万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”希望の同盟”としての日米同盟-謝罪よりも重要な行動

2015-04-30 15:20:20 | アジア
【日米首脳会談】安倍首相、米議会演説で「希望の同盟」を強調(産経新聞) - goo ニュース
 本日未明に、アメリカ議会において、内外が注目する中、安倍首相が演説を行いました。メディアの中には、謝罪が足りないとして不満げな報道もあるようですが、言葉の謝罪よりも重要なのは、日本国が、”何をするのか”ということではないかと思うのです。

 直接的な謝罪はないものの、演説の一文には、アジア諸国が戦場となったことに鑑みて、「痛切な反省」という言葉が使われております。敵味方両軍の戦闘において、アジア諸国の民間人の多くが巻き添えになり、大切な家族や家屋を失うといった悲劇に見舞われたことは、否定のしようもない事実です。当時、アジア諸国の大半が植民地であり、第二次世界大戦が独立への重要な契機とはなったとはいえ、そのために払われた犠牲は決して小さくはなかったのです。歴史における犠牲の重みを考えますと、表面的であり、かつ、その場限りで消えてしまう口先だけの謝罪の言葉よりも、誠実に平和への貢献を果たす方が、よほど、払われた犠牲に報いることになります。”歴史を忘れない”とは、事実そのものの記憶を保つよりも、導き出された教訓を後世に活かし、より高次な倫理観に至ってこそ、初めて”忘れない”、即ち、人類の発展の一つの階段として歴史に刻まれるのではないでしょうか。この意味において、日本国は、自らの行動によって過去に対する反省を示すとともに、法の支配を含む普遍的な諸価値を尊重しております。

 第二次世界大戦は多面性を持つ故に、”誰が誰に謝るべきか”と言う問題は、極めて複雑な様相を呈します。双方の謝罪要求の応酬は、しばしば不毛の論争となると共に、平和の回復後にあっても対立の再燃要因にさえなります。日米同盟が、アジアの安定と平和に、そして、国際社会の発展に貢献する時、その時こそ、過去に払われた多大なる犠牲が、真に人類の歴史に記憶された時なのではないかと思うのです。

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核の非人道性に関する日米共同声明-将来に向けた歴史の克服

2015-04-29 15:30:11 | その他
核兵器使用は「壊滅的で非人道的」 日米共同声明を発表(朝日新聞) - goo ニュース
 日本国の安倍首相の訪米とほぼ時を同じくして、ニューヨークでは、NPTの再検討会議が開催されております。当会議に関連して、昨日発表された日米両国の首脳による共同声明でも、核に関する合意内容が含まれております。

 日本国は、第二次世界大戦の末期において広島と長崎に原子爆弾を投下され、唯一の被爆国となりました。そして、このことは、原子爆弾を投下したアメリカが、唯一の核使用国であることを意味しております。原爆投下に関しては、日本人の民間人が一瞬にして街もろとも焼き尽くされたわけですから、日本国内では戦争犯罪論が根強い一方で、アメリカ国内では、本土決戦による犠牲を減らす、あるいは、ソ連軍の侵攻を阻止するためには致し方がない選択であったとする世論が未だに優勢です。原爆投下をめぐっては日米両国は対極の立場にあり、一致点を見出すことは困難に見えたます。しかしながら、今回の共同声明では、外務省の仮訳によりますと、「広島及び長崎の被爆70年において、我々は核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末を思い起こす」と記されているそうです。実のところ、この言葉を聞いて、胸のつかえが下りた感覚をもった日本人も少なくないのではないかと思うのです。アメリカが過去の歴史における原爆投下の不当性を認め、直接にその行為を謝罪したのではないのですが、この言葉には、原爆投下から70年を経た今日の、核使用を非人道的なものとして否定するアメリカの立場と倫理観が読み取れるからです。つまり、原爆投下をめぐる日米間の和解は、将来に向けて両国が同じ方向を向くことで、半ば達成されているのです。

 中国やロシアからは核の先制使用の噂が流れており、核の抑止力という現実的な側面を見過ごすわけにはいきませんが、相手国の過去の行為を糾弾し、執拗に謝罪や賠償を求めるよりも、両国は、はるかにスマートな方法で歴史上の蟠りを克服したのではないでしょうか。

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東京裁判と歴史修正主義-中韓こそ歴史修正主義では?

2015-04-28 17:09:43 | アメリカ
「安倍政権に歴史粉飾の意図ない」 外務省、米紙に反論(朝日新聞) - goo ニュース
 今月20日に、ニューヨーク・タイムズは、安倍政権の歴史観について”歴史修正主義”ではないか、との疑念を提起したそうです。この記事に対して、日本国の外務省も同紙に反論文を寄せたそうですが、本日の記事では、東京裁判と歴史修正主義との関係について考えてみたいと思います。

 最近の日本国内の村山談話否定の動きを批判的に語る人々の中には、東京裁判で示された歴史観こそ、”絶対に正しい正統な歴史”とする見方を示す人も見受けられます。それでは、東京裁判では、実際に、”侵略”と”植民地支配”は、どのように扱われているのでしょうか。東京裁判における”侵略”の罪は、英蘭仏の植民地に対する侵略であり、日本国が、中国大陸や朝鮮半島を侵略したとは見なされておりません(アメリカに対しては、宣戦布告なき相手領域への攻撃が侵略とみなされている…)。満州事変以来の戦争は”不当な戦争”と表現され、しかも、中華民国との戦争に限定されております(中国共産党は無視…)。”南京大虐殺”とされる南京事件も、民間人犠牲者10万人の根拠は疑わしいものの、人道に対する罪ではなく、戦争法規違反として判決が下されています。また、植民地支配についても、東京裁判では訴因にすら挙げられていないことは、既に昨日の記事で述べました。仮に東京裁判の歴史観が絶対不可侵としますと、中国大陸を念頭に日本国の”侵略”を認め、朝鮮半島とアジア諸国の占領地を想定して”植民地支配”を糾弾した村山談話こそ、東京裁判史観から逸脱していることになります。アジア・アフリカ諸国が独立した今となっては、旧連合国諸国も、植民地の侵略を”侵略”と認定した東京裁判について、どこか決まりの悪さを感じるかもしれません。東京裁判を”絶対に正しい歴史”とすると、植民地主義を正当なものとして認めたことになるのですから。また、宣戦布告なき真珠湾攻撃についても、それに至る過程と当時の国際状況をつぶさに観察しますと、アメリカを積極的に”侵略”することが日本国の戦争目的であったとも思えません。

 このように考えますと、対日歴史修正主義の急先鋒である中韓やそのロビー活動を受けたメディアこそ、実のところ、東京裁判史観からしますと最大の歴史修正主義者とも言えます。そして、このことは、歴史修正主義の批判が、政治と歴史研究の区別もない、如何に根拠の薄いものであるかを示していると思うのです。

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国際社会の暗黙の了解を覆した村山談話

2015-04-27 15:25:58 | アジア
安倍首相「歴史的な訪問に」=米国へ出発、28日に首脳会談(時事通信) - goo ニュース
 昨日の午後、安倍首相は、日本国の首相としては9年ぶりの米国公式訪問に向けて羽田を出立しました。訪米を前にして、首相の米議会での演説内容が関心を集めており、”侵略や植民地支配に対する反省と謝罪”を求める中韓からの圧力も報じられております。

 ところで、”侵略”と”植民地支配”という言葉は、1995年の村山談話において最初に用いられたものですが、最近の論調を見ますと、”日本国の首相が演説や談話において、これらの言葉を使わないと、戦後の国際秩序への挑戦と捉えられかねない”とする意見が見られます。しかしながら、考えてもみますと、日本国が国際社会に復帰したのは、村山談話が公表された1995年以前のことであり、サンフランシスコ講和条約の締結(1952年)と国連への加盟(1956年)を以って実現しています。この時、東京裁判については、講和条約の第11条に”連合国戦争犯罪法廷の裁判(judgementsは判決の訳の方が適切では…)を受託し”とあり、講和条約本体には、”侵略”や”植民地支配”といった文字は見られません。その後、正式な手続きを経て戦犯も赦免されており、講和に際して連合国から特段に戦争犯罪について念押しされているわけでもないのです。”おそらく、現代司法の原則に照らして東京裁判に瑕疵があることを連合国側も承知しており、双方とも深入りはせず、暗黙の了解のもとで不問に付したとも言えます。ところが、1995年の村山談話は、この暗黙の了解を覆すことになります。何故ならば、講和条約にさえ明記されなかった罪状を並べ立てたことで、その後、中韓が、”侵略”と”植民地支配”の”事実認定の受託”を迫ることになったからです。東京裁判でさえ、対中戦争は”侵略”ではなく”不当な戦争”と表現され、植民地支配”に至っては、訴因にすら挙がっていないにも拘わらず…。東京裁判における事実認定が証拠不足であり、疑わしい判決もあることは既に指摘されておりますが、”侵略”や”植民地支配”のみならず、”南京市民30万人無差別大虐殺説”や”20万人朝鮮人慰安婦強制連行説”をも事実として認めるように迫られるとなりますと、日本国もまた、事実に反するものとして実証的な観点から反論せざるを得ません。そして、日本国側の反論は、暗黙のうちに葬り去ったはずの東京裁判の判決を、実証の俎上に上げることを意味したのです。つまり、中韓にとりましては、”歴史問題”の対日提起は、対日要求の外交カードとなると共に、日米離反や国際社会における日本国の信頼低下にも有効なカードとなったのです。

 村山談話を境に、サンフランシスコ講和条約の締結国となった連合国諸国との間の暗黙の了解が覆されたとしますと、このスタンスをそのまま踏襲するよりも、村山談話以前の状態に戻す方が、よほど国際社会は安定します(史実の追求は、学問に任せる…)。19世紀初頭頃までの講和条約には、相互恩赦や相互不問等に関する条項が設けられておりますが、歴史を教訓に国際社会が日々発展していることを考慮しますと、未熟であった過去の時代の出来事に関する感情については、”忘却の彼方に葬り去る”とする、かつての講和条約の精神を思い起こしてもよいのではないかと思うのです。

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BISの新規制は国債暴落を誘発する?

2015-04-26 14:38:03 | 国際経済
 本日の日経新聞の一面に、バーゼル銀行監督委員会が、銀行の国債保有について新たな規制を導入する見通しであるとの記事が掲載されておりました。規制案には二つの選択肢があるそうなのですが、どちらを採りましても、国債暴落を加速させるリスクがあるのではないかと思うのです。

 新規制の導入の趣旨は、国債の金利上昇リスクによる銀行経営の不健全化の防止にあります。つまり、銀行の国債保有そのものが、リスクと認識されているのです(住宅ローンや企業向け長期融資も同列に扱われるらしい…)。新たな方針の下で作成された2案とは、金利の上昇リスクが高まった場合、(1)銀行に対して、BISが新たに設定した基準に基づき、国債の一部を売却するか、資本を積み増ことを義務付ける、(2)金融当局の監督権限を強化し、金融当局が、個別の銀行に対して、国債の一部の売却、あるいは、資本増強の行政処分を行う、とするものです。第一案と第二案の違いは、ルールに従い義務的に銀行が自主的に実施するか、あるいは、金融当局が行政処分を以って実施させるかにあり、どちらであっても、対応策として国債の売却や資本増強が要求されることにおいては変わりがありません。資本増強が、”貸し渋り”や”貸しはがし”を招くことは、既に自己資本規制導入時に経験済みですが、国債売却の危険性は、資本増強を遥かに凌ぎます。当記事でも指摘されているように、この規制が実施されますと、国債リスク上昇局面で、銀行が、保有する国債を義務的に売却することになるからです。リスクが高く、国債価格が低下傾向にある国債が、債券市場で一度に大量に売却されれば、国債価格の暴落が引き起こされることは目に見えております(売り浴びせ状態…)。
 
 高リスクの国債を手放せば、確かに銀行の健全性は保たれますが、そのリスクは消滅するのではなく、国債を発行している諸国に移転されます。ギリシャはひとたまりもないでしょうし、国債発行高が抜きん出ている日本国もまた、ソブリン危機に直面する可能性が高まります(日銀が買い支え?)。バーゼル銀行委員会が、何故、リスクがリスクを呼び、ソブリン危機を世界大に拡散する怖れのある規制を提案したのか、不思議でならないのです。

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中国は指向性エネルギー兵器の実験を行ったのか?

2015-04-25 12:29:16 | アジア
フィリピン軍用機に強い光 中国船が照射か 南シナ海(朝日新聞) - goo ニュース
 南シナ海では、軍用を睨んだ岩礁の埋め立てを強行する中国に対してフィリピンは警戒を強め、軍用機による周辺海域における偵察活動を強化しております。緊張が高まる中、フィリピン軍用機が何らかの”強い光”を照射されたとする情報も飛び込んでまいりました。

 ”強い光”の正体は明らかにはされておりませんが、中国軍が、レーザー兵器の実験を行った可能性も否定できません。レーザー兵器に関しては、中国は、毛沢東時代から旧ソ連邦の支援を受けながら開発に着手しております。今日では、開発した兵器として、レーザー兵器のみならず、マイクロ波発射装置、粒子束発射装置など、指向性エネルギー兵器と呼ばれる数々の兵器の名が挙がっております。当初は、人工衛星をレーザーで攻撃する衛生攻撃兵器に関心が集まっていましたが、2014年11月には、国営新華社通信が、小型無人機、つまり、ドローンを撃墜できるレーザー兵器を開発したと発表していますまた、最近では、海外メディアにおいて、中国は国内弾圧にレーザー兵器を使用するのではないか、とする憶測も流れており、使用目的も拡大していることが伺えます。こうした情報に鑑みますと、フィリピン軍用機に使用された光学兵器も、中国が近年開発した指向性エネルギー兵器の一種であり、その効果を実験したのではないかと推測されます。仮に、中国がフィリピン軍用機に対して実験的に指向性エネルギー兵器を使用したとしますと、人命軽視の著しい蛮行としか言いようがありません(低エネルギーのマイクロ波の照射は健康障害を起こし、強エネルギーのマクロ波を1秒間照射すると即死傷…)。

 レーザー技術に関しては、2013年9月に日本国の理研が中国科学院上海光学精密機械研究所と協力覚書を締結しており、こうした技術が軍事に転用されたとしますと、この分野における技術協力は、日本国にとりまして命取りとなりかねません。最初の犠牲国がフィリピンであったとしますと、中国の周辺諸国、さらには、国際社会全体のリスクを高めたことになりますので、国際平和に責任を負う日本国は、即刻、レーザー技術に関する対中協力を打ち切るべきと思うのです。

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靖国神社参拝-A級戦犯が最も理不尽だった

2015-04-24 10:16:50 | アジア
中国外務省「断固反対」 閣僚の靖国参拝を批判(朝日新聞) - goo ニュース
 靖国神社では、春季例大祭を迎え、首相の真榊の奉納や閣僚の参拝が続いております。例年通り、中国は、”侵略戦争”を反省しておらず、軍国主義を一掃していないとして反発を強めております。

 中国が靖国神社を非難する理由は、東京裁判(極東国際軍事裁判)において”平和に対する罪”で有罪判決を受けた”A級戦犯”が祀られていることにあります。しかしながら、純粋に現在の法学上の観点からしますと、最も法的根拠が薄く、今日の司法の一般原則から外れており、かつ、今日の実証的な歴史研究の結果と合致していないのがA級戦犯です。英米法では判決に法規創造力を認める傾向にあるものの、今日の国際法では、刑法分野における遡及効果を認めておりません。また、第二次世界大戦当時、国際法において植民地支配が合法であった上に、国際法も司法制度も未整備な段階にありました。第一次世界大戦の反省から、紛争の平和的解決を目指して設立された頼みの国際聯盟も、枢軸国となる日独伊のみならず、米ソもまた加盟国ではなかったのです。また、辛亥革命以降も混乱が収まらず、中国大陸が、旧清朝軍閥、国民党、共産党といった勢力が割拠する内戦状態にあったことも、先の大戦を説明する要因の一つです(今日でも、秩序崩壊地帯への派兵の事例がある…)。近代以降の歴史において、列強による世界戦略上の勢力圏争いや攻防戦が繰り広げられ、その過程で武力行使があったことは確かなことですが、さらに過去を遡れば、中国の歴代王朝もまた領土拡張を常としたことを考慮しますと、”A級戦犯”のみを未来永劫にわたって戦争犯罪者と決めつけ、慰霊さえも禁止しようとする中国の態度には、疑問を抱かざるを得ません。中国が現在の価値観を以って過去の日本国の行為を断罪するならば、日本国もまた、現在の価値観を以って過去の戦争犯罪の判決に疑問を呈することが許されるはずです。

 双方が傷を抱えつつ、講和条約を以って終わらせた戦争を蒸し返すことは、講和の精神に反する平和の破壊行為でもあります。そして、連合国が問うた戦争責任と理不尽を一身に背負って処刑台に臨んだA級戦犯の方々こそ、戦後の日本国に平和の礎を残して逝ったのではないかと思うのです。

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”AIIB融資に政治的条件付さず”-中国の真意とは?

2015-04-23 15:00:51 | 国際政治
アジア投資銀通じ途上国支援=「政治条件付けず」―中国主席(時事通信) - goo ニュース
 昨日、バンドン会議60周年首脳会議において、中国の習近平主席が、昨今注目を集めているAIIBについて、融資に際して政治的条件は付さないと発言したと伝わります。この発言、どのように理解すべきなのでしょうか。

 メディアの報道では、”政治的条件付けず”とは、”中国はAIIBを通して政治的な影響力を行使しようとするのではないか?”とする途上国の懸念を払拭するための発言として紹介されています。この解釈ですと、中国は、融資に際して、一切の内政干渉はしないと宣言したことになります。内政干渉が伴わないならば、途上国も安心して融資を受けられると…。文字どおりに取ればこのような理解となりますが、その一方で、別の解釈もあり得るようにも思えます。それは、”如何なる国家体制の国、あるいは、政治的な問題を抱えている国であっても、融資の対象として排除しない”という解釈です。AIIBの参加国には、ロシアやイランといった政治的な理由によって経済制裁を受けている国も少なくありません。また、将来的には、北朝鮮も融資対象国となる可能性もあります。加えて、参加国の中には、欧米諸国vs.ロシア、イスラエルvs.イラン、インドvs.パキスタンなど、政治的な対立を抱える諸国が顔を揃えています。しかも、そもそもAIIBの元締めとも言える中国自体が、一党独裁体制の下で国民監視体制を維持しており、チベットやウイグル人に対する弾圧を考えれば制裁を受けてもおかしくない国です。”政治的条件を付さず”の真意とは、国際社会の平和が乱れようとも、国家間の紛争が激化しようともお構いなく、また、国民を弾圧している国であろうとも、無条件に融資を実施するという中国側の決意なのかも知れないのです。

 仮に後者であれば、AIIBの融資が拡大すればするほど、国際社会の安全は脅かされ、また、独裁体制や弾圧体制を敷いている諸国も生き延びることになります。果たして、AIIBは、中国が宣伝するように、インフラ資金不足に苦しむ諸国を援け、経済発展を促すための”天使”なのでしょうか?

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中国には耳痛い安倍首相のバンドン会議60年演説

2015-04-22 15:39:08 | アジア
アジア繁栄へ結束を=大戦「おわび」触れず―安倍首相、バンドン会議60年演説(時事通信) - goo ニュース
 今から60年ほど前の1955年4月18日、インドネシアのバンドンで、アジア・アフリカ19カ国の代表を集め、第一回バンドン会議が開かれました。バンドン会議に結集した諸国の大半は植民地支配を脱して独立した国々であり、新たな時代の到来を確認し合ったのです。

 第一回バンドン会議では、植民地支配を排した新たな国際秩序が掲げられ、戦後秩序を支える原則として、前年にネルー・周会談で合意された平和5原則(1.領土・主権の相互尊重 2.相互不可侵 3.相互内政不干渉 4.平等互恵 5.平和共存)を基礎とした平和10原則(1.基本的人権と国連憲章の趣旨・原則の尊重 2.全ての国の主権と領土の保全 3.全ての人類の平等と大小全ての国の平等の承認 4.内政不干渉 5.国連憲章による個別的・集団的自衛権の尊重 6.集団的自衛権の大国の特定の利益のための利用と他国に対する圧力の禁止 7.侵略または侵略の脅威・武力行使による他国の領土保全・政治的独立の侵害禁止 8.国際紛争の平和的手段による解決 9.相互の利益と協力の促進 10.正義と国際義務の尊重)も打ち出されています。本日、60周年を記念した開かれたバンドン会議60周年記念首脳会議での演説で、安倍首相は平和10原則に言及し、「日本は先の大戦の深い反省と共に、いかなるときでも守り抜く国であろうと誓った」と語ったと報じられております。現在、これらの原則が、バンドン会議の提唱国でありながら軍事大国と化した中国によって踏みにじられつつある現状に鑑みますと、首相の演説は、60年前のバンドン会議の原点を思い起こす機会となったのではないでしょうか。その一方で、日本国内のマスメディアの論調を見ますと、お詫びの文言がなく、”侵略”や”植民地支配”に触れていない首相の演説には不満なようです。しかしながら、バンドン会議のメンバーを前にしては、村山談話の言葉はいかにもナンセンスです。中国を除いて(韓国はメンバーではない…)、日本国に謝罪を求めている国はなく、また、第二次世界大戦は、植民地化とは逆に独立の契機となったのですから。

 バンドン会議60周年会議は、ストレートには語らずとも、大東亜戦争という名の反植民地主義をも内包した第二次世界大戦の多面性を浮かび上がらせております。そして、今日の日本国の使命とは、戦争の惨禍や植民地支配の経験を歴史の教訓として確立した国際社会の諸原則を護り、未来に向けて、平和に資する国際秩序の構築にベストを尽くすことではないかと思うのです。

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文化財連続汚損事件の謎-何故犯人は捕まらないのか?

2015-04-21 17:27:57 | 国際政治
国宝に「油のような液体」かけられる被害が続出・・・どんな「犯罪」になるのか?(弁護士ドットコム) - goo ニュース
 古都奈良から始まった文化財汚損事件は全国に広がり、京都県、和歌山県、香川県、茨城県、新潟県、静岡県、滋賀県、千葉県など、9府県33か所の寺社仏閣に及んでいるそうです。

 これらの連続事件における最大の謎は、”何故、犯人が捕まらないのか”ということです。最初の事件が報じられてから、かれこれ一か月が経過しながら、被害数は増加するばかりで、犯人に関する情報は殆どありません(京都で防犯カメラに犯人らしき人物の姿が映ったとも…)。近年、監視カメラの設置が進み、かつ、事件の報道以来、見回り等も強化されているはずでありながら、犯人逮捕に繋がる手がかりがないのは如何にも不自然です。先日の記事でも、同時多発であるならば、組織犯である可能性が高いと指摘しましたが、このままでは、日本国の警察の沽券にもかかわるのではないでしょうか。また、犯人の一人も捕まらないのでは、文化財の警備が手薄であると知った犯人や反日集団が、さらに文化財汚損をエスカレートさせる可能性もあります。

 寺社や警察では警備が追い付かないのであるならば、普段は参拝客で賑わうのですから、参拝客にも、情報の提供や汚損の阻止への協力を求めるべきです。また、周辺の住民等に、ボランティアでの警護チームの結成を呼び掛けるのも効果的かもしれません。何れにいたしましても、犯人逮捕に向けた対策を急ぐべきと思うのです。

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AIIBファンド-狙われる日米の年金基金

2015-04-20 15:37:18 | アジア
傘下ファンドで資金集め=非参加国の投資家に道―アジア投資銀(時事通信) - goo ニュース
 運営の不透明性や審査基準の曖昧さから、日米が参加を見送ったAIIB。ここにきて、AIIB設立と同時にファンドを設け、非加盟国の機関投資家からも資金を調達するとの方針が報じられております。

 AIIBは、アメリカ中心の国際金融秩序に挑戦し、日米を孤立化させる目的で設立されたとも指摘されていましたが、その反面、こうした”宣伝”は、日米をAIIB参加に誘い込む作戦であるとする見方もあります。日米の不参加に対して未練を残している中国の様子からしますと、後者の見解もあながち外れてはいないように思えます。日米誘引論からしますと、上述したファンド設立は、日米不参加によって資金調達が怪しくなった中国の苦肉の策のように見えてくるからです。日米が政府としては参加しなくても、迂回ルートをつくれば、両国の資金だけはAIIBに吸い上げることができると…。しかも、AIIBが想定しているAIIB債の引受先は、政府系投資ファンド、即ち、主として年金基金等なそうです。日本国のGPIFは、基金の規模が114兆円ともされ巨大機関投資家であり、アメリカも、最大の年金基金であるカルパース(カリフォルニア州公務員の年金基金)だけみても、25兆円規模のファンドを擁しています。社会保障制度が整備されている国ほど、年金基金の規模も大きくなりますが、ハイリスク・ハイリターンが予測され、かつ、中国の覇権伸長に資するわけですから、日米を国民から大事な老後の生活資金を預かっている政府系投資ファンドが、敢えてAIIB債での運用するとは思えません。それとも、参加国の政府系投資ファンドには、AIIB債の引き受けが義務付けられるのでしょうか?

 AIIB債での年金基金運用が表沙汰になれば世論の反発も必死ですが、懸念があるとすれば、最近、年金基金等の運用が外部に委託されていることです。国民の年金基金が危ないAIIBに投資されないよう、政府も国民も、厳しくその運用をチェックをしてゆくべきではないかと思うのです。

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”南京市民30万人無差別大虐殺”と”南京事件”の落差

2015-04-19 16:03:53 | アジア
 昨日は、中国の司法権は政敵に対する攻撃手段である、とする記事を書きましたが、中国が主張する”南京大虐殺”もまた、多分に政治プロパガンダの要素を含んでおります。政治的に脚色された部分を洗い落とすと、1937年12月14日に起きたとされる”南京での事件は、どのような姿を現すのでしょうか。

 ”南京大虐殺”については、中国政府は、70年代頃から積極的な対外宣伝活動を展開しており、その工作活動は日本国内にも及んでいます。このため、左翼系の著者が記した書籍や証言集には信憑性に乏しいものもあり、2002年に出版された『南京戦閉ざされた記憶を尋ねて-元兵士102人の証言』も、元兵士たちによる経験談や目撃談を装いながら、中国で制作されている抗日ドラマ並みの非現実性や矛盾が指摘されております。慰安婦問題でも明らかとなったように、”証言”は必ずしも事実ではなく、また、中国がプロパガンダのために捏造した資料もありますので、まずは、史料批判から始めませんと、真相に迫ることは出来ないようです。それでも、当時の記録や南京攻略に参加した日本軍将兵の陣中日記等によりますと(これらの日記が書かれた時期の検証も必要…)、女性や子供を含む南京市民30万人の無差別虐殺を証言するものは皆無であり、その殆どが12月14日から開始された市内の敗残兵の掃蕩作戦に関するものです。記述されている日本軍の行為の中で、国際法上において問題があるとすれば捕虜の殺害であり(東京裁判では松井岩根陸軍大将が戦争法違反で死刑判決を受けている…)、その他の記述は、国際法で許されている便衣兵の掃蕩、捕虜の暴動の鎮圧、並びに、戦闘による敵兵の殺害です。南京攻略では、日中双方の戦死者が9万人近くとされ(8万人以上が中国兵…)、紅卍会の埋葬記録によりますと、12月22日から翌年の10月30日までの埋葬者総数が41273人と記されており、そのうち、女性は75人、子供は20人です。確かに、女性も子供も含まれておりますが、必ずしも日本軍による犠牲者であるのか不明であり、また、30万人の市民を無差別に殺害したとするには数が少なすぎます。揚子江に投げ込んだとする説もありますが、果たして、30万人もの遺体を流すことは可能なのでしょうか。

 以上から浮かんでくる1937年の12月に南京で起きた事件の実相とは、敗残兵掃蕩作戦の最中に起きた捕虜殺害ではなかったかと思うのです(およそ1万から1万5千人?)。しかも、戦争法に違反した捕虜殺害の罪は、既に東京裁判の判決による刑の執行をもって償っております。昨日の記事では、”南京大虐殺も冤罪では”とするタイトルを付しましたが、捕虜殺害が有罪であったとしても、少なくとも、日本軍が南京の一般市民30万人を無差別に殺害したとする”南京大虐殺”の罪は、冤罪なのでないでしょうか。

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冤罪を攻撃手段とする中国-南京大虐殺も冤罪では

2015-04-18 15:55:01 | アジア
中国、改革派女性ジャーナリストに懲役7年 警察から「罪を認めなければ長男を犯罪者にする」の脅しも(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、中国の女性ジャーナリスト高瑜氏に対して、地裁に当たる北京市第3中級人民法院が、国家機密を漏洩したとして実刑7年の懲役を言い渡したと報じられております。取り調べの間には、当局から、”罪を認めなければ長男を犯罪者にする”という脅しを受けたそうですが、中国の司法権とは、他の諸国と違い、政治的迫害の権限として機能しているようです。

 政治的迫害、あるいは、政敵の追い落としのために、罪のない人を犯罪者に仕立て上げるとする中国の司法の在り方は(汚職撲滅の場合には、実際に賄賂等の受け取っているのでしょうが…)、国内のみならず、国際社会においても如何なく発揮されております。”南京30万人大虐殺”などは、その最たる例です。最近、南京大虐殺の証拠とされながら行方不明となり、1991年に再発見された幻のフィルムを目にしましたが、その大半は、病院における負傷者を治療するシーンであり、日本軍による民間人の大虐殺を記録した証拠映像とは、ほど遠いものでした(「マギー・フィルム」)。確かに、道端や池で重なるように倒れている遺体の映像もあるのですが、大虐殺は南京市内で起きたとされていながらその光景は農村です。どれほど凄いフィルムかと身構えて見ていたのですが、拍子抜けしてしまいました。日本軍による虐殺の現場を捉えたシーンは、一つもないのですから。

 国であれ、人であれ、中国が声高に罪を並べ立て糾弾する時には、まずは、その主張が事実に基づくものであるのか、疑ってみることが大事なのではないでしょうか。

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AIIBからの融資には高いリスクが伴う-人民元建融資問題

2015-04-17 09:58:08 | 国際経済
中国主導「インフラ銀行」は巨大なリスクだ マスコミは欧州と金融の現場を知らなすぎる(東洋経済オンライン) - goo ニュース
 AIIBの不透明性については、散々指摘されるところですが、設立を前にして、僅かながらもその構想の一端が漏れ伝わるようになりました。未確認情報ではありますが、AIIBが採用する融資通貨は、人民元なそうです。
 
 元建て融資となれば、インフラ事業の実施に際して元払いが可能となる中国系起業や中国人建設労働者が有利となります。また、現地企業や他の国の企業が受注した場合でも、元払いとすれば、元が流通する範囲が広がります。インフラ事業は、現場における長期の建設作業を要しますので、元は、現地住民による日常の商品売買にまで浸透してゆくかもしれません。元建融資に込められた中国の野望とは、”元通貨圏”をも兼ねた広域的な中国経済圏の建設なのでしょう。しかしながら、この構想は、あくまでも中国が追求している野望であって、他の参加諸国にとりましては、高いリスクが伴います。巨額の融資を受けてインフラを整備しても、中国企業の進出ラッシュに見舞われ、自国の産業が育つ前に、中国経済に飲み込まれる可能性があります。また、AIIBが人民元融資で運営されるとしますと、AIIB債の発行による資金調達とは限らず(ADBの場合は、現地通貨建てで起債…)、中国の中央銀行である中国人民銀行から、何らかの形で人民元のファイナンスを受ける可能性もあります(低利融資であれば、後者の可能性は否定できない…)。”元通貨圏”に組み込まれた諸国は、貿易決済における元の使用のみならず(人民元の地域的基軸通貨化…)、将来的には、自国の経済も、中国の一方的な金融政策のコントロール下に置かれかねないのです(人民元の共通通貨化…)。

 AIIBにおいて低利融資が実現したとしても、果たして、こうしたリスクを冒してまで融資を受ける国があるのでしょうか…。参加を表明した諸国は、AIIBに対してより強い警戒心を抱いてもよいのではないかと思うのです。行く先不明のバスに乗り込んでしまっているのですから。

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習近平主席の軍掌握は動乱の前触れ?

2015-04-16 15:19:49 | 国際政治
中国の元軍制服組トップ、郭伯雄氏が失脚 汚職疑いで取り調べ 習近平氏、軍部掌握へ大なたか(産経新聞) - goo ニュース
 中国全土で猛威を振るっている”汚職追放キャンペーン”は、遂に人民解放軍にも及び、元制服組のトップであった郭伯雄氏が汚職容疑で失脚したと報じられております。汚職追放が名目に過ぎず、その実態が権力闘争であることは周知のことですが、習主席による権力掌握への動きは、国際社会に暗い影を落としております。

 失脚が報じられている郭伯雄氏は江沢民元国家主席が率いてきた江派に属しており、汚職追放に名を借りた江派の一掃が狙いとされております。江派との激烈な闘争と追い落としに対しては、江派の反撃も予測されており、反乱の芽を摘むために、軍部からの江派の排除を徹底したかったのでしょう。カリスマ型の独裁者と見なされた毛沢東の死後、中国では、一党独裁ではあっても個人独裁は現れず、派閥の寄せ集めである集団指導体制を基調としてきました。ところが、習政権の誕生以来、”汚職摘発”による粛清によって急速に集権化が進行し、今や人民解放軍を完全掌握しつつあります。このことは、周辺諸国にとりましては、深刻な安全保障上の脅威です。何故ならば、軍事行動を起こすに際して、習政権は、もはや地方軍管区の離反を警戒しなくても済むからです。中国の歴史を振り返りますと、周辺諸国への遠征軍の派遣が内乱を招いた事例が見られます。そして、独裁体制は得てして軍事国家化に向うことは、過去の歴史が示しております。

 昨今、中国への関心はAIIBに集中しておりますが、水面下では中国の体制に変化が起きていることも見逃してはならないと思うのです。それは、全世界を巻き込む動乱の前兆かも知れないのですから。

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