万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

マクロン大統領は’現代のロベスピエール’?-未接種者への迫害

2022年01月07日 14時02分44秒 | ヨーロッパ

 つい数年前までは、現代という時代にあってフランス大統領が「国民の社会活動を可能な限り制限する」といった言葉を口にするとは、誰もが想像すらしなかったことでしょう。フランスは、’自由、平等、博愛’をスローガンとして世界に先駆けて大革命を起こし、人権宣言を発した国として知られています。そのフランスにあって、大統領その人が、国民の自由や権利への制限を公言しているのですから驚きです。

 

 もっとも、フランス革命の’その後’を思い出しますと、’さもありなん’とも思えてきます。ロベスピエールの恐怖政治にあって、’反革命’の烙印を押された国民は、公権力によって徹底的な迫害を受けた挙句に、最悪の場合にはギロチン台の露と消えたのですから。フランス革命の致命的な矛盾とは、国家が全ての国民の基本的な自由や権利の擁護者とはならず、フランス革命の理念に共鳴した国民のみに市民権を与え、その理念に反する国民を排除し、社会から抹殺しようとしたところにありましょう。つまり、人権宣言を高らかに掲げたフランス革命の行きつく先は、恐怖が支配する全体主義体制であったのです。

 

 この忌まわしき過去は、今日にあっても、何らかの出来事を切っ掛けとして顔を覗かせるようです。今般、マクロン大統領が国民の枠外に置き、迫害の対象に定めたのは、ワクチン接種を拒絶している国民です。’革命の理念’ならぬ’ワクチンの理念’に反する者は、もはや国家による保護対象に含まれず、社会において生きる権利が剥奪されるのです。そこには、全ての国民個々人の自由な判断や意志決定を尊重し、その幸せを願う慈しみ深い大統領の姿はありません(恐ろしく底意地の悪い政治家にしか見えない…)。

 

しかも、ワクチン接種を義務化する法案が昨年暮れには閣議決定され、議会下院でも可決されたと報じられております。上院での可決などの手続きを残してはいますが、同法案が成立すれば、大統領の言う’嫌がらせ’や’圧力’のレベルでは済まされず、より強い強制力が働くことでしょう。このままでは、ワクチンの接種場が、’現代のギロチン台’となりそうなのです。

 

 二度のワクチン接種でも、自ら感染もすれば他者を感染もさせますので、ワクチンパスポートの制度は非合理的であり、かつ、非科学的でもあります。理性が’理性信仰’というカルトに転じた側面も(’理性’と’信仰’との二重思考…)、フランス革命時と瓜二つなのですが、マクロン大統領、あるいは、その支持母体を強硬策に駆り立てているのも、革命思想と同様にワクチン接種が国家体制に関わるイデオロギー的な側面を持つからなのでしょう。言い換えますと、ワクチン接種が、同勢力が目指す’新しい国家体制’の樹立の基盤となるからこそ、何としても、全国民にワクチンを接種させたい動機と考えられるのです。

 

 実のところ、恐怖を利用した宗教集団への入信を含めた特定の集団や新しい体制への参加圧というものは、古今東西を問わず、人類の歴史に見られる古典的な手法でもあります。フランス革命も、その手法においては必ずしも’革命的’なものではなく、むしろ、古典的な手法を近代において蘇らせてしまった観さえあります(この観点からも’復古’と’革新’が並ぶ二重思考かもしれない…)。コロナ感染の恐怖では不十分とみて、マクロン大統領は、社会的排除という恐怖をも利用しようと考えたのでしょう。

 

日に日に’現代のロベスピエール’化してゆくマクロン大統領を、フランス国民は、どのような思いで眺めているのでしょうか。人権宣言がフランス革命の’光’であるのならば(真の光であるかどうかも怪しい…)、フランスの現状は、その’影’の部分とオーバーラップしているように思えるのです。


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フランス大統領候補ゼムール氏の謎

2021年11月16日 17時03分11秒 | ヨーロッパ

 フランスでは、目下、次期大統領の座をめぐる選挙戦が始まっております。前回の選挙にあって颯爽と政界に登場したマクロン大統領の人気は、その強引な政策手法からか陰りが見られ、新人の当選も予測される状況にあります。そして、同選挙戦において特に注目されているのが、反移民政策を掲げるがゆえに極右候補とされているエリック・ゼムール氏です。

 

 移民反対を訴えるぐらいですから、誰もがゼムール氏は生粋のフランス人であると考えることでしょう。ところが、同氏は、ユダヤ系である上に、両親の出身地は旧仏領のアルジェリアであるというのです。つまり、自身も移民2世でありながら、反移民の急先鋒という奇妙な立場にあるのです。

 

 そして、同氏が敵視しているのはイスラム教徒の移民ですので、ユダヤ人の立場からの反イスラムということになりましょう。戦後のイスラエルの建国以来、ユダヤ人とアラブ人(イスラム教徒)との間の対立関係は中東戦争を引き起こす程に激化してきましたので、ゼムール氏の’イスラム嫌い’もこの文脈から理解されるのですが、フランス革命がもたらした普遍主義の手前、表立っては反移民を口にできないフランス人の本音を代弁してか、ルペン氏を越える思いのほか高い支持率を集めているというのです。人々の心の内にある移民の増加に対する危機感、すなわち、本音を代弁している点において、同氏が’フランスのトランプ’とも称されるのも頷けます。

 

 その一方で、ゼムール氏の言動は、ユダヤの人々の複雑な立場をも表しているように思えます。19世紀にあってドイツロマン主義を代表する詩人であったハインリッヒ・ハイネもまたユダヤ人でした(「ローレライ」を作詞)。ユダヤ人の中には、自らの真のアイデンティティーが翳むほどに熱烈なナショナリストとなる、あるいは、ナショナリストを装う人も少なくないのです。それでは、彼らがナショナリスト、あるいは、愛国者として人々の前に現れる動機はどこにあるのでしょうか。

 

 もちろん、ゼムール氏は、フランスという国をこよなく愛する真の愛国者であるのかもしれません。しかしながら、その一方で、同氏が知略に長けたユダヤ人である点を考慮しますと、過激な反イスラム主義はフランスに対する愛国心ばかりではない可能性もなくはありません。

 

第一に推測されるのが、ユダヤ人批判をかわすというものです。近年、歴史の深層が明らかとなるにつれて、世界史の裏側で暗躍してきたユダヤ系金融財閥に対する批判も高まっています。ロスチャイルド家などがよく知られていますが、近代以降の戦争、革命、恐慌といった破壊的な混乱の背後には、必ずと言ってよいほどにユダヤ系金融財閥の利益が絡んでいたとされています。フランスにあっても、中世以来の反ユダヤ主義が息を吹き返すかもしれませんので、先手を打つ形でイスラム教徒をスケープゴートに供したとも考えられます。もしくは、フランスのユダヤ人は、生粋のフランス人の味方であることをアピールしようとしたのかもしれません。

 

第2の推測は、一般のフランス人と移民との間の分断を促進するというものです。現在、フランスの人口の13%が移民系とのことです。後者の出生率の高さからしますと、全人口に占めるイスラム系の移民の割合はさらに上昇することでしょう。一方、ゼムール氏自身はユダヤ人ですので両者の対立から離れた安全な場所に居ることができます。双方から利益を引き出すことができますので、フランスの分断は、ゼムール氏にとりましては望ましい状況なのかもしれません。

 

そして、第3に推測されるのは、イスラム教徒のためにこそゼムール氏は迫害を煽っているというものです(歴史的には、ユダヤ教徒とイスラム教徒は不仲というわけではない…)。このケースでは、イスラム教徒はフランスの過激な移民排斥主義の犠牲者ということになりましょう(ヒトラーをユダヤ系とする説もユダヤ人を犠牲者とするために敢えて迫害したとしている…)。ゼムール政権後においては、むしろ一般のフランス人には差別主義者のレッテルを貼られると共に、イスラム・ヘイトを取り締まることを名目とした厳しい言論統制が行われるかもしれません。

 

ハイネがカール・マルクスとも親交があったことが示すように、ユダヤ人の内面は表面に現れる姿とは違っているのかもしれません。仮に、ゼムール大統領が誕生するとしても、ゼムール氏が、ロスチャイルド家の代理人とも揶揄されてきたマクロン現大統領と同根であるのならば、政権掌握後に公約を一変させて、結局は‘第二のマクロン大統領’となるのでしょうか。ゼムール氏は、謎に満ちた存在なのです。


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EUは中国に‘買収’される?

2021年02月16日 12時46分23秒 | ヨーロッパ

 欧州連合統計局の発表によりますと、EUの貿易相手国は、昨年、初めてアメリカを抜いて中国が第一位となったそうです。対中貿易総額は凡そ75兆円に達し、対米貿易額を4兆円ほど上回ったそうですが、今後ともこの傾向が続くとしますと、EUには、どのような未来が待っているのでしょうか。

 

 対中貿易の内訳を見ますと、EUから中国への輸出は、前年比で2.2%増加の約26兆円、逆方向の中国からEUへの輸出は、前年比で5.6%増の約49兆円となります。この数字は、対中貿易の貿易収支にあって、EU側が、大幅な貿易赤字を抱えている現状を示しています。輸出額は、輸入額の二分の一に過ぎないのですから。この状態は、かつて絹織物や香辛料といった希少なアジアの産物が取引された東方貿易にあって、ヨーロッパ側が金や銀の流出に悩んでいた時代を思い起こさせます。

 

 同情報を報じたAFPの記事は、2020年の対中貿易拡大の要因を、中国側による欧州製の自動車や高級品等の輸入増加とEU側による中国製の医療・電子機器の需要の高さが合いまった結果として説明しています。EU側の輸出増を牽引しているのは、自動車や高級品とのことですので、ドイツを筆頭に、EU内の‘先進国’が主たる受益国となったのでしょう。その一方で、中国製の医療・電子機器の需要増加は、コロナ禍とは無縁ではないようです。パンデミック化が始まった2020年の段階では、マスクや防御服といった医療関連製品の市場は中国製の独断場でしたし、各国政府によるロックダウンといった強硬措置は、ステイホームの常態化によるデジタル機器の需要を広げたからです。医療関連製品については、安全保障の観点から内製化を進めたとしても、EUが、社会の隅々までデジタル化を浸透させると同時に、あらゆる障壁を取り除くグローバル化を推進し続けるとしますと、中国製電子機器の対EU輸出は、今後とも拡大してゆくことでしょう。

 

 アメリカは、毎年、積み上がり続ける巨額の対中貿易赤字に耐え切れず、トランプ政権にあってグローバリズムから保護主義へと転換しましたが、対中貿易赤字を前にして、EUは、どのような方針で臨むのでしょうか。ここで注目されるのが、先日、EUと中国との間で政府レベルでの合意が成立した新たな投資協定です。同投資協定は、ウイグル人弾圧問題を重く見る欧州議会による強い反対が予測されるものの、仮に、同協定が発効する運びとなれば、双方からの投資が加速されることになります。EU側の狙いとしては、欧州金融機関による中国市場への投資拡大、並びに、欧州企業による中国企業買収の増加にあるのでしょう。しかしながら、この思惑、グローバリズムというものが、‘規模の経済’が強力に働く点に鑑みますと、期待外れとなる公算の方がはるかに高いように思われます。何故ならば、上述した数字を見れば一目瞭然、巨額の貿易黒字を計上している中国は、資金力においてEUを凌駕しているからです。つまり、EU側の希望的観測とは裏腹に、中国の金融機関による対EU投資が増加すると共に、EUの企業が中国企業や中国系ファンドによって買収されてしまう可能性の方が高いのです。

 

 貿易収支ではなく経常収支を見れば、中国からEUへの資金の還流ともなりますので、国際収支は一先ずは均衡するようにも見えます。しかしながら、欧州市場は中国資本に押さえられ、利払い、株主配当、収益の本社送金、特許使用料等を介して利益を吸い取られ続けることとなりましょう。かつて、アメリカも、石油産出国の貿易黒字、即ち、オイル・マネーをアメリカに還流させる仕組みを作りましたが、‘世界の工場’にして工業製品の大輸出国であり、13億の市場を擁する中国が相手となりますと、結局は、保護主義的な政策を採らざるを得なくなりました。アメリカを先例とすれば、投資協定の締結によって資本移動をさらに自由化するというEUの対応は周回遅れであり、自らを中国に明け渡すに等しいように思えるのです。


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欧州議会選挙の行方-イギリス離脱問題にも影響?

2019年05月27日 14時50分55秒 | ヨーロッパ
親EU二大会派、半数割れ 欧州議会選、懐疑派は拡大
イギリスでは、メイ首相が辞任の意向を表明するなど、EU離脱問題をめぐる混迷は深まるばかりです。泥沼状態が続く中、EUでは、今月26日を投票の締切日として欧州議会選挙が実施され、その行方に関心が集まっています。

 EUの統合推進の旗振り役を務めているマクロン大統領のお膝元であるフランスでは、既に選挙結果が判明しており、与党の共和国前進は僅差ながらもマリー・ルペン氏率いる国民連合に敗北を喫しています。黄色いベスト運動を引き起こしたように、強引に新自由主義的政策を推し進めるマクロン大統領に対する失望が逆風となったのでしょう。その一方で、伸び悩みが指摘されてはいるものの、その他の諸国でも、EUへの権力集中に抵抗し、移民政策にも反対の立場にある懐疑派の政党が議席数を増やすものと予測されています。

加盟国代表によって構成される理事会を‘上院’に見立てると、欧州議会は欧州市民を代表する下院とも称されており、理事会と対等の立法上の権限を付与されています。このため、仮に懐疑派が相当数の議席を確保するとしますと、メルケル独首相とマクロン仏大統領が手を結んで進めている統合推進路線の行方も怪しくなります。議席の全体数からすれば懐疑派は過半数を下回ってはいても、中道右派の動き次第では、統合推進法案に対するブレーキ役となる可能性があるからです(法案は原則として欧州委員会が提出…)。中道右派もまた各国の保守層を主たる支持基盤としており、必ずしも主権のEUへの一層の委譲や移民政策の一元化には賛成していないからです。

 そして、仮に、欧州議会の勢力図が懐疑派を含めて右方向に移動するとなりますと、その影響は、イギリスの離脱問題にも及ぶかもしれません。そもそも、イギリスが国民投票によってEUからの離脱を決意した主な理由は、国家の主権的権限である国境管理の政策権限をEUに奪われるとする危機感が国民に広く共有されたところにあります。離脱派の政治家の人々は口々に‘イギリスの主権を取り戻そう’と叫んだのであり、このスローガンには、EUに対する財政移転に関する国民の不満の解消のみならず、主権奪還による移民流入の抑制も含意されていたとも言えます。

こうしたイギリスの立場は、‘人の自由移動’の原則をあくまでも貫く姿勢を崩さなかったEU側とは相いれず、両者が妥協の余地なく対立する要因となったのですが、欧州議会における右派勢力の拡大は、EUの側からイギリスに歩み寄る可能性をもたらします。言い換えますと、イギリスが変わるのではなく、EUが変わるかもしれないのです。国境管理の権限を加盟国に戻す方向で改革が行われ、それが、イギリス側が満足するレベルであるならば、イギリスは離脱を思い止まるかもしれません。あるいは、EU側の変化を理由に、前提条件が崩れたとして、イギリスは、国民投票の再実施を以って再度EUからの離脱の是非を国民に問うかもしれないのです(もっとも、それでも、必ずしも残留票が多数となるとは限らない…)。

従来、欧州議会選挙は、EUに対する親近感が薄いために一般国民からの関心が低く、その投票率も低迷を続けておりました。しかしながら、移民問題といった一般国民の日常生活にまで関わる領域にその権限が広がった結果、加盟国の一般国民も同選挙に対して無関心ではいられなくなっています。欧州議会内の勢力図の変化は、EUのみならず、イギリスの将来をも左右するのではないかと思うのです。

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イタリアはローマ帝国の末裔なのか?-一帯一路覚書問題

2019年03月24日 11時26分14秒 | ヨーロッパ
伊、一帯一路に正式参画 G7で初、中国と覚書
‘ローマは一日にしてならず’という有名な言葉があります。古代にあって北はブリテン島から南は北アフリカまで広大な領域を自らの版図に納めたローマ帝国も、一日で出来上がるわけではなく、数百年という長い年月をかけて構築されてきたことを言い表しており、偉大な構想も長期的なプロセスを要する時にその喩えとして使われてきました。そして、ローマ帝国の建設過程で費やした時間の長さ以上に驚かされるのは、その統治テクニックの巧みさです。こうしたローマ帝国が残した知の遺産からしますと、今日のイタリアは、ローマ帝国の末裔なのか、甚だ疑問に思うのです。

 上述した諺の他にも、ローマ帝国由来の統治関連の諺や格言は少なくありません。特に知られているのが、‘全ての道はローマに通ず’です。前者は、ローマ帝国が全領域に張り巡らした道路網を意味しており、アッピア街道をはじめ、ローマ帝国では、首都ローマを起点として放射状に道路網が張り巡らされていました。現代にあっては、道路の敷設は生活関連並びに産業インフラの整備事業として理解されていますが、当時にあって最大の目的であったのは、軍隊の迅速な移動です。周辺諸国を軍事力で併合したローマは、遠方の国境地帯で反乱が起きた際に即応できるよう、大規模な軍隊が移動可能な堅固な道路を建設したのです。つまり、‘全ての道はローマに通ず’には、首都を中心道路敷設が帝国支配の道具として活用された歴史が含意されており、帝国の覇権主義を象徴しているとも言えます。

 この諺に照らしますと、今般のイタリア政府による中国が主導する一帯一路構想への協力に関する覚書への署名は、自ら中国による‘全ての道は北京に通ず’戦略を呼び込むようなものです。ローマ帝国にあっても軍用道路は域内交易路としても機能したように、表向きの目的は広域的な通商網の建設であったとしても、それは、即、軍事目的に転用可能です。つまり、積極的に一帯一路構想に協力するとします、イタリアは、自国のみならず、同構想が予定している交通ネットワーク上に位置する全ての諸国の安全をも脅かすこととなるのです。

加えて、もう一つ、ローマの著名な統治テクニックを挙げるとしますと、それは、‘分割して統治せよ’です。周辺諸国を征服するにつれ、広大な被征服地を抱え込んだローマが恐れたのは、征服した諸国が秘かに結託してローマに立ち向かう事態でした。被征服地の反乱を防ぐための方策こそ分割統治であり、征服した諸国同士がローマを外す形で軍事同盟等を締結しないよう、予め楔を打っておいたのです。

分割統治の側面から見ましても、今般のイタリアと中国との間の協力の約束は、EU、並びに、自由主義諸国に打ち込まれた楔とも言えます。今般、G5の政府調達をめぐるファウエイ排除の問題でもEU構成国の間で不調和音が生じていますが、米中貿易戦争にあって苦境に立たされた中国は、自由主義諸国の切り崩しに躍起になっています。イタリアを引き込めば、EU、並びに、自由主義国の足並みが乱れ、結束が緩まってばらばらになれば、各国との直接交渉を以ってその全体を攻略できると中国は考えていることでしょう。まさに、ローマ帝国由来の分割統治の発想なのです。

イタリアが一帯一路構想に協力的となった理由は、独仏といったEU内大国の企業に経済を支配されつつある中小国の不満があるとされています(ターゲットとなる国の国内的な不満を吸収するのも外国攻略の常套手段…)。この事情は旧社会・共産主義諸国も同じなそうですが、反グローバリズムとナショナリズムを以って政権の座に就いたコンテ首相の下で、グローバリズムの旗手を自認する中国の経済パワーに靡き、かつ、自国に留まらずヨーロッパ全域の安全保障が脅かされるとしますと、本末転倒の事態とも言えましょう。そして、ローマ帝国の末裔であるはずのイタリアが、現代にあって、長期的な計画の下で中国が同帝国の統治テクニックを巧みに活用していることに気が付かなかったとしますと、あまりにも無防備であり、自国の歴史を忘れていると思うのです。

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5GでEUが空中分解する?-ファウエイ排除をめぐる不一致

2019年02月11日 13時05分02秒 | ヨーロッパ
中国のファウエイ社が企業ぐるみで他国の先端技術の盗用やスパイ行為を働いていたことは、全世界に知れ渡ることとなりました。中国政府もファウエイ側も容疑を否認しておりますが、ファウエイに対する警戒感は高まるばかりです。こうした中、次世代通信網である5G(第五世代移動通信システム)の整備に当たり、アメリカを筆頭にファウエイ製品を政府調達から排除する国が相次いでいます。

 親中派のドイツでさえ、終にファウエイを排除する方向に転じたのですが、EU加盟国の間では対応が分かれているそうです。イギリスは離脱するとしても、EUのさらなる深化を目指してタッグを組むフランスとドイツの両国やポーランドが排除に傾く一方で、イタリア、ポルトガル、ハンガリーといったヨーロッパ南部の諸国はこの問題には消極的なようです。共にEU加盟国であるとはいえ、自国内における情報・通信インフラの整備に関する政府調達の権限は加盟国にありますので、国によって設備の調達先に違いが生じるのです。

 それでは、仮に、G5の敷設に際して加盟国政府の方針によってファウエイ排除国と使用国が混在した場合、どのような事態が起きるのでしょうか。EUは、欧州統合プロジェクトにおいて‘欧州市場’と称される単一市場を形成してきました。そのプロセスにあって、様々な規格や基準が統一され、可能な限り国内市場のごとき‘国境なき広域市場’の実現に努めてきたのです。この文脈にあって、EUはユンケル欧州委員会委員長も旗振り役となって‘単一デジタル市場’の構築にも積極的に取り組んできたのですが、今般、ファウエイ問題をめぐる加盟国間の不一致にり、この構想にも黄信号が点っているように思えます。

 ファウエイ製品の主たる問題点は、自社製品に秘かにバックドアやスパイ装置を組み込むところにあります。つまり、ファウエイ使用国でG5を使用した通信が行われた場合、その情報は、全てファウエイ、否、同社のバックである中国共産党に自動的に‘筒抜け’となるのです。5Gの通信網は全加盟国間で接続される予定ですので、このことは、たとえファウエイ排除国が自国内でファウエイ・リスクを予め取り除いたとしても、同国の機密情報等がファウエイ使用国に流れた途端、この努力は水泡に帰してしまうことを意味します。つまり、EUにあっては、ファウエイ排除によるスパイ防止策は、ファウエイ使用国によって無力化されてしまうのです。

 こうした事態を防止するためには、排除国の政府も国民も、G5を使用する際には、情報を制限するか、G5の他に別の通信網を準備するか、G5の非加盟国との接続を遮断するか、あるいは、G5の導入そのものを諦める…といった方法で対処する必要に迫られます。建前としては、‘欧州市場’には国境はないはずなのですが、G5の導入を機に、EUでは、ファウエイ排除国と使用国との間で新たな‘国境’が出現しないとも限らないのです。

 高速・大量通信を可能とするG5の導入によって、ネットの便利性が高まると共に、AI技術との融合によって様々な分野で新たなネットサービスやビジネスが生まれるとされています。経済活動のみならず、政治から人々の日常生活に至るまで、あらゆる分野の基礎的インフラとなるのですが、G5をめぐる加盟国間の不一致は、それが重要な基盤であるが故に、EUに深刻な分裂を招きかねないのです。G5時代の到来は、同時にEUの空中分解を意味するかもしれず、‘鉄のカーテン’ならぬ、欧州に出現した新たな‘見えない万里の長城’は、米中対立の中で表面化しつつある‘世界の分断線’とも一致しているようにも思えるのです。

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SNSサービス事業者が私的検閲機関になる?-EUの言論規制

2018年09月28日 11時03分27秒 | ヨーロッパ
報道に拠りますと、EUの欧州委員会は、フェイスブック、ツイッター、Youtube等のSNSサービス事業者との間で利用者の投稿内容をチェックし、不適切と判断された投稿を削除する方向で合意したそうです。規制導入の理由としては、移民・難民問題を背景としたヘイト・スピーチ、並びに、イスラム過激派等のテロリストによるSNS利用が挙げられています(移民受け入れ側と移民側の両者)。

 因みに日本国憲法でも、その第21条2項には、「検閲は、これをしてならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあり、検閲行為は固く禁じられています。習近平体制の下で情報統制が強引に推し進められている中国の状況を念頭に、検閲反対の声は、兎角に政府に向かいがちであり、政府が検閲に乗り出しようものならヒステリックなまでの拒絶反応が起きるのですが、民間企業による検閲については、民間企業=自由というイメージが隠れ蓑となって見逃されがちです。しかしながら、政府であれ、民間であれ、誰であれ、SNS上の投稿の事前削除が、一般人をも対象とした検閲行為であることには変わりはありません。この観点から今般のEUの規制を見てみますと、幾つかの疑問点があります。

 第一の疑問点は、SNSサービス事業者が民間による私的検閲機関と化すリスクです。今般の法規制では、投稿の削除作業はこれらの事業者に丸投げされています。乃ち、SNSサービス事業者は、自らの主観的な判断で投稿を削除することができるのであり、その作業は、企業の組織内部で秘密裏に行われます。SNSとは、オープンな言論空間を提供しているように見えながら、その実、私的検閲機関と化した事業者によって言論が裏からコントロールされていることとなります。SNSサービス事業者とは、典型的なグローバル企業であり、かつ、同分野は‘ユダヤ’色も強いという特徴がありますので、自己の基本スタンスに反する移民反対やイスラム教に対しては、とりわけ、厳しい‘検閲’を行うかもしれません(中国には優しいかもしれない…)。

 第二の疑問点は、EUの規制は、SNSサービス事業者の私的検閲機関化である同時に、その本質においては、公権力による間接的な検閲に当たるのではないか、という点です。近年の動向を見ますと、ヘイトやテロに関してだけは、公権力による検閲が許されております。しかしながら、この問題と結びつく移民・難民問題は、今や、欧米諸国を中心に最も関心の高い政治問題と化しています。日本国内でも在日外国人の急増、並びに、政府による事実上の移民政策への転換により、さらに国民の関心は高まることでしょう。今後とも、移民をめぐる議論が活発化することも予測されますが、EUが、今般、規制強化に踏み出したのも、EU自身が移民推進派であることと無縁ではないのでしょう。つまり、自己に都合の悪い言論に対しては、SNSサービス事業者に対して厳しい取り締まりを求める可能性があるのです。

 そして、第3点として挙げられるのが、ヘイト・スピーチやテロ扇動に反応する人々が、当局が恐れる程多いのか、という疑問です。仮に、特定の民族集団に対して虐殺や弾圧まで招くような事態が起きるとすれば、第二次世界大戦前夜のドイツ人のように、一般の人々が極限まで追い詰められるような時代状況を要します。統治制度も整い、事情の異なる今日においては、単なる移民反対の声であれば平和的手段、例えば、移民の送還などの立法措置で解決できるのであり、多くの人々がこのことを認識しているはず。イスラム過激派によるテロ扇動については、殺人の教唆の廉で刑法上の規制対象となるのでしょうが、少なくとも、一般の人々による移民反対の意見を事前検閲によって封鎖する行為は、言論の自由を侵害しかねないのです。この点に鑑みれば、ネオ・ナチ運動などは、敢えて過激な行動をデモンストレーションすることで規制を正当化する‘マッチポンプ’の疑いも拭い去れません。

 EUであれ、SNSサービス事業者であれ、政治的に中立な立場にあるわけではありません。そうであるからこそ、これらによる事前検閲は、一般の人々から言論の自由を奪い、言論空間に監視網をかける結果を招きかねないリスクがあります。移動の自由が認められても、言論の自由を失うのであれば、人の精神的な自由という人間存在の本質に照らせば、本末転倒であるように思えます。最低限、サービス事業者に対しての削除された理由の開示、ならびに、その理由が不適切であった場合の再掲載を求める権利は、投稿者に確保されるべきではないのでしょうか。

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ポーランドの対独賠償請求問題-請求先はロシアでは?

2018年03月23日 16時11分43秒 | ヨーロッパ
ドイツ侵攻で57兆円賠償請求を ポーランド議会が試算
 報道に拠りますと、ポーランド下院の調査チームは、第二次世界大戦におけるナチス・ドイツによる同国が受けた被害を57兆2000億円と試算し、同国政府に対して対独請求を求めたとされております。この対独賠償請求、やはり無理があるように思えます。

 ポーランドの対独賠償請求に対して、ドイツは、1953年8月22日にソ連邦とポーランドとの間で締結された協定において、東西両ドイツを含む“ドイツ”に対する請求権は放棄されたと主張しています。1970年12月7日に署名され、西ドイツ(ドイツ連邦共和国)とポーランドの両国間の関係正常化をもたらしたワルシャワ条約でも、ポーランドによる請求権放棄は確認されたとする立場にあるのです(同条約第4条?)。

 ドイツの主張の背景には、第二次世界大戦におけるポーランドに対する賠償支払いは、ソ連経由であったとする特殊な事情があります。1945年8月2日に締結されたポツダム協定によって、ポーランドに対する賠償支払いは、ソ連に対する賠償としてソ連占領地域から徴収された分から充てられるとされたからです。敗戦当時、ドイツは、経済の疲弊は著しく、賠償の支払いは、在外資産やデモンタージュと称された工場・機械設備の接収によって行われました。ソ連による賠償徴収は苛烈を極め、デモンタージュが1948年に終了した後も、東ドイツ(ドイツ民主共和国)から現物による賠償支払いが継続されたそうです。

 戦前にあっては現在のイメージとは逆に、東西分裂後に東ドイツ地域となるドイツ東部のほうが、旧プロイセン領であり、かつ、首都ベルリンが所在したこともあり、西部地域よりも産業が格段に発展していました。その東ドイツが、戦後は工業生産力の低い後進国に転落するのですから、ソ連邦の賠償取立ての過酷さが窺われます。長期にわたって蓄積されてきた工業生産力が根こそぎドイツから徴収されたのですから、その額は、現在の価値で換算すれば、今般の賠償請求額を上回るかもしれません。

 こうした戦後史を考慮しますと、仮に、ポーランドが賠償を請求するのであれば、その請求先は、ソ連邦、即ち、現ロシアではないか、という疑問が生じます(ドイツとソ連邦の両面侵攻によりポーランドは分割されており、ポーランドは、同侵略行為に基づく対ソ(ロ)賠償請求権もあるのでは…)。ソ連邦は、自らはドイツ領内から賠償を強制的に取り立てながら、ポーランドに対しては被害を償うに足る賠償分配を行わなかった可能性があるからです。また、ソ連邦のポーランドに対する賠償分配が十分な額であったとすれば、今般のポーランドの請求は、ドイツに対する二重請求となりましょう。果たして、今般の問題に対して、ポーランドに出自を遡るメルケル首相は、どのような対応を見せるのでしょうか。

 戦争被害に対する賠償問題とは、それが法的な権利である以上、国際社会における国際法秩序の成立を前提としております。そうであるからこそ、賠償請求は事実、及び、法的関係に基づくべきであり、請求先や根拠を誤ってはなりませんし、ゆめゆめ勝者による敗者からの掠奪や“被害者ビジネス”と化してはならないと思うのです(もっとも、真の戦争責任はどこにあるのか、という道義をも含む歴史上の難問が残る…)。

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マクロン大統領のEU路線では仏国民負担増では?

2017年06月13日 16時53分11秒 | ヨーロッパ
仏野党、「一党支配」阻止に全力へ=大統領新党が圧勝の勢い―下院選
 フランス下院選挙では、共和党、並びに、社会党の左右両党から有力幹部を引き抜いて閣僚に据えたことから、”マクロン新党”である「共和国前進」が圧勝するシナリオも現実味を帯びてきました。7割を越える議席を獲得するとの予想もあり、既存政党は、一党支配の阻止に全力を挙げているとも報じられています。

 ところで、7割という数字からすれば、”マクロン新党”は圧勝と言えるのですが、フランス国民は、マクロン大統領の政策を積極的に支持しているのでしょうか。第一回投票の投票率が最低であることも然ることながら、マクロン大統領の掲げるEU政策は、フランス国民にとりましては財政面では負担増となる可能性があります。

 同大統領は、大統領選挙時よりEU深化を基本方針として掲げており、特にユーロ圏共通予算の設立や経済財務相ポストの新設が、財政統合路線として注目されてきました。共通予算の下でEUの財政基盤が強化され、財政権限も拡大すれば、南欧諸国等の債務危機に陥った加盟国を救済したり、加盟国への投資も増やすことができるとする主張です。財政統合は、ソブリン危機を思い起こせば、EUの安定化に貢献するのでしょうが、それは同時にEU内における加盟国間の財政移転の強化を意味します。言い換えますと、豊かな加盟国のEUに対する財政支出が増加する一方で、財政的に苦境にある諸国は、EU予算から支援を受けることができるようになるのです。

 マクロン大統領の主張は、豊かなドイツからのフランスへの財政移転を念頭に置いているとする説もありますが、EUの財政の現状を見ますと、フランスは、財政的にはEUに対して出超国です。しかも、同様にEU予算を支えてきたイギリスが離脱するとなりますと、地域政策等の下で現在実施されている南欧や中東欧諸国への財政移転も、他の国が肩代わりする必要があります。となりますと、フランスは、EUから財政支援を受ける側ではなく支援を行う側となる公算が高く、それはとりもなおさず、フランス国民の肩に財政負担が重くのしかかることを意味するのです。

 財政統合については、ドイツ国内でも財政負担増から反対の声が根強いのですが、フランス国民は、この問題をどのように考えているのでしょうか。そして、仮に財政統合を実現させたとしても、予算や負担をめぐって、加盟国のみならず、EUレベルの各種利益団体や業界が入り乱れる熾烈な争いも起きないとも限りません。マクロン大統領のEU路線は、フランス国内においても、また、EUにとりましても、波乱含みではないかと思うのです。

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問われるイスラム系カーン市長の責任ーロンドンテロ事件

2017年06月05日 15時08分51秒 | ヨーロッパ
英、テロ容疑者の捜査本格化=ISが犯行主張―パキスタン出身27歳主犯格か
 イギリスでは、マンチェスターに次いで首都ロンドンでも、ワゴン車の暴走による凄惨なテロ事件が発生しました。主犯と目されるテロリストは、パキスタン出身の27歳の男性であり、ISが犯行声明を出したとも報じられております。

 首都ロンドンと言えば、EU離脱を問う国民投票を前にして、史上初めてのイスラム系市長が誕生しています。当選したサディク・カーン市長は、移民2世とはいえ、今般のテロ事件の主犯と同様にパキスタン出身者のイスラム教徒であり、その当選に際しては、多様性、あるいは、寛容の精神の勝利として報じられたものです。近年、テロ事件が相次ぐ中、労働党党員や有権者の中には、ロンドン市長にイスラム系の政治家を据えることで、イスラム過激派の動きを内部から抑えてもらうとする期待もあったのかもしれません(”イスラムを以ってイスラムを制する”とする発想…)。あるいは、敢えてイスラム教徒を多様性の一つとして受け入れる姿勢を示すことで、イスラムの攻撃性を和らげようとしたとも推測されます。

 ところが、これらの淡い期待は、今般のテロ事件で吹き飛んでしまったかのようです。当のカーン市長に至っては、”テロが起きても怖がるな”とするリベラル特有の欺瞞的なコメントを述べるにとどまり、大西洋を隔てたアメリカのトランプ大統領にまで無責任として批判されています。テロに対する恐怖心の有無は表面に現れているわけではありませんから、テロを抑止する効果があるとは思えず、また、恐怖心という人間の本質の放棄を人々に迫るのですから、非人間的な手法と言わざるを得ません。結局、カーン市長は、テロリストを厳しく断罪するよりも、同郷のテロリストを庇い、テロの責任をイギリス国内のイスラム教徒に対する一般イギリス人の偏見や差別に転化したいようなのです。

 今般のロンドンのテロ事件は、ロンドン市長という要職を任せても、イスラム教徒は満足しないことを示しております。そしてこの事件は、首都の治安を預かり、人々の安全を守る立場にあるカーン市長に対して、その立ち位置と責任を鋭く問うていると思うのです。

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全世界の移民はフランスを目指す?-フランス革命の後遺症

2017年05月15日 15時20分29秒 | ヨーロッパ
マクロン新大統領就任=仏最年少、初の非大政党系
 先日、NHKのBS1スペシャルで、”欲望の民主主義~世界の景色が変わる時~”と題して、フランスの大統領選挙とフランス社会の現状を取材する番組が放送されていました。番組構成については掴みどころのない支離滅裂な感が否めなかったのですが、フランスの混迷は、かのフランス革命が残した後遺症と言えるのかもしれません。

 当番組では幾度となくフランスの”建国”に言及していましたが、不思議なことに、NHKの云う”建国”の時期とはフランク王国ではなく、フランス革命を機とした共和国成立時です。そして、著名な識者を登場させながら、革命時に建国の理念として掲げられた”自由、平等、博愛”の堅持こそ、今般のマクロン大統領選出の要因であると共に、この理念を否定したところにルペン氏の敗因があったという論調で番組が進行しているのです。

 フランスの歴史的な建国時期は一般的には5世紀のメロヴィング朝フランク王国とするのが適切であり、フランス革命は、体制の転換期として捉えるべきと思われます。実際に、革命後もルイ・フィリップによる王政復古やナポレオン家による二度の帝政もあり、政体が二転三転してようやく第3共和政あたりから共和制が定着したのですから。”建国”をフランス革命に求める見解にも疑問があるのですが、そもそも、当番組は、フランス革命における”自由、平等、博愛”のスローガンが、常に理想とは逆の結果を招いてきた歴史については、短く紹介する程度にしか触れてはおりません。ロベスピエールによる恐怖政治は、フランス国内において人権の尊重どころか反革命勢力に対する大虐殺をもたらし、フランス革命は、暴力と殺戮を正当化する血塗られた革命となりました。加えて、同スローガンに含まれる普遍性は、フランス帝国主義をヨーロッパ大に推し進める口実ともなりました。好都合なことに、フランス革命の理念は、他の諸国にも熱烈な賛同者を獲得することとなり、かのゲーテさえも、当初はフランス革命を絶賛していたのです。”ここから、そしてこの日から、世界史の新しい時代が始まる”として(ヴァルミーの戦におけるフランス革命軍の勝利を祝して…)。

 フランス革命戦争は、やがてフランス帝国による征服事業へと転化され、ナポレオン体制の成立が他のヨーロッパ諸国を帝国支配の頸木に繋いだのは無視できない歴史的事実です。普遍的な価値には国境がありませんので、フランス革命の理念は、普遍的価値の下において周辺諸国の支配を許す正当化イデオロギーとして機能したのです。そして、ナポレオン時代にあっては、革命の理念は対外的な膨張主義としてヨーロッパ全土に戦禍をもたらします。

 今般、フランスが同理念を再確認し、それをさらに追求するとなりますと、革命の理念は、今度は、外ではなく、内に向かってフランスに禍の渦をもたらさないとも限りません。何故ならば、理念の普遍性には、外に向かっても内に向かっても、境界の概念が存在しないからです。つまり、同理念を徹底すれば、フランスは、自らの国境を全世界の人々に向けて開放せざるを得ないのです。

 今日のフランスが”自由、平等、博愛”を高らかに宣言することは、同理念の尊重を条件にするにせよ、EUのみならず、全世界の移民希望者に対して受け入れを表明するに等しいこととなります。マクロン大統領は、選挙期間にあっては多様性の尊重に基づく移民容認政策を公約に掲げておりましたが、果たして今後とも、自らの理想を貫くのでしょうか。フランス革命の理念は、理想と現実の間で人々を引き裂き、自己矛盾との闘いを強い、そして、周囲の人々を巻き込むという意味において、今日に至るまで、フランスとフランス国民を苦しめ続けているように思えるのです。

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マクロン政権の行方ー新自由主義には統合力がない

2017年05月09日 17時04分28秒 | ヨーロッパ
マクロン氏、風頼みの船出 仏総選挙が基盤安定の試金石
 今般のフランス大統領選挙は、フランス国内の分裂の深刻さを浮き彫りにしたとも評されております。これを裏付けるかのように、当選を決めたばかりのマクロン氏は、パリ市内おいて”マクロン辞めろ”の大規模デモに見舞われたと報じられています。

 選挙期間を通じて深まった国内分裂を前にして、マクロン政権の重要課題は、フランスに和解と連帯、即ち、統合をもたらすことにあると指摘されております。しかしながら、氏が心酔する’中道’という名の新自由主義に対して統合力を期待することには無理があります。何故ならば、新自由主義とは、国家を消滅させることによって、はじめてその理想を実現することができるからです。新自由主義者は、全世界を一つの自由なグローバル市場と見なし、国境という障壁に阻まれることなく自らの事業を最適に分散化、かつ、もの、サービス、資本、人、技術、情報など自由に移動させることで、自らの利益を最大化することを目指します。新自由主義の方針に従えば、マクロン氏の唱えた”競争力の強化”は、以下の結果を招くことが予測されます。

 第1に、フランスが、労働コストにおける国際競争力を回復するには、賃金レベルの低下をはかるか、安価な移民労働力を受け入れるしかありません。先進国における競争力の回復とは、即ち、国民の生活レベルの低下と移民の増加と同義となるのです。また、事業の最適分散の原則に従えば、大量失業を伴う製造拠点の移転も、民間企業に対して奨励すべき政策となります。

 第2に、新自由主義者は、民間企業に対して新たな成長産業分野への投資を促します。しかしながら、新自由主義者の理想が、国籍を問わない徹底した能力主義と多様性の尊重である限り、グローバル企業に雇用される人材とは、何れにしても外国人が多数を占めることになります。一般のフランス国民の雇用のチャンスは、減少こそすれ、増加するとは思えないのです。

 第1に関連して第3に、新自由主義者が利益を得ている事業の一つは、”移民ビジネス”や”企業合併ビジネス”です。日本国における新自由主義の代表格である竹中平蔵氏がパソナの会長であるのは偶然ではありませんし、国境を越えた企業合併や買収の増加は、多国籍企業が増加すると共に、資金を提供する金融部門にとりましても利益を得るチャンスとなるのです。

 第4に、グローバルな競争において敗者となった人々への対応をめぐりましては、政府が、失業者に対して手厚い職業訓練等を実施し、成長産業への人材シフトを促すとされていますが、そもそも、雇用側の企業は、外国人や移民を優先的に雇用する方針を採っておりますので、新旧産業の間に勤務内容において著しいギャップがある場合には、このギャップを埋めるのは至難の業です。工場で組み立て作業を行っていた勤労者が、工場閉鎖によって職を失った場合、たとえ一定期間の職業訓練を受けたとしても、人材が不足気味とされているAI産業の技術開発部門において職が見つかるとも思えません。

 第5に指摘し得ることは、公益事業の民営化もまた、新自由主義政策の基本路線であることです。マクロン氏は、貧困対策の財源として5年間で12万人の公務員削減を主張していますが、おそらく、民営化にともなっての人員削減を実行に移すと予測されます。民営化されれば、当然に、効率性重視の大規模なリストラが実施され、全土に失業者が溢れることでしょう。しかも、民間企業ともなれば、もはや公務員ではありませんので、被雇用者をフランス国籍に限定する義務もなくなります。

 以上に主要な点を挙げてみましたが、何れもが、統合とは正反対の方向性を示しています。新自由主義政策は、”移動”や”格差”を利益の源泉としているため、国家や国民に対して強力な分解力として働くのです。このように考えますと、新自由主義者に統合力を期待することは、不可能に近いのではないかと思うのです。

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ルペン氏の敗因とは-”保守”に成りきれなかった?

2017年05月08日 16時35分36秒 | ヨーロッパ
独首相、EU結束支持姿勢を評価=仏大統領選
 5月7日に実施されたフランス大統領選挙の決選投票において、結局、国際新自由主義陣営が推すマクロン氏が大統領に選出される運びとなりました。それでは、何故、ルペン氏は敗北したのでしょうか。今般の選挙では、マクロン氏が国民からの熱狂的な支持を受けて勝ったというよりも、ルペン氏が勝てなかったといった方が適切であるかもしれません。

 ルペン氏自身は国民戦線の保守政党化を目指しながら、マスメディアが、”極右”のレッテルを決して外さなかったことも然ることながら、同氏の公約には、フランスの一般的な保守主義者には受け入れがたい政策がありました。’保守’の定義の問題はありますが、特に安全保障において親ロシア路線を掲げており、NATOや独仏和解の象徴としてのEUを重視してきた従来のフランス外交とは、一線を画するものでした。過去において、18世紀の外交革命以降のフランスは(七年戦争における仏墺露の対普連合…)、ドイツ勢力を牽制するためにロシアと結ぶ傾向にはあったのですが、ルペン氏が示したフランス外交の基本路線の転換は、戦後の一般の保守層にとりましては、ハードルが高かったと言わざるを得ないのです。

 なお、ロシア関係においては、ルペン氏には、始終、プーチン大統領の影が見え隠れしていました。真偽のほどは分かりませんが、選挙に際してロシアからの支援を受けている、あるいは、ロシアが、マクロン陣営にサイバー攻撃を仕掛けているといったネット上に流布された情報は、同氏に対するぬぐい難い不信感をもたらし、ルペン陣営にマイナスに働いたことでしょう。

 また、ルペン氏は、国民投票を約しながらも、’EU離脱’というハードランディングを唱えるに終始した頑迷さも、保守層一般からの支持を集めることができなかった一つの要因と考えられます。思慮深いフランス・ファーストの保守政治家であれば、まずは、EUに対して、”人の移動の自由”や”設立の自由”(サービスの自由に含まれ、製造拠点の国境を越えた移転を意味する…)といった原則の見直しを求めたり、国境管理に関する主権を取り戻すといった、内なる改革案を提示したはずです(EUの主要メンバーである強みを活かした条件闘争…)。加えて、ユーロ圏離脱後のフランス・フランの地位についても、英ポンドの地位に類することになる訳ですから、具体的なプロセスや詳細を説明していれば、それ程、国民に動揺や不安感を与えずに済んだかもしれません。

 仮に、イギリスの保守党のように、親NATO、国民ファースト、及び、EUに対して国境管理権や通貨権限といった主権的権限の保持を訴える”保守”の政治家がフランスに存在したならば、マクロン氏に敗れることはなかったのではないでしょうか。新自由主義への反対から保守層への支持を広げつつもマクロン氏に敗れたのは、ルペン氏が”保守”になりきれなかったとろこにあるのではないかと思うのです。

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追い詰められる不幸なフランス国民

2017年04月26日 15時20分11秒 | ヨーロッパ
【仏大統領選】マクロン氏が大はしゃぎ? 決選投票決定後に有名店で宴会 「成金候補」と批判
 フランスの大統領選挙では、第1回目の投票の結果、エマニュエル・マクロン氏とマリーヌ・ルペン氏が決選投票に残こり、5月7日の第2回目の投票により、いよいよ次期フランス大統領が選出されます。世論調査によりますと、60%以上の支持を集めてマクロン氏がリードしているとされていますが、この選挙、フランス国民を追い詰めているように思えます。

 当選挙は、巷では、”フランス・ファースト”と”グローバリズム・ファースト”の真っからの対立とも称されています。この対立軸での選挙は既にイギリスとアメリカを舞台に実施されていますが、メディアの予想が外れる現象がフランスでも繰り返されない限り、フランス国民は両国とは逆の選択をするものと予想されているのです。”極右よりはまし”というフランス国民の消去法的な選択と説明されているものの、この選択は、フランス国民にとりましては相当に酷です。何故ならば、マクロン氏の政策を見る限り、フランスを葬り去る可能性すらあるからです。”国民の選択”の名の下で…。

 投資銀行であるロスチャイルド銀行出身のマクロン氏の政策方針を見ますと、経済相時代に「マクロン法」と呼ばれた民営化や自由化政策を実現しており、自由主義、否、”新自由主義”に軸足を置いているようです。”グローバリズム・ファースト”のみならず、親EUの立場にもあり、優先順位としては、グローバリズム、EU、そしてフランスの順なのでしょう。当然に、移民受入にも積極的であり、多様性を尊重する立場から、移民を含む貧困層に予算を振り向け、社会統合の促進を目指すとされています。財政再建策としては、公務員の12万人削減を約束はしていますが(12万人の失業者はどうなるのでしょうか…)、移民対策に加えて、所得税や法人税の減税、500億ユーロの投資(再生可能エネルギーの促進、農業改革、医療介護分野でのイノヴェーション…)、警官の1万人増員やテロ対策強化…を計画しており、財政削減一辺倒ではないようです(新自由主義政策促進のためには予算は割く…)。

 マクロン氏の人物評としてはバランス重視ともされていますが、これらの政策は何れも極めて”新自由主義的”であり、バランスどころか極端な偏りが目立ちます。むしろ、国際経済勢力が計画し、日本国政府も導入を進めている新自由主義の政策綱領の”いろは”と言っても過言ではありません。氏が大統領に当選すれば、フランスは古来のフランス人の国では最早なくなり、”ミニ・世界市民社会”が出現することでしょう。しかも、今般、問題視されている行き過ぎたグローバリズムの欠陥や欠点は是正されず、ブレーキではなくアクセルが踏まれることで、さらにマイナス方向への拍車がかかるのです。もちろん、”ミニ・世界市民社会化”を支持する国民もありましょうが、少なくない一般フランス国民は、中間層からの脱落のみならず、かつてない程のアイデンティティーの危機と喪失感に苦しむのではないでしょうか。

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思わぬドイツ銀行救世主の登場

2016年10月07日 09時51分53秒 | ヨーロッパ
低成長、長期化を懸念=IMF専務理事―G20
 ECBのマイナス金利政策や住宅担保ローン不正販売の件でアメリカ司法省から巨額の和解金の支払いを求められたこともあり、ドイツ銀行は、現在、経営危機の最中にあります。ドイツ国内では、同行の破綻を想定してか、家庭用金庫の販売が伸びているとの指摘もあります。

 ドイツ銀行の経営危機に対しては、メルケル首相は、これまでのところ政府による救済については消極的な姿勢なようです。一民間金融機関の救済に、国民が納めた税金が投入されたのでは国民からの反発を招く、というのが救済に尻込みする理由なのでしょう。しかしながら、家庭用金庫が実際に一般のドイツ国民によって購入されているとしますと、既に、水面下においては、ドイツ銀に預金口座を有する国民による預金の引き出しが起きており、一般国民の財産喪失の危機感も高まっているものと推測されます。ドイツ銀の破綻はドイツ全体に与える影響は計り知れないのですが、少なくとも政府の態度は、冷ややかなのです。一方、IMFのラガルド専務理事も、ドイツ銀に関連して「多くの銀行は現在の金融情勢に合わせ、ビジネスモデルを見直していく必要がある」と語り、自助努力を説くに留めています。それでは、誰も、ドイツ銀に救いの手を差し伸べないのでしょうか。実のところ、思わぬところから、救世主が登場するかもしれないのです。

 メルケル首相の否定的発言があった後だけに、殊更に強い印象を残したのが、ドイツ企業によるドイツ銀支援声明です。シーメンスといったドイツ企業大手が名を連ねていましたが、”ドイツ銀は、内外におけるドイツ企業の活動を金融面から支える重要なパートナーであり、今後とも、ドイツ銀を支えてゆく準備がある”旨を述べたのです。支援の具体的な内容が、ドイツ銀に対する資本増強資金の提供や早期債務返済等の資本・財務面での支援であるのかは不明ですが、グローバル化の時代とされながら、政府にも見捨てられそうなドイツ銀に、最後に救いの手を差し伸べたのが、外でもない民間のドイツ企業であるとしますと、これは、極めて興味深い”政府抜き”のナショナリスティックな現象です。

 そして、もう一つ、思わぬ救世主が出現するとしますと、それは、EUです。ギリシャ危機に代表されるソブリン危機を経験したEUは、再発防止のために、総額7000億ユーロの基金を擁するESM(European Stability Mechanism))と呼ばれる救済メカニズムを設立しました(2012年10日8日から運営開始)。主たる救済の対象は、財政危機に陥っている加盟国政府ではあるものの、金融危機の連鎖性を考慮し、経営危機にある民間金融機関をも救済対象に含める方針を示しています。現在、ギリシャ政府はESMからの救済融資を受けていますが、ギリシャ危機に際して救済に最も難色を示したドイツの銀行もまたESMによって救済され、そして、それが自らをも救うことを意味するとなりますと、何とアイロニーに満ちた運命なのでしょうか。

 実際にドイツ銀が救世主を必要とするほど深刻な状態にあるのかは分からず、また、事の重大に気が付いた、もしくは、世論に押されたドイツ政府が、自ら救済に乗り出すかもしれません。しかしながら、上述した思わぬ救世主登場の可能性は、世の中は単純ではないことを示しております。ドイツと言えば、戦前にあってナチス政権下に国家ナショナリズムを経験した国ですが、今般の’政府抜き’のナショナリズムであれ、EUの地域主義であれ、ドイツが新たな局面を迎えていることを示唆する注目すべき現象ではないかと思うのです。

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