万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

TPPは大丈夫?-関税政策と為替政策の封印問題

2013年10月31日 15時13分05秒 | 国際経済
 本日、NHKのニュースによりますと、アメリカ政府による各国の為替政策に関するレポートが公表され、その中で、日本国の円安誘導に対する懸念が表明されているそうです。中国に対しては、人民元のさらなる上昇を、韓国に対しては、不透明な為替操作の公開を求めていますが、TPPやRCEPといった貿易自由化を進めるに先立って、今一度、為替政策の重要性について考えておく必要があるように思うのです。

 貿易自由化が進めば進むほど、実のところ、為替政策の重要性が高まることは必至です。何故ならば、貿易自由化によって関税障壁を設けることができなくなりますと、自国経済を維持・発展させたり、貿易不均衡を是正する手段として、政府は、為替政策に頼らざるを得なくなるからです。関税がゼロなのですから、為替相場の変動が、ストレートに輸出入価格に反映されてしまうのです。このことは、反面、広域的な自由貿易圏を設立しても、為替政策の分野において、共通ルールを設けずに各国の政策権限に全面的に任せるとしますと、”純粋な自由貿易”は実現しないことを意味しています。中国が”調整可能な変動相場制”という名の元安政策を維持し、韓国が、常習的なステルス介入国家であることを考慮しますと、RCEPのリスクは、TPPの比ではありません。RCEPにおいて中韓が主導権を握れば、民主党政権時代のように、両国の積極的な為替操作により、”超円高”に誘導されてしまうかもしれないのです(その外にも、中韓は、協定を締結しても、ルールを守らないという問題もある…)。

 それでは、各国が、関税政策と同様に、為替政策の権限の不使用をルールとすればよいのか、と申しますと、それほど問題は単純ではないようです。為替相場は、市場介入のみならず、中央銀行の量的緩和政策の経路からも影響を受けますし(デフレ対策が目的であっても通貨安を併発する…)、政府が自らの手を縛っても、民間の金融機関や投資家の投機的な行為によって誘導されるからです。そして、何よりも、政府が関税政策と為替政策(相場に影響を与える金融政策も?)という政策手段を封印した場合、経済的な危機に陥った国は、もはや、自己救済が目的であっても、なす術を失う可能性も否定できないのです。TPP交渉は、年内の妥結を目標としているようですが、その先のリスクや危機を見越した慎重な議論も必要なのではないかと思うのです。

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中国の魔の手から誰がウイグル族を保護するのか

2013年10月30日 16時13分43秒 | その他
「ウイグル」犯行断定へ=習指導部、力で封じ込め―天安門突入炎上・中国(時事通信) - goo ニュース
 昨日、中国の天安門広場で発生した自動車の突入炎上事件。情報隠蔽が日常茶飯事な中国当局が、速攻でウイグル人の犯行と断定し、容疑者の情報まで積極的に公開するとなりますと、当局の報道の真偽に拘わらず、この事件は、再び、天安門広場が、歴史を動かす予兆となるのかもしれません。

 ところで、中国当局は、この事件を、イスラム原理主義者による自爆テロと同列として扱いたいようです。しかしながら、イスラム原理主義組織の政治的主張と、ウイグル人の政治的主張との間には、著しい違いがあります。前者は、宗教上の教義に基づく世界観をめぐる戦いですが、後者は、中国の頸木に繋がれているウイグル人による自由と独立を求める訴えです。国際法において、民族自決は正当な権利として承認されており、独立戦争もまた、合法的な戦争の一つです。少なくとも、ウイグル人の政治的な主張には、正当性があるのです。むしろ、第二次世界大戦後の混乱期に軍事力でウイグル自治区を併合し、ウイグル人を一方的に虐げている中国こそ、国連憲章に掲げる民族自決の権利を損なう行為として批判を受けるべきです。民族自決の原則とは、自らの民族を護る政府を自らが保持することを意味しますが、中国に支配されているウイグル人は、何らの自己防御の手段もないまま、中国の暴力に晒され続けているのですから。

 習政権が、この事件を口実に、ウイグル自治区に対する締め付けを強化し、非人道的な弾圧に乗り出すとしますと、国際社会は、誰が、無防備なウイグル族を護るのか、という人道上の問題に直面します。そしてこの問題は、チベットもまた同様なのです。国際社会は、中国の魔の手から虐待を受けている人々を護る為に、人道的介入も辞さずの構えで、中国に対して圧力をかけるべきと思うのです。

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動画無断使用に見る韓国の恥感覚

2013年10月29日 17時46分30秒 | アジア
韓国「恥」…外務省に非難の声 竹島動画 無断使用(産経新聞) - goo ニュース
 先日、日本国政府は竹島動画の公開によって、日本国の領有権の正当性を説明し始めましたが、韓国もまた、ほぼ同時期に、同様の動画を公開しています。ところが、韓国の動画において、NHKのドラマである『坂の上の雲』の映像が無断で使われていることが判明し、韓国メディアは、「無断使用で恥さらし」として批判しているそうです。

 知的財産権に対する韓国政府のモラルの欠如が露呈した事件でもありますが、韓国メディアや国民の怒りの声は、知的財産権の侵害行為よりも、動画の一部が”日本製”であったことに向けられています。無断使用に対する反省や自己批判ではなく、愛国心から”日本製”の使用に憤慨しているのです。”独島動画”に日本製が含まれてはならない、と…。この態度から、韓国人の”恥”の感情が、自己愛に由来していることが分かります。自己の面子や体面が損なわれたとする感覚が、”恥”の基準であり、他者の権利侵害そのものは基準外なのです。それ故に、映像の無断借用したことは、”恥かしい行為”とは考えていないようなのです。

 一般的な人間の感覚からしますと、窃盗や強盗など、他者の権利を侵害したり、危害を加えてしまったことに心の痛みを感じ、”恥ずかしい”と思うものです。日本製の映像使用よりも、知的財産権を侵害したこと、そして、国際法に反して竹島を武力で強奪したことの方が、余程、”恥”なのではないかと思うのです。

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負のスパイラルに嵌る再生エネ-電力価格低下のメカニズムを

2013年10月28日 15時15分30秒 | 日本政治
 菅元首相が自己の辞任と引き換えに、見切り発車の形で成立させた再生エネ法。その負の遺産は、民主党政権崩壊後も、日本国の重荷となっているようです。

 先日、日経新聞の一面に、太陽光発電に偏った再生エネ事業を是正するために、政府は、風力発電の買い取り価格を引き上げる方向で検討している、とする記事が掲載されていました。太陽光バブルは、法案成立前に既に諸外国で発生していたため、多くの識者から危険性を指摘されていました。にも拘わらず、菅首相は、ソフト・バンクに対する利益供与を図り、再生エネ利権の息のかかった調達価格等算定委員会では、ドイツの買い取り価格(14円)の3倍ともされる高値を設定しました(42円⇒現在38円)。このため、今では、外資の大型投資先となり、外国企業や外国製パネルも進出し、全国でメガ・ソーラの建設が相次ぐと共に、太陽光バブルに対する警戒の声も聞かれています。しかも、メガ・ソーラが増加すればするほど、電力料金は上昇するのですから、国民にとりましても、日本経済にとりましては、決して手放しで歓迎できることではありません。最初から、制度の設計が間違っているのですが、それに加えて、太陽光の2分の1程に抑えられていた風力の買い取り価格(23.1円)も上げるとなりますと、電力料金はさらに上昇します。風力発電に適した条件の場所は限られていますので、価格の引き上げ効果も限定的です(既存の風力事業者の収益が増えるだけでは…)。

 政府は、企業に対して賃金引き上げを求めていますが、電力料金が上昇を続ければ、アベノミクスの効果は、電力料金の値上がり分に吸収されてしまうとも限りません。失敗を是正しようとしてさらに失敗を重ねるよりも、原発の再稼働を含め、政府は、安価な電力料金を実現するメカニズムの構築こそ、目指すべきと思うのです。

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米大使館傍受疑惑-中韓系通信会社のリスク

2013年10月27日 15時32分05秒 | 国際政治
首相携帯、02年から盗聴か=米大使館で傍受―独誌(時事通信) - goo ニュース
 アメリカ政府が大使館において各国首脳の携帯電話を傍受していたとする盗聴疑惑について、メルケル首相の被害が報じられたドイツ国内では、同盟国に対する背信行為であるとする怒りの声が上がっているそうです。その一方で、実のところ、要人の通信に関する情報収集は各国とも密かに行っており、氷山の一角が露呈したに過ぎないとする意見もあります。

 あらゆる政治的な判断は、正確な情報の収集とその分析に依存しており、情報不足は、致命的な結果をもたらします。豊富で質の高い情報さえあれば、判断を誤る確率が格段に低下しますので、どの国も、情報収集に血眼になることにはそれなりに理由があります。今回のアメリカに対する疑惑は、仲間内であるはずの同盟国を裏切る行為として批判されたのですが(もっとも、傍受された側が、同盟国を裏切っていた場合には、また別の問題が持ち上がる…)、それでは、傍聴や盗聴する側が、”仮想敵国”であった場合はどうでしょうか。敵対関係にある場合には、相手国の動きや国民の動向を探るための情報収集は、自国の戦略を有利に展開する有効な手段です。同盟国による傍聴よりも警戒すべきこと、それは、敵国による情報収集活動です。敵国の場合には、プライバシーの保護など関係なく、見境なく盗聴が試みられるわけですから、自国の安全のために真に対策を怠ってはならないのは、後者の方なのです。この点、日本国のオープンすぎる通信政策は、敵国に対して情報を提供しているようなものです。アメリカでは、華為技術といった中国企業の製品の使用は禁じられていますが、日本国では、無防備のままです。通信大手の一角を占めるソフト・バンクは韓国系企業ですし、その他の通信会社もまた、サムスンやLG電子の韓国製品を取り扱っています。加えて、韓国系携帯アプリのLINEも個人情報収集の強力なマシーンなのですから、日本国の情報は、中韓企業や製品を通して一方的に吸い上げられてしまう可能性があるのです(中韓政府が、通信分野の産業育成と輸出拡大に殊更力を入れてきた背景を考慮すべき…)。

 中韓とも、官民一体で行動しますので、民間企業といえども安心はしておられません。否、両国とも、日本国の通信網を掌握することで、国民ごと日本国の情報を手中に収めようとしているように見えるのです。一昨日の韓国による竹島での軍事演習が、民間人を対象としていたことは、民間をも標的とする韓国の戦略を象徴してもいます。通信という目に見えない情報空間を奪われないよう(この点は、発信側のマスコミも同様…)、日本国政府は、自国の通信市場における中韓企業の情報収集活動に対して監視や規制を強めるべきではないかと思うのです。

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竹島軍事演習-一線を越えて軍隊を動かした韓国

2013年10月26日 15時33分54秒 | アジア
竹島で上陸阻止訓練=異例の公表、「独島の日」に―韓国軍(時事通信) - goo ニュース
 昨日、日本領の竹島において、民間人の上陸を想定した韓国軍と警備隊との共同軍事演習を実施したとのニュースが飛び込んできました。日本国のテレビ局にも映像を提供し、日本人に向けて放映されたのですから、もはや韓国は、日本国に対する敵意を隠そうともしていません。

 一方的に李承晩ラインを設定し、1953年4月に竹島に上陸した際には、韓国は、退役軍人を「独島義勇守備隊」として送り込み、日本国の海保の警備船を攻撃しています。当時、日本国は、警察予備隊から保安隊に改組したばかりであり、日本国は、韓国の侵略に対してなす術がなかったのです。現在、韓国は、竹島に、武装警備隊を常駐させています。これらの行為は、一先ずは、正規の軍隊によるものではなく、民兵組織であったり、警察組織であったのですが、今回の軍事演習は、国際法上の軍隊を上陸させたことにおいて、一線を越えています。公開された映像では、演習に参加した韓国兵や警備隊員は、ライフル銃を手にしておりましたので、このデモンストレーションは、即ち、日本人殺害を予告したに他ならりません。実際に、韓国には、竹島略奪に際して、竹島に近づいたことを理由に、44名の日本人漁民を虐殺したという前科があります(3929人の日本人を拘留…)。民間人であれ、日本人であれば、武器・弾薬による殺害も厭わないということなのでしょう。韓国は、日本国の敗戦時やベトナム戦争でもそうあったように、丸腰の民間人に対して残虐です。

 竹島については、”不法占拠”という言葉がしばしば使われてきましたが、今や、”軍事占領”、あるいは、”武力占領”と表現すべき段階に達しています(今でも、事実上の武力占領なのですが…)。日本国政府は、軍隊を自国領に上陸され、しかも、自国民の殺害を予告されたのですから、韓国による一線を越えた暴力的な行動に対して、厳しい制裁措置を検討すべきと思うのです。

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不可解な在外被爆者医療費判決-日韓請求権協定で解決済みでは?

2013年10月25日 15時28分33秒 | アジア
 昨日、またもや、俄かには信じられないような司法判断が、大阪地方裁判所で下されました。在外被爆者に対しても、被爆者援護法に基づいて、日本国が、医療費を全額負担すべきというのです。

 ところで、この判決に関するマスコミの報道の仕方は、どこか不可解です。原告は計3名であり、その内の一人で、訴えを認められた韓国在住の男性の名は、李洪鉉という韓国名です。ところが、他の原告2名は、韓国籍と報じられているものの、李氏については、国籍が明らかにされていないのです(ネット上で調べた範囲では…)。マスコミは、この判決について、居住国によって援護の仕方が違うのはおかしい、とする内外格差の問題として扱っており、国籍の違いについては無視しています。田中健治裁判長は、「在外被爆者を医療費の支給対象から排除すべきではない」と述べていますが、この意味するところは、国籍に関係なく、在外被爆者の医療費は、全面的に日本国政府が負担すべき、ということなのでしょうか。今年7月には、長崎地裁が、韓国人の被爆者健康手帳の交付に関して、証人なしの本人の申請だけで認めています。現時点でさえ、在外被爆者は、約4450人とされており、証言だけ認定されるとなれば、韓国人”被爆者”が際限なく出現する可能性も否定できません。その一方で、国籍の違いを問題とする、つまり、仮に、李氏が韓国籍であったとしますと、1965年の日韓請求権協定で、個人を含め、両国間の請求権の問題は、最終的に解決されているはずです。

 マスコミが、敢えて李氏の国籍を伏せたとしますと、意図的に、日韓請求権協定の問題とされることを避けようとしたとも憶測されます。それとも、李氏は日本国籍保有者であり、この判決は、日本国籍の保有者に限定して、在外被爆者にも医療費の支給を認める、というものなのでしょうか(それとも、李氏の国籍は、朝鮮籍といった別の国籍なのか…)。韓国が関わりますと、日本国の裁判所は、法も理性も失い、韓国の利益のためとしか考えられない歪んだ判断しかできなくなります。日本人の多くが嫌韓や反韓となる理由の一つは、日韓請求権協定を無視し、司法制度までも濫用した、韓国側の際限のない日本国に対する”金銭要求”にあると思うのです。

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日本国の尖閣・竹島動画-中韓は抗議はできても反証はできない

2013年10月24日 15時42分01秒 | アジア
竹島・尖閣領有、動画広報 中韓が抗議(産経新聞) - goo ニュース
 これまでは受け身一辺倒でしたが、日本国も、ようやく重い腰を上げて、尖閣諸島と竹島の日本国領有の正当性を説明する動画を作成し、ネット上で公開を開始しました。案の定、中国と韓国からは、動画を削除せよ、といった抗議が寄せられているそうです。

 外務省が作成した尖閣諸島と竹島の動画は、日本国が両島を領有に至った事実を淡々と説明し、事実をして語らしめるスタイルを取っております。動画はおよそ2分ほどであるため、日本側が収集したり、保有している全ての証拠をアップしてはいないものの、特に重要となる証拠を時系列順に紹介しており、その全てに嘘偽りはありません。中国や韓国が、自らの領有の正当性を主張するならば、自らもまた証拠を示して反証する必要があります。ところが、中国の反応は、”一切の挑発的行動を停止せよ…”であり、韓国に至っては、”領有権の主張を断念せよ”というものです。両国とも、動画の内容を否定できないのです。

 抗議はできても反証はできない中国と韓国。この両国の態度こそ、尖閣諸島と竹島が日本国の領土であることを、明確に物語っているのではないでしょうか。

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アメリカは大丈夫か?-オバマケア+移民制度改革のリスク

2013年10月23日 16時15分42秒 | アメリカ
 今月17日に、ようやく債務上限引き上げ法案が成立し、懸念されてきたデフォルト危機を回避したアメリカ。とはいうものの、来年2月17日には債務上限の引き上げ期限が切れますので、完全に危機が過ぎ去ったわけではありません。こうした中、アメリカ政界では、医療保険制度に加えて、移民制度改革法案が議論されているようです(上院では既に可決…)。

 移民制度改革法案の内容とは、1100万人以上とも推定される不法移民を合法化しようというものです。合法化の手段とは、(1)2012年までに入国し、一定の条件を満たす不法移民に対する「暫定的な登録移民」の地位付与、(2)強制退去に代わる罰金支払い制度の創設、そして、(3)一定の年数定職に就いていた不法移民に対する市民権付与、の三本柱なそうです。この法案が成立すると、当然に、アメリカ市民は数百万単位で増加するのですが、このことは、オバマケアによって、これらの人々もまた保険加入が義務付けられることを意味しています。今回のデフォルト危機でも、オバマケアによる財政拡大への懸念が、大統領と議会との対立軸となりましたが(アメリカ議会予算局の試算によれば、今後10年間で加入率が83%から95%に上昇すると、費用は9400億ドル増加するとも…)、不法移民の多くは低所得世帯に属していますので、移民制度改革法案が下院でも可決されますと、さらなる政府拠出額の大幅な増加が予測されます。長期的な保険料の納付を前提とする国民皆保険制度を、短期定住者が多い移民国家で実施しますと、莫大な予算を要することを覚悟しなければならないのです。

 もっとも、保険加入が義務付けられたとはいえ、保険料は決して安くないため、加入申請しない米国民も少なくないそうです。結局、国民皆保険とはならないかもしれませんが、オバマケアと移民制度改革の同時成立にアメリカの財政が耐えられるのか、今回のデフォルト危機が世界を震撼させただけに、不安を感じざるを得ないのです。

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在日コリアン通名批判への抗議-偏見ではなく事実では?

2013年10月22日 17時31分33秒 | 日本政治
在特会めぐる番組内容に抗議文 NPO「偏見を助長」(朝日新聞) - goo ニュース
 今月20日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」において、在特会のデモに関連して、在日韓国・朝鮮人が使用してきた通名制度を批判する発言があったそうです。早々に、NPOが、”偏見を助長”するとして放送局に抗議文を送っておりますが、NPOが主張するように、発言における指摘が”事実に反する”と言い切れるのか、疑問なところなのです。
 

 抗議を受けた発言とは、「在特会のおかげで在日の特権の問題が明らかになった。日本人の名前に変えることで犯罪歴や金融関係の経歴を消すことができ、新たな犯罪ができる。(在特会は)そういうことを表現した」というものです。通名については、発言者である竹田恒泰氏のみならず、日本人の大半が同様の認識を持っております。少なくとも、在日韓国・朝鮮人による犯罪は通名で報じられているため、本人を特定することはできません。犯罪歴の管理は厳格であり、第三者が確認することは極めて難しくなっておりますので、検察庁の犯歴事務の書類上ではないにせよ、通名での報道は、犯罪歴の社会的な抹消に他ならないのです。登録された通名の変更や回数については、市町村によって違いはありますが、通名を変更すれば、別人として生活することは可能なのです(もっとも、韓国では、申請すれば、本名の改名が認められているため、両者とも変更されるかもしれない…)。そして、通名報道は、韓国人の犯罪者が”日本人”と見なされることにおいて、日本国民にとりましては、極めて不快なことです(韓国人の罪が”日本人”に転嫁されている…)。また、2007年に「犯罪収益移転防止法」が制定されたことで、最近では、通名による金融機関の架空口座開設はできなくなったそうですが、過去には、韓国系の商銀信用組合や朝銀を舞台にこうした事件が頻繁に起きています(現在でも、邦銀のチェックは厳しいが、民族系金融機関では甘い可能性も…)。

 そもそも、在日韓国・朝鮮人の人々の大半は密入国者ですので(50年代で40万人とも…)、日本国に居住していること自体が違法行為に当たります。また、戦後の混乱期に、日本国において、無辜の日本人に暴力を振るい、時には殺害してまで不動産を侵奪しています。在日韓国・朝鮮の人々は、通名を使うようになった理由を忘れているのでしょうか。犯罪事実に対する日本人の怒りと反感をそらすために通名が使用されるようになったのですから、”偏見の助長”を盾に、通名制度への批判を封じようとしても、一般の日本人からしますと、”今さら何を!”ということになります。結局、自己の加害行為を反省することなく、圧力で言論を封じようとする在日韓国・朝鮮人の態度は、日本人の反感をさらに強める結果となるのではないかと思うのです。

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ロマ問題―高校生の博愛主義と移民の犯罪

2013年10月21日 15時18分33秒 | 国際政治
ロマ少女の強制送還で論争=各地で高校生が抗議行動―仏(時事通信) - goo ニュース
 フランスでは、ロマの少女が、学校での行事中に拘束されてコソボに強制送還された件について、フランスでの就学を認めることを求める高校生による抗議行動が起きたそうです。その一方で、ギリシャからは、ロマの人に誘拐されたと推測される白人の金髪碧眼の少女が発見されたとするニュースが報じられています。

 ”自由・平等・博愛”のスローガンの下で大革命を起こしたフランスの高校生にとりましては、政府当局が、ロマの少女を目前で、一人だけバスから降ろされて連行される光景は、驚きであったと共に、普遍的であるべき博愛精神に反する行為と映ったのでしょう(確かに、当局の手法には、無神経なところがある…)。高校生たちのロマの少女の運命を思いやる純粋な気持ちは理解に難くありませんが、その一方で、ロマの人々が、人身売買のみならず、スリや窃盗などに関わってきたことは、残念ながら事実ではあります。南欧諸国の観光地に出没するスリのほとんどは、ロマの子供達です。定住地を持たずに放浪するロマの人々と、現地の定住者である一般の人々との間には、犯罪に対する意識に著しい違いがあり、後者と比較して、ロマ社会の犯罪許容度は高いと言わざるを得ないのです。こうした場合、しばしば、博愛主義と人権保障(治安の維持)との間に、深刻なジレンマが生じます。共に普遍性が謳われながら、博愛主義を貫けば、移民による犯罪増加という結果を招きかねないからです。この少女の一家は、難民申請が却下され、県知事から退去命令が出されていたそうですので、許可が下りなかったことには、何らかの問題があったのでしょう。

 高校生の抗議行動は、当局に対する批判に終始していますが、実のところ、この事件は、博愛主義と移民の犯罪との間に横たわる問題について深く考える機会を与えています。博愛主義一辺倒では解決できないことにこそ、この問題の難しさがあるのですから(他の諸国もまた、同様の問題を抱えている…)。

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安保理改革に一石を投じたサウジアラビア

2013年10月20日 15時40分52秒 | 国際政治
 今月17日に、国連安保理の非常任理事国に選出されたサウジアラビア。初選出にも拘わらず、サウジアラビアは、非常任理事国の席に座ることを辞退したと報じられています。

 辞退の直接的な背景は、対立関係にあるシリアに対する安保理の対応の甘さへのようですが、安保理が、必ずしも全世界の諸国に対して公平ではなく、安保理の仕組みには欠陥があるとするサウジアラビアの主張にも、一理があります。国連は、普遍性を掲げながら、その実、大国の利害関係に翻弄され、社会的分野では、国際共産主義といった特定のイデオロギーに染まってきたことは、紛れもない事実であるからです。ところが、国連が設立されてから68年余りが経過しながら、一度たりとも、国連憲章が改正されたことがありません。誰もが、国連に内在する欠陥が分かっていながら、それをなかなか改めることができなかったのです。自己改革できない組織は、しばしば、現実とのギャップに苦しんだり、時代に取り残されてゆくものです。

 今回、サウジアラビアは、非常任理事国を辞退するという形で、国連の仕組みに対して異議を唱えました。現在の国連を絶対視する立場からは、国連の普遍性を損ねる、あるいは、国際協調を乱す行為として非難されるのでしょうが、欠陥を抱えたまま、騙し騙し組織を運営するよりも、一度、根本的な見直しを図った方が、将来の人類のためにはなります。国連が、国連改革を活発に議論する場となるとき、その時こそ、国連が公平性を取り戻し、全ての諸国の安全と国際社会の平和のための組織へと脱皮する出発点となると思うのです。

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朝鮮総連本部を落札したモンゴル系企業の謎

2013年10月19日 15時38分19秒 | アジア
ぜいたく正恩氏、世界の富豪も驚く…ロドマン氏(読売新聞) - goo ニュース
 一旦は、鹿児島県の宗教法人最福寺に落札されながら、資金繰りが付かず、再入札となった朝鮮総連の本部の土地・建物。昨日の報道によると、今度は、モンゴル系企業「アバールリミテッドライアビリティーカンパニー」によって約50億円で落札されたそうです。

 今後、地裁は、落札者の資格について審査を実施し、22日にも可否が決定されるそうですが、ネット上の情報によりますと、貿易会社としてウランバートルで登録されている会社としか分かっておらず、その正体は不明なそうです。それにしましても、この会社、不審な点が多すぎます。実際に、日本企業との間に貿易や取引の実績があったとしますと、直ぐに、”身元確認”ができたはずです。ところが、この会社、実在さえも疑われるレベルであり、取引先を名乗る日本企業も現れていません。日本企業との取引実績がない会社となれば、関連が疑われるのは、日本国内の北朝鮮系企業です。また、過去の実績がないにもかかわらず、営業所等の開設を目的に本土地・建物を購入したしても、これもまた、不自然な行動です。貿易会社が海外に拠点を開設するのであれば、初めから土地やビルを購入するのではなく、まずはオフィスを賃貸するのが一般的な方法であるからです。あるいは、最初に報じられたように、この会社はファンドを運営する投資会社であって、投資目的での不動産取得という線もありますが、そうなりますと、登記に際して事業内容を偽っていることになりますので、この会社、ますます怪しい企業ということにもなります。

 北朝鮮とモンゴルとの間には国交があり、モンゴル国内には、北朝鮮系企業(国営のはず)も数多く進出しているそうです。となりますと、競売に際して北朝鮮本国が動き、モンゴルに設立していた会社を通して間接的に総連の本部を落札した可能性も否定できません。金正恩氏は、”世界の富豪も驚く”贅沢な暮らしを満喫しているそうですので、50億ぐらいは、簡単に用立てることができるはずなのです。東京地裁には、公安、並びに、安全保障の観点からも、厳密な審査をお願いしたいと思うのです。

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EUでのサムスンの訴訟自粛―綻び始めた韓国の被害者戦法

2013年10月18日 11時18分04秒 | 国際経済
差し止め訴訟、5年間自粛=EUの制裁回避へ提案―韓国サムスン(時事通信) - goo ニュース
 スマホの特許権等をめぐり、米アップル社と熾烈な訴訟合戦を繰り広げてきた韓国サムスン社。サムスンがアップルの製品を模倣したことは一目瞭然なのですが、サムスンは、自らこそが被害者であると主張し、逆訴訟でアップルに対抗してきました。

 韓国の被害者戦法とは、自らの加害行為を隠す、あるいは、その責任から逃れるために、自らを被害者の立場に置いて、真の被害者を加害者に仕立て上げる、というものです。自己の加害責任を被害者に転嫁できる上に、あわよくば、相手側から賠償金を取ることもできますので、一石二鳥の策と考えたのでしょう。この戦法、サムスンに限ったことではなく、7月にサンフランシスコ国際空港で起きたアシアナ航空機事故でも、韓国側の乗客等は、早速、ボーイング社を相手に訴訟を起こしています。日本国との関係においては、被害者戦法のオンパレードであり(伝統的な手法なのかもしれない…)、過去の歴史において、韓国は全面的に、かつ、一方的に日本国の被害者であったと主張し、自己の加害行為を正当化してきました。日本国は竹島を韓国から略奪し、関東大震災では日本人が理由もなく朝鮮人を大量に虐殺し、そして、対馬の仏像も倭寇が略奪した物とされています(現実とは逆…)。さらには、戦争被害として、慰安婦、戦時徴用、原爆被害…などを理由に日本国に対して謝罪と賠償を求めており、実際に、韓国の裁判所では、日本側に賠償を命じる判決が下されています。果たして、この被害者戦法、世界に通用するのでしょうか。

 昨日、EUの欧州委員会は、サムスンが対アップル対策として提訴していた携帯単発の標準必須特許(SEP)に関する差し止め訴訟を、5年間自粛するとする提案を行ったと公表しました。訴訟自粛の背景には、競争法違反による巨額制裁金を回避したいサムスン側の思惑があったと報じられておりますが、この提案は、サムスン、否、韓国による倒錯した被害者戦略が崩壊し始めた兆候なのではないでしょうか。

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集団的自衛権の手足を縛る安保法制懇

2013年10月17日 15時27分46秒 | 日本政治
 昨日、政府が主催する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の会合において、自衛隊の活動範囲の拡大について、検討すべき事案が提案されたそうです。しかしながら、この方法、集団的自衛権の手足を縛ることになるのではないかと思うのです。

 安保法制懇は、年内に纏める報告書において、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を提言する予定なそうです。内閣法制局長が示した現行の政府解釈が変更されれば、”保有しているけれども、行使できない”というナンセンスな状況から脱することができます。この点、評価すべきことなのですが、安保法制懇での議論は、集団的自衛権の行使を可能とする一方で、特定の事例に限定することで、むしろ、新たな縛りを設けようとしているように見えるのです。有事にあっては、敵国の行動を事前に予測することは不可能です。法の縛りがありますと、国家と国民の安全を護る為に絶対に必要な共同行動であっても、違法行為となるため、断念せざるを得なくなる場合も想定されます。集団的自衛権に基づく自衛隊の活動範囲を、特定の事例に絞って認める方法は、いざ、という時に足枷となり、日本国を滅亡の淵に立たせることになりかねないのです(結局、超法規的な措置を取らざるを得なくなる…)。

 国連憲章第51条では、個別的自衛権も集団的自衛権も、共に国家の当然の権利として認めているのですから、わざわざ、事前に行使できるケースを法律で決める必要はないのではないでしょうか(自縛行為…)。むしろ、日本国政府には、集団的自衛権に関して、あらゆる事態に迅速、かつ、柔軟に対応できるフリーハンドがあることをアピールした方が、侵略的な野心を持つ国に対する抑止力にもなると思うのです。

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