万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

仕掛けられた戦争-左翼はどのように対応するのか

2012年12月15日 15時39分24秒 | 国際政治
楊外相「日本と断固闘争」 上陸も視野 侵犯常態化へ(産経新聞) - goo ニュース
 選挙を明日に控え、左派政党の候補者の主張は、戦争反対に比重を移してきているようです。自民党政権が誕生すると、即、戦争が起きるかのように…。しかしながら、戦争を仕掛けられた時、左翼政党は、どのように対応するつもりなのでしょうか。

 自国が他国から軍事的な攻撃を受けた場合、政府が、”戦争は絶対にしない”と決断しますと、それは、無条件に相手の要求を飲むことを意味します。つまり、戦わずして、尖閣諸島の領有権を中国に譲ることになります。あるいは、尖閣諸島への軍事的圧力を背景に、中国は、日本側から自発的に共同管理を提案するよう迫るかもしれません。圧力に屈して、日本国政府が戦争よりも譲歩を選べば、領有権の半分は、中国の手中に入ります。これらの行動は、戦争を回避したのですから、一見、”平和主義”を貫いたようにも見えます。左翼政党にしてみますと、この時こそ、平和主義の理想が実現した、記念すべき瞬間なのかもしれません。しかしながら、何れの行為も、中国側の国際法違反であることは明白です。日本国の戦争回避の判断は、中国の国際法違反の行為を追認し、国際社会の法秩序を崩壊させることに他ならないのです。このことは、左翼の人々が崇高な精神として礼賛する日本国の”平和主義”が、忌まわしき暴力主義の協力者となり、悪の側に引きずり下ろされることを意味しています。平和主義と暴力主義は、手に手を携えて、奈落の底に堕ちてゆくのです。

 中国の領土的野心が、尖閣諸島に留まるとは思われず、次は沖縄、そして、最後には本土にまで及ぶことでしょう。そして、日本国にも、チベットや東トルキスタンで起きてきた虐殺の悲劇が待ち受けていることでしょう。暴力主義が牙をむくとき、戦争回避を絶対命題とする平和主義が、正義に適った正しい選択であるとは、私には思えないのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北朝鮮のスポークスマン化す... | トップ | 投票は景気回復への第一歩 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ねむ太)
2012-12-15 19:20:39
こんばんは。WiLL1月号に埼玉大学名誉教授・長谷川三千子氏が本質をついた素晴らしい論文を掲載されています。
世界全体の「戦後レジューム」からの脱却。
要約致しますと、第二次大戦後の戦後処理の中「戦争犯罪」の定義そのものの内に枢軸国という限定は入らなかったものの、その対象が枢軸国に限定される事が明文化され戦勝国優位の戦後レジュームの確立であり、それがそのまま横滑りする形で形成されたのが国連であり、世界を呪縛している、旧ソ連の戦勝国優位主義の残滓を一掃し、公正な法秩序の確立こそが世界の戦後レジュームからの脱却であり真の国際平和につながる
と、述べておられます。
考えてみますと、我が国だけではなく極東アジアにおいて顕著ですが、左翼的な思想・力の理論が横行し国際的な調停機関はほとんど機能していません。
正義と法に基づく秩序より軍事力と賄賂がものを言う、共産主義の革命理論そのものです。
半島の某国家が我が国の一地方として共に戦った間柄であるにもかかわらず戦後、ナントカ進駐軍と称して暴虐を繰り返し、マッカーサーをして「戦勝国民ではなく第三国人である」と言わしめたほどのデタラメぶり。
歴史を捏造し、ありもしない事柄を事実のように吹聴し金品を要求する。
それを後押ししてるのが真っ赤な軍事独裁国家。
今回の衆議院選挙、来夏の参議院選挙を通じて、旧ソ連の戦勝国優位の理論に染まる人間は政治の舞台から退いてもらい、我が国が中心となってアメリカ・インドなどの国々と連携し国際的な枠組みの中に公正な法秩序を取り戻すことが先の大戦で大東亜共栄圏(人種差別をなくし公正な法秩序を取り戻す)を信じ戦われた先人たちへの御恩に報いることとなると思います。
返信する
ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-12-15 22:32:33
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 革命理論こそが、暴力主義の源流でありながら、左翼の人々は、顔色一つ変えずに、自分達は、平和主義者と言い張っているのですから、これほどの欺瞞はないと思うのです。戦後のソ連邦をよく観察してみれば、その本質は容易に見抜けたはずですのに、素知らぬふりを決め込んでいる人々は、政治家や進歩的知識人を名乗りながらも、他人を騙して損害を与える詐欺師と何ら変わりません。今日では、経済大国化した中国が、共産主義の醜態を晒しておりますので、国民の方が、よほど、その酷さを痛感しております。国際秩序は、正義と法を基盤としてこそ、全ての諸国が、平和に共存できるというものです。それを暴力で破壊しようとする勢力に対しては、果敢に戦うことこそ、真の平和主義というものなのではないでしょうか。まことに、全世界は、長谷川三千子氏のおっしゃるように、「戦後レジューム」から、脱却しなければならないと思うのです。
返信する
Unknown (Suica割)
2012-12-16 20:33:48
平和主義の人のなかには、あのガンジーの非暴力無抵抗不服従の戦い方を参考にされていますが、それは、国際的な国益を考えた場合、体面を気にしなくてはならない覇権国イギリスだったから通じる話です。
それに根底に人は神の前で平等だというキリスト教精神や植民地主義に冷静な疑問を投げかける勢力の存在などの各種の有利な条件がありました。
ソビエトや中国やナチスに通用するか良く考えてものを言って欲しいものです。
返信する
Suica割さま (kuranishi masako)
2012-12-16 21:34:12
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 イギリスからの独立に際しましては、ガンジーは、非暴力無抵抗不服従の精神で独立を勝ち取りましたが、国内のイスラム教徒との対立をこの精神で押さえることができず、結局、ヒンデゥー原理主義者によって暗殺されております。時と場合によっては、非暴力主義や絶対平和主義は、無力どころか、暴力を許すことにもなります。左翼や理想主義の人々には、ぜひ、この善が悪に転じてしまう現象を理解していただきたいと思うのです。
返信する

国際政治」カテゴリの最新記事