を急ぐべきではないでしょうか。まずは、至急、リビアの独裁者に対して、これ以上の殺戮を行えば、軍事的対抗措置も辞さないことを、重大な警告として伝えるべきです。

 国連レベルでは、中国の反対で決議は成立する見込みはありませんので、ここは、有志の諸国が動くしかありません。エジプト軍といったアラブ諸国の軍隊(リビア側からの抵抗は少ない…)、あるいは、米軍やNATO軍、さらには、アラブ諸国との和平推進のためにイスラエル軍が介入することもあり得ます。国際社会が行動しなければ、誰も危機にあるリビアの国民を救うことができないかもしれないのですから。

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リビアのカダフィ体制崩壊は政権内部の離反からか

2011年02月21日 15時25分43秒 | 中近東
駐印リビア大使が辞任、リビア政府のデモ隊弾圧に抗議(トムソンロイター) - goo ニュース
 リビアの治安部隊は、カダフィ大佐に雇われた外国人の”親衛隊”と化しており、国民弾圧の凄まじさは、近隣の中東諸国とは比べようもありません。しかしながら、凄惨を極める中にも、カダフィ独裁体制の崩壊の兆しがないわけではありません。

 それは、駐印リビア大使が、国民への武力弾圧に抗議し、辞任したことです。リビア大使として、これ以上、政府内に留まることは、良心が許さなかったのでしょう。独裁政権といえども、もし、政権内部にわずかなりとも国民を慈しむ心を残しているリビア人が存在しているとすれば、この惨事に心を痛めているはずです。そうして、もし、政権内部に正義感と勇気を持つリビア人がいれば、独裁者への離反を決意するはずです。駐印リビア大使のように。

 カダフィ大佐は、暴力で国民を捩じ伏せようとしていますが、その足元が崩れた時、独裁者の運命も決せられます。国民に味方するのか、あくまで独裁者の手先になるのか、リビアの未来は、政権内部の人々の決断にもかかっていると思うのです。

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民主主義対独裁という新局面の出現

2011年02月20日 16時44分45秒 | 国際政治
イエメン、ジブチで死者=反政府デモの波及止まらず(時事通信) - goo ニュース
 チュニジアで始まり、エジプトで劇的なムバラク退陣に追い込んだ反政府運動は、中東全域に広がり、その勢いは衰えを見せていません。連鎖的に発生した反政府運動の最大の特徴は、あらゆるタイプの独裁体制に対して、NOを突き付けていることです。

 イランではイスラム原理主義体制に、バーレーンでは王政に、リビアでは個人崇拝型の軍事独裁に、そうして、もし、シリアにも反政府運動が伝播するとすれば、一党優位体制下の社会主義型世襲独裁に対して、国民からの拒絶反応が起きたことになります。これらは代表的なタイプですが、その他の諸国もそれぞれ独自の独裁体制の下にあります。それぞれタイプは違っていても、国民が、弾圧的な独裁体制に反対しているという点において、共通しているのです。民主主義対独裁という、あらたに登場してきた対立構図は、中東諸国間の関係にも影響を与えそうです。例えば、エジプトに成立する民主的な政権は、イスラエルに対してどのような政策を打ち出すのか、といった問題は、既に国際社会の関心を集めています。また、民主化された国家の政権が、独裁体制の近隣諸国に対して、どのような政策を打ち出すのかも、関心の的です。もしかしますと、民主的な政権は、国民世論の後押しを受けて、独裁体制の諸国とは一定の距離を置くようになるかもしれません。

 民主化された諸国の政策の選択は、中東地域のみならず、国際社会の未来を大きく左右することになりそうです。そうして、独裁体制を維持した国家が戦争に訴えるような場合にも、国内におけるこの対立構図は、内部から政権を揺さぶることになります。民主主義を自らの手で掴み取った国こそが、民主化運動を擁護し、延いては国際社会に安定と平和をもたらしていただきたいと思うのです。

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宗派対立の解決策としてのイスラム型政教分離

2011年02月19日 16時33分38秒 | 中近東
バーレーンの銃撃、負傷者70人超 デモ隊反発強める(朝日新聞) - goo ニュース
 中東諸国で連鎖的に発生している民主化運動の中には、バーレーンのように、シーア派とスンニ派の宗派対立という、もう一つの対立軸を抱えている場合があります。この難問の解決策として、イスラム型政教分離のあり方を検討してみてはどうかと思うのです。

 キリスト教にあっても、16世紀の宗教改革がプロテスタント対カトリックの激しい宗派対立を引き起こしました。どの国も、新旧両派による激しい内乱に陥いり、宗派対立が国民を引き裂いたのです。その一方で、同じキリスト教者同士が殺戮し合う悲惨な経験の中から、宗派の違いが国家や国民の分裂を招かないための知恵も生まれてきました。その一つが、寛容の精神に基づく政教分離の原則です。宗派の違いを相互に承認したうえで、宗派的な違いが政治的な対立を招かないよう、政治問題と宗教問題を分けようとしたのです。

 政教分離には、宗派対立を緩和する作用があるとしますと、イスラム教もまた、双方の宗派の信徒を公平に扱い、政治的な権利も平等化し、政治における議論を安全保障や社会保障といった政治問題に限定することで、宗派の違いによる内部分裂を避けることができるかもしれません。

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軍や警察部隊による国民弾圧は政府失格

2011年02月18日 15時42分53秒 | 国際政治
緊迫、中東情勢 バーレーンで230人超死傷 首都の広場、戦車や装甲車配備(産経新聞) - goo ニュース
 軍隊が存在する理由、それは、言わずもがな、国家と国民を侵略国から守ることにあります。警察が存在する理由もまた、国民の生命、身体、財産を、犯罪者からから守ることにあります。本来の目的から離れ、国民からの抵抗を圧殺するために、軍隊や警察部隊を使った政権は、政府として失格なのではないかと思うのです。

 政府と国民との間には、物理的な力において、著しい差があることは否定のしようもありません。先端的な兵器を揃えた政府に対して、素手に近い国民が抵抗すれば、国民の側に多数の死傷者が出るのは目に見えています。本気で政府側が軍隊や警察を動かし、国民に対して発砲を命じれば、国民は、無残にも殺害されてしまうのです。政府の手によって。そうであるからこそ、軍隊や警察は、国民に銃口を向けてはいけない、とする暗黙の不文律が成立しています。この不文律が破られた時こそ、政府と国民との間の信頼関係が、根底から崩壊する時でもあるのです。

 軍事力であれ、警察力であれ、国民の弾圧に用いられれば、もはや正当性は失われ、それは、政府と国民を引き裂く暴力と化します。チュニジアやエジプトでは、政府の不当な弾圧命令に対して、軍が自制し、あるいは、一部将校がこれを拒否し、国民に新たな希望の道を開くことになりました。暴力による弾圧を試みた政府も軍隊も、その重大な意味と結果に思い至るべきと思うのです。

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米中ネット規制攻防戦―民主主義VS.独裁の前哨戦

2011年02月17日 15時31分54秒 | 国際政治
米国務長官、ネット規制国を「独裁者のジレンマに直面」と批判(トムソンロイター) - goo ニュース

 中東一帯に広がった民主化運動の陰の立役者が、インターネットであったことは、衆人の認めるところです。そうであるからこそ、独裁体制を維持したい側は、インターネットの掌握に躍起になっているのです(本記事も、一度書いて投稿したたのですが、何者かによって消去されてしまいました・・・)。

 中国政府は、国民からネットという自由を掴む手段を奪うべく、ネット規制装置を開発し、自国のみならず、外国の独裁国家にも輸出すべく目論んでいると報じられています。情報を制する者が、世界を制すると言わんばかりに・・・。これに対して、アメリカ政府は、ネット規制を回避するシステムの開発に取り組んでおり、今後は、技術開発に投じる資金を増額するそうです。民主主義対独裁の対決は、既に、ネット規制技術の攻防戦を軸に、米中の間で始まっているのです。

 ネットの情報は、他者に行動を強要するものではなく、ツイッターやフェースブックの呼びかけで集まった人々は、自らの心の内にある自由や民主主義への渇望や政府の腐敗や不正に対する怒りから、自発的に反政府運動に参加しました。人々が素直に自らの心に従えば、独裁は消え去る運命にあるのです。独裁と弾圧をこの世から放逐すべく、日本国政府をはじめ、心ある自由主義諸国は、ネット規制回避の開発に、技術や資金面で積極的に協力すべきなのではないでしょうか。自由を奪われている人々のために。

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国民の怒りを理解しないイラン大統領

2011年02月16日 15時29分10秒 | 中近東
反政府デモは成功せず=封じ込めに自信―イラン大統領(時事通信) - goo ニュース
 イランのアハマディネジェド大統領は、ムバラク政権を倒したエジプトの反政府デモを支援しながら、自らは、反政府デモを暴力で鎮圧することが、自己矛盾であることに思い至っていないようです。何故、かくも平然と矛盾した行動がとれるのか、それは、エジプトのデモが、国民の怒りの爆発であることを、理解していないからではないかと思うのです。

 アハマディネジェド大統領は、徹頭徹尾、自己の利益のためにエジプトの反政府運動を後押ししたに過ぎません。もちろん、その自己の利益とは、エジプトに自らと同様のイスラム体制を樹立し、反米かつ反イスラエルの国に変貌させることです。エジプト国民が望む自由化や民主化など眼中になく、エジプト国民の幸福など考えていないのです。そうして、自国の国民の政府に対する怒りや不満に対しても、同様に冷淡です。自己の不正や腐敗は棚に上げて、デモ弾圧に乗り出すアハマディネジェド大統領は、この点、国民によって辞任に追い込まれたムバラク氏と同じ立ち位置にあるのです。

 現在、イランのみならず、バーレーンやオマーンなど中東諸国に反政府デモが広がっていますが、為政者たちは皆、国民の怒りを理解していないことにおいて、共通しています。たとえ暴力で反政府運動を封じ込めようとしても、国民の怒りは鬱積こそすれ、決して解けることはありません。国民の心を理解しない為政者が、得てして同じ末路を辿ることは、歴史の語るところなのではないでしょうか。
 
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西から東へと向かう民主化の波

2011年02月15日 15時26分01秒 | 中近東
イランのデモで1人死亡、「扇動者が発砲」と報道(トムソンロイター) - goo ニュース
 エジプト国民の民主化への願いが、ようやく現実のものとなりつつあります。この闘いの中で、エジプトの未来のために命を落とされた若者達の貴い犠牲は、決して無駄ではありませんでした。この革命は「スイレン革命」とも呼ばれはじめているそうですが、自由で民主的なエジプトという美しい花を、ナイルの畔に咲かせることを願ってやみません。

 ところで、エジプトで反政府運動が発生した当初、イランは、即座にデモ側を支援し、第二のイスラム革命の成就を願っていたようです。しかしながら、当のイランこそ、大統領選挙での不正や政府の腐敗が発端となって、大規模な反政府運動が起きたという過去があり、しかも、大統領側が、徹底した弾圧をもって反勢力を封じ込めてきました。どのように考えましても、エジプト国民が、ムバラク政権と同様の独裁体質を持つイランに同調するとは思えず、反政府運動のイランへの波及は、時間の問題となりつつありました。

 チュニジアから始まった反政府運動の波は、エジプトで民主化運動のうねりとなり、中東諸国をも巻き込みながら、ついにイランに到達したようです。報道によりますと、首都テヘランでも、反政府デモが発生しているようです。西から東への民主化の波は、止まることなく、ユーラシア大陸を東に向けて押し寄せています。独裁体制を押し流すために。

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エジプトはイスラエルの存在を保障する国に

2011年02月14日 15時31分17秒 | 中近東
イスラエル首相、エジプトの平和条約順守確約を歓迎(朝日新聞) - goo ニュース
 かつて欧米でベストセラーとなった本に、旧約聖書の新解釈を提起した『出エジプト記の秘密』というタイトルの本があります。その新解釈とは、”神”とは、モーゼにカナンの地を約束したのはファラオではなかったか、というものです。もちろん、この解釈には、無理もあるのですが、今日、両国の関係を見てみますと、エジプトは、イスラエルの存在を保障する国になりつつあると思うのです。

 エジプトでの反政府運動が始った当初は、イランの思惑が取り沙汰され、イラン型のイスラム革命へと突き進むのではないかと懸念されました。しかしながら、エジプトは、原理主義の一色に染まることはなく、ムバラク退陣後に暫定的に国権を託されている最高軍事評議会でも、平和条約の順守を表明しています。今後、大統領や議会選挙が行われますので、将来的な中東政策の方針は、国民が選択することになりますが、平和条約の破棄に至る可能性は、それほど高くないと考えられるのです。エジプト国民は、民主化を確かなものとするために、内政改革に取り組むことを優先するかもしれません。

 エジプトの安定は、イスラエルにとりましても安全保障の重要な要なのです。ですから、イスラエルが、エジプトの復興支援に協力、あるいは、パレスチナ側に譲歩を示せば、両国の友好関係は末永く保たれます。エジプトが成し遂げた民主化が、中東全域の平和と結びついた時、古来の争いの地は、ようやく豊かで安定した地へと変わるのではないでしょうか。

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