万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

帝国主義の時代は終わっていない

2009年12月31日 15時36分25秒 | 国際政治
民族分裂言論・行為を処罰=暴動受け国内初の条例-中国新疆(時事通信) - goo ニュース
 光陰矢のごとし、今年も残ることろあとわずかとなりました。今年一年を振り返りますと、内外における政治状況の変化や経済危機が、我が国にも一気に押し寄せてきたような年であったように思います。

 金融不安が冷めやらぬうちに年が明け、2月には、アメリカ合衆国における民主党オバマ政権が発足し、日本国でも、8月の衆議院選挙で政権交代が起こり、民主党政権が誕生しました。そうして、奇しくも民主党政権の誕生は、隣国中国の覇権主義が、我が国にも及びつつある現実を国民に見せつけたとも言えます。経済大国化する一方で、中国の旧態依然とした政治体制と弾圧体質は、アジアにおける新たなる”帝国主義”の時代を予感させたのです。

 日米同盟の動揺が続くなか、中国の覇権主義の波に呑まれてのか、否か、来年、日本国は正念場を迎えそうです。あらゆる苦難を乗り越えて、日本国が、自由と民主主義を堅持し、歴史と伝統に裏打ちされた国であり続けることを願って、本年最後のブログ記事としたいと思います。

 拙い記事でありながら、本ブログをご訪問くださいまして、ありがとうございました。来年度も、率直で誠実な記事を書いてまいる所存でございますので、何とぞ、よろしくお願い申し上げます。

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アジアへの技術・システム輸出は雇用を生むのか?

2009年12月30日 15時37分52秒 | 国際政治
100兆円超の需要創造=成長戦略、400万人を新規雇用-政府(時事通信) - goo ニュース
 政府は、2020年までに、環境、健康、観光の三分野において、400万人の雇用を創出する新戦略を策定すると報じられています。この中で、日本の技術やシステムをアジアに輸出することで経済成長を後押しし、外貨を獲得してゆく方針を示したそうです。市場のパイを拡大するという意味において、アジア諸国の経済成長を促進することは重要なことですが、この政策が、日本国内の雇用創出に繋がるのか、ということになりますと、いささか疑問があります。

 第一に、我が国とアジア諸国との労働コストや為替相場を比較しますと、現地生産の方が遥かに企業にとって有利になります。このため、国内の企業が、技術と共に生産拠点を海外に移すか、もしくは、現地企業が我が国から獲得した技術で安価な製品を生産することで、反対に、外国製品が輸入される可能性もあります。何れにしても、国内の雇用は減少することが予測されます。

 第二に、現時点においては、我が国は技術面において優位を保っていますが、この政策を長期にわたって継続するには、常に、高度先端技術のトップ・ランナーである必要があります。つまり、国内の雇用は、研究・技術開発部門において増えることになりますので、早急に、人材を育成しなければならないのです(現在の教育体制では不十分・・・)。

 第三に、政府が、民間企業に対して、正当な対価なく開発した技術の移転を強要しますと、企業の研究・技術開発に対するインセンティヴが低下します。企業が、インセンティヴを失えば、国際競争力も低下しますので、やがて雇用の減少を引き起こします。

 以上の点を考慮しませんと、産業の空洞化を防ぐ対策や、民間企業の競争力強化のための措置、通貨安政策への是正要求など、適切な対策を伴わない限り、安易な技術移転は、我が国の産業の衰退を加速化することになりかねないと思うのです。

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小沢幹事長には正当性が欠如している

2009年12月29日 15時44分20秒 | 日本政治
閣僚ら「小沢詣で」で仕事納め マフラー着用のまま応対(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党の党員の方々は、小沢幹事長に政策決定権が集中している現状に疑問をもたないのでしょうか。そもそも、日本国の政治制度や先の総選挙を考えましても、小沢幹事長には、”最高権力者”としての正当性が欠如していると思うのです。

 第一に、日本国憲法の条文を探しても、政党の幹事長に政策決定を委ねるとは何処にも書いていません。立憲主義に基づけば、国会や内閣以外の人物が”闇の権力者”となって国政を動かすことは許されないのです。”陰の権力者”の独裁を黙認しているとしますと、民主党もまた同罪となりましょう。

 第二に、先の総選挙では、民主党は鳩山代表の下で闘ったのですから、国民は、小沢氏が”首相”となることを想定して投票したわけではありません。にもかかわらず、蓋を開けてみますと、首相よりも小沢幹事長のほうに政策決定権があるというのでは、国民を騙したことになります。

 第三に、世論調査を見ましても、国民の多くが、小沢幹事長の独裁など望んでいないということです。もし、圧倒的に氏に人気と人望があれば、首相待望論が出てきてもよいはずですが、聞こえてくるのは非難の声ばかりです。
 
 議会制民主主義を守るためにも、民主党は、自党から”陰の権力者”が出現しないよう、より民主的で透明な党内の組織づくりに努めるべきなのではないでしょうか(まず、党内の権力を分権すれはよい・・・)。残念なことに、追従者の”小沢詣で”が報じられているように、党員の方々は、権力にすり寄ることしか頭にないようです。誰からも信頼されていない、正当性なき”陰権力者”に、国の命運を託すわけにはゆかないと思うのです。
 
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イラン―神政体制が動揺する時

2009年12月28日 16時28分17秒 | 国際政治
ムサビ氏のおいら8人死亡か=反体制派デモ、警官隊と衝突-イラン(時事通信) - goo ニュース
 この世に神の国を実現すること、これこそが、神政体制の目標とするところです。人とは理想郷を求める存在ですので、誰もがもろ手を挙げて賛成するように思えるのですが、神政体制は、何故にか長くは続かない傾向にあります。それは、何故なのでしょうか。

 第一の理由は、神政体制が成立するためには、国民全員が同一の宗教や宗派の信者であることが望ましいということです。このことは同時に、神政体制が全体主義に転じ、異教徒や批判者に対する排斥や迫害が、神の名の下で起き易いことを意味してます。政府弾圧に対する抵抗は、やがて、反政府活動に繋がる下地となるのです。

 第二の理由は、神の権威をバックに、宗教的指導者が独裁者になったり、権力を濫用しがちなことです。自らを神の代理人とすることで、あらゆる権力を行使できるのですから。

 第三の理由は、政府の腐敗と背信行為です。神政である以上、政府が不道徳な行為を行ったり、国民を不幸にすることはあってはならず、国民の政府に対する倫理的な要求が格段に高くなるのです。神の如きはずの政府が、神聖性を失った時、それは、体制崩壊を招くことになるのです。

 イランの情勢を見てみますと、反体制派の弾圧、宗教的指導者による強権政治、大統領選挙の不正疑惑、核開発、北朝鮮との協力関係、どれをとりましても、政府側が、自ら不安定化の種を蒔いているとしか言いようがありません。イランの動揺は、起こるべくして起こったのではないかと思うのです。

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小沢幹事長のどこかおかしい自己犠牲の演出

2009年12月27日 15時43分09秒 | 日本政治
小沢氏「悪者になるのは構わない」 予算編成振り返る(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党の小沢幹事長は、マニフェストの修正について、財政状況や国民からの要望を受けて、敢えて自分が悪役を引き受けたと主張したいようです。しかしながら、この恰も自らを犠牲者のように見なす構図は、どこかおかしいと思うのです。

 そもそも、先の衆議院選挙に際し、実現困難なマニフェストを掲げた責任は小沢氏にもあります。もし、日頃から小沢氏が、財政や国民のことを考えていたとしたら、選挙に勝つために、”ばらまき政策”を並べるようなことはしなかったはずです。にも拘わらず、選挙目当てのマニフェストが、予想通りの修正を余儀なくされると、今度は、自らをヒーローに仕立てるような言い回しをするのは、責任逃れとしか言いようがありません。

 小沢幹事長は、まずは、無理なマニフェストを掲げたことに対して、国民に正直に謝るのが筋なのではないでしょうか。自己犠牲の演出は、言い逃れに聞こえてしまうのです。
 
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日本国による竹島の先占は成立している

2009年12月26日 16時56分31秒 | 日本政治
関係良好、韓国に配慮=自民は追及の構え-「竹島」明記見送り(時事通信) - goo ニュース
 竹島に関する議論の中で、どの国に領有権があるのか明確ではないにも拘らず、日本国が、竹島領有を主張するのはおかしい、という意見があるようです。しかしながら、領有権の所在が不明であったからこそ、日本国の先占が成立したのではないかと思うのです。

 そもそも、歴史的に竹島の領有権の所在が明らかであれば、このような問題は起きなかったはずです。明治政府もまた、幕府による経営の実績がありながら、竹島の領有が法的に不安定であったからこそ、この地を無主地と判断し、1905年に竹島を島根県に編入したと言えます。国際法は、無主地に対しては先占の要件を満たすことで、合法的にその土地を領有することができるとしています。つまり、竹島は、国際法に照らしても日本国の領土の一部なのです。このため、韓国が竹島の領有権を主張するには、1905年以前に、竹島を領有していた明白な証拠を示す必要がありますが、これまでのところ、その事実は証明できていないようです。

 もし政府が、国際法において、自国による竹島の先占が成立している事実を看過しているとしますと、これは同時に、国際法を無視していることにもなります。韓国に配慮して、国際法による秩序を根底から破壊しては、失うものの方がはるかに大きいのではないでしょうか。

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鳩山首相の本心は日本国の放棄?

2009年12月25日 14時21分31秒 | 日本政治
竹島、高校は明記せず=領土問題「中学踏まえる」-新指導要領解説書・文科省(時事通信) - goo ニュース
 鳩山首相は、かつて”日本国は日本人だけのものではない”とする発言を行ったことで、物議を醸しました。竹島問題への対応を見ますと、やはり、首相の本心は日本国の”放棄”あるいは”無血開城”なのではないかと疑ってしまうのです。

 現在の国際体系は国民国家体系と呼ばれており、それぞれの国民が、民族自決の原則と歴史的な根拠に基づいて領土を領有し、主権国家の独立性を保っています。もしここで、国家は国民のものではない、と言い切ってしましますと、それは、自国の主権や領有権の放棄に等しく、外国による領土要求や支配に対して、何らの抵抗もできないことを意味します。鳩山首相は、一体、国家は、誰のものと考えているのでしょうか。もし、その国に居住する外国人のものでもある、としますと、いとも簡単に国内に外国の飛び地ができるか、植民地化されてしまいます。結局、この開放政策で喜ぶのは、日本国の支配を狙う覇権主義勢力ということになりましょう。

 独善的な使命感をもって、全力で自国の主権や領土を放棄しようとする首相は、どこか狂っています。政治家としての基本的な使命は、主権、国民、領域を守ることにあることを思い起こすべきと思うのです。

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民主党の中国シフトの改革は改悪か?

2009年12月24日 15時49分06秒 | アジア
炎上?おとり? 中国共産党版ツイッター、2時間で閉鎖(朝日新聞) - goo ニュース
 民主党政権が誕生して以来、政策決定のプロセスから外交・安全保障問題に至るまで、中国シフトが目立つようになりました。その中国はと申しますと、本日も、中国共産党版ツイッターが二時間で閉鎖されたことに加えて、一党独裁体制からの脱却を唱えた「08憲章」の起草者に重刑判決が下される見通しが報じらています。

 野党時代から、民主党は、”改革”や”新しい政治”を有権者に訴えてきました。しかしながら、それが、共産化や社会主義化を意味するならば、日本国の政治が目指すべき方向であるはずもありません。共産化すると言うことは、現在、中国大陸で起きているように、国民が統治制度について自由に意見したり、より民主化された方向に改革する道が封じられることになるからです。つまり、一旦、”改革”や”新しい政治”なるものが実現すると、以後、他者が”改革”や”新しい政治”を志すことは許されなくなるのです。国民の多くは、民主党の中国への接近が、民主的な多党制の破壊や言論統制の容認に至るのではないかと疑っているのです。

 民主党、特に、小沢幹事長の政策手法は、ライバルとなる相手を徹底的に排除する闘争モードであり、これは、暴力革命で政権を握った共産党の闘争路線と独裁体質に通じるものがあります。中国のように、国民が、権力者からの迫害を恐れるようになっては、民主党政権による”改革”は”改悪”と言わざるを得ないのではないでしょうか。

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鳩山首相の優柔不断と小沢幹事長の傲慢

2009年12月23日 14時25分07秒 | 日本政治
舛添氏ほえる「私が先頭に立ち衆参同日選へ」「自民は独裁的リーダー必要」(産経新聞) - goo ニュース
 民主党政権が発足してはや三か月が過ぎましたが、内閣支持率は、ここにきて急速に低下しているようです。支持率が下がった原因として様々な理由が挙げられていますが、民主党には、集権体制にありがちな、正反対の二つの欠点が同居していると思われるのです。

 それは、鳩山首相の優柔不断と小沢幹事長の傲慢です。この正反対の要素を兼ね備えているため、民主党政権は、指導力不足と独裁傾向という、二つの側面からマイナス評価を受けることになったと考えられるのです。数値だけを挙げる世論調査からは、どちらがより強いマイナス要因であるかは判断できませんが、外交や安全保障といった決断力を要する分野では決断できずに迷走が続き、予算や財政政策といった利益調整が必要な分野では、問答無用の決断を行うため、両者のマイナス面ばかりが目立ちます。

 何れにしても、こうした欠点は、民主党政権における独裁型の政策決定過程に問題があると言えそうです。自民党の舛添氏は、小沢幹事長以上の独裁を切望しているようですが、神の如き判断力や洞察力を持つ人間は存在しませんので、むしろ、国民の中には、民主党型の独裁的手法に批判があることを忘れてはならないと思うのです。

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首相の決断への期待は独裁への道?

2009年12月22日 14時53分29秒 | 日本政治
中学生以下の子の世帯に恩恵…全員子ども手当(読売新聞) - goo ニュース
 日本国憲法の第41条には、国会は、国権の最高機関である、と明記しており、憲法は、政策決定の主たる舞台は議会であると定めています。ところが、民主党政権が誕生して以来、国会が軽視され、議会制民主主義が蔑にされた状況が続いています。

 鳩山首相は決断力がないとして非難されていますが、子ども手当やガソリン税率など、極めて重要な政策決定が、国会での議論なく、首相に一任する形で決められることには疑問があります。しかしながら、議会制民主主義の国では、議会での法案の審議こそ重要なプロセスであり、国会審議あってこそ、政策の欠点や問題点が明確になり、修正を加えることができます。民主党政権は、数の力で押し切ろうとしているようでうが、こうした審議・修正のプロセスなくして、国民の声を政治に反映させることはできなません。また、欠点のある政策がそのまま実施されてしまうというリスクを負うことになります。

 マスコミも、首相の決定が、そのまま政策として実施されるかの如くに報じています。首相の決断に過度に期待したり、それを当然のことのように見なすことは、独裁への道を敷くことになりかねません。むしろ、税源の議論を含め、国会で充分な審議を行うよう、求めるべきなのではないかと思うのです。

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COP15―極寒の中での地球温暖化議論

2009年12月21日 15時47分28秒 | 国際政治
欧州寒波、死者38人に…空港閉鎖も(読売新聞) - goo ニュース
 鳴り物入りで始まったCOP15ですが、決裂は避けられたものの、京都議定書に代わる新たな枠組みを成立させるまでには至らなかったようです。合意不成立の要因としては、途上国や新興国の強硬な反対などが指摘されていますが、もうひとつ重要な要因は、誰もが地球温暖化を体感していないことにあるにあるのではないでしょうか。

 COP15が開催されたコペンハーゲンの天候については詳しい報道はありませんでしたが、現在、欧州では寒波が到来しており、おそらく、会議場から外に出ますと、冷たい空気で身も凍りついたはずです。北米でも、今年は、例年になく厳しい寒気団が南下しており、首都ワシントンD.C.でも、積雪や路面の凍結で事故などが発生しているようです。つまり、温暖化対策の国際会議を、極寒の中で行うというアンバランスがあるのです。

 温暖化による南太平洋の諸国の海面上昇や北極圏での気温上昇などが報告されていながら、多くの人々が、実際に、温暖化を感じていないことは、それだけ、地球温暖化説に対する懐疑を呼び覚ますことになります。危機感が叫ばれながら、誰もが納得する現象を伴わないことが、今後の議論にも少なくない影響を与えるのではないかと思うのです。 


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『吉備大臣入唐絵巻』から見えてくる苦難の日中外交

2009年12月20日 15時19分40秒 | 国際政治
昨今、日中外交の難しさを示す事件が起きています。姉の倉西裕子が、本年11月に『吉備大臣入唐絵巻 知られざる古代中世一千年史』を上梓しました。平安時代末期に、後白河法皇のサロンにおいて制作され、現在米国ボストン美術館に所蔵されている『吉備大臣入唐絵巻』に精緻な検証を加えることで、弥生時代から平安時代末期まで、いかに苦難の日中外交が展開されていたのかが、見えてきます。日中外交史にご興味がありましたなら、ぜひ、ご一読ください。

吉備大臣入唐絵巻 知られざる古代中世一千年史
倉西裕子
勉誠出版

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普天間問題―決断引き延ばしがもたらすジレンマ

2009年12月19日 15時26分04秒 | 日本政治
普天間問題「しばらく待って」首相、米国務長官に(読売新聞) - goo ニュース
 鳩山首相は、普天間基地移設問題について、クリントン米国務長官に対して、沖縄県民の期待が高まる中での強行は危険であることを理由に、しばらく結論を待つよう求めたと報じられています。しかしながら、その先の展開を考えますと、決断を引き延ばせば延ばすほど、事態は、抉れるのではないかと思うのです。

 来年の1月24日には、沖縄の名護市での市長選挙が予定されております。首相は、この選挙結果には必ずしも拘束されないと述べているようですが、もし、この選挙で、名護市への基地移設反対派の候補者が勝利するとなりますと、政府は、窮地に陥ることになりそうです。名護市への移転が不可能となれば、日米合意が白紙となるか(普天間基地存続)、あるいは、急ぎ代替地を探さねばなりませんが、新たな移設先を見つけることは、簡単なことではありません。また、名護市への移設計画を実行することは、沖縄県民の選択を無視することになりますので、現在以上に難しくなります。しかも、政権与党である民主党自身は、移設反対派の候補者を支援しているわけですから、たとえ選挙に勝っても、自らを苦しい立場に追い込むというジレンマに直面します。

 日米合意の頃よりも、現在の方がはるかに中国の軍事的脅威は増しており、むしろ、米軍の沖縄駐留の意義と必要性は高まっています。このことを考えますと、民主党政権は、何れにしても県外・国外移設は難しいことを前提にして、沖縄県民の負担を別な形で軽減するよう政策立案すべきと思うのです。

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COP15-虚しい日本国の努力

2009年12月18日 13時41分31秒 | 国際政治
「新たな枠組みに中国参加を」日中首脳会談で首相(読売新聞) - goo ニュース
 最近の温暖化ガス削減交渉の場は、実質的な効果を狙う政策ではなく、政治によって支配されているようです。その最たる事例が、突出した日本国の負担です。

 日本国政府が発表した温暖化ガス25%削減目標や支援総額の4割にも上る日本国の途上国支援の財政負担は、もし、地球温暖化の原因が二酸化炭素排出量の増加にあり、しかも、日本国がその4割を輩出しているのであるならば、当然、原因を作っている以上、日本国が負うべきものであるかもしれません。しかしながら、もし、そうではないならば、この巨大な負担は、客観的に見て、合理的でも公平でもありません。しかも、民主党政権は、政策効果など度外視して、自ら率先して、この不公平な立場に日本国を置こうとしているのです。

 日本国が過剰な負担を負う一方で、今後とも排出量の増加が見込まれている中国は、京都議定書の延長を主張し、自らに削減義務を負わせるつもりはないようです。原因国ではない国が、たとえ高い削減目標を掲げても、その効果には限界があるのですから、日本国の努力は、何とも虚しいと思うのです。
 
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温暖化ガス削減―政府の手法はリスクの高いオークションか?

2009年12月17日 17時35分10秒 | 国際政治
COP15、日本は途上国支援に1兆7500億円拠出へ(朝日新聞) - goo ニュース
 鳩山政権発足とほぼ同時に、首相が、国会や国内世論を伺うことなく、海外において日本国の温暖化ガス削減率25%を公表したことは、衝撃的な事件として記憶されています。この時にも、高い目標設定は、主要国の参加を促すため、と説明されていました。今回の3年間で途上国支援1兆7500億円拠出の約束も、主要国の参加を促すことが目的のようです。

 25%削減目標に対しては、あまりの負担の重さに、国内から不安と懸念の声が上っています。もし、現実に25%削減の目標を達成しようとしますと、官民合わせて10兆円から12兆円のコストがかかるそうです。その内、環境技術やエコ対策などによって目標を届かなかった分は、排出権取引でカバーするとも言われています。こうした排出権取引に加えて、さらに相当額の途上国支援が加わることになりましたので、将来、日本国から莫大な資金が海外に流出することになります。日本国の財政が苦しい状況にあることは言うまでもなく、過度な削減負担が、日本国経済を押しつぶす怖れがないとは言い切れません。政府は、財政支出を要する政策を実施する場合、国会に諮り、負担者となる国民の声を聞くべきであって、独断は慎むべきと思うのです。

 しかも、主要国の参加を促すために、負担額を吊りあげていく政府の手法は、まるで、オークションでの駆け引きのようです。気付いた時には、相場よりも数段高値で落札していた、ということにならないよう願うばかりです。

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