万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の深刻な大気汚染-甘い環境規制の厳しい結末

2013年01月31日 15時35分29秒 | アジア
全土の13%、大気汚染深刻=有害物質の濃霧が覆う―中国(時事通信) - goo ニュース
 19世紀、産業革命によって世界の工場と化したロンドンの空は、煙突から出る煙で、鉛色に汚れていたそうです。21世紀に至り、世界の工場の座についた中国でも、澄み切った青空を見ることは難しくなりました。

 中国の急速な経済成長の原動力として、しばしば指摘されるのは、安価な労働力と人民元安政策です。中国経済を支える二本柱とも言えますが、もう一つ、要因を挙げるとしますと、それは、低い環境規制レベルなのではないかと思うのです。公害が深刻化した70年代以降、先進国では、環境規制を強化し、汚染物質の排出量を減らす努力を続けてきました。その甲斐あって、有害物質の排出量は大幅に減少し、今では、どの国でも青空が広がるようになりました。このことは、公害対策としては高く評価されているのですが、その半面、中国のような環境規制のレベルが低い国と比較しますと(地球温暖化ガスも含めて…)、どうしても、工場の立地条件としては不利になります。つまり、先進国で環境規制のレベルを上げれば上げるほど、高い規制を嫌って工場が海外に流出し、環境規制の緩い中国に生産拠点が集中するという事態を招いたのです。中国は、世界第二位の経済大国となるために、深刻な大気汚染という、高い代償を払ったことになります。

 甘い環境規制は、厳しい結末をもたらしたのですが、汚染の範囲は、中国一国に留まらず、高濃度の汚染大気は、西日本にまで迫っていると報じられています。このままでは、長年、積み上げてきた日本国の環境努力が、水泡に帰すことにもなりかねません。自国民の健康を守り、かつ、他国に被害を与えないためにも、中国当局は、至急に、環境規制の強化を図るべきと思うのです。

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スプリント買収から見えるソフトバンクの中韓北リスク

2013年01月30日 15時38分19秒 | 国際経済
ソフトバンクに待った=スプリント買収、安保面で調査―米当局(時事通信) - goo ニュース
 アメリカ第3位の通信大手、スプリント社の買収に名乗りを上げたソフトバンク。報じられるところによりますと、米司法省と国土安全保障省が、連邦通信委員会(FOC)に対して、国家安全保障面からの調査が終了するまで、買収計画の審査を中断するよう求めたそうです。

 通常、企業の国際買収に伴って、安全保障上のリスクが持ちあがる時には、買収側企業の本籍国が警戒の対象となるものです。ソフトバンクは、法律上は日本企業ですから、アメリカ政府は、安全保障上のジャパン・リスクについて調査するのが普通です(同盟国ですので、通常、こうした調査の対象にはならない…)。ところが、ソフトバンクの場合、そうではありません。アメリカのメディアによりますと、通信関連企業の労働組合がその根拠として挙げているのは、「ソフトバンクは、中国企業と協力して、日本の無線通信ネットワークを構築した」ことなそうです。そして、「スプリント買収で中国企業が米通信ネットワークにかかわり、米国の安全保障を損なうおそれもある」と言うのです。つまり、ソフトバンク・リスクとは、アメリカにとりましては、ジャパン・リスクではなく、チャイナ・リスクなのです。これまで、日本国内では、ソフトバンク・リスクと言いますと、創業者の孫氏が韓国出身であったことから、主として、韓国リスク、あるいは、北朝鮮リスクとして見なされてきました。(情報漏洩や傍受活動…)ところが、アメリカの報道からは、コリア・リスクの背後に隠れて、チャイナ・リスクというさらに重大なリスクで潜んでいる可能性も伺えるのです。

 アメリカ政府は、買収計画を契機に、ソフトバンクに対して調査を実施しますが、日本国政府もまた、ソフトバンク・リスクは、看過できないのではないでしょうか。通信事業は、国家安全保障に関わりますので、もし、厳格な調査の結果、ソフトバンクに中韓北に関わる重大な問題がある場合には、総務省もまた、事業免許を取り消すべきではないかと思うのです。

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竹島式典-韓国配慮は不要では

2013年01月29日 16時00分19秒 | アジア
竹島式典、小泉進氏出席へ=自民(時事通信) - goo ニュース
 来月の22日に開催される竹島式典では、小泉進次郎氏と細田博之幹事長代行が出席する見通しなそうです。どうやら安倍首相の出席は見送られる雲行きなのですが、政界もマスコミも、何故、ここまで韓国に対して配慮するのか、不思議でなりません。

 竹島の歴史や韓国による不法占拠の経緯を知れば、国際法違反の犯罪行為を働いたのは、韓国側であることは明白です。竹島についても、日韓国交正常化交渉に際して、”棚上げ”の合意がなされたとの指摘がありますが、この場合もまた、双方が相手方の主張を認める”棚上げ”どころか、韓国には、一分の理さえありません。そうであるからこそ、日本国政府は、話し合いではなく、白黒がはっきさせるために、司法解決を選択したのです。この問題は、国際社会における民事事件ではなく、領土に対する暴力による侵害という刑事事件なのです。韓国は、”刑事犯”の被告として日本国政府に告訴される立場にあるのですから、竹島問題に関して、日本国は、韓国に遠慮する必要などありません。被害国に対して泣き寝入りを求めることは正義に反していますし、こうした侵略行為を見て見ぬふりをしますと、国際社会全体の治安が乱れます。現に、中国は、韓国の竹島不法占拠を参考に、尖閣諸島の略取を狙ったとも指摘されています。

 竹島についてヒステリックに反応しているのは韓国側であり、日本国は、冷静に司法解決の道を追求しているだけです。韓国の主張を認めますと、逆に、日本国が、1905年に竹島を奪ったことにもなりかねません。戦後の竹島不法占拠については、明らかに韓国側による加害行為であるにも拘わらず…。韓国の面子を立てること、それは同時に、自国の名誉を傷つけることになることを、忘れてはならないと思うのです。

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尖閣諸島棚上げは”フォークランド紛争”への道

2013年01月28日 15時39分18秒 | 日本政治
尖閣問題の棚上げを=米の支援で―Wポスト紙社説(時事通信) - goo ニュース
 アメリカのワシントン・ポスト紙は、チャイナ・マネーに幻惑されたのか、日中間で尖閣問題の棚上げを奨めるよう、アメリカ政府に支援を求める社説を掲載したそうです。この社説、あまりに中国寄りであり、かつ、無責任なように思うのです。

 双方が相手国の主張を認める領土問題ともなれば、紛争は、基本的には、二国間のみの問題と見なされます。中国が、尖閣諸島に対して軍事力を行使したとしても、日本国は、国連安保理に対して、中国の行為を、平和への脅威=侵略として訴えることは難しくなるのです。最悪の場合には、日米同盟の発動さえ怪しくなります。この状態は、丁度、イギリスとアルゼンチンの間で1982年に起きたフォークランド紛争に近くなるかもしれません。フォークランド諸島の領土問題は複雑であり、1895年の先占成立を以って日本国領となった尖閣諸島の比ではありませんが、両国は、相互にこの問題を領土問題と認め、政府間交渉を通して解決を模索していました。しかしながら、アルゼンチン側が、国民受けを狙って、両国の”棚上げ”を破り、陸上部隊を上陸させたために、イギリスが”防衛権”を発動し、戦闘状態に至りました。この紛争では、国連はアルゼンチンの撤退を決議し、アメリカもNATOも、同盟国であるイギリス側に立って、アルゼンチンを”侵略者”として非難したものの、積極的な軍事介入は控えました。
 このフォークランド紛争の経緯を見る限り、相手国の言い分を認める”棚上げ”は、むしろ、軍事行動のハードルを下げるようです。領土問題であると相互に認めることは、双方が、相手国の自衛権発動をも許容することになるのですから。しかも、中国にとりましては、日米同盟や国際社会の介入をも阻止する切り札ともなりかねません。

 棚上げ論は、平和的な解決手段と見なされがちですが、実際にはその逆です。特に、相手が軍事力の行使をも辞さない中国ともなりますと、棚上げは、軍事行動を誘発する危険な行為さえあります。日本国政府は、中国に対して、決して棚上げを認めてはならないと思うのです。

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ダボス会議では中韓の為替操作対策を

2013年01月27日 15時34分37秒 | 国際政治
円安 海外から誘導批判、相次ぐ(産経新聞) - goo ニュース
 スイスで開催されているダボス会議では、円安傾向を受けて、ドイツなどから日本国の”為替操作”を懸念する、との非難の声が上がったそうです。すかさず、甘利経財相は、ユーロ体制によるドイツの恩恵などに触れ、反論したそうですが、世界経済の構造的な問題の一旦は、長期にわたって、中国や韓国の為替操作を放置してきたことにあるのではないかと思うのです。

 最近に至って、アメリカも、巨額の貿易赤字に業を煮やして、中国製品や韓国製品に対してダンピングを認定するようになりましたが、それまでの間、両国は、積極的な自国通貨安政策を追求することで、輸出競争力を高めてきました。その効果は絶大であり、雑貨市場のみならず、先端のスマートフォン市場などにおいても、両国製品の市場シェアは、群を抜くようになったのです。一方、民主党政権下にあって、逆方向に超円高政策を実施した日本国は、輸出競争力が激減し、得意の家電分野でも、ブランド企業でさえ、巨額の赤字を計上するようになりました。現在、円相場は、対ドルで80円代後半に上昇しましたが、この相場は、民主党政権発足時の水準にも達しておらず、”円安政策”とは、ほど遠い状態です。対ユーロ相場では、まだまだ相当に円高でもあります。輸出競争力が落ちれば、通常は、自然に通貨安になるのですが、日銀のデフレ政策により、逆に超円高に向かったのですから、ここ数年来の現象こそ、異常と言わざるを得ません。

 日本の超円高はさて置くとしても、中韓のアンフェアな為替操作によって、世界大の貿易不均衡が拡大すると共に、中国への過度な富の集中が起きていることは問題です。そして、日本以外の他の先進諸国の企業もまた、軒並み市場シェアを落とすことになったのですから、どちらの害が深刻であるかは、一目瞭然です。ダボス会議では、世界経済の混乱要因である中韓の為替操作への対応策こそ、真剣に議論していただきたいと思うのです。

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エジプトの混乱-権力分立なき民主主義の独裁リスク

2013年01月26日 15時40分25秒 | 中近東
現体制への怒り渦巻く=ムバラク政権打倒デモ2年―エジプト(時事通信) - goo ニュース
 2011年、エジプト国民は、長期にわたって君臨してきたムバラク政権を倒すことで、独裁体制から決別したはずでした。ところが、民主化されたにも拘わらず、新たに選出されたモルシ大統領に対して、再び国民の間から、独裁反対の声が沸き起こっています。

 民主的な体制とは、統治過程に国民が参加することができる体制を意味していますが、今日の制度においては、参政権を持つ国民が、自らの自由意思に基づいて公職に立候補したり、政治家を選ぶことに力点が置かれています。民主的選挙制度そのものは、権力の分立を定めているわけではないのです。このため、憲法において権力分立を制度化しませんと、常に、独裁に回帰する危険性があります。この状態では、集権的な独裁権力を抑制する仕組みを統治機構に組み込まない限り、何度でも独裁者が誕生するのです。つまり、独裁者の顔が入れ替わるだけであり、独裁体制そのものは、変わらないのです。このことは、民主化だけで満足してはならず、エジプトは、その先の権力分立の実現に取り組むべきことを示唆しています。権力分立が実現すれば、議会機能が強化され、国内の利害調整が円滑化されますし、独立性を保障された司法機関があれば、不当な政治介入などから国民の自由と権利が保護されます。権力分立は、民主主義と並ぶ重要な価値、すなわち、自由、法の支配、基本権の尊重といった、他の諸価値を実現するためには、不可欠な制度的な仕組みなのです。

 エジプトについては、分裂含みのアラブ諸国の実情を考慮すれば、強権的な独裁体制の方が相応しいとする意見もあります。しかしながら、アラブの春の勝利を自負するエジプト国民が、独裁体制の再来を許すとは思えず、再独裁化は、政情不安を深めるばかりです。エジプトが、真に安定した国家を築くためには、越えてゆくべき山が、もう一つ、聳えているのです。エジプト国民の勇気をもってすれば、必ずや、この山を越えてゆくものと、信じたいと思うのです。

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河野談話問題-日本国政府が譲れない一線

2013年01月25日 15時30分49秒 | 国際政治
 本日の産経新聞の正論欄に、”河野談話をより正確なものに”という記事が掲載されておりました。河野談話を否定するのではなく、むしろ、事実を正確に伝えることで、逆方向から河野談話の虚像を暴こうとうものです。

 河野談話を全面的に否定しますと、確かに、日本国政府は、自己保身のために嘘をついていると疑われる可能性があります。このリスクを考慮しますと、河野談話の修正を通して、丁寧に虚実を明らかにした方が、国際社会の理解を得ることができるかもしれません。
 その際に、日本国政府は、何が事実で、何が虚偽なのかを明確にする必要がありますが、事実として認めるべきは、(1)戦時中に、プロによる慰安所が存在したこと、(2)衛生面において、慰安所は軍の管理を受けていたこと、(3)軍事法廷において、占領地における軍規違反により、本人の意思に反して”慰安婦”とされた女性が存在したと報告されていること、(4)(3)の戦時中の軍規違反については、既に軍事法廷で判決を受け、処罰されていること、(5)占領地の女性の被害については、過去に謝罪し、「アジア女性基金」などによって見舞い金を支給したこと…です。
 一方、否定すべきは、(1)朝鮮半島において、20万人の女性を”慰安婦”として戦地に強制連行したこと、(2)日本軍が、”慰安婦”の強制連行を命令したこと、(3)人身売買が行われたこと、(4)日本国政府は、この問題について、一度も謝罪していないこと…です。

 虚実を明らかにすることで見えていくる日本国政府の譲れない一線、つまり、決して認めてはならない線とは、朝日新聞や社民党の福島氏等が関わったとされる、日本軍による朝鮮半島における20万人”慰安婦”強制連行説なのではないでしょうか(軍事法廷での報告でさえ、桁違いに被害者数は少ない…)。韓国側は、世界各地に”慰安婦”の碑を建てる計画があるそうですが、被害をアピールする国が、実は、被害を受けるどころか、加害側におり(日韓併合時代…)、そして、日本国に対する賠償請求のために歴史を捏造しているという事実こそ、国際社会には知っていただきたいと思うのです。

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電力料金の高さは決定的な不利条件-復興予算から補填を

2013年01月24日 16時09分02秒 | 国際経済
昨年の貿易赤字、過去最大の6兆9273億円(読売新聞) - goo ニュース
 原発稼働停止と再生エネの拡大は、確実に日本国の経済競争力を削いでいます。昨日は、電力値上げで悲鳴を挙げている鉄鋼業への支援について書いたのですが、この案は、政府の支援を自由競争の原則に反するアンフェアな行為と見なす立場からは、批判を受けるかもしれません。

 しかしながら、企業間の自由競争も、競争条件が等しくなければ、公平とは言い難い側面があります。実際には、グローバル市場といえども、競争条件が平準化しているわけではなく、国ごとに、著しい違いがあります。賃金、物価水準、資源調達力、人材などは、国によって格差があり、たとえ、資本規模や技術力などにおいて同レベルであったとしても、どの国で所在するかによって、企業間の競争力に、決定的な差が生じてしまうのです。競争条件において不利な国に所在する企業は、それだけで、最初からハンディーを負っています。電力料金もまた、国家間競争力を決定する要素の一つであり、電力料金の高さは、即、その国の企業の先天的な不利条件を意味するのです。このハンディーを是正するために、政府が支援を行ったとしても、この国に固有の不利条件は、企業努力では克服できませんので、フェアな企業間競争を歪めているとは、一概には言えないのではないかと思うのです。

 現実のグローバル市場は、国ごとに競争条件に違いがあり、むしろ、その格差が、企業の配置戦略の判断材料となっています。このため、製造拠点は、労働コストが低く、不動産価格が安く、そして、電力料金も廉価な国…に流れてゆきます。こうした厳しい現実があるのですから、不利な条件にある国の政府は、出来る限り、不利条件を緩和し、企業がフェアに闘えるような政策を実施しませんと、産業の衰退は避けられないのではないでしょうか。このように考えますと、電力危機は、大震災に起因していますので、原発が再稼働されるまでの間、復興予算から、電力価格の値上がり分を補填するような対策があってもよいのではないかと思うのです。

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電力値上げ-政府は鉄鋼業の支援を

2013年01月23日 15時58分02秒 | 日本政治
買い取り価格、来年度引き下げへ=太陽光発電、37~38円軸―経産省(時事通信) - goo ニュース
 長引く原発稼働停止により、電力各社とも、電力料金の値上げを相次いで実施してきました。特に電力値上げの直撃を受けているのは、国内の鉄鋼業界であり、本日の日経新聞の記事によりますと、国内撤退の動きもあるそうです。

 政府は、省エネなど、エネルギー関連の優遇税制を実施してきましたが、電力値上げで危機に直面している鉄鋼業に対しても、何らかの支援を行うべきではないでしょうか。鉄鋼業は、合金鉄を中心に、大量の電力を消費するため、電力料金の値上がりは、即、経営の悪化と国際競争力の喪失を招きます。鉄鋼各社の海外への移転は、競争力を回復するためのやむを得ない措置ですが(倒産を避けるため…)、その一方で、影響を受けている鉄鋼事業者は、一社だけではありませんので、国内では、関連企業を含めて大量の失業が発生します。原発が再稼働されれば、電気料金は引き下げられますので、それまでの臨時的な措置でも構わないと思うのです。

 再生エネ法が、中国等のパネル企業を間接的に支援する一方で、原発稼働停止と再生エネの普及拡大による電力値上がりが、国内産業を衰退させるようでは、本末転倒です。せめて、原発が再稼働されるまでの間、産業の空洞化と失業の発生を抑える措置が必要なのではないかと思うのです。

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公明党代表の尖閣諸島棚上げ論のリスク

2013年01月22日 15時56分24秒 | アジア
 連立与党の代表として、安倍首相の親書を携えて中国の地を訪れた公明党の山口代表。あろうことか、香港のテレビ局の番組に出演し、尖閣諸島の棚上げ論を口にしたと言うのです。この発言、あまりにリスクが高いと思うのです。

 1978年に、小平氏が棚上げ論を打ち上げたのは、公式の政府間交渉の場ではなく、日本国内における記者会見の席でした。つまり、非公式の会見での発言なのですが、何故か、中国側は、しばしばこの時の発言を引いて、両国の棚上げの合意が存在したかのように振舞っています。山口代表の言葉は、「容易に解決できないとすれば、将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」であり、この言い回しも、「次の世代は我々より賢明で、実際的な解決法を見つけてくれるかもしれない」と述べた小平発言とそっくりです。現実には、日本国政府は、1972年に両国間で棚上げの合意があったとする中国側の見解を否定しており、棚上げ論とは、中国側が一方的に造り出した虚像に過ぎないのです。にも拘らず、連立与党の党首が、”棚上げ論”を持ちだすとしますと、中国側に、みすみす棚上げ論を再燃させるチャンスを与えたようなものです。しかも、”次の世代の中国”は、小平氏の言うように”賢明な解決”を見つけるどころか、軍事力で暴力的に尖閣諸島を奪う勢いなのです。

 中国は、領海法で尖閣諸島を編入することで、既に、自ら主張した棚上げさえ破っています。今回も、中国は、”棚上げ”を日本国に認めさせつつ、時期を見て、軍事行動に出るつもりなのでしょう。これでは、同じことの繰り返しになるだけです。尖閣諸島は、法的に見ても、歴史的に見ても、紛れもない日本国の領土なのですから、中国に譲歩する余地は、全くないと思うのです。

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尖閣諸島が無主地であった新証拠-中国の侵略性が明らかに

2013年01月21日 16時14分35秒 | アジア
 尖閣諸島は、1895年に、当時の日本国政府が清の支配が及んでいないことを確認した上で、無主地先占で獲得した領土です。ところが、中国は、70年代から、尖閣諸島は中国の領土であると主張し始め、1992年に領海法で自国に編入すると共に、今日では、領海侵犯などを繰り返すようにもなりました。

 しかしながら、中国側の根拠は、年々、薄らぐばかりです。最初は、台湾の付属諸島であることを強調していましたが、昨今は、明時代における史料を根拠に、歴史的な固有性を前面に打ち出すようにもなりました。もっとも、明時代の史料は、明の支配を証明するものではなく、琉球への使者が辿った航路に関する記述なのですが…。こうした中、明王朝の公式日誌「皇明実録」において、明の地方長官が、日本の使者に対して、”明の支配する海域が尖閣諸島より中国側にある台湾の馬祖列島まで”とし、”その外側の海は自由に航行できる”と明言した記録があることが判明しました。そもそも、尖閣諸島は、中国本土から300キロ以上も離れておりますので、中国人漁民の日常的な漁場となり、中国歴代王朝の支配が及んだとは考えにくいことですが、この史料によって、日本側の主張通り、尖閣諸島が無主地であったことが、凡そ証明されたことになります。

 日本国の尖閣諸島の領有の基本的な根拠は、国際法上の無主地先占ですので、この史料は、日本国にとりましては、鬼に金棒です。そしてそれは同時に、中国の尖閣諸島領有の主張は根拠を失い、中国側の示威活動は、侵略的な行為と見なされることになるのです。発見された新証拠によって、中国側が武力行使に及んだ場合、侵略国と認定される可能性が格段と高まったのですが、果たして、中国は、この新証拠に対して、どのような反応を見せるのでしょうか。

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イスラム無罪は許されない

2013年01月20日 15時36分46秒 | 国際政治
「死を覚悟」脱出の邦人男性…目の前で2人射殺(読売新聞) - goo ニュース
 アルジェリアのプラント施設で発生した人質事件の様子は、脱出した人々の証言から、徐々にではあれ、明らかになりつつあります。邦人男性の目撃によりますと、犯人のテロリストは、冷酷にも、目前で二人のアルジェリア人スタッフを射殺したそうです。

 宗教であれ、イデオロギーであれ、高次の価値を持ちだして、犯罪を容認する現象は、古今東西を問わず、世界各地で見られます。中国や韓国などの”愛国無罪”も、この忌まわしき現象の一つです。イスラム原理主義者とは、イスラム教の理想を実現するためには、非人道的な行為も許容されると信じている人々であり、殺人、暴行、窃盗、監禁など、ありとあらゆる悪事をも、目的のために肯定しているのです。しかしながら、もし、こうしたテロ行為が許されるとしますと、犯罪を取り締まることは不可能となり、全ての人々の身が危険に晒されます。無差別殺人さえ、”英雄的行為”となるのですから。テロリスト達は、自らの蛮行が、自らが至上の存在として信奉するイスラム教をも貶めていることに、無自覚なのです。

 近現代国家とは、こうした狂信的な野蛮を押さえ込み、法の下で、全ての人々の基本権を保護することによって成立しています。イスラム国家は、今こそ、テロリストの主張する”イスラム無罪”を撲滅しなければ、近現代国家からも、イスラムの理想からも遠のいてしまうと思うのです。

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アルジェリア人質事件-日本国政府は交渉ではなく救出作戦を

2013年01月19日 15時27分32秒 | 国際政治
法整備の検討必要=自衛隊による邦人救出―小野寺防衛相(時事通信) - goo ニュース
 よど号ハイジャック事件以来、国際社会では、日本国政府のテロに対する態度は柔弱であると見なされてきました。犯人の要求を、あっさりと受け入れたのですから。しかしながら、その後の拉致事件などの発生を顧みますと、この時のテロへの安易な譲歩が、新たなテロと被害者を生みだしたことは、否定すべくもありません。

 昨日、イスラム武装勢力によって引き起こされた人質事件の情報は錯綜としており、政府を始め、誰もが正確な情報を掴めない状態にあります。未だにテロリスト側に拘束されている日本人も複数存在しているとの情報も流れ、日本政府は、またもやテロ事件に直面することになったのです。これまでの日本国政府であれば、テロリストとの交渉が真っ先に頭に浮かんだかもしれません。しかしながら、テロへの譲歩は、他者への犠牲の転嫁であり、行く先には、更なる悲劇が待ち受けています。日本国政府が支払った身代金は、武器購入等のテロ集団の戦費となり、より多くの人々がその銃弾に倒れることになるのですから。そして、日本人もまた、テロリストにとりましては、最も好ましい人質として狙われることになります。

 日本国政府は、テロリストとの交渉は断固拒絶し、救出作戦にこそ目的を集中すべきです。もっとも、人質となっている方々の国籍は複数の諸国に亘りますので、実際に人質救出作戦を実行するには、緊密な国際協力を要するかもしれません。何れにしましても、政府は、救出作戦こそ急ぐべきと思うのです。

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アルジェリア拘束事件-現在の命と将来の命の過酷な選択

2013年01月18日 15時37分59秒 | 国際政治
政府「人命第一」考慮されず アルジェリア拘束事件(産経新聞) - goo ニュース
 アルジェリアで発生したイスラム原理主義武装集団による人質事件は、邦人を含む無辜の人々が命を落とされ、痛ましい結末を迎えることになりました。日本国政府としては、”人命第一”の立場から、早急な軍事作戦の展開を避けたかったようですが、アルジェリア軍は、迅速な作戦の決行による制圧を目指したようです。

 アルジェリア軍の攻撃作戦により、人質の命も失われたため、軍の行動を批判する声もないわけではありません。しかしながら、テロによる人質事件には、現在の命と将来の命の選択という重い課題が常に付きまといます。人質の命、すなわち、現在の命を尊重してテロリストの要求を飲むと、将来において、より多くの命が失われることになるからです。アルジェリアでは、既に、テロ集団との戦闘により16万人もの国民が死亡しており、ようやく、テロの一掃に目途がついた矢先に起きた事件でした。仮に、テロリストの要求に政府が応じるとなれば、テロ活動が再び国内で活発化し、より多くの命が失われます。そして、イスラム原理主義勢力による北部支配の危機が深まる隣国のマリは、テロリストの要求通りに軍事介入を停止すれば、第二のアフガニスタンともなりかねません。マリにはウラン鉱もあり、イスラム原理主義勢力とそのバックとなる諸国の手に、核兵器の原材料が渡ることにもなります。こうした事態となれば、おそらく、何百、何千、何万もの命が失われることになるでしょう。しかも、アフリカに、かつてのアフガニスタンのタリバン政権のような、非人道的行為が神の名の下で許される、原理主義国家が出現するかもしれないのです。

 政治の世界では、時にして、過酷な選択を迫られることがあります。批判を受けるべきは、事件を起こしたイスラム原理主義武装集団であることは言うまでもありませんが、アルジェリア軍の行動を、無碍には非難できないようにも思うのです。そうであるからこそ、日揮の社員の方々、そして、人質となられた方々の犠牲はあまりに重く、自らの命を以って他者を生かしめた尊い犠牲に、心より哀悼の意を捧げるのです。

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鳩山元首相は国際秩序を破壊する偽天使

2013年01月17日 15時33分33秒 | 日本政治
鳩山元首相の尖閣係争地発言「わが国の立場と相反」 菅官房長官が批判(産経新聞) - goo ニュース
 昨年発表された日本国の歴代首相ワースト・ランキングでは、ワースト第1位に、鳩山元首相が選ばれていました。そして、訪問先の中国で述べたとされる尖閣諸島をめぐる氏の発言は、この不名誉な1位の座を、不動のものとしそうです。

 鳩山元首相のイメージは、偽天使なのではないかと思うのです。氏は、日中間の平和、すなわち、中国側の武力行使を回避するためには、中国側の主張を飲んで、尖閣諸島を係争地であると認めた方が得策と考えたのでしょう。おそらく、ヒトラーへの融和政策=ミュンヘンの融和でのチェンバレンと同じく、自らは、平和のために、名誉ある譲歩をしたと確信しているはずです。鳩山元首相の自己イメージは、あくまでも平和の天使なのです。しかしながら、氏の行動は、平和に貢献しているのでしょうか。法的根拠のない領土要求を認めることの恐ろしさを、氏は全く理解しておりません。現実には、日本国の尖閣諸島の領有権に、一方的に言いがかりを付けているのは中国なのですから、鳩山元首相は、中国に対して、異議申し立てがあるならば、ICJでの解決を求めるべき、と進言すべきです。法的根拠に触れずして、係争地と認めることは、不当な領土要求を是認することに他ならず、延いては、係争地を理由とした中国側の武力行使にお墨付きを与えることにもなりかねないのです(中国側に自衛の根拠を与えてしまう…)。

 一旦、尖閣諸島で前例ができますと、国際社会の法秩序は一気に崩壊し、暴力が横行する弱肉強食世界に逆戻りしてしまいます。南沙諸島や西沙諸島で中国と対峙している東南アジア諸国を始め、周辺諸国もまた、貪欲な中国の餌食になってしまうかもしれません。この時になって、鳩山元首相が、自らが平和の崩壊の引き金を引いたことに気付いたとしても、時、既に遅しとなるのではないでしょうか。

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コメント (4)
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