万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の無慈悲―パンダより酷いチベット族の扱い

2012年01月31日 15時11分37秒 | アジア
四川でチベット族抗議、治安部隊発砲で3人死亡(読売新聞) - goo ニュース
 中国では、チベット僧の焼身自殺が相次ぐと共に、治安部隊によって、抗議行動を行った3人のチベット人の方が殺害されたそうです。中国政府によるチベット族虐殺は、明らかに人の道に反しています。

 リビアでは、独裁者カダフィが、反対勢力を無差別に殺害したことが、自国民虐殺として国際的な非難を浴び、軍事介入を受ける原因となりました。シリアでも、アサド大統領側による国民虐殺は、国際社会から厳しく断罪されています。中国もまた、無慈悲な”自国民”虐殺という行為を行っているのですから、国際社会では、到底、許されるはずもありません。チベット族を標的としているのですから、国際刑事裁判所所規定における”人道に対する罪”とも解釈できます(国連安保理や国際刑事裁判所の検察官は何らかのアクションを起こさないのでしょうか・・・)。大罪を犯しているにもかかわらず、中国政府には、全く、罪の意識がありません。21世紀の大国を自認しながら、この著しい倫理観の欠如は、国際社会における脅威でもあります。

 日本国では、東日本大震災後に、被災地の仙台にパンダが貸与されるとして、一部には中国に対する無批判な歓迎ムードがあります。しかしながら、四川省に生息しているパンダを手厚く保護する一方で、中国政府が、人類の一員であるチベット族を弾圧している事実を置き去りにしてはならないと思うのです。

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リーダー待望のパラドックス―橋下流首相公選制の不安

2012年01月30日 15時49分50秒 | 日本政治
次期衆院選 橋下氏、200議席目指す 公約作りに着手(産経新聞) - goo ニュース
 維新の会を率いる橋下氏の登場と共に、リーダー待望論が聞かれるようになりました。国政レベルの改革案として、橋本氏は、首相公選制の議論も提起すると報じられています。

 リーダー待望論の背景には、民主党政権成立以来、我が国が未曾有の危機に直面していることがあるのですが、諸外国の事例を見ますと、国民が強い指導者を求める国は、必ずしも安定した強い国ではない、というパラドックスがあります。財政問題で揺れているギリシャも、ポルトガルも、スペインも、過去に軍事独裁が成立していた国ですし、北朝鮮を観察すれば、それは一目瞭然です。その理由は、おそらく、リーダーという名の救世主願望は、国民の依存心の裏返しであるからなのかもしれません。つまり、困難な問題は、国やカリスマ性のある誰かに解決してもらいたいのです。このことは、国民ひとりひとりの自己解決能力が低下していることの現れでもあります(あるいは、指導者が、国民がこの能力を発揮しないように押さえつけているのか?)。また、外政と内政では、リーダーシップに求められる資質や要件も違いますので、外向きには強そうでも、内情は”ぼろぼろ”であることも珍しくありません(特に市場経済は、決定権が広く分散していないと機能しない…)。

 首相公選制は、前向きに検討すべき議題ですし、的確なリーダーシップの発揮によって、危機から脱出した事例も枚挙に遑がありません。しかしながら、リーダーといえども人間である限りは万能ではないのですから、リーダー待望論の文脈から導き出された首相公選制が、民主的な手段で選ばれた独裁者の出現であってはならないと思うのです。

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日本海呼称問題―韓国系米国人は”アメリカ人”なのか

2012年01月29日 15時15分59秒 | アメリカ
「東海」 日本海と併記、米州法案1票差で否決(産経新聞) - goo ニュース
 バージニア州の議会の委員会において、公立学校の教科書における日本海の表記を「東海」と併記するよう義務付ける法案があわや可決されそうになったそうです。この事件、多民族国家であるアメリカの危うさをも示していると思うのです。

 報道によりますと、バージニア州には、アメリカ人夫妻の養子となった韓国人を含めて、多数の韓国系の人々が居住しているそうです。州議会に日本海の表記について法案が提出されたのも、韓国人有権者を多数抱える選挙区から選出された議員の働きかけによるものであり、背後に韓国ロビーの存在があったことは、容易に想像することができます。いわば、韓国の国策のために、韓国系米国人が、アメリカの公教育へ介入を試みたと言うことができます。このことは、韓国系アメリカ人のアイデンティティーが、未だに出身国にあり、韓国のために政治活動を行っていることの証でもあります。世界各国からの移民を受け入れているアメリカにおいて、各民族が、自らの出身国の歴史観に基づいて自己主張を始めたとしましたら、一体、アメリカは、どうなるのでしょうか。

 一つ間違えますと、アメリカは、歴史観をめぐる民族間の対立のアリーナになりかねません(教科書に記載される公認の歴史観は、政治的な影響力や選挙結果で決まる?)。そしてそれは、出身国とアイデンティティーを共にする米国人は、政治共同体の一員としての”アメリカ人”なのか、という問いかけでもあるのです。

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枝野経産相は毛沢東か

2012年01月28日 15時45分48秒 | 日本経済
屋根貸し太陽光発電 パネル設置の家庭に賃料(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、原発前停止を前提に、夏季の節電令は回避すると宣言した枝野経産相。具体案がないと非難されたためか、本日、”屋根貸し太陽光発電”を提案したそうです。再生エネ法を含む一連の政策を見ておりますと、中国の毛沢東の”大躍進政策”を思い出すのです。

 ”大躍進政策”とは、毛沢東が、西欧の経済力に追いつくために1958年から始めた増産計画であり、各農村に対して、無理な鉄鋼の生産ノルマを課すというものでした。生産には、土法炉と呼ばれた小さな製鉄炉が使われましたが、燃料の木炭生産のために森林が伐採されたのみならず、鉄鉱石の不足を補うために、鉄製の農具や工業用の鉄製の機械などもまで原料として供出したために、中国全土で推計で2000万人から5000万人の犠牲者を出すことになりました。原始的な土法炉で生産された鉄鋼も、品質が悪くて使い物にもならなかったそうです。大躍進どころか、大失敗であったわけですが、枝野経産相の手法とこの政策との間には共通点が見られます。両者の共通点とは、”増産”―日本国の場合は再生エネの増産―という目的のために、他の全てに優先して邁進しながら、結局、経済の発展には繋がらず、国民に多大な犠牲を強いる、という側面です。再生エネ法も、政府が積極的に経済に介入するスタイルですので、計画経済の一種でもあるのです。

 この政策に対して、”一石三鳥”と称賛する声もありますが(再生エネ事業者、契約家庭、再生エネの普及)、太陽光発電が普及すればするほど、電力料金の値上がりと電力の質の低下は不可避ですので、この評価は、マイナス影響を受ける人々を完全に無視しています(電力事業者、産業界、他の一般家庭…)。21世紀にも至って、日本国で毛沢東の亡霊が徘徊するとは、誰が予測したでしょうか。

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枝野経産相の発言で燃料価格上昇か

2012年01月27日 15時45分59秒 | 国際経済
今夏「電力制限令出さない」…枝野経産相(読売新聞) - goo ニュース
 電力危機が長引く中で、枝野経産相は、夏季における原発全基運転停止を視野に、”電力制限令は出さない”と発言したそうです。この発言、さらに日本経済を苦しめることになるのではないでしょうか。

 何故ならば、この発言で、日本国が夏までに原発を再稼働させないと読んだ投機家達は、日本国の電力会社が火力の燃料を大量に調達すると予測し、原油市場やLNG市場に投機マネーを投じる可能性があるからです。特に原油価格は、イランをめぐるホルムズ海峡の緊張の高まりを受けてただでも上昇傾向にあり、その上、日本国の経産省のこの発言が加われば、価格上昇圧力がさらに強まります。原油価格は、火力燃料のみならず、ガソリンなどの石油製品全般に影響を与えますので、日本経済に与えるダメージは決して小さくはありません。しかも、超円高を是正しようとすれば、燃料費が嵩むというジレンマも同時に深まるのですから、自ら八方塞がりの状況を造り出しているようなものです(本当は、原発を再稼働させれば、電力危機のほとんどは解決…)。

 枝野経産相は、全原発を停止しても、代替火力で充分な電力を供給できる、と安心宣言したかったのでしょうが、その代替火力のコストが高騰しては、電力危機が去ったとは言えません。民主党政権には、危機の拡大を止めようとする政治家はいないのでしょうか。

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電力危機の解決は自治の精神で

2012年01月26日 17時58分47秒 | 日本政治
復興ニッポン:日本経済が再び世界をリードするために(後編) 「電力の安定供給確保が日本経済の浮沈を決めることになる」 経団連 井手明彦資源・エネルギー対策委員長インタビュー(復興ニッポン) - goo ニュース
 昨年の夏は、国民や企業の努力で何とか節電で電力危機を乗り越えましたが、今年の夏の電力事情は、さらに深刻となる予測されています。原発再稼働の遅れが主たる原因なのですが、政府は、夏が到来する前に対応すべきにも拘らず、再稼働の目途はたっていません。まるで、”牛歩戦術”を実行しているかのようです。

 民主的な国家の政府は、国民から委託された統治権を、国民のために行使する義務を負っています。民主主義の根底には、自治の精神があるからこそ、政府は、国民が抱える問題や危機に対しては、誠実、かつ、迅速に対応しなければならないのです。ところが、民主党政権は、一部の反・脱原発派の人々の意見を偏重し、産業界や国民の利益を無視していることは先日の記事でも述べました。政府の役割は、少数意見を国民に押し付けることではなく、現実の問題を解決することにあるのですから、政府は、実際に苦難に直面している産業界や一般の国民の意見にこそ耳を傾けるべきです。現行の制度設計にも問題がありますが、近年の政策運営は、当事者無視の横行が目に余ります。

 民主党政権は、国民から選挙で選ばれたことを盾に、独断的にイデオロギー色の強い政策を押し付けていますが、こうした行為は、民主主義の本質からは遠く離れています。これでは、主客逆転となりますので、産業界も国民もまた、この状態に甘んじることなく、自治の精神を取り戻し、政府に対して意見表明や調整の場を設けるよう求めるべきと思うのです。

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非民主的な原発再稼働手続き―無視される産業界と国民の権利

2012年01月25日 16時04分07秒 | 日本政治
日本、31年ぶり貿易赤字=2.5兆円、大震災で輸出不振―11年(時事通信) - goo ニュース
 31年ぶりの貿易赤字への転落は、随分と前から、既に予想されていたことでした。日本経済は、政府の無策により”6重苦”の状態が、そのまま放置されてきたのですから。

 ”6重苦”の一つは、言わずもがな、電力問題です。福島第1原発の事故以来、民主党政権は、原発再稼働に対して後ろ向きでした。しかも、政府は、原発の再稼働のハードルを高くするために、再稼働の手続きに、国と地方の両レベルに”拒否権”をばらまいているのです(今月22日の記事参照)。水源を管理する権限を持つ人が、水の供給を一方的に止めれば、今まで供給を受けていた人々は、死活問題に直面します。人々の生存に関わる決定権は、一部の人に握られますと、他の人々は、生殺与奪の権を掌握されたに等しくなるのです。電力も同じように、電力の供給決定権を持つ側が、一方的に供給停止を決定しますと、供給を受ける側は、有無も言わさず、その決定に従うしかなくなります。つまり、供給を決定する側と、供給を受ける側とでは、前者にしか決定権がありませんので、言わば、両者の間には、支配・被支配関係が成立しているようなものなのです。この状態、民主主義に反しているのではないかと思うのです(普通選挙の実施は民主主義の一部でしかない…)。何故ならば、どこにも、電力供給を受ける側の権利―電力を安定・安価・安全・充分に受ける権利―が保障されいないのですから。

 電力供給量は火力による代替で足りるとしても、原発停止に伴う貿易赤字と電力料金の値上げは、確実に産業を蝕み、国民の生活レベルを引き下げます。反・脱原発派の人々とは逆の意味で、現行の手続きは、産業界と国民の権利を無視しているのではないでしょうか。

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迫り来る第4次石油危機―今こそ原子力の出番のはずなのに

2012年01月24日 15時31分07秒 | 日本経済
EU、イラン産原油輸入禁止を決定 原油相場、上昇の恐れ(産経新聞) - goo ニュース
 今から40年以上も前の70年年代に、日本国政府は、原子力発電の導入を本格化してゆきます。その理由は、第四次中東戦争に端を発する石油危機に見舞われ、深刻な資源・エネルギー不足に襲われたからです。

 石油危機による狂乱物価と景気後退を経験した当時の日本国政府は、将来、再び起きるかもしれない石油危機に備えるために、エネルギー源の分散化に積極的に取り組みます。中東産の石油への依存度を低めるとともに、原子力発電の比率を高めることで、石油ショックを和らげようとしたのです。原子力発電の場合には、一旦、燃料となるウランを輸入しますと、長期的に原子炉を運転させることができますし、ウラン産出国も、中東に集中しているわけではありません。発電コストが低くCO2を排出しないのみならず、原子力には、”石油危機に強い”というメリットがあったのです。

 ですから、本来ならば、今こそ、原子力の出番のはずなのですが、民主党政権の動きは鈍いとしか言いようがありません。民主党政権には、迫り来るエネルギー問題を解決する気概も策も持ち合わせていないように見えるのです。

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どこか不安げなクロアチアのEU加盟

2012年01月23日 16時04分36秒 | ヨーロッパ
EU加盟、国民投票で承認=来年7月に28カ国体制へ―クロアチア(時事通信) - goo ニュース
 第1次拡大から第6次拡大まで、EUが新規加盟国を迎え入れる度に、ヨーロッパは、おおむね歓迎ムードに包まれたものです。しかしながら、財政危機後となったクロアチア加盟に対しては、加盟する側にも受け入れる側にも、どこか不安げな空気が漂っているようです。

 クロアチアの国民が、EU加盟を支持した理由の一つには、EUの財政支援に対する期待もあるそうです。加盟が決まれば、初年度だけで、EUから4億5千万ユーロの支給を受けることができるそうですし、財政危機に際しても、いざとなれば、EUが救いの手を差し伸べてくれるかもしれないからです。その一方で、EUにとりましては、財政支出を要する加盟国が増えるわけですから、負担増となります。このため、ドイツを筆頭に、既存の加盟国は、今後の条約改正により加盟国の財政規律を強化することで、少なくとも、二度と今回のような危機的状態に陥らないよう、予防線を張っているのです。

 このことは、クロアチアにおいて、欧州市場、ならびに、グローバル市場で競争力のある産業分野が育ちませんと、EUの拡大は、経済成長に繋がらない可能性あることを示唆しています。財政危機を根本から解決するためにも、EUは、経済が低迷している加盟国の産業を振興し、歳入を増やすという困難な問題にも直面していると思うのです。

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原発再稼働の手続き―自治体の拒否権は妥当か

2012年01月22日 15時30分46秒 | 日本政治
原発めぐり悩む村民…東海村議選、22日投開票(読売新聞) - goo ニュース
 報じられるところによりますと、反・脱原発派の運動家の人々は、電力会社と原発が設置されている地方自治体が結ぶ原子力安全協定の内容に、原発再稼働の手続きとして、県、市、立地自治体の三者の事前の了承を要件とするよう、要請しているそうです。このことは、これらのうちの一つでも反対した場合に、再稼働はできないことになります。果たして、地方自治体に、このような絶対的な拒否権を認めることは、妥当なのでしょうか。

 要請中であるということは、現行の原子力安全協定では、このような要件は定められていない、ということでもあります(立地自治体のみに、事前了解を定めた協定はあるらしい…)。おそらく、菅前首相の突然の”指示”で、ストレステストの結果を経産省の保安院が審査するという手続きが加わったものの、国レベルでは大臣が了承し、地方レベルでは現行の原子力安全協定の手続きに従えば、再稼働は可能であるはずです。ところが、マスコミの論調では、既に、県知事を含めた地元自治体の合意が必須条件のような書き方をしておりますし(静岡県知事は拒否権の行使を明言…)、政府も、首相をはじめ、手続きに多くの機関の合意を含めようとしています。こうした煩雑化の姿勢も然ることながら、電力供給が、地元経済のみならず、他の都道府県を含む電力会社の管轄圏内の地域経済、延いては、日本という国の産業競争力に関わる全国レベルの問題であることを考慮しますと、地元自治体に拒否権を認めることには、問題があると思うのです。折しも、2011年度の貿易収支は、31年ぶりに赤字に転落するそうですし、新聞の紙面には、毎日のように、工場の海外移転の記事が掲載されています。電力不足と高い電力料金は、国際競争力を引き下げますので、地方自治体の拒否権の行使は、他の人々の権利や利益を著しく害する可能性があるのです。

 各地方自治体の意見に耳を傾けることは重要ですが、一方的な拒否権の行使を認めることは、バランスを欠いていると思うのです。現行の制度では、産業界や一般消費者を含む他の利害関係者は、一切の対抗手段を持たないのですから。電力供給は、全国民にとりましても死活問題ですので、全体のバランスを考慮した制度設計を目指すべきなのではないでしょうか。

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放射能の影響―動植物調査を実施しては

2012年01月21日 15時49分35秒 | 日本政治
野生化ダチョウ捕獲せよ 原発警戒区域、6羽「お縄」(朝日新聞) - goo ニュース
 福島第一原発の事故以来、放射能の影響については、様々な意見が飛び交っています。高汚染地域は人の住める状態ではない、とする悲観論から、放射能によるダメージは、言われているほど酷くはなく、ほとんど皆無に近いとする楽観論まで、専門家の見解には、天と地ほどの違いがあるのです。

 今後、1兆円とも言われる国費を費やして、除染作業が行われるそうですが、その必要性や基準を見極め、後世に伝えるためにも、放射能の影響を正確に測る必要があるのではないかと思うのです。この点、汚染地域に生息している動植物の調査は、人体への影響を把握するためにも、大いに参考になりそうです。本日も、浪江地区の駝鳥園から逃げ出したダチョウの捕獲に成功したとするニュースが報じられていました。原発事故によって、生息数が減少したり、遺伝子レベルで異変が生じたり、あるいは、細胞などに損傷が見られるのかどうかを、捕獲した動物を対象に丹念に調査すれば、人に与える放射能の影響も分かってくるはずです。さらに、場所を移動しない植物も対象に含めれば、汚染濃度に比例して地区ごとに影響の違いがでるのかも、およそ把握することができます。政府の調査が信じられないという意見もあるでしょうから、地方自治体が国と並行して独自調査を実施したり、国際機関などを含めた、複数の調査機関に依頼すれば、ある程度、客観的な調査結果を得ることができます。

 正確な情報やデータなくして適切な政策や対策を講じることは、ほとんど不可能に近いことです。憶測による過剰反応では風評被害が発生しますし、過小反応でも健康被害が放置されかねません。見解が分かれている状況にあるからこそ、誰もが納得するように、政策の根拠となる科学的な調査の実施を怠ってはならないと思うのです。

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反原発派の実力阻止―逃げているのはどちらか

2012年01月20日 11時22分58秒 | その他
「密室」判断に憤り=反原発派「逃げるな」―傍聴求め怒号も・意見聴取会(時事通信) - goo ニュース
 一昨日、経産省を舞台として、プラカードなどを手にした反原発派の人々が、意見聴取会の開催を実力行使で妨害するという前代未聞の事件が発生しました。退出しようとした委員に対しては、”逃げるな”の怒声が飛んだそうですが、逃げているのは、反原発派の人々なのではないかと思うのです。

 威勢とは裏腹に、反原発派の人々が、何から逃げているのかと言いますと、それは、国民を前にした公平な議論の場から逃げているのです。福島第1原発の事故以来、反対派の人々は、全国規模で、反・脱原発運動を展開してきました。中には、住民投票を求める署名活動もあり、あたかも、”国民の声”の如くに装っています。しかしながら、反対のシュプレヒコールを上げる一方で、決して、議論の場に臨もうとはしません。否、たとえ討論の出席したとしても、自らの主張の”言いっ放し”であり、現実や事実に依拠した反論には、馬耳東風なのです。もちろん、議論を通して代案や妥協案をつくろうなどとは、毛頭考えてはいません。反・脱原発の結果として、たとえ日本経済と国民生活が苦しむことになったとしても、全くお構いなし、という、傲慢かつ冷酷無慈悲な態度なのです。少数の人々による実力阻止は、民主主義のルールに反していることは、言うまでもありません。

 こうした”言いっ放し”や既成事実で自己の主張を押し付ける手法は、政府側にも見られます。政府であれ、反対派であれ、少数者が実力行使で物事を決める手法は、独裁に近い形態でもあるのです。日本国は、コンセンサス重視の社会と評されてきましたが、多様な意見や利害を巧みに調整し、議論を通して直面する問題を発展的に克服する機能が働いてこそ、真の民主主義に近づくのではないかと思うのです。


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米州議会に教科書の「東海併記」決める権限はあるのか

2012年01月19日 17時25分18秒 | その他
リンク: 日本海呼称問題:米バージニア州議会が「東海併記」法案推進=韓国 - 速報:@niftyニュース.
 韓国ロビーの圧力のためか、米バージニア州議会において、日本海と東海を併記する法の制定作業が進んでいるそうです。しかしながら、そもそも、米州議会に、国際的な地名の呼称に関する立法権限は認められているのでしょうか。

 この問題、幾つかの側面において、権限が怪しいと思うのです。第1に、州議会が教科書の記述に介入できるのか、という問題があります。アメリカには教科書検定制度はないようですが、本法案では、州内の公立学校で使用される教科書全てに併記を義務付けるそうです。アメリカでは、定説でもない韓国側の主張を、議会立法によって一方的に教科書会社に押し付けることができるのでしょうか。
 第2に、国際的な地名とは、国際社会において慣習的に成立してきたものですので、議会に、地名変更に関する権限があるとも思えません。もし、こうしたことが可能であれば、日本海呼称問題のみならず、異論のある地名は、議会立法によって変更できることになります。これでは、呼称の共通性が失われ、国や地方ごとに名称がばらばらとなってしまいます。
 第3に、この問題領域は、連邦政府の権限である可能性があります。何故ならば、ここで問題とされているのは、国際的な地名の呼称ですので、いわば、国際問題でもあるからです。アメリカ連邦政府は、日本海の単独呼称を支持しておりますので、州議会がこの問題に関与できるのできるのか、疑問なところです。

 ところで、この法案を推進している議員の方々は、事実としての歴史を公平かつ客観的な立場から調査したのでしょうか(通常は、調査委員会などが設置されるはず…)。日本国が、日本海という呼称を韓国に押し付けた歴史的な事実はなく、これが”正しい歴史”として教科書に記載されるとしますと、韓国政府によって捏造された偽りの歴史が、アメリカの州議会で公認されたことになります。州議会が、教科書の捏造に加担するとしますと、それは、名誉ある行為とは思えないのです。

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疑問に満ちた東大の秋入学全面移行案

2012年01月18日 15時35分21秒 | その他
東大「秋入学に全面移行」案 中間報告、学内なお異論も(朝日新聞) - goo ニュース
 東大のワーキング・グループでは、秋入学に全面的に移行する素案を提出したそうです。一見、この案は、グローバル化時代に対応した先端的な試みに見えますが、その実、様々な側面において問題が潜んでいると思うのです。

 第1に、そもそも、教育制度を変更する権限は、各大学に認められているのでしょうか。この権限が各大学にあるとしますと、全ての大学は、入学時期や在学期間を含め、自由に大学の制度設計ができることになります。

 第2に、秋入学では、東大生だけ、教育期間において半年の空白期間が生じます。留学やボランティアの経験を積めばよいとされていますが、非効率、かつ、非合理的であることは否定のしようもありません。わざわざ、教育期間に空白をつくるぐらいならば、国として、義務教育の秋入学への変更を検討すべきです。

 第3に、秋入学となりますと、東大生だけ、大学を卒業するのに4.5年、または、5年の年月がかかります。これは、人生においてハンディを課すことにもなります。もし、大学に権限があるならば、規定数の単位を取得すれば、3年卒業や3.5年での卒業を認めた方が、はるかに学生の利益に適っています。もしくは、条件を満たせば、2年半で高校を卒業できる措置を設けるべきです。国際競争力を上げるための措置のようですが、国内的には、東大の競争力が落ちことにもなりかねません。

 第4に、日本で勉強することを望む海外留学生は、春入学であれ、秋入学であれ、学ぶ目的があれば集まるものです。東大の国際競争力を上げたいならば、全世界の留学生を惹きつけるような先端的な研究に取り組むことこそ正道です。

 第5に、仮に、東大生だけ秋卒業となりますと、企業は、新入社員教育を一律に実施できず、特別に”東大コース”を設けざるを得なくなります。これも非効率化の一面ですが、東大卒社員だけが”浮いた”存在となります。

 この素案には、東大のプランに、国や社会が合わせるべき、とする東大側の傲慢な意識も見え隠れしています。大学の自由化を模索するならば、国民的な議論を経て慎重に進めるべきではないかと思うのです。

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電力料金値上げ―民主党政権による人災

2012年01月17日 15時47分30秒 | 日本政治
東電、大口17%値上げへ…燃料費負担増で(読売新聞) - goo ニュース
 原発再稼働の見通しが立たないまま、東電は、産業用の電力の値上げに踏み切るそうです。福島第1原発での事故の賠償を考えれば、値上げも止むを得ずの感もありますが、そもそも、こうした事態に陥ったのも、民主党政権が”被害拡大政策”を遂行したからに他ならないと思うのです。

 政治判断がしっかりしていれば、福島第1原発の事故は、放射能汚染という一次的な被害の範囲に抑えることができたことでしょう。少なくとも、事故発生当時に、近い将来に原発の全機が運転停止状態となるなど、国民の多くは想定していませんでした。ところが、民主党政権は、敢えて、電力不足と電力料金の値上がりをもたらすよう、二次被害を誘導したのです。普通の政治家であるならば、日本国の置かれている経済的な苦境を理解し、”6重苦”の一つを取り除くべく、原発再稼働と原発の安全性の強化が両立できるよう、努力するはずです。ストレス・テストの実施時期をずらしたり、反対の強い地元の説得に当たったり、再稼働されない場合のマイナス影響を国民に説明するなど、国民的な合意を形成する方法はいくらでもありました。にもかかわらず、民主党政権は、再稼働の妨害を既定路線として定め、国家と国民を”崖っぷち”に追い込む方法を選んだのです。その背景には、原発事故の責任回避、電力事業の解体、左翼的産業潰し、中韓による日本の衰退促進、過激な反原発思想…などの思惑があったのでしょう。

 電力料金が、17%も値上がりすれば、当然に国際競争力は低下しますし、国際収支の悪化、企業収益の悪化、所得の減少、雇用の喪失も心配せねばならなくなります。原発の再稼働をあの手この手で止めることで、危機を造り出したのですから、電力問題は、民主党政権による人災であると思うのです。

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