万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

一足早くやって来た石油危機?

2008年01月31日 18時50分46秒 | 国際経済
 石油の枯渇問題は、採掘技術の進歩からしますと、おそらく22世紀初頭頃に起きるではないかと予測されてきました。石油に替わる代替エネルギーは、その頃までに開発・実用化されればよく、長らく、まだ時間的な猶予期間があると見なされてきました。ところが、昨今の原油価格の値上がりを受けて、石油危機は、どうやら、一足早くにやって来てしまったようなのです。

 それも、今回の石油危機は、石油資源そのものの枯渇ではなく、投機的なマネーの石油市場への大量流入という人為的な原因によって引き起こされています。この石油価格値上がりは、確かに、バイオや自然エネルギーといった代替エネルギーの採算性を向上させ、普及を促進させたというプラスの側面もあるのですが、その一方で、実勢価格からの大幅な乖離が望ましいわけでもありません。環境を理由に、石油価格が高止まり、金融機関の投機行為が是認され、かつ、消費者と企業の負担が増加することも、何か、不合理な現象のように思えるのです。

 市場経済には、資源の効率的利用が自然に達成されるメカニズムが働いていると言われています。しかしながら、ここ今日に至って、環境というファクターが新たに参入してくることによって、このメカニズムに歪みが生じてしまっているようなのです。この歪みの究極的な解決の鍵を握るのは、安価な代替エネルギーの開発とは言えそうですが、投機行為の野放しもまた、金融危機を発生させる可能性を高めることも忘れてはならないと思うのです。
 
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中国科学院の”質より量”のランキング?

2008年01月30日 18時10分23秒 | 国際政治
中国の総合国力は世界3位 中国科学院「30年に日本抜く」(共同通信) - goo ニュース

 13億の人口に加えて、年率で10%前後という驚異的な経済成長を遂げてきた中国は、現在のペースが維持されるとすれば、2030年には、世界第二位の経済力に届きそうです。しかしながら、このランキング、あくまでも”量”として計られた数値に過ぎないのではないでしょうか。

 国力の測定は、評価対象にどのような項目を含めるかによって大きく違ってきます。ですから、本当のことを言いますと、国力の正確な測定は不可能なことです。例えば、数字における経済レベルと、国民が実感している豊かさとは異なりますし、また、中国が、政治や社会の側面において政府統制が厳しいことを考慮しますと、経済的な繁栄と国民の満足度は、必ずしもイコールではありません。13億の国民が、先進国と同じような自由や権利を享受するまでには、はるかに長い年月を要するかもしれないのです。

 数値上の国際比較のランキングに一喜一憂するよりも、自由と民主主義を手にしている国家の国民は、より良き国家を目指すこと、つまり”質”の向上に努めることにこそ大事と思うのです。 



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金融システムは自己制御不能に?

2008年01月29日 18時22分33秒 | 国際経済
上がったり下がったりの表と裏、揺れる市場が「連動」に直面――フィナンシャル・タイムズ(1)(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース

 サブプライム問題の発生以来、金融危機が国境を超えた不安定要因となっています。この問題に対しては、さまざまな要因が指摘されているのですが、行き過ぎた金融自由化もまた、その一つに挙げられるのではないか、と思うのです。

 そもそも、金融の自由化は、金融機関の効率的な資金運用や競争力強化を旗印に進められたものです。国境を超えた資本移動のグローバル化に加え、国家レベルでも、ユニバーサルバンキング化、デリバティブ等の多彩な金融手法の承認、金利規制やサービス業務の緩和などが行われ、最近では、証券や商品など各種市場の融合を目指す方向にもあります。これらの自由化措置によって、金融サービスのレベルが向上したことも確かなのですが、その反面、金融市場のファイアーウォールを取り払うことにもなりました。いざ、市場において連鎖下落が起きると、それを遮断するものが何もなくなってしまったのです。もちろん、政策金利の調整や公開ぺレーションといった手段をもって、中央銀行が混乱の収拾に乗り出したとしても、到底、その勢いを押しとどめそうにはありません。結局、金融システムは、自己制御が不能となって、政府に損失移転(公的資金の導入・・・)するしかなくなってしまったのです。

 金融自由化に端を発した連鎖性が、現在、金融システム全体を揺るがしているするならば、良い自由化と悪い自由化を慎重に見極める必要がありましょう。金融部門におけるコンピュータ技術の導入が飛躍的に取引速度を加速させている状況にあって、何所かにファイアーウォールや制御システムを築きませんと、金融危機の暴走を止めることはできないと思うのです。

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本当は怖い政治的参入規制

2008年01月28日 18時22分24秒 | ヨーロッパ
反プーチンの元首相の出馬認めず 支持署名の一部無効と選管(共同通信) - goo ニュース

 ロシアでは、国民が参政権を持ち、複数の政党が存在し、かつ、民主的な選挙制度も整備されていますので、表面だけを眺めれば、国民の政治的自由が、制度的に保障されているように見えます。しかしながら、法律上の自由と実質的な自由との間には、かなりの隔たりがあるようなのです。

 何故ならば、形式的な民主的制度は、その運営を恣意的に歪めることによって、簡単にその意義を失わせることができるからです。例えば、ロシアの場合には、立候補者を受け付ける中央選管が、不偏不党の立場を維持できず、時の政権の影響下に置かれたために、大きく民主主義の原則から外れてしまいました。立候補者の登録の段階で、政治的な排除が起きてしまいますと(参入規制)、もはや、その後で、如何に”民主的”な選挙が実施されようとも、結果は予め決まってしまうのです。これでは、民主的制度は、まったく機能しないに等しくなります。

 ロシアが、ソ連時代から見続けている全体主義の悪夢から覚めるのは、一体、何時のことになるのでしょうか。


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裁判員制度が憲法訴訟となる時

2008年01月27日 18時38分38秒 | 日本政治
 裁判員法が憲法80条に違反している可能性があることは、度々指摘されてきました。もし、今後、憲法訴訟が起こさるとしましたら、どのような展開になるのでしょうか。

 日本国の最高裁判所は、憲法81条において、違憲立法審査権が賦与されています。抽象的な審査が認められるかについては議論もあるものの、憲法81条は、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と定めていますので、同法も憲法訴訟に付すことができると解釈することが妥当のようです。

 ところが、新聞紙上の政府広告に示されていますように、裁判員制度については、法務省、日本弁護士連合会並びに最高裁判所の三者が名を連ね、揃って導入の後押しをしているのです。このことは、いわば、最高裁判所が、立法府のみならず、自らの行為をも裁くことを意味しています。思うに、裁判員制度の導入に際しては、最高裁判所は、全く”我関せず”の態度を貫くべきであったのかもしれません。最高裁判所を巻き込む形で同法が制定されたことは、後々司法の独立性をも損なう危険な行為であったと言わざるを得ないのです。

 果たして、裁判員制度が憲法訴訟となったとき、最高裁判所は、独立した立場において、判決を下すことができるのでしょうか。

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フェアプレイの精神こそスポーツの心髄

2008年01月26日 12時52分34秒 | 社会
明大応援団リーダー部 いじめも伝統…反省なし(産経新聞) - goo ニュース

 応援団リーダー部が体育会系と分類できるのか自信はありませんが、体育会系の部活動における先輩後輩の上下関係の絶対性は、全国何処も同じのようです。そうして、体育会系の部では、何故にか、こうした”いじめ問題”が発生しやすいようなのです。

 筆者自身は、体育会系の部に属したことがないため、外部からの視線となってしまうのですが、この現象は、他の領域でも見られる閉鎖社会の虐待の連鎖と共通しています。例えば、家庭内暴力でも、親が子を虐待すると、その子もまた自分の子を虐待するようになると言われています。また、国民弾圧を日常とする閉鎖国家でも、暴力と恐怖が日常茶飯事となっています。道徳のレベルとは、その集団全体が許容する行為の範囲によって決まるようで、ある集団が、非道徳的な行為を日常的に許してしまいますと、この集団の道徳レベルは、一般的なレベルよりも下がってしまうことがあり得るのです。

 それでは、どのようにしたら、この虐待の連鎖を断つことができるのでしょうか。本来、スポーツから学ぶことは、フェアプレーの精神のはずです。フェアプレーとは、競技を観戦する全ての人々が、公平であると感じるプレーを行うことです(開放性)。相手チームに対するフェアプレーのみならず、自らの内部におけるフェアプレーをも心がけなくては、教育場で部活動を行う意義が消えてしまいましょう(虐待は反則行為!)。虐待の連鎖を断ち切るためには、このスポーツの原点に立ち返ることこそ、大切なように思うのです。

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コメント (1)
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テロ支援国家との交渉はハイリスク・ハイリターン

2008年01月25日 18時31分20秒 | アメリカ
対北政策 米政府で意見対立 「テロ支援国」解除めぐり(産経新聞) - goo ニュース

 アメリカの対北朝鮮政策が融和政策へと転換されて久しく、その背景には、中国包囲網の形成や、早急な外交成果を求めるブッシュ政権の姿勢などが取り沙汰されています。もちろん、これらは憶測に過ぎないのですが、一つだけ言えることは、テロ支援国家との交渉は、成功すれば評価が飛躍的に高まりますが、失敗しますと、後世にまで負の遺産を残すことになるということです。

 テロ支援国家との交渉の失敗、あるいは、融和政策によって評価が下がってしまった歴史上の事例はたくさんあります。ミュンヘンの融和を行ったチェンバレン英首相は言うまでもありませんが、カーター元大統領もクリントン元大統領も、対北政策にあっては、平和的解決を求めるばかりに、相手に”騙される”という汚点を残してしまいました。北朝鮮の核の放棄を実現することは誰もが望むことなのですが、結果が悪ければ、後にはより大きな危険が残るのみとなります。時間稼ぎをして核武装に成功した上に、北朝鮮が、見返りまで手にしたとなれば、アジアの軍事バランスも崩れることになりましょう。

 アメリカの北朝鮮政策を見てみますと、かの国に、再び”騙される”のではないかと、心配でなりません(日本国もまた、北朝鮮には何度も騙されてきましたので・・・)。相手の真意を見抜きませんと、より高いリスクを被ることになるように思えてならないのです。

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最高裁判所が憲法の抜け道をつくる

2008年01月24日 17時43分02秒 | 日本政治
永住外国人の選挙権案、与党揺るがす火種 民主提出方針(朝日新聞) - goo ニュース

 平成7年2月28日に言い渡された最高裁判決ほど、奇妙な判決はありませんでした。何故ならば、主文では、外国人への参政権付与は違憲としながら、理由の後半部分で、立法措置を採れば違憲ではなくなる、という旨の一裁判官の見解を記載せたからです。

 この最高裁判所の見解には、どう考えてみましても、日本国の憲法秩序を揺るがしかねない危険性が潜んでいると思うのです。そもそも、判決の理由の前半部分では、憲法93条2項にいう「住民」とは、「日本国民」を意味すると解釈すべきであると述べています。ところが、後半に至って、立法措置を講ずれば、永住権(在日韓国・朝鮮人が大半・・・)を持つ外国人に限り、地方参政権を与えることができる、としたのです。前半と後半の主張では整合性が保たれていませんし、これでは、憲法違反の行為であっても、特別に立法さえすれば、合憲ということになります。いわば、最高裁判所が、憲法の抜け道を示唆したに等しいことになりましょう。最も民主的と賞賛されたワイマール憲法が、ナチス政権下で制定された「授権法」によってなし崩しとなった歴史的教訓は、今日でも、決して過去のものではないのです。

 平成7年の判決を持って、参政権付与は政治的判断に任されたとする意見もありますが、もし、政治の舞台にこの問題を上げるならば、憲法改正問題として提起しなければ筋が通りません。憲法秩序を守るべき最高裁判所が、これを壊す行為を行うとは、世も末と言うべきでしょうか。

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パレスチナ難民帰還権の難しい判断

2008年01月23日 18時59分02秒 | 中近東
 中東訪問に際して、アメリカのブッシュ大統領は、パレスチナ難民のイスラエル帰還権に関し、全面的な帰還容認はなく、補償による解決を提案したと言います。この提案に対して、アラブ側は、排他的な態度として冷やかな反応を見せているそうですが、全難民の帰還がこの問題を解決するとも思えないのです。

 第1に、この問題は、”棲み分け”vs.”共生”の対立でもあります。今日の国際秩序である国民国家体系が、民族間の棲み分けを主たる起源としていることを考えますと、イスラエルの言い分には理があります(帰還を認めますと人口比が逆転し、イスラエルはユダヤ人の国家ではなくなり、建国の意義も消滅する・・・)。その一方で、社会主義といったイデオロギーに基づきますと、民族や人種といった個々の違いは捨象され、違いを超えた共生こそが理想ということになります。アラブ側の主張は、後者ということになりましょう。

 第2に、国境の線引きに合意したとしても、民族および宗教対立こそが、長きに亘る紛争の核心部分にあります。このため、パレスチナ難民が大挙してイスラエルに帰還した場合、民族紛争が国内化される危険性があります。イスラエル政府は、テロを怖れて帰還した住民の監視を強化することになりましょう。

 第3に、先住地への帰還権承認が原則となりますと、この原則は、他の諸国にも波及することになるかもしれません。例えば、第二次世界大戦後にあっても、多くの人々が父祖の地を追われ、他国に移住しています。

 以上の点を考えてみますと、パレスチナ難民の帰還権に関する和平案は、現実的な解決策とも言えるかもしれません。よく説明すれば、アラブ側も妥協点を見いだすことができるように思うのです。

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金融の使命は産業を育てること

2008年01月22日 18時20分17秒 | 国際経済
日経平均が大幅続落、世界株安連鎖で750円超と今年最大の下げ幅(ロイター) - goo ニュース

 本日、株価が連鎖的な暴落を起こしましたが、その一つの原因として、金融機関が、市場経済のメカニズムにおける自らの使命を、しばし忘れてしまったことにあるように思うのです。

 金融機関のモットーは、自らの持てる資金や資産を最大限効率的に運用することにより、最大の利益を上げることにあります。このため、企業の成長を支える長期的な投資よりも、値上がり益を見込んだ先物取引や投機といったマネー・ゲームに走りがちなのです。何故ならば、短期的に見ますと、後者の方が、はるかに高い収益性を持つからです。しかしながら、実質成長率を高めるためには、前者の金融機能こそ必要不可欠なのであって、後者への傾斜は、投資リスクを高めることはあっても、経済の安定的な成長には害になりかねないのです。もちろん、住宅ローンの証券化という手法は、投資リスクの分散化を意図したものであったのでしょうが、対象が不動産であったことも、バブルの温床を準備したとも言えるかもしれません(日本のバブル崩壊も不動産部門から始まった・・・)。

 かつて、ベンチャー・ビジネスが盛んであった頃、新興企業への投資を惜しまなかった金融機関や投資家は、しばしば、”エンジェル”と呼ばれたものです。バブルの繰り返しを回避するためには、金融機関が頭を冷やし、自らの使命を思い出す、ということも必要なように思うのです。

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マイノリティーが躍り出た米大統領選

2008年01月21日 18時31分36秒 | アメリカ
米大統領選 西部戦線、オバマ氏苦境 中南米系票、クリントン氏に(産経新聞) - goo ニュース

 アメリカの大統領選挙戦を見てみますと、今回ほど、マイノリティーの存在が、政治の表舞台に躍り出た選挙はないように思います。民主党の有力候補者のオバマ氏とクリントン氏が揃って、共に、”黒人初の”、あるいは、”女性初の”という修飾語が付くことに加えて、州レベルの党員投票でも、ヒスパニック票といったマイノリティー票が結果を左右していると言います。

 アメリカは、もちろん多民族国家ですので、国内には歴史や文化的背景の異なる多様なコミュニティーが存在し、それぞれ、社会的な立場もそれに基づく政治的選択も違っています。このため、大統領にこそ、人種、民族、宗教、さらには、性差をも超えた統合力が求められるのですが、各大統領候補が、マイノリティー票をより多く獲得せんがために、特定の集団に対して優遇策を約束するとなりますと、就任後の政策運営に偏りが生じないとも限りません。国家と下部集団と個人との関係は、今日の政治の仕組みの中では、未だにしっくりとは調和してはいないのです。

 民主党の党員選挙では、マイノリティー票が選挙結果に影響を大きな与えましたが、次なる大統領選挙では、マジョリティーという要素も参加してきます。イデオロギー上の対立が色褪せた今、むしろ、現実社会における相違が選挙を揺るがしていることに、本質的な変化を見てとるべきなのでしょうか。

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洗脳に適した危ない年頃

2008年01月20日 18時28分28秒 | 社会
ブット氏暗殺の容疑者逮捕か=15歳の少年―パキスタン(時事通信) - goo ニュース

 ブット元首相の暗殺事件の容疑者として、15歳の少年が容疑者として逮捕されたと言います。逮捕された少年の年齢が15歳であることから、この実行犯の組織が、青少年に洗脳教育を施しているのでしょう。

 実のところ、10代の数年間は、最も洗脳され易い年頃です。ナチスがヒトラー・ユーゲントを育て、共産党が紅衛兵を組織したように、人間を狂信的な思想に染め上げるには、この時期が最も適しているのです。誰もが、この時期に、何かに”かぶれた”経験はあるはずです。心理学的な説明は専門家に譲るとしましても、青年期を迎えて強まる自我意識が、何か絶対性を持った集団への帰属によって満たされる時、青少年は、いとも簡単にこの集団に自己を捨ててしまうのです。これは、集団のメンバーであることが、自らに無限の力を与えているように思える錯覚なのかもしれません。つまり、自己肥大化の願望と絶対的な組織という、一見、相矛盾する個と集団が一体化するとき、狂信的な集団が生まれやすいのです(ヘーゲルは人間のこの側面を描いたのかも・・・)。

 私達は、この年頃の青少年の心の持ちように充分に配慮しながら、暗殺に加担するような狂信者が生まれないよう、教育というものに臨むべきなのでしょう。

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民主党の中国重視は経済にマイナス?

2008年01月19日 18時45分35秒 | アメリカ
米大統領選の最大テーマは経済に――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース

 外交政策を見ますと、クリントン議員をはじめとして、アメリカ民主党の候補者は、中国重視を打ち出しています。この中国志向は、アメリカ民主党の伝統なのでしょうが、大統領選で経済が最大のテーマとなるとしますと、中国に対する妥協的な態度は、アメリカ経済にとりましてマイナス要因となるかもしれません。

 第1に、中国のドルに対する元安政策は、アメリカの対中赤字を悪化させる原因となっています。現共和党政権にあって、再三にわたり元高是正を求めているにも拘わらず、中国政府は重い腰を上げようとはしませんので、親中政権であれば、なおさらのことです。

 第2に、中国の経済成長が維持され、より高度な性能を持つ製品も安価で輸出されるとしますと、アメリカに失業問題をもたらします。

 第3に、中国側の外資規制を残しながら、政府系ファンドといった中国資本の無制限な流入を許しますと、アメリカ企業の多くが買収される可能性があります。

 第4に、WTOなどの国際舞台においても、自らを途上国と位置づける中国の主張に耳を傾けるとしますと、自由貿易交渉のこれ以上の進展は望めないことになります。

 これらの他にも、民主党が財政拡大政策を実施するとしますと、国債発行額が増加し、中国政府の米債保有量を増やすことになりましょう。

 以上の中国脅威論は、実のところ、80年代の日本脅威論と大凡一致してしまい、何ともきまりが悪い気がいたしますが、中国には、当時の日本にはなかった政治力もあります。民主党は、今後、この政治と経済との利益背反に対して、どのような回答を示すのでしょうか。

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財政出動の日米比較

2008年01月18日 18時01分58秒 | アメリカ
ブッシュ大統領、景気刺激策発表へ 株下落など受け(朝日新聞) - goo ニュース

 財政政策を景気刺激策として用いることには議論もあるのですが、少なくとも、同じ財政出動でも、アメリカは国民の個人消費拡大を目指し、日本の場合は政府による公共事業の拡大を図るという違いがあります。

 両国の政策には、「小さな政府」と「大きな政府」ほどの隔たりがあり、それは、アメリカの財政出動が、10兆円に上る減税政策であることに端的に表れています。もちろん、国債発行の増加を伴う場合には、後からの増税もありえますし、財政赤字を悪化させるというマイナス効果もあります。しかしながら、この方法のほうが、公共事業を通した財政拡大政策よりも負の遺産を残さないという点で、マイナス面は小さいとは言えましょう。日本国の場合には、バブル崩壊後、ケインズ主義に忠実なためにか、カンフル剤にしかならない政府支出による”有効需要”創出に大きく傾斜してきました。しかも、採算性のとれない公共事業や無駄な支出は、財政規模を拡大させる原因ともなってきたのです。

 景気回復には、経済の体質や競争力強化こそ重要であることを考えますと、消費の拡大により企業活力を引き出す政策の方が望ましいと言えます。日本国の場合、財政再建をしませんと、いざ不景気となりましても減税政策を採る余地がなくなりますので、行財政改革こそ、最優先に急ぐべきではないかと思うのです。 

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生命は物理の法則に反逆する

2008年01月17日 18時19分21秒 | 社会
時間が減速している:「宇宙膨張は加速」を疑う新説(WIRED VISION) - goo ニュース

 宇宙に関する新説が、国際政治のカテゴリーに分類されていること自体が不可思議なことなのですが、この分野ではまったくの門外漢でありながら、日頃考えていることについて、今日は記事を書いてみようと思います。それは、”生命は物理の法則に反逆する”というものです。

 生命の発生については諸説があり、偶然にできた自己複製能力をもつタンパク質がその始まりする説が有力なようです。しかしながら、物質が永続的に自己を”保存”しようとするならば、物質は物質であった方が有利であったはずです。気体、固体、液体といった状態のほうが、生物よりはるかに安定していますから。しかしながら、生命は、何故か、自己複製という自己増殖の道を選んだのです。そうして、自己の意志で動くという無生物ではできない離れ業を成し遂げたのです。これは考えてみますと、極めて不思議なことです。

 生命とは、自己が生命を維持している間だけ、機械的な物理の法則を超えて活動することができるという不思議な存在です。はてさて、この説は、珍説でしょうか。

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