万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

生活保護の制度改革なくして増税なしでは

2011年12月31日 15時32分57秒 | その他
生活保護受給者囲い込みの病院「彼らは上客」(読売新聞) - goo ニュース
 生活保護の受給者は、生活費が支給されるのみならず、医療費をはじめ、様々なサービスを無料で受けることができます。このため、生活保護費3兆円のうちの半分は、医療費が占めるという異常事態に陥ったのですが、生活保護をめぐる問題を解決しませんと、国民は、増税には納得しないのではないでしょうか。

 生活保護の受給者にとりましては、”無料”のサービスですが、その代金は、他の国民が納税という形で代わりに支払っています。しかしながら、優遇に慣れてしまっている生活保護者は、無料受診が、他者に請求書をまわすこと、つまり、負担の”転嫁”であるとする意識は薄いようなのです。酷い場合には、生活保護者が、ほとんど毎日のように病院に通い、手厚い医療サービスを受けているという報道もあります。生活保護制度は、本来の目的から逸脱し、いつのまにか、受給者と悪質な病院とがタイアップした、国民負担増加=財政悪化のシステムに変貌してしまったかのようです。しかも、悪質な病院ばかりではなく、貧困ビジネスの蔓延、受給者のパチンコ中毒、不正受給、政治家の口利きなど、生活保護をめぐる”社会悪”は、枚挙に遑がありません。もしかしますと、3兆円規模の予算のつく生活保護は、様々な利権が蠢く巨大な悪の巣窟となっているのかもしれないのです。

 このままでは、国民の方が、生活保護者の負担の重みで潰されてしまいそうです。一生懸命に働いている人々が、生活保護を受けながら暇を持て余している人々の経費を一方的に背負わされている現状は(国民は、請求書の支払は拒否できない…)、明らかに、社会的な公平性や公正性に反しています。政府は、早急に、生活保護制度の抜本的な改革に取り組むべきではないかと思うのです。

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本年も、拙いブログ記事をお読みくださいまして、ありがとうございました。皆様方が、よいお年をお迎えなされますよう、心より、お祈り申し上げております。
 
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現代の科学力は金正恩氏の謎に迫れるのか

2011年12月30日 15時40分49秒 | アジア
北朝鮮、中央追悼大会を実況中継 正恩氏、終始険しい顔(朝日新聞) - goo ニュース
 北朝鮮の後継者とされる金正恩氏は、金正日の三男なのか。この疑問は、正恩氏が表舞台に登場た2010年から既に囁かれてきました。

 昨日、平壌の金日成広場で行われた中央追悼大会では、金正恩氏は、演説をすることもなく、始終沈黙を守っていたそうです。金日成死去に際しても、同様の前例があるために、それに倣ったとも、あるいは、カリスマ性を高めるため、とも解説されていますが、肉声を公表することができない理由が、他にあるのかもしれません。例えば、声紋を分析されると、実在の三男である”正恩”氏とは違うことが判明してしまうことを怖れているとも考えられます。”正恩”氏は、スイスに留学していたため、音声が保存されている可能性もあるからです。疑わしい点は、これのみではありません。2008年に、交通事故で生死の境を彷徨うほどの重傷を負ったとされていながら、後遺症らしきものは見られませんし、金日成に似せるために整形を6回繰り返したと言われているわりには、顔の造形は、それほどには人工的ではありません。また、性格が豪放で粗暴と言われながら、映像に映る姿は、どこか不安そうです。

 今後、肉声が公開されれば、この憶測は外れたことになるのですが、建国時から今日に至るまで、虚構に虚構を積み重ねてきた北朝鮮は、その一角が崩れることで、脆くも体制崩壊へと向かう可能性はあります。現代の科学力を以ってすれば、この謎は、解けるかもしれないのですから。
 
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殺人大国のベネズエラ―チャペス大統領が原因か?

2011年12月29日 16時15分45秒 | アメリカ
殺人発生 率、南米で最悪=ベネズエラ(時事通信) - goo ニュース
 ベネズエラと言えば、反米勢力の急先鋒であるチャペス大統領を生んだ国として知られています。対外的には威勢がよいものの、国内では、殺人発生率が南米一という不名誉な立場にあるそうです。

 チャペス大統領は、就任以来、大統領権限の強化に努めてきており、いわば、ベネズエラで独裁体制を敷いています。強権体制下では、警察権力も強化される傾向にありますので、治安維持を徹底しそうなさそうなものの、年間、1万人以上の殺人事件は、何故、起きるのでしょうか。独裁体制において、必ずしも治安がよいわけではないのは、国民に、他者の生命に対する尊重の意識が低下していることに原因しているのかもしれません。つまり、大統領に発する垂直方向の権力でかろうじて犯罪は抑えられているものの、国民間の水平関係では、市民社会に見られるような相互尊重の精神が欠けてしまっているのです。このために、何らかの諍いがあれば、直ぐに殺人事件へと発展してしまうのかもしれないのです。しかも、チャペス大統領の関心が、自己の権力強化にしか向けられていないか、あるいは、犯罪者からの賄賂で警察権力を押さえているとすれば、民間で起きる殺人事件は野放しともなります。

 ベネズエラの治安状況を改善するためには、あるいは、チャペス体制の見直しが必要なのかもしれません。殺人大国となったベネズエラの状況に、独裁体制がもたらす社会の病理が見えるのです。

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侮れない”白物”の威力―日本企業にもチャンス

2011年12月28日 16時13分24秒 | 日本政治
 新興国の急激な発展を受けて、家電市場では、日本企業のシェアは、低下傾向が続いているようです。激しい追い上げを受けてはいるものの、安易な”白物”市場からの撤退は、考えものと思うのです。

 近年、日本の製造業の多くは、”白物市場”に見切りをつけてか、インフラをベースとしたシステムの売り込みに力を入れるようになりました。もちろん、こうした分野での市場開拓は、今後とも進めてゆくべきですが、”白物”には”白物”のメリットがあります。それは、生活を便利かつ快適にする製品には、必ず需要があり、普及後も、買い替えという消費行動を通して永久に需要が生み出されてゆくということです。また、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、テレビ…など、家電製品が多種多様にわたることも、その特徴の一つです。この点、日本企業には、省エネ技術、エコ技術、小型化技術、新素材…といった強みがあります。新興国のエネルギー事情が、未だに不安定、かつ、供給が不十分であることを考えますと、電力消費量が低く、かつ、壊れ難い家電は、先進国のみならず、新興国市場においても競争力を持つはずです。太陽光発電技術や蓄電技術なども、家電製品に組み込むことで、新たなコンセプトの家電として、消費者にアピールすることができるかもしれないのです。

 分散型の発電技術は、メガーソーラーといった電力供給よりも、案外、消費者向けに製品化されることで、そのメリットを発揮する可能性もあります。”白物”は、労働集約型の国に移動するという考えは、固定観念であるかもしれないのですから、全世界で渇望され、人々から歓迎される未来型の家電の開発に取り組むことも、一つの道ではないかと思うのです。

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発送電分離と再生エネ法は両立しない?

2011年12月27日 16時34分54秒 | 日本政治
発電と送配電、分離を本格検討…新規参入促す(読売新聞) - goo ニュース
 政府は、電力事業について、送配電事業と発電事業とを分離する方向で検討に入るそうです。その理由は、発電事業への参入を促すための説明されていますが、素朴な疑問として、再生エネ法と両立しないのではないかと思うのです。

 エネルギー市場は、一般の市場とは違って、多様な発電方法が混在しており、しかも、発電コストに大きな開きがあるという特徴があります。例えば、政府のエネルギー・環境会議の検証委員会の試算では、原子力発電の発電コストは、1キロワット時あたり8.9円に見直されたものの、再生エネルギーとのコスト差は歴然としています。特に、太陽光発電のコスト高は突出しており、現状では、40円前後です。つまり、飛躍的な技術革新が起きない限り、自由競争では、高コストの電源は、淘汰されてしまうのです。そして、再生エネルギーが高コストであるからこそ、政府は、「再生エネ法」を制定して、価格管理システムを敷き、あえて競争から保護しようとしているのです

 この側面は、今後、発送電の分離を行い、発電部門を自由化したとしても、必ずしも”自由競争”とはならない可能性を示唆しています。市場の自由競争と政治的保護。政府は、果たして、これらの逆方向を向く二つの政策を同時に進めることができるのでしょうか。

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原発再稼働とTPPとの奇妙な温度差

2011年12月26日 15時49分31秒 | 日本政治
九電の全原発が停止…家庭・企業に5%節電要請(読売新聞) - goo ニュース
 TPPをめぐる論争は、日本国の世論を二分する勢いです。反対論の中には、TPPへの参加が、日本国経済の崩壊の序曲となるとする見解も少なくありません。しかしながら、原発再稼働問題の方が、実は、日本経済への影響が大きいのではないかと思うのです。

 政府の試算によりますと、TPPに参加した場合、日本国のGDPは、10年間で2.7兆円から3.2兆円増加するそうです。この数字は、低過ぎるとする指摘もありますが、年単位に換算しますと、わずかに2700億円ということになります。ところが、原発再稼働をせずに、電源を火力に頼る状態が続きますと、全電力会社の燃料費の合計で、1年間で3兆円の経費がかかるそうです。国産のエネルギー源はほとんどありませんので、3兆円分の貿易黒字が消えることになり、将来的には、貿易収支が赤字に転落するとも予測されています。また、先日、東電が、燃料費の増加により、企業向けの電力料金を値上げする方針を示しましたが(産業の空洞化を促進…)、製品価格に上乗せされれば消費者負担となりますし、後日、家庭用電力も値上げとなれば、家計への負担はさらに重くなります。おそらく、原発再稼働をさせない場合、それが日本経済に及ぼす影響は、TPPを遥かに凌ぐのではないかと考えられるのです。しかも、TPPのようなプラス面はほとんどなく、マイナス面ばかりなのです。

 政府もマスコミも、原発再稼働を止めることによる経済へのマイナス影響を、国民には充分に説明していません。影響力の大きさを考えれば、この温度差は奇妙でもあります。TPPよりもさらに深刻な打撃を経済に与えるかもしれないのですから、国民もまた、脱・反原発の強力なアピールに惑わされずに、危機感を以って原発再稼働問題を考えるべきではないかと思うのです。

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日中関係は不惑の年?-新華社による『論語』の曲解か

2011年12月25日 17時06分25秒 | アジア
「日中関係、不惑の年へ」新華社、野田首相訪中前に時評(朝日新聞) - goo ニュース
 本日、日本国の野田首相は、中国を訪問するために羽田を後にしましたが、この訪中に先立って、中国の新華社は、論語を引用し、日中関係は「不惑の年」を目指すと論評しています。この引用、どこか、的外れに思えるのです。

 「吾十五にして学に志し、三十にして立つ。四十にして迷わず…」は、『論語』の中でも特によく知られている文章です。来年は、日中国交正常化から40年となる記念すべき年、ということで、新華社は、40年という年に因んでこの文章を引いてきたのでしょう。しかしながら、『論語』で述べている年は、人が、その一生において学問を進めてゆく上での心境の変化と到達点を表しているのであって、国と国との関係を表現したものではありません。ですから、”不惑”とは、一体、何に迷わなくなるのか、意味不明となるのです。もしかしますと、日中友好は、もはや迷う段階ではなく、確立した関係であると言いたいのかもしれませんが、近年の中国の急激な軍拡や覇権主義的な行動を目の当たりにすれば、日本国の迷いは、深くなることはあっても、決して消えることはありません。日本人の多くは、日中関係の将来については、ひどく懐疑的なのです。

 『論語』は、孔子の生誕地である中国が本家本元なのですが、その中国が、その意味するところを理解していないとなりますと、中国版ノーベル平和賞とされる孔子賞も怪しい限りです。日本国は、中国による『論語』の現代風解釈、あるいは、共産党風解釈に対しても、警戒心を持たなければならないのかもしれません。

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国連総会―独裁体制の犠牲者にこそ黙祷を

2011年12月24日 18時18分52秒 | 国際政治
国連総会、金総書記に黙とう…日米韓ボイコット(読売新聞) - goo ニュース
 国連総会では、北朝鮮の要請を受けて、先日急逝した金総書記のために黙祷を捧げたと報じられています。安保理では、この申し出は断られたそうですが、国連総会は、黙祷を捧げる対象を誤っていると思うのです。

 国連憲章の前文には、”基本的人権と人間の尊厳及び価値…をあらためて確認し”とあります。北朝鮮による自国民や他国民に対する過酷な人権弾圧は、国連が掲げている理想とは遠くかけ離れていますし、その張本人こそ、金正日その人でした。この黙祷は、前例を根拠に認めらたそうですが、その前例とは、シリアの元大統領の父親にであるハフェス・アサド前大統領であったそうです(北朝鮮と同様に、世襲社会主義国家という極めて特異な体制…)。シリアにおいても、今なお、独裁体制に抵抗している多くの国民が弾圧されています。国連総会は、独裁者によって無残に命を奪われた数人々のことを、どのように考えているのでしょうか。

 2011年は、アラブの春を迎えました年でもありましたが、この年を終えるに当たって、国際社会に相応しい行為とは、独裁者によって無慈悲に殺害され、あるいは、独裁体制を崩壊に導くために命を捧げた人々を、心から悼むことなのではないかと思うのです。

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電力料金値上げか原発再稼働か―国民の判断は

2011年12月23日 14時18分39秒 | 日本政治
東電、企業向け電気料金値上げ 収益確保へ反発覚悟(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、東電は、企業向けの電力料金の値上げを発表しました。マスコミは、概して東電非難の論調のようですが、原発を再稼働させない限り、電気料金の値上げは不可避であることもまた現実です。

 原発反対の国民投票を呼び掛けている芸能人や文化人の人々が目立っていますが、こうした問題を国民に問うならば、脱・反原発には、相当のコストとリスクがあることも、正直に説明すべきです(もちろん、現実には、国民投票の制度は存在していないのですが…)。電力料金の値上げは、原発の運転停止による燃料費の負担増加が主たる原因ですので、東電のみならず、値上げの波は、やがて全国に及びます。しかも、企業向けの電力料金を上げるとなりますと、当然に、産業の空洞化が進む要因となり、失業問題と直結します。冬場では、節電での対応にも限界がありますので、電力料金のみならず、国民の健康や生活水準を引き下げることにもなりかねません。しかも、来年7月には、再生エネ法が施行されますので、さらなる電力料金値上げの追い打ちが待っているのです。

 もし、原発が再稼働されれば、電力事業は増収となりますので、東電には、巨額の賠償金を支払う余力が生まれ、国民負担も軽くなります。脱・反原発派の人々は、原発を”絶対悪”と決めつけ、東電の増収など許せないと息巻くでしょうが、東電を感情的に叩けば叩くほど、国民の負担も重くなるのです。果たして、日本国民は、この問題に対してどうのように判断するのでしょうか。私は、と申しますと、原発再稼働賛成に、一票を投じたいと思うのです。

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北朝鮮が現代版ガリバー旅行記に登場すると

2011年12月22日 17時53分33秒 | アジア
正恩氏、「先軍路線」継承か=「遺訓政治」進める―北朝鮮(時事通信) - goo ニュース
 北朝鮮の体制が、人類史上稀に見る特異な弾圧体制であることは、今や、国際社会の常識と化しています。しかしながら、かの国では、常識と非常識が逆転しており、自国が異常であるとの自覚が希薄です。こうした国は、ガリバー旅行記に登場してきそうです。

 ”高波を受けて船から海に放り出されたガリバーは、ある北の国の浜辺に流れ着きました。目を覚ましてあたりを見回しましても、助けてくれそうな人は、誰もいません。そこで、近くの村まで、自分の足で歩いてゆくことにしました。ようやく、人の気配がする集落に辿りついたのですが、村人は、みな、がりがりに痩せこけている上に、ガリバーなど眼中になく、話しかけても無視を決め込んでいます。おかしな村に迷い込んだもの、と頭を抱えていると、一人の人物が近寄ってきました。「あなたは、大変な国に来てしまいましたね。私は、随分と前にこの国にさらわれて連れてこられたのですが、このような国は、世界中探しても、ここだけです。何故って、全てがあべこべであるのですから。まずは、私についてきてください。びっくるする光景をお見せしましょう。」ガリバーは、この人物の言うままに、この国の都へと向かいました。そこでは、この国の指導者の葬儀が厳粛に執り行われていました。国民は、みな、大声をあげて泣いています。ガリバーは、この人物に言いました。「この国の指導者は、大変、国民から愛されていたのですね。」すると、この人物はこう答えたのです。「いえいえ、この国では、国も国民も、本心とは反対の行動をとることが”決まり”になっているのです。国民は、本当は、哀しいわけではなく、陰では、悪口もいっているのですが、その反対の態度をとらないと、殺されてしまうのです。」ガリバーは、びっくりして言いました。「それでは、嘘泣きということなのですか。でも、そのような恐ろしい指導者ならば、本人だけは、本心から行動しても許されるのではないでしょうか。」「いやいや、指導者もまた、本心を晒してはならないのです。指導者は、密かに贅沢三昧の生活を送っているのですが、国民に対しては、国家のために全身全霊を尽くして働いていると言わなければならないのです。」とこの人物は、憂鬱そうに囁きました。「何と言っても、今度の指導者の死去も、国家のための過労死、ということになっているのですから…」”

 ここで、ガリバーは、”絶句”ということになるのですが、国家と国民が、お互いに嘘で取り繕わなければ成り立たない国は、悪い冗談のようです。ガリバー旅行記は、18世紀のフィクションなのですが、この「あべこべ国」は、21世紀の実話であることろが、恐ろしい限りなのです。

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怪しげな日本国政府の中国国債の購入

2011年12月21日 14時39分04秒 | アジア
中国国債、日本が購入検討=首脳会談で判断へ(時事通信) - goo ニュース
 日本国政府は、100億ドル規模の中国国債を購入する方向で、中国政府と協議に入る方針とのことです。政府は、中国国債を購入する理由として、外貨準備の運用の多様化、日中の国債保有の相互性の促進、人民元の国際化への協力を挙げていますが、この中国国債の購入、あまりに不可解であり、国民に説明ができない背景がありそうです。

 第1に、政府が中国国債を購入するに際して使用される通貨は、人民元なのでしょうか。日本国は、アメリカ国債を大量に保有していますが、それは、ドル建ての外貨準備があるからです。この論理でゆけば、日本国政府は、人民元の外貨準備を相当額保有しており、その運用先として、中国国債を選んだことになります。しかしながら、このシナリオではないとしますと、為替市場から人民元を調達する必要がありますし(円売り元買い、ドル売り元買い、ユーロ売り元買い…?)、あるいは、中国政府との間で、何らかの取り決めを予定しているのかもしれません。元取引が制限されていることを考えますと、どこか、不自然です。

 第2に、中国政府が日本国の国債を保有する手段は、債券市場での購入と考えられますが、今回の中国国債の購入は、中国政府から、直接に購入するようです。このため、利率や償還期間などの条件については、中国政府が有利な形で、日本国政府が一方的に飲まされてしまう可能性があります。

 第3に、国債の相互持合いは、あたかも企業間の”株式の持ち合い関係”を想起させるのですが、同盟国でもない国に対して、敢えてこのような緊密な関係を構築する必要性はあるのでしょうか。

 第4に、中国政府は、一体、日本国の国債引き受けで調達した100億ドル分の資金を、どの分野の予算として振り向けるのでしょうか。もし、軍拡の資金に充てるとしますと、日本国は、”敵に塩を送る”に等しくなります。北朝鮮情勢も不透明となり、アジアが不安定化している中で、多額の資金を中国に貸すことは、果たして、日本国の政策として適切であるのか、疑問なところです。

 中国経済の行方についても、近いうちに、バブル崩壊が起きるとの見方もあり、外貨準備の流出も噂されています。中国国債を購入するぐらいならば、外交カードとして使われてきた中国政府が保有している日本国債を早期に償還したり、あるいは、世界大での拡大が懸念されている欧州の財政危機を支援した方が、得策なのではないかと思うのです。

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忍び寄る中国―北朝鮮は属国に

2011年12月20日 14時48分05秒 | アジア
金正日氏の肖像焼く映像…中国のTV編集ミス?(読売新聞) - goo ニュース
 朝鮮半島の王朝は、歴代、中国の冊封体制に組み込まれており、李氏朝鮮に至っては、清国から屈辱的な三跪九叩頭を強要されるなど、まさに属国状態にありました。昨日、突然に報じられた北朝鮮の金正日総書記死去のニュースは、北朝鮮が、未来に進むのではなく、過去に後退する可能性をも示唆していると思うのです。

 未来に向けて進むシナリオにあっては、北朝鮮では体制崩壊により独裁体制が消滅し、民主化と自由化が実現されます。国民は、恐怖政治と飢餓から解放され、同時に、核・ミサイル問題や拉致事件も解決されるチャンスが訪れるのです。その一方で、北朝鮮が過去に戻るシナリオですと、中国共産党の主席が、金正恩体制を承認する代わりに、北朝鮮は、中国の属国となることを受け入れることになります。属国となった以上、北朝鮮は、独自に防衛権や外国権を行使することは最早できず、あらゆる側面で、中国の介入を受けることになるのです。つまり、北朝鮮は、独立主権国家ではなくなることを意味しています。28歳の金正恩氏であれば、国家運営の経験も浅く、北朝鮮を傀儡化するのならば、これ以上、うってつけの人物はいません。死去の直前に、核放棄に向けた米朝関係の改善が進展し、その一方で、中国では、編集ミスと言われながらも、死去のニュースに際して金正日の写真が燃やされている映像が流されたそうです。これらの一連の出来事は、単なる偶然なのでしょうか。

 昨日の記事でも述べたように、独裁者が消えた時こそ、体制移行の最大のチャンスなのですが、残念ながら、過去の冊封体制に戻るシナリオも、完全には否定できません。さて、その時、北朝鮮の国民は、どのように反応するのでしょうか。反発するのか、それとも、卑屈に膝を折るのか…。そして、主権平等と民族自決の原則を掲げる国際社会は、この事態を許すのでしょうか。

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金正日総書記死去―”北朝鮮の春”はくるのか

2011年12月19日 14時53分01秒 | アジア
金正日総書記が死去…北朝鮮メディアが報道(読売新聞) - goo ニュース
 本日、予期せぬ重大ニュースが、突然に、北朝鮮から飛び込んできました。世界一過酷とも評される北朝鮮の独裁体制を率いてきた人物であり、その突然の死は、東アジアの独裁体制の一角が崩れる可能性を秘めています。

 秘密主義を国是としてきた北朝鮮が、このニュースを隠さずに報じたことは、異例なことです。これまでの北朝鮮の行動パターンから推測しますと、一定の期間、その死を国民や海外には伏せ、後継者の体制固めが完了した時点で公表しそうなものです。それ故に、”暗殺説”も囁かれているのですが(病死ということにしたい…)、現地では、ひとまずは、平静を保っているそうです。その一方で、周辺諸国は警戒態勢を強化し、自暴自棄となった北朝鮮が軍事的冒険主義に走しらなぬよう牽制の構えを見せており、先行きは不透明です。しかしながら、独裁体制が最も動揺する時とは、当の独裁者が不在となったり、代替わりとなる時ですので、今が、北朝鮮の体制が崩壊しやすい時期であることは確かなことです。つまり、今が、体制移行の千載一遇のチャンスかもしれないのです。

 北朝鮮の新体制については、幾つものシナリオが想定されるのですが、最も望ましい体制は、自由で民主化された北朝鮮の誕生です。2011年には、相次いで”アラブの春”が訪れましたが、”北朝鮮の春”によって、今年は、締めくくられるのでしょうか。それとも、来年の2012年は、”北朝鮮の春”とともに始まるのでしょうか。それは、”北朝鮮人民”の行動にかかっていると思うのです。

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汚名をすすぐ日本と汚名を着る韓国

2011年12月18日 15時25分37秒 | アジア
「第2、第3の少女像も」=韓国大統領(時事通信) - goo ニュース
 韓国政府が、日本大使館前に”従軍慰安婦”の記念碑の建設を許可したことから、日本国内では、虚構を根拠に賠償請求を迫る韓国に対する批難の声が高まっています。

 韓国人”従軍慰安婦”が、”嘘”であることは既に判明しているのですから、韓国政府は、日本国政府から誣告罪と名誉棄損で訴えられるべき立場にあります。ところが、信じがたいことに、大使館前の少女像では飽き足らず、さらにエスカレートして、”第2、第3の少女像”を建設すると脅しているというのです。首脳会談の席で、野田首相は、この問題は解決済みとする日本国政府の立場を伝えたものの、その一方で、人道的な措置を検討するといったニュアンスの発言もしていました。しかしながら、既に人道的な措置は、村山政権時代に「アジア女性基金」の設立で試みられており、この基金からの支援金受け取りを拒否したのは、韓国側の方です(多額の使途不明金が発覚…)。虚言で日本国を陥れようとした韓国人女性を救うことが、人道的な措置なのでしょうか。自称”従軍慰安婦”のために、日本国という国が汚名に甘んじることは、正義に適っているのでしょうか。いずれにしましても、再度、日本国政府が、人道的措置を提案しても、韓国は受け付けないはずです。韓国政府は、あくまでも嘘をつきとおし、日本国政府に戦争犯罪を認めさせ、賠償を引き出したいのです。

 李大統領は、”従軍慰安婦”問題を解決しなければ、”日本国は永遠に負担を抱え込む”と発言していますが、”永遠に負担を抱え込む”のは、倫理に反して強欲な要求を平然と付きつけてくる韓国なのではないかと思うのです。日本国は、過去の汚名をすすぐことはできますが、捏造された犯罪を根拠に、他国を侮辱したという韓国の現在の行為は、事実として永遠に残るのですから。

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民主党の”面子”が国を滅ぼす

2011年12月17日 16時09分16秒 | 日本政治
原発停止なら電気料金値上げ検討も…電事連会長(読売新聞) - goo ニュース
 民主党政権は、菅前首相が”脱原発”を言い出した手前、意地でも、点検中の原子力発電所の再稼働を許さず、一旦は、全原発を”停止”させるつもりではないかとする憶測があるようです。

 もっとも、”脱原発”を実現する、とは言っても、原発の全停止状態を一時的に実現させた後には、再稼働を許可する方針とも伝わります。つまり、自らの”面子”を保つために、全く無意味で非合理的な行動をとっているのです。一方、産業や国民にとりましては、民主党の”面子”のために、莫大なコストと不便を強いられています。電力のコスト高と供給不安は、収益の悪化と産業の空洞化を促進しますし、冬場に電力が不足しますと、健康を害する国民も続出することが予測されます。民主党政権の迷走は、マニフェストに固執した「子ども手当」などにも見られましたが、掲げた看板を下ろせず、他者に負担と犠牲を押し付けながら、あくまでも自己の”面子”を保とうとする姿勢は、国民ではなく、自己満足のために政治を行っているとしか思えません。

 民主党政権は、”事業仕分け”により無駄の削減に努めていることをアピールしているようですが、最大の無駄は、”面子”のための政策なのではないでしょうか。そしてそれは、国民をも、感情が支配する非合理な世界に巻き込んでいると思うのです。

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