万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

反原発世論の捏造-民主党政権を直撃した日本未来の党

2012年12月06日 16時12分16秒 | 日本政治
嘉田代表、名簿混乱で釈明「1週間で何もかも」(読売新聞) - goo ニュース
 日本未来の党は、相次ぐ不祥事により、自滅したとの評も上がっております。確かに、政党名簿の混乱については、自滅という表現が相応しいのですが、世論調査サイト閉鎖事件は、自滅というよりも、その破壊力は、脱・反原発を掲げる他の政党をも巻き込んだようです。

 特に、世論調査サイト閉鎖事件で直撃を受けたのは、民主党なのではないかと思うのです。民主党は、2030年に原発ゼロを目指す脱原発方針を決定するに当たって、”国民の声”や”国民の覚悟”を根拠として挙げていました。政府は、内閣府や経産省…も動員して、あの手この手で”世論は脱原発”を演出してきましたので、その誘導効果は、絶大と信じていたのでしょう。意見聴取会、討論型世論調査、パブリックコメント…どれを取りましても、調査結果は、”国民は脱原発を支持している”というものでした。ところが、蓋を開けてみますと、日本未来の党が先日実施したネット上の世論調査では、圧倒的多数が、脱原発に反対を表明していたのです。この結果に不満であった「日本未来の党」は、サイトを閉鎖するとともに、さらに批判が強まると、自党とは関係ないと回答した挙げく、最後は、遂に、自らが開設したことを認めるという失態を演じました。この失態で、「日本未来の党」は、国民からの信頼を失うとと同時に、民主党政権の信頼性をも失墜させてしまいました。つまり、”未来”の党は、未来の政権政党に相応しくないことを自ら示すとともに、民主党政権の”過去”の詐欺的な政権手法、つまり、反原発世論の捏造をも暴露してしまったのです。

 反原発世論の捏造には、マスコミも関与しましたので、その責任も重いのですが、政府が、民主的な正当性を得るために、民意を捏造した罪は、さらに重いのではないかと思うのです。表向きは民意に従うように見せながら、その実、自らの無謀な政策を国民に押し付けようとしたのですから。脱原発の結果、産業が衰退し、国民生活も逼迫するようになっても、おそらく、民主党政権の面々であれば、世論を捏造しておきながら、”それは、国民が決めたこと”として、国民に責任を擦り付けたのではないかと思うのです。

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コメント (8)
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