万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

移民反対=ヘイトの誤ったイメージ操作ー罪悪感を懐くべきはどちら?

2017年02月28日 14時44分45秒 | 国際政治
 アカデミー賞の授賞式などでの発言を聞いておりますと、移民反対の主張は、あたかもヘイトクライムに当たるかのような口ぶりです。移民反対を支持する人々が罪悪感を抱くように仕向けられているのですが、移民反対の主張は、外国人に憎しみの感情を持つヘイトクラムなのでしょうか。移民の受け入れに反対する理由には、政治、社会、経済、文化等の様々な側面があり、一概に移民反対=ヘイトとは言えないのではないかと思うのです。

 外国人に対してヘイトの感情を持つに至るプロセスを突き詰めてみますと、政治的には、第1に自国の安全に対する脅威があります。世界広しと雖も、外部からの侵略者に対して歓迎する国民はおらず、外国人が”敵認定”された場合には、個人的には善良な人であっても、ヘイトの対象とらざるを得なくなります。しかも、実際に、その外国人が出身国の命に従って居住国民の安全を脅かす行動を採れば、間違いなくヘイトされてしまうことでしょう。この場合、”ヘイトは罪なのか?”というと、そうとは言いないように思えます。

 第2に、社会分野において外国人がヘイトの対象となる要因としては、治安の悪化があります。国や地域によって倫理観や道徳観には違いがありますので、治安状況の良好ではない国の出身者が移民となって居住し、居住国で犯罪に手を染めたり、出身国との間に構築された犯罪ネットワークやテロ・ネットワークを用いて活動する場合にも、一般の国民から悪感情を持たれる結果を招きます。治安の悪化を目の当たりにして、移民に対して警戒したり、避けられたりする一般国民のリスク防止行為を、自信を持って”ヘイトの罪である”と言い切れる人はいるのでしょうか?

 第3のケースは、経済的な理由に因るものですが、これは、一般国民と移民との間の職や賃金をめぐるゼロ・サム関係に起因しています。こうしたケースでは、政治や社会分野とは異なり、一般国民と移民との間には直接的な加害・被害関係はありませんので、悪感情は比較的低レベルに留まります。尤も、就職機会や賃金の問題を越えて、移民が経済全体を支配したり、一般国民を搾取する立場となりますと、ヘイトの対象となるのもやむを得なくなります。

 第4に文化面に注目しますと、移民の増加により、一般国民の伝統や歴史に根差した文化が破壊されたり、マスコミ等を掌握することで、移民側の文化を押し付けられる場合にも、一般国民の間に移民に対する反感が生じます。また、多文化共生主義による文化の多様化は、自国の文化の”多の中の一つ”への格下げを意味しますので、自国の固有文化の継承を困難となると共に、文化的な誇りをも奪われます。こうした移民による文化破壊に対する反対の声も、ヘイトの罪として糾弾すべきなのでしょうか?

 あらゆる現象には、それを引き起こす原因があるものです。ヘイトは結果に過ぎず、移民に対するヘイト問題は、それが起きてしまう原因にまで遡らなくては公平な判断はできないはずです。誤ったイメージ操作により、一般の国民に罪悪感を植えつける方法は、むしろ、移民に伴うリスクや犯罪といった悪しき側面を隠す役割を果たしているようにも思えます。移民増加による破壊、並びに、混乱リスクを考えますと、多少なりとも自らの発言と行動に対して罪悪感を懐いていただきたいのは、移民推進派の方々の方なのではないでしょうか。

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移民やトランスジェンダー擁護論は自己中心的では

2017年02月27日 15時05分34秒 | アメリカ
J・フォスターさんら反対集会 トランプ政権の移民対策
 アメリカでは、トランプ政権の移民政策やトランスジェンダー政策撤回に対して、リベラル派の人々が反対の声を挙げているようです。しかしながら、この主張、あまりに自己中心的なのではないでしょうか。

 本記事では、差別的との批判を浴びることを覚悟で、何故、自己中心的なのかを説明してみたいと思います。両者に共通している点は、移民する側、並びに、トランスジェンダーの人々の自由のみを絶対視しており、他の人々の権利については無視を決め込んでいる姿勢にあります。例えば、オバマ政権下では、男女別のお化粧室や更衣室ついては、自己の性別認識に基づいて選択してもよいとする通達を発しています。この通達は、トランプ政権の発足により撤回されたのですが、この措置については、心と体が一致している一般の人々の権利への配慮は一切ありません。そもそも、トランスジェンダーの人々が、心の性と一致したお化粧室や更衣室を使用したいと願う気持ちの背景には、外見の性を基準にすると、”異性”と一緒になってしまう気まずさや羞恥心があるはずです。心の性と一致した選択ができれば、こうした性差に伴う自然の感情から逃れることができるのですが、一般の人々からしますと、堂々と”異性”が入ってくるわけですから、同様に気まずさや羞恥心を覚えるものです。つまり、トランスジェンダーの人々の気持ちを救うために、他の一般の人々の気持ちを犠牲にしているのです。この点に関しては、女性側に異性の入室に対する強い抵抗感がありますので、仮に、トランスジェンダーの人々の心が真に”女性”であれば、女性特有の抵抗感を理解できるのではないでしょうか。

 同様の側面は、移民擁護論にも見られます。一般の国民からしますと、移民の自由を完全に認めますと、雇用機会や所得の低下に留まらず、祖先たちが築いてきた社会そのものも変質し、価値観や文化的な変容も来すわけですから、一般の人々にとりましても重大問題です。にも拘らず、移民擁護派の人々は、先祖伝来の国民側の権利については、全く見て見ぬふりを決め込んでいるのです。自己中心的とは、他者犠牲的ということでもあります。

 自由とは無制限ではなく、他者の権利と衝突する場合や両立が困難な場合には、どちらかを優先せざるを得ない状況となるケースも少なくありません。一般の人々とトランスジェンダーの人々、並びに、一般の国民と移民とのどちらか一方を優先ざるを得ない二者択一の選択を迫れた場合に、後者を選択する方が絶対的な正義であると言えるのでしょうか。自らの自由のみを要求する人々は、他者の権利を慮る心が足りないのではないかと思うのです。

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独裁化の波は米欧にも押し寄せているのか?

2017年02月26日 13時53分20秒 | 国際政治
 本日の日経新聞に、フィナンシャルタイムスのコラム紹介として「崩れゆく民主的価値観」と題する記事が掲載されていました。同記事において、執筆者であるチーフ・フォーリン・アフェアーズ・コメンテーターのギデオン・ラックマン氏は、米欧諸国における民主的価値観の衰退を指摘し、独裁化への道を警鐘を鳴らしています。

 ラックマン氏は、アメリカ人を対象とした調査研究を挙げて、アメリカ人の政治意識の変化に言及しています。最近の調査に拠りますと、「軍による統治」を良いとする評価は、1995年の時点では16人の内1人であったのが、今では、6人に1人に上昇しており、「民主主義を不可欠」と考える人の割合も、30年代生まれのアメリカ人では7割以上であるのに、80年代生まれでは3割に激減しているというのです。ラックマン氏は、こうした現象はロシア、フィリピン、南アフリカにも見られ、民主主義に対する失望に原因があると分析しています。しかしながら、同説には、幾つかの点で疑問がないわけではありません。

 第一に、マスコミなどでは、トランプ大統領の当選を”大衆迎合主義”と捉え、変化を嫌う高齢者や白人層が主たる支持層であると報じています。同コラムも、どちらかと言いますと、読者に対してトランプ政権=独裁志向というイメージで論じられているように見受けられます。ところが、上記の調査結果が正確であれば、トランプ氏に投票した高齢者や白人層が民主主義の支持者であり、むしろ、民主党を支持した若年層の方が独裁志向となります。すなわち、トランプ政権=独裁志向の構図では、調査結果と選挙結果が一致しないのです。

 第二に、アメリカの人口構成の変化を考慮しますと、権威主義体制に馴染んできた中南米諸国や一党独裁体制の中国からの移民の増加等も、非民主的な考えを持つ米国民の増加に影響を与えている可能性も否定はできません。否、アメリカ建国以来の民主的で自由な国柄を維持するために、保守層がトランプ氏を支持したとする解釈も成立するのです。

 第三に、”独裁”を一括りで論じることにもリスクがあります。西側諸国に大衆的支持を基盤とした独裁志向が観察されるとしても、、中国や北朝鮮といった国民の基本的な権利や自由を強権で弾圧し、為政者のみが権力と富を独占し、腐敗が蔓延する独裁体制を望んでいるわけではなく、どちらかと言えば、近隣諸国の軍事力の増強に対する”救世主願望”という側面があります。そして、民主主義こそが、選挙を通して国民の為の政治を実現する政治家を選ぶ権利を国民に約束しているとしますと、無碍には”救世主願望”を否定することもできないはずです。

 以上に3点ほど挙げてみましたが、民主主義の危機とは、得てして民主主義の制度的な未熟さや一部の人々による権力の私物化によってもたらされるものです。民主主義に対する失望が広がったとしますと、それは、失望させた人々にこそ責任があるはずです。このように考えますと、米欧諸国で起きている今般の政治現象は、必ずしも民主主義の放棄を意味するとは思えないのです。

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共謀罪と化学兵器対策ーVX使用のリスク

2017年02月25日 14時57分18秒 | 国際政治
【WEB編集委員のつぶやき】金正男氏が暗殺された…これが現実だ 骨抜きの「テロ準備罪」を喜ぶのは誰だ?
 マレーシアで起きた金正男氏暗殺事件は北朝鮮による犯行とする見方が濃厚となっておりますが、それが事実であるとしますと、同国は、海外において生物化学兵器を使用する能力を有していることを意味します。否、海外でのテロの実行手段として、猛毒のVXを開発したと解釈する方が正確であるかもしれません。

 NHKのニュース番組では、敢えて北朝鮮が化学兵器禁止条約に加盟していない事実を報じ、あたかも、北朝鮮による化学兵器の使用には問題がないかのような報道ぶりです(NHKは、条約に加盟していなければ、人道に反するどのような残酷な兵器でも、使ってよいと言いたいのでしょうか?)。公共放送であるNHKが北朝鮮寄りの報道を繰り返す状況は、日本国民の危機感にも影響するだけに看過できない問題なのですが、この事件は、日本国内でも、VX等の生物化学兵器が使用される可能性が高いという危うい現実を示しています。

 マレーシアでの暗殺事件では、同国と北朝鮮との間に国交があるため、大使館等を通してVXが持ち込まれたと推測されています。北朝鮮と国交のない日本国の場合には、大使館ルートによる持ち込みはできませんが、朝鮮総連が事実上の外交窓口の役割を果たしていることに加えて、中国経由によるルートを用いれば、日本国内に持ち込まれる可能性があります。実際に、覚醒剤等を見ますと、近年は、制裁の強化により北朝鮮からの直接的な密輸は減少しているものの、中国経由で北朝鮮で製造された密輸品が日本国内で販売されているそうです。覚醒剤の密輸ルートは、化学兵器の持ち込みにも利用させるかもしれません。また、VXを実際に密造し、使用したオウム真理教と北朝鮮との関連も指摘されており、朝鮮総連や関連の宗教団体等が、同コネクションを介してVXやサリンを日本国内で隠し持っている可能性も否定はきないのです。

 日本国政府は、2020年の東京オリンピックを念頭にテロ対策として共謀罪の成立に取り組んでいますが、化学兵器の組織的な持ち込みとし使用リスクを考慮しますと、同法の成立は急がれるべきです。また、北朝鮮に限らず、国際法を無視する傾向にあり、かつ、国防動員法を制定している中国も、化学兵器を日本国内に持ち込むことで、有事に際してテロを実行するかもしれません。予測される非対称な戦争では、テロは、相手国を内部から破壊する強力な手段となるからです。化学兵器の使用には組織的行動を伴いますので、共謀罪の議論においては、化学兵器対策としての必要性をより強調すべきではないかと思うのです。

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北朝鮮は自滅するのか?

2017年02月24日 15時32分25秒 | 国際政治
【金正男氏殺害】「北朝鮮は無礼だ」東南アジア友好国との関係に亀裂 炭鉱などに労働者派遣して搾取
 マレーシアの空港における金正男氏暗殺事件は、マレーシア当局の捜査によると、北朝鮮政府による犯行とする見方が強まってるそうです。メディア各社も関連記事を盛んに報じておりますが、中でも驚かされるのは、金正男氏のみならず、金正恩氏に関しても暗殺情報があることです。

 金正恩氏暗殺説の根拠として挙げられているのは、近影として公表された写真です。これらの写真の多くは、以前に撮影された金正恩氏の写真と比較すると耳の形状等において違いがあり、”影武者”である可能性が極めて高いというのです。仮に、本物ではないとすると、その理由は、凡そ二つほどシナリオが想定されるそうです。

 第一の推測は、既に金正恩氏が暗殺されてしまっており、その事実を隠すために、”替え玉”を用意したというものです。仮に正恩氏暗殺が事実であれば、正男氏の暗殺は、北朝鮮が切羽詰まった状況にあった故の犯行である可能性を示しています。つまり、正恩氏の死亡が明らかとなればトップ交代は不可避となりますので、後継者として正男氏が北朝鮮入りを果たす前に事前にその可能性を摘んでしまったというものです。このシナリオでは、暗殺を隠蔽してきた北朝鮮の”影の権力者”が暗殺を計画し、実行に移したことになります。

 第二の推測とは、金正恩氏が、極度に暗殺を恐れているというものです。正恩氏は、国内において人心を掌握し切れておらず、表舞台に登場すると、四方から命を狙われる可能性があります。海外にまで暗殺工作を仕掛けるぐらいですから、暗殺の技術だけは、世界でもトップクラスのはずです。自らが育てた高度な暗殺技術が自らに襲い掛かる可能性があるのですから、出来得る限り自らを公衆の前に晒すことを回避したいとする独裁者の心理がもたらす一種の”引き籠り”として理解できます。そして、自らの命を狙っている国内の暗殺組織の”黒幕”こそ、正男氏であると見なした場合、非情な手段を以って長兄を亡き者にした可能性も否定はできないのです。

 何れであれ、北朝鮮の現状が常軌を逸していることだけは確かなのですが、この不安的な状態を長期にわたって維持することは極めて困難です。第一の推測であれば、金正男氏の”王朝継承”を阻止には成功しても、トップが既に不在な状態では、円滑な権力の継承は殆ど不可能です。”影の権力者”が表に登場するケースも想定されますが、金一族を神格化することで独裁体制を維持してきただけに、統治体制に綻びが生じる可能性が高まります。また、第二の推測でも、トップが表に出られない状況が長期化しますと、国民の間に疑惑が広がると共に、軍組織の指揮命令系統にも混乱を来す恐れがあります。誰の命令なのか、確信を持てなくなるのですから。


 国際社会の関心は、金正男氏の暗殺事件に集中していますが、北朝鮮国内における異変にも注意を払う必要がありそうです。仮に、指摘されているように金正恩氏の”影武者”が実在するならば、北朝鮮の自壊は時間の問題となるのではないかと思うのです。

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ヤルタ密約の「引き渡し」は領土割譲を意味しないのでは?

2017年02月23日 13時40分15秒 | 国際政治
北方領土に新たな師団配備か=国防相が方針―ロシア
 本日の産経新聞の一面に、北方領土問題に関する記事が掲載されておりました。同記事によりますと、ヤルタ密約の草案でも、南樺太と千島列島は明確に区別されており、後者に関しては、大西洋憲章に不拡大方針との関係から、敢えて「引き渡し(hannded over)」という表現が用いられたとしています。

 解説では、「引き渡し」の表現は、当事のソ連邦が北方領土を日本固有の領土と認識していた証拠でもある、としています。また、連合国内部から異議が唱えられることを避けるためのスターリンの深謀遠慮の結果ではなかったか、とする識者の見解も掲載しておりますが、重要なのは、"引き渡し"は、日本国によるソ連邦への領土割譲を意味しないのではないか、という点です。

 南樺太島を含む日露戦争以前のロシア領について記した草案の第2条では、”…に関するロシアの権利”という表現が用いられ、ロシアの正当な権利である故に「返還される」とするスタンスで記述されています。言い換えますと、ソ連側も、1855年の日露通好条約、並びに、1875年の千島・樺太交換条約において平和裏に合意した国境線を基礎として、領土の正当性を判断している姿勢が伺えるのです。

 一方、北方領土について記した第3条は、千島列島はソ連邦に”引き渡される”としており、”ロシアの権利”の文字は見えません。通常、条約において領土割譲を記述するに際しては、”移譲(cede)”といった表現が用いられますので、「引き渡し」では、必ずしも割譲を意味しません。「引き渡し」という曖昧な表現であったからこそ、米英も、不拡大方針に抵触しないと判断してヤルタ密約に合意した可能性もあるのです。つまり、三カ国の合意とは、ソ連邦による占領の容認、すなわち、沖縄と同様に、いずれ日本へ返還されるべきという意味に留まるとする見方もできます。あるいは、戦後に開かれるであろう正式な講和会議において、北方四島等との区別などの詳細を詰めるつもりであったのかもしれません。

 ヤルタ密約は、国際法上の条約無効の要件を備えておりますので、日本国政府は、国際司法の場で無効を主張できるのですが、ヤルタ密約当事の当事者の理解を確認しておくことも重要な作業です。草案において”割譲”とは表立っては書けず、「引き渡し」としか表現できなかったところに、ソ連邦、そして、ロシア側の主張における弱点があるように思えるのです。

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不可解な共謀罪一回目適用除外論ー誰を庇っているのか?

2017年02月22日 15時06分48秒 | 日本政治
 現在、日本国の国会のおいて立法手続きが進められている共謀罪について、金田勝年法相から驚きの発言があったそうです。”正当な活動をしていた団体が1回だけ重大な犯罪を行うと決め、準備行為をしたとしても「組織的犯罪集団」とは言えない”と言うのです。

 この発言、一体、何を意味しているのでしょうか。文字通りに解釈しますと、重大な犯罪を行うための準備行為を行ったとしても、最初の一回だけは共謀罪を適用しない、ということになります。しかしながら、現実に、このようなシチュエーションはあり得るのでしょうか。この発言の念頭にあるとされるオウム真理教の場合には、確かに連続事件となり、地下鉄サリン事件に至るまでエスカレートの一途を辿っています。しかしながら、当然に、最初の一回において大規模なテロ事件を起こす可能性もありますし、重大犯罪を計画しても一回目だけは許されると都合よく解釈する団体も現れるかもしれません。否、法相の発言は、組織犯罪を誘発するリスクさえ内包しています。実際に、一回目の事件で甚大なるテロ被害者が発生した場合には、法相は、どのように弁明するのでしょうか。

 あるいは、法相は、”準備行為”と述べていますので、重大犯罪を決意したとしても、実行に移す前に発覚した場合を想定しているとも考えられます。この場合には、テロ被害は発生しませんが、発覚する以前、あるいは、計画を自発的に停止しない限り、重大犯罪の準備作業は野放し状態となります。

 何れにしても、ここで不可解なのは、何故、金田法相は、敢えて共謀罪の効果を低下させるような発言を行ったのか、という点です。真に組織的犯罪集団と対峙する意思があるならば、犯罪者に”御目こぼし”や逃げ道を与えるような発言は決してしないはずです。そこで、推理を働かせてみると、この適用除外がないと、則、共謀罪に問われてしまう特定の団体が現に存在し、その団体を庇おうとしているのではないか、とする疑いが浮かぶのです。オウム真理教が政界進出に熱心であったように、日本国の政界には、様々な宗教団体が蠢いております。法相の発言は、宗教団体と組織犯罪集団との境界が曖昧となっている危うい現状を露呈しているように思えるのです。

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”プラットフォーム”を外資に席巻される日本国

2017年02月21日 15時20分46秒 | 日本経済
 最近の日本経済には、一つの特徴を見出すことができます。それは、プラットフォーム型のビジネスの殆どが、外国企業に握られてしまっていることです。

 この現象は、様々なビジネス分野で観察されます。まずSNSの世界では、日本企業の名は見えず、フェースブックやツイッタ―は米企業ですし、しばしばトラブルが報告されているLINEは韓国系です。最近では、民泊ビジネスにおいてこの傾向が顕著となっており、最大手のAirbnbが日本市場で登録物件数を拡大させている一方で、中国系の進出も増加傾向にあります。日本企業も存在しないわけではありませんが、特に中国系の場合には、中国人が日本国内で不動産物件を取得し、民泊施設として提供する事例が多くを占めており、住民との間のトラブルのみならず、テロ、衛生、犯罪、密入国等に関する懸念も指摘されています。日本国内では、空き家数が急速に増加してますが、このままでは、日本人住宅の一戸当たりの敷地面積が広くなるよりも、外国人向けの宿泊施設として利用される可能性の方が高くなります。日本国政府は、外国人訪日客の数を2020年には4000万人に増加させるという大胆な目標に掲げていますが、日本国民の生活の質的向上よりも、訪日客を優先するのでしょうか。しかも、プラットフォームの多くは外国企業に押さえられていますので、経済効果としての利益の大半も、海外に流出するかもしれません。

 プラットフォーム型のビジネスは、SNSであれ、民泊であれ、他者の所有物をネットワークで繋いでプラットフォームを構築し、それに自社の営業権を設定することで利益を得るという、いわば、”寄生”型のビジネス・モデルです。しかも、一般の観光用の宿泊施設とは異なり、人々の社会・生活空間と重なりますので、その影響は無視はできません。そして、一旦、プラットフォームが出来上がりますと、インフラ事業と同様に、独占的な地位を確立することも珍しくはないのです。

 今後は、インターネットやスマートフォンを使った民間タクシーなど、同様のビジネスが登場するでしょうが、日本企業が、プラットフォーム型ビジネスに乗り出さないのには、何か理由があるのでしょうか。海外投資を呼び込むことばかりに熱心な日本国政府が、自国企業に対して”規制”をかけているとは考えたくないものです。プラットフォーム型ビジネスにはそれ自体にも問題もありますので、この際、ビジネスモデルとしてのあり方を根本的に見直してみる必要があるように思えるのです。

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中国は”戦わずして負ける”を決断すべきでは?

2017年02月20日 14時55分12秒 | 国際政治
 中国大陸において繰り広げられた戦乱の歴史は、学問のジャンルに「兵法」なるものを成立させています。その代表的古典は、春秋戦国時代に誕生した『孫氏』ですが、その代表的な指南は、今では誰もが知る”戦わずして勝つ”です。

 近年、『孫氏』はビジネス向けの解説書や、果ては、子供向けの人生訓が出版されていますが、時代背景も違いますし、元より軍事的戦略書として書かれていますので、他の分野への応用にはリスクが伴います。それでも、軍事の世界では、今日でも参考となる部分はあります。特に、上述した”戦わずして勝つ”が世界大に広まった理由も、文字通りに読めば一先ずは戦争回避を意味するため、今日の平和主義的思想と結びついた結果なのかもしれません。

 誕生の地である中国にあっても、『孫氏』は当然に研究し尽くされているはずであり、現実の政策や戦略に採用されてきたことでしょう。中国が全世界で展開しているプロパガンダ、対外工作活動、各国政府要人、あるいは、経済界の取り込みなどは、”戦わずして勝つ”の実践と見るべきです。しかしながら、現状を見ますと、思惑通り、中国が”戦わすして勝つ”とは思えません。急速に軍事力を拡大させてきたと言え、ハイテク兵器の分野ではアメリカに後れをとっていますし、人民解放軍の近代化も緒に就いたばかりです。また、装備や部品等における海外依存度も高く、戦略物資である石油等の入手ルートも万全ではありません。つまり、戦う前からしてその敗戦が十分に予測されるのです。となりますと、『孫氏』の兵法に従うならば、中国には、逃げるしか道はありません。つまり、”戦わすして負ける”という選択です。対するアメリカは、中国に対して”戦わずして勝つ”力を備えているのですから。

 中国の習政権が、南シナ海における軍事拠点化を継続した場合には、国際法秩序の破壊行為となる以上、必然的に戦争に至ります。そして、中国には正義のかけらもなく、戦争犯罪国と認定されると共に、その敗戦は、火を見るよりも明らかです。このように考えますと、中国は、”戦わずして負ける”を決断し、自ら南シナ海から潔く撤退すべきではないでしょうか。

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米中は南シナ海問題で決裂している

2017年02月19日 14時51分54秒 | 国際政治
米空母、南シナ海に=中国をけん制か
 報道に拠りますと、米原子空母力ール・ビンソンは、今月18日、南シナ海における活動を開始したそうです。前日の17日には、トランプ政権の誕生以来、初めてとなる米中外相会談の場がG20が開催されているドイツのボンで設けられています。果たして、米空母の南シナ海で活動開始は、何を意味するのでしょうか。

 アメリカのティラーソン国務長官と中国の王毅外相の会談において、南シナ海問題が議題に上がったかのか、否か、公式には明らかにされていません。とは言うものの、昨年の国際仲裁の判決以来、南シナ海問題は深刻さを増していますので、同問題が置き去りにされたとは考え難く、両者の間で話し合われたものの、双方譲らず、平行線を辿ったとするのが大方の憶測です。そして、この憶測を裏付けているのが、カール・ビンソンの南シナ海での展開です。

 仮に中国が、アメリカから”一つの中国”の原則について譲歩を引き出した代わりに、南シナ海に関してはアメリカに譲る、即ち、軍事拠点化を断念していたとしたら、アメリカは、敢えて南シナ海において中国を牽制する行動をとることはなかったはずです。しかも、原子力空母ともなりますと、同海域における長期的な活動が可能となると共に、爆撃機や戦闘機による攻撃力をも備えています。中国は、同海域における防空識別圏の敷設を試みるに留まらず、未だ「九段線」の主張を諦めておらず、一時中断していた人工島の埋め立て作業をも再開しているそうです。南シナ海では、何時、米中間の武力衝突が起きてもおかしくない状態なのです。

 この問題が、極めて深刻であるのは、中国の主張を認めると国際法秩序が根本から崩壊するからです。言い換えますと、南シナ海こそ、アメリカをはじめ国際社会が中国に対して”譲れない”、あるいは、”譲ってはならない”一線なのです。この側面から見ますと、アメリカが、南シナ海問題を”一つの中国”をめぐる取引と切り離していることは、安心材料でもあります。

 果たして、中国は、対米戦争を覚悟してまで、南シナ海、否、アジア支配を目指すのでしょうか。日本国政府も、米中戦争へと至った場合、アメリカの同盟国、そして、国際法秩序を擁護する国の一国としてどのような対応をとるべきか、既に具体的な行動を策定すべき時期に来ているように思うのです。

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共謀罪への反対は一般国民の不信を招く

2017年02月18日 14時54分11秒 | 国際政治
「共謀罪」対象277に=政府、来月上旬にも法案提出
 現在、日本国では、2000年に署名した国際組織犯罪防止条約を締結すべく、国内法の整備に取り組んでいます。その柱となるのが「共謀罪」なのですが、何故か、反対の声も少なくありません。

 「共謀罪」に難色を示しているのは野党に限らず、与党公明党も同様の立場を示しています。左翼系活動団体との関係も指摘されている民進党や共産党等については、誰もが容易に反対理由の想像が付きます。左翼系団体は、マスメディアを含めて海外でテロ事件が発生するたびに、テロ寄りの立場を表明し、日本国政府を糾弾する姿勢が目立ってましたので、「共謀罪」が成立すれば、自らも取り締まり対象となることを怖れているのでしょう。

 その一方で、与党公明党による反対は、宗教政党としての性格が強い公明党に対する疑念を深めます。同党が、事実上、新興宗教団体である創価学会の政党であることは周知の事実ですが、日本国憲法において政教分離が定められていながら、これまでのところ、同団体の政治活動は既成事実化しています。創価学会は、全国各地に平和会館なる宗教施設を建設し、選挙の度に、会員を動員しているそうです。また、最近では、海外における活動を活発化させと共に、会員の中には、相当数の外国出身者も含まれているそうです。こうした組織力が与党の座を支えているのですが、その体質や活動については北朝鮮の独裁体制に譬えられるなど、マイナス情報も少なくありません。当初予定していた「共謀罪」の数は、公明党の反対により676から277に大幅に減らされており、与党の立場を利用して「共謀罪」の骨抜きを狙っているとしか思えないのです。

 公明党としては、「共謀罪」の効果を削ぐことができたわけですから、”大成功”ということになるのでしょうが、果たして、国民は、公明党の態度を支持するでしょうか。山口代表は、削減の理由として「国民の不安を招く」と述べておりますが、一般の国民は、「共謀罪」に不安など感じないはずです。逆に、甘い対応にこそ、不安を感じるはずです。となりますと、公明党の言う”国民”とは、その実、”学会員”であり、一般の国民の目に触れないところで、内外に広げた自らの宗教ネットワークを活用し、「共謀罪」の対象となるような活動を行っている疑いが濃厚となります。”国民”=特定のメンバーという構図は、”人民”=共産党員のレトリックとも似通っています。

 平和会館等の施設への一般国民の出入りは制限されていますので、同教団は、”共謀”に適した密室を保有していることにもなります。公明党の「共謀罪」への反対姿勢は、逆に、公明党やその支持団体である創価学会に対する一般国民の不信を招く結果となったのではないでしょうか。

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情報の真偽を確認しない罪深きCNN

2017年02月17日 13時22分00秒 | 国際政治
ベネズエラ、CNNを放送停止に 報道問題視「虚偽だ」
 アメリカの大統領選は、さながらトランプ候補対メディアの様相を呈しており、フェイク・ニュース問題が持ち上がるという副産物も見られました。この対立構図、選挙結果を以って収束すると思いきや、今日では、海外にまで拡大しています。

 報道によりますと、南米のベネズエラ政府は、CNNが独自取材で得た情報に基づいて「ベネズエラが不正に発給したパスポートがテロリストにわたっている」と報じたことから、CNNに対して放送停止を命じたそうです。この一件について、内外から批判を浴びているのはベネズエラ政府の方なのですが、CNNについては、”前科”があるだけに、どちらが正しいのかは、一概には判断はできないようにも思えます。

 特に日本国において、近年、CNNに対する信頼性が著しく低下した理由は、慰安婦問題について報じた虚偽情報にあります。CNNといえば国際報道のエキスパートであり、各国の外務省や情報部も情報源として見なす程の信頼性を誇るメディアであり、そうであるからこそ、あらゆる国際情報に精通し、確かなる根拠に基づく放送内容を提供しているものと見なされてきました。ところが、慰安婦問題に関する報道を見ますと、朝日新聞社の記事撤回等による明らかに虚偽であることが判明しているにも拘らず、何らの検証をも加えることなく、堂々と国際社会に向けてフェーク・ニュースを報じているのです。日本国は、先の大戦にあって朝鮮半島の女性達を”性奴隷”にしたと…。

 それでは、何故、CNNは、慰安婦問題についてフェーク・ニュースを流したのでしょうか。第一に推測されるのは、CNN社が、慰安婦記事の撤回や日本国側の情報を十分に収集していなかったとするものです。この”知らなかった説”が事実であるとしますと、CNN社の情報収集能力に疑問符が付きます。慰安婦関連の日本側の情報は、証拠となる資料等も含めて英文でも発信されていますので、国際報道メディアを称する以上、”知らなかった”という言い訳は通用しないはずです。となりますと、第二に推測される理由は、CNNには、何らかの政治的な意図があったとするものです。一体、CNNは、日本国の名誉を棄損するニュースを流すことで、どのような利益を得ているのでしょうか。担当者がチャイナやコリア・マネーによって買収された可能性もありますが、何れにしても、CNNにとりましては、極めて不名誉なはずです。第三の推測があるとしますと、過去に自らが報じたニュースが虚偽であることを認めたくない、というCNN側の保身の現れであるのかもしれません。

 フェーク・ニュースであれ、一旦報じられますと、その影響力は長期的に続きますので、少なくとも、マスメディアは、事実の真偽が問題視されている事件程、その報道には慎重であるべきです。CNNも独自に慰安婦問題を厳正、かつ、中立的な態度で調査すれば、不条理にも罪を着せられた日本国、並びに、日本国民の憤りが理解できるのではないでしょうか。

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海外企業による買収リスクは深刻ー東芝は他人事ではない

2017年02月16日 15時33分36秒 | 国際経済
東芝の取引先、1年半で4割減 家電子会社など売却で
 報道によりますと、東芝グループの経営難に伴う事業の”切り売り”の影響を受けて、1年半の間に東芝の取引先は4割ほど減少したそうです。グループ本体から切り離されたとはいえ、これまでのところは分離された事業体との間で取引関係は維持されているため、経営難に陥ったとする報告は見られないようです。

 白物家電部門は、半導体部門等に先んじて既に中国の美的集団に買収されていますが、果たして、美的集団は、日本企業との取引に拘るでしょうか。既に、東芝の白物家電部門の製造拠点の大半は中国に移転していますので、東芝グループと取引関係にあった日本企業の多くは、部品等を中国に向けて輸出してきたはずです。つまり、日本製の高品質の部品を用いて東芝ブランドの家電製品を中国で生産し、それを日本市場に向けて輸出してきたのがこれまでのパターンであったはずなのです。しかしながら、美的集団の東芝買収の狙いは、そのブランド力にあるとされていることに加えて、中国企業の部品製造技術も、近年、技術移転の成果として急速に伸びています。中国企業の戦略が、信頼性の高い日本企業のブランドを活用し、低価格を武器に輸出攻勢をかけ、世界市場を席巻することにあるならば、今後とも、部品調達を日本企業に頼るとは思えません。冷徹な経営戦略からすれば、むしろ若干品質を落としてでも、”部品調達の共通化”といった美名の下で何れかの時点で自国企業の部品に切り替えるはずです。東芝の白物家電部門は赤字経営でしたので、”合理化”という名目も使うことができます。ブランド名の使用については40年の期限付きなそうですので、近い将来、美的集団は、部品調達から製造に至るまで、コスト高となる日本の取引企業を切り捨てつつ、事業全体を中国国内に移転させることでしょう。良質の製品を製造しながら、”規模の経済”、”効率最優先”、”コストカット”の波に押し流され、日本企業が市場から淘汰される現象は、”グローバリズム”の一言を以って是認されるべきなのでしょうか。

 東芝グループの解体には、初めからシナリオがあったようにも見えるのですが、東芝のケースは、他の日本企業にとりましても他人事ではないように思えます。外国企業による買収により国内雇用が減少し、経済のスパイラル的な衰退を招く現象は、”行き過ぎたグローバリズム”の深刻な問題点です。特に、労働コストの低い国の企業による買収は雇用流出の原因となり、産業の空洞化にも拍車をかけます。日本国政府も保護主義を再評価し、買収リスクへの対応を講じるべき時が来ているように思えるのです。

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金正男氏暗殺ー世界は野蛮に満ちている

2017年02月15日 15時15分42秒 | 国際政治
「韓国亡命阻止狙う」=金正男氏暗殺で韓国紙
 本日、北朝鮮のトップの座にある金正恩鮮労働党委員長の長兄である金正男氏が暗殺されたとする、衝撃的なニュースが報じられました。本国からの指令を受けた女性工作員による犯行との味方が有力なようですが、この事件の背後には、様々な思惑が蠢いているようです。

 第1に確認すべきは、暗殺された人物が、金正男氏本人であるのか、否か、という点です。北朝鮮では徹底した情報統制が敷かれていますし、”替え玉”や”影武者”も大いにあり得る国です。国外に滞在していたとはいえ、北朝鮮が工作を仕掛ける、あるいは、金正男氏自身が、自らの存在をこの世から消してしまうために、暗殺を装った可能性も否定はできません。

 第2に、暗殺された人物が本人であったと仮定した場合にも、解明すべき謎が残されています。金正男氏は、中国が金正恩委員長に代えて北朝鮮のトップに据えるべく、手厚い保護が与えられていたそうです。今般の暗殺については、韓国亡命阻止説も上がっており、中国に見放されたとする見方も見受けられます。それでは、何故、この時期に中国が金正男路線を放棄したのか、この点を推理してみますと、アメリカのトランプ政権の誕生により、金正男氏がアメリカ側への接近を図ったため、中国にとって危険な存在になったのかもしれません。つまり、アメリカをバックとした金正男政権の樹立を阻止するために、中国側が暗殺したとする推測です。

 第3の推理は、米中合意に起因するとする説です。先日、トランプ大統領は、一つの中国の原則を尊重する方針を示しましたが、その際の”取引”に、北朝鮮関連も含まれていたとする推測です。この仮説を補強する材料があるとすれば、トランプ大統領が、北朝鮮に関しては、特に中国の役割を期待する旨の発言をしていることです。米中間で、北朝鮮において金正男政権を樹立させるという合意が成立していた場合、それを察知した金正恩現政権が、先手を打ってこのシナリオを潰したとする見方も成立の余地があります。

 第4に留意すべき点は、北朝鮮の背後には、ロシアといった米中以外の国も蠢いていることです。仮に上述したように、米中間で何らかの合意が成立していたとしても、必ずしも、主犯は金正恩政権とは限りません。同政権をサポートしている第三国が、北朝鮮に対するコントロールを維持するために、戦略的な意図からこの暗殺を企てたのかもしれないのです。

第5に、事件発生から現在に至るまで、様々な情報が錯綜しているところにも、背後で国際的な情報戦が繰り広げられている様子が垣間見えます。何が事実であるのか、一般の人々には正確に伝わらないように、各国の情報機関等により隠蔽や捏造などが行われている可能性があります。

 ベトナム人とされる実行犯の女性二人は、既に口封じのために殺害されているとの情報もあり、真相究明は困難を極めることでしょう。しかしながら、白昼堂々と想像を絶する手段で暗殺が実行される現実を前にして、日本国、並びに、国際社会が、この世が野蛮や邪悪に満ちている現実を直視する機会となったかもしれません。如何にして野蛮や邪悪と闘ってゆくのか、その覚悟をも問われているように思えるのです。

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保護主義批判が自国経済を苦しめるー政府は東芝の救済を

2017年02月14日 15時07分26秒 | 国際経済
東芝、きょう発表予定の決算を1カ月延期 米原発会社の買収めぐる「内部通報」で調査必要に
 アメリカがTPPからの離脱を決定したことから、日本国の政府もメディアも、保護主義批判一色に染まっております。安倍首相は、訪米に際してトランプ大統領にTPPの意義を説明したとも報じられていますが、保護主義を”悪者認定”しますと、ブーメランとなって自国の経済をも苦しめる結果を招くのではないでしょうか。

 目下、米原発力子会社ウィスティングハウス・エレクトリック社による買収をめぐり、巨額の損失を発生した東芝は、最悪の場合、東芝グループの解体や倒産まであり得るとまで囁かれております。”虎の子”の半導体メモリー部門についても、本体から切り離して子会社した上で、他社からの出資を受け入れる方針を示しています。既に入札も始まっておりますが、日本企業のキャノンが断念したことで、入札企業は、アメリカ、台湾、中国、韓国等々、全て外国企業ばかりとなりました。出資比率は20%程度とされておりますが、3割まで引き上げる案も検討されており、競争当局の許可というハードルがあるものの、将来的には、外国企業が主導権を握る展開も予測されます。東芝については、既に白物家電部門が中国の美的集団に買収されいますが、製造業は裾野が広いだけに、東芝グループの”身売り”によって、キャノンの御手洗会長が既に指摘されたように、日本国内の雇用にも多大な影響が生じる可能性も否定はできません。日本国政府は、東芝の事態を静観しているようですが、如何なる国でも、国内雇用への配慮から企業救済措置を実施しており、この点、政府の態度は冷淡です。

 日本国には、日本政策投資銀行や日本政策金融公庫などの政府系金融機関が設けられており、東芝の件も、こうした金融機関が融資や出資を行えば、日本経済の衰退や雇用不安を起こすことなく軟着陸できるはずです。外国に対する金融支援には大盤振る舞いをしながら、足元の自国企業の危機に対しては何らの措置も採らないとなりますと、政府の方針は、本末転倒と言わざるを得ません。自国民や自国企業の保護は、政府の基本的な役割の一つなのですから、日本国政府は保護主義批判によって自らの政策手段を縛ってはならないと思うのです。

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