万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

再生エネは期待の新産業か-”タコ足経済”になる怖れ

2012年12月11日 15時19分29秒 | 日本経済
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 民主党など、脱原発を選挙公約に掲げている政党の多くは、再生エネを成長が期待される新産業に位置付けることで、有権者に支持を訴えています。しかしながら、再生エネは、既存の産業に代替する成長の原動力となり得るのでしょうか。

 再生エネによるエネルギーは、現在、他の電源と比較して割高であるために競争力がなく、再生エネ法によって手厚過ぎるほど手厚く保護されています。つまり、事業者間で競争が働かない仕組みの中で、再生エネの普及が促進されているのであり、この点、地域独占が批判されている既存の電力会社と変わりはありません。政府が打ち出している電力自由化とは、既存の電力市場を想定しているらしく、再生エネ法に対する態度は曖昧です。仮に、再生エネ法を廃止せずに、この分野への投資を増やすとしますと、当然に、電力料金の高騰は、産業と国民を直撃し、既存の産業に対しては、破滅的な効果を及ぼします。そして、それは、”タコ足”、つまり、タコが自分の足を食べてしまう現象に類似しているのです。再生エネが普及すればするほど、電力料金という基礎的な費用が増加し、それが、企業の収益と国民生活を圧迫し、全ての物価が上昇するとともに、国際競争力も失われてゆくのですから。再生エネ事業者だけは、一定の収益が確保できますが、所詮は、強制的な国民負担によるものであり、各政党がアピールしている新産業による雇用の拡大とは、国民負担の増加を意味するに過ぎません。再生エネは、成長どころか、衰退の原動力になりかねないのです。

 各政党は、国民に再生エネの夢をばらまいていますが、”タコ足経済”になる怖れがあることを、国民に正直に説明するべきなのではないでしょうか。それとも、再生エネ法を廃止して、自由競争による再生エネ電力の低価格化を目指すのでしょうか(低価格化できなければ、再生エネは、市場から撤退することに…)。リスクを語ることなく、魅力的な言葉を並べることは、前回の選挙と同様に、国民を騙すことになると思うのです。

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コメント (2)
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