万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

安重根記念碑建設―民族自決権の承認を中国に迫ることに

2013年06月30日 15時53分42秒 | アジア
習主席、新疆ウイグル自治区の安定確保指示(読売新聞) - goo ニュース
 新疆ウイグル自治区では、ウイグル人による暴動や警察を狙った襲撃事件が増加しており、”抗中運動”が活発化しているようです。この事態に対して、習主席は、”安定確保指示”を出したと報じられておりますが、これが、強権的な”武力弾圧”を意味することは、言うまでもないことです。

 中国は、しばしば、過去においては許され、現在では禁じられている行為を、臆面もなく現在において実行する倒錯した行動を示してきました。チベット人やウイグル人といった異民族に対する支配もまた、第一次世界大戦後以降、国際社会に成立した民族自治の原則に反するものです。1949年に建国された中華人民共和国は、国共内戦を制することで新疆までをも版図としますが、この地域一帯が、中国固有の領土ではないことは確かなことです。中国の支配下にあってはウイグル側には出入国管理のコントロールの権限はなく、この地には大量の漢人が入植し、今では、人口構成もほぼ5分5分となっているそうです。さらに、中国政府は、この地で核実験を繰り返し、汚染地帯としたのですから、ウイグル人に対する仕打ちは非情でもあります。ところが、ウイグル問題が注目を集めている矢先、一昨日の中韓首脳会談で、朴大統領側が、韓国併合に反対して日本国の元老伊藤博文をハルビン駅で暗殺した安重根の記念碑建設に協力を求め、習主席もまた、関係部局に検討を指示すると快く応じたと報じられおります。韓国側の理解では、安重根は日本の統治に反対した”英雄”なのですが(実際には、奇妙なことに、初代首相を務めた伊藤博文は韓国併合反対者であり、安重根は、日本の天皇を崇敬する親日派であったとも噂されている…)、習主席は、安重根の民族独立運動に理解を示したのでしょうか。しかも、安重根の抵抗の手段とは、暗殺という卑劣なテロなのです。

 もし、習主席が、安重根のテロ行為を賞賛するならば、ウイグル人による民族独立運動と非合法的な手段による抵抗を認めなくては、一貫性がありません。中韓接近と対日共闘の成果とするつもりであった朴大統領の記念碑建設要求が、図らずも、チベットやウイグル問題などを抱える中国に対して、民族自決権の承認を迫るものとなったことは、何とも皮肉な結果のように思えるのです。

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韓国に日清戦争の評価を問う

2013年06月29日 15時37分13秒 | アジア
中国に安重根の碑を 朴大統領、習主席に協力要請(産経新聞) - goo ニュース
 大統領就任後の二番目の訪問地として、中国を選んだ韓国の朴大統領。習・朴首脳会談では、歴史問題においても、対日共闘で合意した模様です。

 朝鮮半島には、歴代王朝が、清朝末に至るまで中国の属国であった歴史があります。韓国は、明治以降の日本国の戦争を”アジアの植民地化と侵略戦争”の一点張りで批判しておりますが、曲がりなりにも、当時の李氏朝鮮が清国から独立できたのは、日本国が、清国と日清戦争を戦い、講和条約であった下関条約において、朝鮮の独立を認めさせたからです。韓国側は、軍事力の行使=悪の構図で日本国の戦争を捉えていますが、弱肉強食が支配した19世紀末の国際社会にあって、日本国が武力を行使しなければ、おそらく、最貧国の一つであった李氏朝鮮は自力で独立することはできなかったことでしょう。日本人が戦場で血を流したからこそ、李氏朝鮮は独立国となり、大日本帝国に倣って大韓帝国を名乗ったのです。”帝国”を称し、中国が禁じてきた”皇”の一文字も使えるようになることは、かの国にとりましては、悲願であったのではないでしょうか(この仰々しい国名は国際社会から失笑を買ったものの、日本政府だけは擁護したという…)。韓国側は、1910年の併合を以って、宗主国が日本国に交代したに過ぎない、と主張するのでしょうが、日本国が、保護国化を経て併合へと至った過程の背後には、ロシアの南下政策阻止という、防衛・安全保障上の重要課題がありました(ロシアからの脅威は、朝鮮半島にとっても脅威であったはず…)。そうであるからこそ、朝貢を求めこそすれ、貧困を放置した清朝とは違い、日本国は、朝鮮半島の近代化と強化に努め、投資も惜しまなかったのです。

 ”日本国の歴史は頭から否定すべき”、とする韓国の基本方針からしますと、朝鮮独立を実現した日清戦争もまた、糾弾すべき行為となります。そしてそれは同時に、清国の属国状態を肯定することにもなるのです。最近の中韓接近を見ておりますと、日清戦争を否定する歴史認識を、既に両国は共有しているようにも思えるのです。

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中韓鳩山を結ぶ謎のライン-ラスク書簡の8月9日とは?

2013年06月28日 11時13分41秒 | 国際政治
尖閣「盗んだものは返すのが当然」=鳩山元首相、中国でも発言(時事通信) - goo ニュース
 中韓首脳会談の開催と時を同じくして、鳩山元首相も中国を訪問しております。サンフランシスコ講和条約の否定、カイロ宣言やポツダム宣言の絶対視、尖閣諸島の日本による盗取など、鳩山氏のポジションは、完全に中国側と一致しているのですが、中国、韓国、鳩山氏には、謎のラインが存在しているようなのです。

 最近、竹島問題で日本側の主張を裏付ける資料として知られるラスク書簡を読んでおりましたところ、当時の韓国政府が、アメリカ政府に対して、不可解なよう要求をしていることが分かりました。それは、竹島を含む朝鮮側の領土放棄の日付を、サンフランシスコ講和条約の発効時ではなく、1945年の8月9日に遡らせてほしい、というものです(もっとも、August nine, Nineteen hundred Forty-One(1941年8月9日)と誤魔化すかのように表記している書簡もある…)。アメリカ側は、この日付を、日本国によるポツダム宣言の受託日と捉えたようですが、日本国が当宣言の受託を国際社会に対して公式に表明したのは8月14日ですので、日にちが違います。それでは、1945年の8月9日は、何が起きた日かと申しますと、ソ連邦が、対日参戦により軍事侵攻を開始した日なのです(宣戦布告は8月8日)。国際法の常識では、講和条約を以って、正式に領域が確定されますので、韓国が、この日を以って、竹島を含む朝鮮半島における領土放棄を求めたことには、何らかの思惑があったはずです。推測される憶測の一つは、既に何らかの日本国に対する軍事行動の計画があり(竹島の軍事占領…)、侵略の非難を回避するために、意図的に放棄の日付をづらそうとしたというものです。あるいは、韓国の建国は1948年8月ですので、ソ連邦によって朝鮮半島が”解放”されたとする認識を定着させようとしたのかもしれません。何れにしましても、当時の韓国の要求は、あまりに不自然なのです。

 戦後68年が経過した今日にあって、これまで隠されてきたラインが、亡霊のごとくに浮き上がってきた感もあります(どこかに共産主義勢力の影が…)。親ソ派でも知られる鳩山氏が中韓の接近に一枚噛んでいるとしますと、この謎を解く鍵は、過去の歴史の検証にこそあるのかもしれないのです。

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迷惑な韓国の原発推進

2013年06月27日 15時57分55秒 | アジア
韓国ブラックアウト再来か 原発停止で過去最悪水準の電力供給(産経新聞) - goo ニュース
 韓国が、中東のUAEの原発建設を受注した時、原子力産業界では、驚きの声が漏れたと伝わります。受注額は相場の半額ともされる低価格と、ライバル企業の裏をかくような交渉術が信じられなかったのです。

 ところが、昨年あたりから、韓国の原発に関する不安材料が相次いで明るみに出るようになりました。偽造部品問題は深刻らしく、今夏は、原発の稼働停止によるブラックアウトの可能性もあるそうです。韓国の原発運営に関する重要部分は、日本企業から”盗まれた”とも噂されていますが、無理な原発推進は、自国の産業や国民のみならず、他国にも迷惑をかけます。既に契約を結んでしまったUAEは、安全性に問題のある韓国型原発の導入に不安を感じていることでしょう。そして、日本企業もまた、被害者となるかもしれません。何故ならば、韓国政府は、東日本大震災の発生を機に電力危機に陥った日本企業に対して、積極的に、製造拠点やデータセンターなどの韓国移転を持ちかけてきたからです。電力の安定供給と料金の安さをアピールして…。この誘致作戦に乗せられて、韓国に工場などを建設した企業もありますので、いざ、進出したものの、電力さえ十分に供給されないとなりますと、事業計画が大幅に狂うか、巨額の投資が全くの無駄になってしまいます。否、日本企業のみならず、韓国からの誘致を受けた全ての国の企業に、この被害は及ぶことでしょう。

 韓国は、如何なる汚い手を使ってでも、日本国を出し抜き、覇権国になることだけを目指して邁進しているようですが、こうした態度が、他国に迷惑や被害を与えることには思い至っていないようです。特に、基礎研究の積み重ねの上にあり、かつ、何重にも安全対策が必要な原子力産業は、表面重視の韓国には不向きなように思えるのです。

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中韓接近―日本の対韓支援の根拠は失われた

2013年06月26日 15時33分26秒 | アジア
韓国大統領あす訪中 経済・外交、高まる依存 同行財界人は最大規模(産経新聞) - goo ニュース
韓国は、事あるごとに日本バッシングに気勢を上げていますが、冷静に過去を振り返りますと、日本国もまた、韓国から何度となく煮え湯を飲まされてきました。戦争末期における朝鮮半島での日本人虐殺、戦後の国内における暴力と犯罪、竹島の不法占領、慰安婦問題の誣告…といった、手痛い被害を受けてきたのです。にも拘らず、莫大な経済支援、産業振興のための技術支援、在日韓国人に対する優遇政策など、数限りない恩恵を与えてきたのには、理由がないわけではありません。

 1965年に日韓基本関係条約が締結されたことで、両国の関係は正常化し、日本国には、韓国を支援する法的義務もなくなりました(もっとも、韓国側は、慰安婦問題について、謝罪と賠償を求めている…)。結局、竹島の返還や反日プロパガンダの放棄といった対韓要求が残されたのですが、それでも、日本国側が韓国支援は必要と判断した理由は、38度線を挟んで共産主義勢力と対峙する韓国が、冷戦の前線に位置していたからです。明治以来、日本国は、ロシアの南下政策を抑えることが国家的な課題でした。戦後の冷戦期にあっても、ソ連邦、そして、中国からの脅威を押しとどめるために、韓国は脆弱な国であってはならなかったのです。また、併合という直接的な方法よりも、支援という間接的な方法の方が、戦後の国際社会で成立した民族自決や主権平等の原則に合致する、望ましい方法でもありました。今日では、ロシアは、朝鮮半島に対しては距離を置くようになりましたが、中国は、元宗主国として、積極的な関与を画策しているようです。明日に予定されている朴大統領の訪中によって、中韓関係はさらに強化されることでしょう。そして、この東アジアにおける構図の変化は、同時に、日本国には、韓国を支援したり、配慮する根拠が、一切なくなったことを意味しています。中国を選択した韓国は、日本国の安全保障に資するどころか、軍事的な脅威になりつつあるからです。

 韓国という国が、周囲を見回して最も強い国になびき、過去に受けた恩義を平然と切って捨てることは、既に、日本人の多くが戦中戦後に経験しており、今さら驚くことでもありません。”信頼の置けない味方ならば、敵であったほうがまし”とも申します。日本国政府は、アジア情勢の変化をつぶさに見つめ、朝鮮半島全域が中国の勢力範囲に入ったことを想定した対策を急ぐべきと思うのです。

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尖閣諸島は領土問題ではなく中国による侵略問題

2013年06月25日 17時56分20秒 | 国際政治
防衛白書、中国の尖閣挑発批判 「不測の事態招きかねない」(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、防衛白書が発表されたそうですが、特に尖閣諸島をめぐっては、”中国との間に不測の事態を招きかねない”とする警戒感が、日本国政府や防衛省内でも広がっているようです。

 1970年代に中国と台湾によって領有権主張がなされた後も、日本国政府は、”尖閣諸島は、歴史的にも法的にも、日本国の領土”とする立場を貫いてきました。1895年の無主地先占は有効に成立していますし、先日のブログ記事でも書いたように、サンフランシスコ講和条約による異動はありませんので、尖閣諸島に対する日本国の領有は、法的には既に確定しているのです(中国は、自らの領有権の正当性を証明できない…)。現在、中国公船による領海侵犯という”侵略行為”が頻発していますが、法的な根拠からしますと、日本国は、本来、自衛権の行使として武力による排除も選択することができます。にも拘らず、何故、武力行使に及ばないのかと言えば、尖閣諸島を武力占領される段階に至っておらず(”住居侵入”の段階…)、日中間の武力衝突を避けるために、ひとまずは、日本国側が武力行使を自発的に控えているからです(韓国に不法占領されている竹島も同様…)。つまり、日本国政府は、中国の主張を認めている故に領海から力尽くで中国公船を排除しないのではなく、武力行使に関する国際的な規範-武力行使は最後の最後の手段-に従っているに過ぎないのです。

 鳩山元首相など一部の政治家やマスコミなど、領土問題化を狙い、棚上げ論を後押したい勢力があるようですが、尖閣諸島をめぐる軋轢は、中国の覇権主義と領土的野心に起因しております。そうであるからこそ、日本国政府は、平和に対する重大な脅威となっている中国の侵略性こそ、内外に向けてアピールすべきではないかと思うのです。尖閣諸島をめぐる問題は、領土問題ではなく、侵略問題なのですから。
 
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全ての政党は民主党を反面教師に-国民からの復讐

2013年06月24日 15時44分57秒 | 日本政治
民主、信頼戻らず…政権批判戦略が裏目に(読売新聞) - goo ニュース
 マスコミを挙げての民主党押しと、”政権交代”の連呼によって政権の座を手にした民主党。当時の勢いは今は見る影もなく、昨日の都議会選挙の結果は惨憺たるものであったようです。

 栄枯盛衰は世の常ですが、わずか3年ばかりで民主党が政権を去ることになった理由は、民主党の独裁体質に由来する、傲慢なまでの徹底した国民軽視政策にあったことだけは確かです。菅元首相の政治理解は、”民主主義とは、交代可能な独裁”でしたし、途中で逃げ出した小沢元幹事長もまた、党への権限集中に余念がありませんでした。傍から見ておりますと、中国の一党独裁の”日本版”と見紛うばかりであったのです。対外政策にあっても、中国、韓国、北朝鮮に対する軽率な融和政策が、今日まで尾を引いております。そして、その極めつけが、日本国の政府でありながら反日政策を遂行し、日本国民を冷遇したことです。中韓の利益となれば、日本経済が衰退しようが、日本人が失業しようが、日本文化を破壊しようが構わないという態度であり、世論誘導には熱心であっても、決して国民の声を誠実に聞こうとはしなかったのです。かくして、民主党政権時代は、誰もが、思い出したくもない暗黒時代となりました。

 来月の参議院選を控え、民主党内でも、壊滅的な議席減を予測する声もあるそうです。民主党政権が、一つだけ後世に教訓を残したとしますと、それは、政権与党は決して自国と自国民を軽んじてはならない、ということです。軽んじたが最後、二度と政権に復帰することは能わず、国民からの復讐、あるいは、懲罰を受けかねないのです。選挙での投票という行為を通して…。未だに民主党と同様の路線を歩もうとしている政党もありますが、全ての政党は、民主党が辿った運命を肝に銘じ、その失敗を反面教師とすべきと思うのです。

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沖縄は戦前も戦後も一貫して日本領-日伊講和条約比較

2013年06月23日 15時44分43秒 | アジア
 沖縄戦終結から68年目を迎えた本日、最後の激戦地だった糸満市摩文仁では、全戦没者追悼式が催されました。その一方で、沖縄を取り巻く状況は平和とはほど遠く、尖閣諸島の領海では、中国の海洋巡視船による侵犯が相次いでおります。

 中国側は、尖閣諸島を日本側が”不法占拠”していると主張し、沖縄にまで領土要求を広げようとしておりますが、日本国には、れっきとした法的な根拠があります。日本国側に法的根拠があることは、連合国とイタリアとの間の講和条約の内容とを比較しても、確認することができます。イタリアは、第二次世界大戦を機に海外の植民地を失いますが、エチオピアとエリトリアと共にイタリア領東アフリカを構成していた伊領ソマリアは、大戦中に英軍に占領され、一旦、イギリスの管理下に入ります。戦後の1947年に、連合国とイタリアとの間にパリ講和条約が締結されますが、その第23条1項には、「イタリアは、リビア、エリトリア、伊領ソマリアなど、アフリカにおける領有に関する全ての権利並びに権限を放棄する」と記載されました。最終的な扱いについては条文に明記せず、今後の連合国諸国の合意によるとし(第2・3項)、結局、1949年11月から、元伊領ソマリアは改めてイタリアに信託統治されたのです(1960年に英領ソマリアと共に独立…)。つまり、伊領ソマリアの領土放棄は、講和条約に書き込まれているのです。一方、沖縄は、サンフランシスコ講和条約においてアメリカへの信託統治が明記されたものの、第2条の領土権放棄の対象には含まれておりません。しかも、沖縄は、ソマリアのような植民地でもはなく、日本国の領土でもありました。大戦中の宣言などを見ましても、当時の連合国が、沖縄を分離可能な植民地と見なしていた形跡は見当たりません。また、国連憲章においては、信託統治について(1)現在、委任統治の下にある地域、(2)第二次世界大戦の結果として敵国から分離される地域、(3)施政について責任を負う国によって自発的にこの制度の下に置かれる地域、の3種類を挙げており、ソマリアが(2)であれば、沖縄は(3)となります。

 法的に見ますと、サンフランシスコ講和条約は、沖縄の領有権について、一切の変更を加えておらず、戦前も戦後も、一貫して日本国領であったと言うことができます。講和条約が定めた信託統治では、施政権のみがアメリカ政府に任されているのです。日本の尖閣諸島、並びに、沖縄の領有権は揺るぎないのですから、中国は、たとえ司法の場に出たとしても、自国の領有権を法的に証明できないのではないでしょうか。1895年の日本国による無主地先占の無効を証明することも含めて。

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日韓通貨スワップ協定打ち切り-韓国側の自己責任

2013年06月22日 15時59分13秒 | 国際経済
日韓通貨スワップ「韓国から延長要請ない」麻生財務相(産経新聞) - goo ニュース
 7月3日の期限を前に、延長の有無が注目されてきた日韓通貨スワップ協定。日本政府は、韓国からの申請があれば、延長に応じる可能性を示唆していましたが、どうやら韓国側からの申請はなく、打ち切りになるようです。

 韓国中銀総裁の強気の発言によれば、”日韓スワップは、両国のメリットになれば延長できる”とのことです。しかしながら、この発言、おかしいと思うのです。何がおかしいかと言えば、そもそも、このスワップ協定は、日本円が国際通貨であることに意味があるからです。通貨スワップとは、通貨間の交換を意味しますので、対等なようにも見えます。ところが、経済発展を遂げたとはいえ、韓国通貨のウォンは、外国為替市場では、ローカル通貨でしかありません。そうであるからこそ、韓国政府は、円とウォンを交換できる権利を持つことで、自国経済の信用を高めることができるのです。韓国は、相互利益を主張していますが、通貨の信用力からしますと、韓国は日本国に依存しているという厳粛な事実があります。特に、ウォンが急落する側面では、外貨としての円は買い支えのための介入資金ともなるのですから(もっとも、市場介入の資金として使われた場合、円が返還されないリスクが指摘されている…)。日韓通貨スワップは、唯一、韓国のために締結されていたといっても、過言ではありません。この側面からしますと、先の韓国中銀総裁の発言は、”当協定は延長されない”と断言しているに等しいのです(相互利益は成立せず、韓国側のメリットにしかならないから…)。

 通常、たとえ対等な立場であったとしても、他者から何かを借りたり、頼んだりする場合には、依頼する側から相手方にお願いするのがマナーですし、今まで、助けてもらっていたのであれば、感謝の言葉もあっていいはずです。韓国は、中韓スワップ協定は活用したと発言しておりますので、日韓通貨スワップはもはや不要なのでしょうが、韓国側からの申請がないことによる日韓通貨スワップ協定の打ち切りは、韓国側の100%の自己責任であると思うのです。

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民族性の指摘-評価か差別か

2013年06月21日 11時08分48秒 | 国際政治
「中国人はウソつき」 広島法務局支局長、講演で発言(朝日新聞) - goo ニュース
 本日、広島法務局の局長が、”中国人はウソつき”といった発言をしたところ、人権団体から抗議を受けたと報じられています。ところで、この事件、現代に生きる人々に、深く考えるべき一つの重大な課題を提起しています。

 今日、一般的なモラルとしては、文化や社会の多様性を尊重し、民族差別はすべきではない、とされています。その一方で、社会、特に、社会的なマナーやモラルの相違は、しばしば民族間の摩擦の深刻な原因となります。ある社会で許容される行為が、他の社会では、忌避すべき行為とされたり、あるいは、犯罪とみなされることもあるからです。例えば、先日、ワールドカップの予選で、イランに敗退した韓国チームのスタッフが、イラン選手を殴るという事件を起こしましたが、信じられないことに、韓国側は、イランの監督がガッツ・ポーズをとったことを咎めて、FIFAに報告したと報じられています。竹島問題や慰安婦問題においても、韓国は、加害者と被害者をすり替え、自らが被害者となることで、真の被害者の訴えを潰そうとしており、こうも同様の行動パターンが繰り返されますと、誰もが、韓国固有の民族性を認識せざるを得ません(日本国内でも、韓国人による”あたり屋”行為が見られる…)。しばしば、問題行動は、個人の責任であって、民族とは関係がない、あるいは、民族性に基づく偏見はよくない、と主張されますが、同一の民族集団に属している人々の大半が、同様の行動パターンをとれば、それは、民族性として理解するしかありません(もちろん、個人的には例外的に”らしくない”行動をとる人もいる…)。中国人もまた、実際に発言に嘘が多いとしますと、法務局支局長は、事実を述べたまでに過ぎなくなるのです。通常、人は、相手の行動を見たり、考え方を知ることで評価をしたり、判断をしますので、その人が属している民族集団の民族性は、否が応でも、評価基準となってしまうのです。

 ”ウソつき”といったストレートな表現が適切であったかどうかは疑問なところですが、属する民族によって思考や行動パターンに一定の傾向がある場合に、それを指摘することが、”差別”に当たるとは思えません。個人であれ、民族、あるいは、国民であれ、他者からの評価があって、自他との違いを認識し、自らの良い点は伸ばし、悪しき点は改善してゆくものです。自己研鑽に繋がる評価を、”差別”として封じ込めては、結局は、民族間の摩擦も対立も改善されず、むしろ、原因がそのまま温存されてしまいます。差別という言葉は、悪の温存に利用されてはならないと思うのです。

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憲法第9条改正反対は自己中心主義

2013年06月20日 15時41分43秒 | 日本政治
 自民党が政権与党に返り咲いたことで、日本国内では、憲法改正が現実味を以って語られるようになりました。その一方で、左派勢力を中心に、憲法第9条の改正は、戦前の軍国主義への回帰として、断固反対の姿勢を崩していません。

 憲法第9条の擁護論者の人々は、この条文を金科玉条の如くに礼賛し、これさえ手放さなければ、絶対に戦争は起きないと信じています。しかしながら、常識的に考えてみますと、自から戦争を仕掛けなくとも、相手国から攻撃を受けることになれば、当然に、戦争は発生します。しばしば、中国や韓国の人々は、自分がすることは他人もすると信じる傾向にあるそうですが、日本国の左翼の人々もまた、自国が戦争を放棄すれば、他国もまた武力に訴えることはない、と、さも当然のことのように、真顔で訴えているのです。誰もが、一生のうち、一度や二度は、いわれもなく他者から攻撃を受けた、苦い経験があるものです。他者は、自分の思う通りには行動しない、ということは、人間社会の常識の中の常識であるにも拘わらず、イデオロギーに染まった左翼の人々は、この否定しがたい事実を直視せず、自己中心の非常識的な世界観を他の国民にも強要しようとするのです。

 絶対的な平和主義者の人々は、憲法第9条を世界に誇る日本国の宝として賞賛していますが、この条文が足枷となって、自衛隊が十分な防衛力を発揮できず、主権や領土を奪われ、国民が虐殺されることになったら、一体、何と言い訳をするのでしょうか。韓国による竹島の不法占拠は、憲法第9条が無意味であることを既に証明しておりますし、中国や北朝鮮による核やミサイル攻撃は、日本国の第9条の有無に全く関係なく、日本国に襲来することでしょう。左翼の人々こそ、自己中心主義から脱し、国民に対する政治的責任を自覚していただきたいと思うのです。

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旭日旗をハーケンクロイツと同一視する韓国の狂気

2013年06月19日 15時44分55秒 | その他
日韓外相、来月会談へ…昨秋以来、関係改善狙い(読売新聞) - goo ニュース
 近年、韓国では、日本国の旭日旗をナチス・ドイツのハーケンクロイツに擬え、旭日旗を世界中から抹消する運動を展開しております。韓国の狂気は、留まるところを知らないかのようです。

 それでは、日本国の旭日旗とハーケンクロイツは、同質のものなのでしょうか。赤地の背景に白い丸を染め抜き、中央に黒いハーケンクロイツを描いたナチス・ドイツのハーケンクロイツは、国家社会主義の象徴として、ヒトラー自身が決定したものです。それは、ナチスによる政権掌握以前に遡り、ドイツの歴史や伝統に基づいて国旗として制定されたというよりも(もっとも、古代アーリアの伝統には遡る…)、党の旗として個人的にデザインされたのです。一方、日本国の旭日旗は、明治以前にあって民間で使われていた意匠が、明治に至り、軍旗として正式に採用されたことに始まります。第二次世界大戦の期間に限って特別に使用されたわけではなく、日本国の歴史と伝統に裏打ちされ、古来、日本人に親しまれてきたデザインなのです。起源からして、両者には違いがあるのですから、少しでも歴史を調べれば、旭日旗とハーケンクロイツを同一視できないことは、すぐに理解できます。また、ドイツの場合には、戦後、自らハーケンクロイツの使用を否定しましたが、旭日旗の場合には、外国人である韓国が排除しようとしているのです。

 にも拘らず、韓国人の日本に対する憎悪は凄まじく、韓国国内では、店内に旭日旗を飾っていたフランスの書店に対して、韓国人留学生が抗議し、撤去させたニュースに湧いているそうです。自らの行為が、ナチスさながらの異民族排斥行為であることにも気付いていないのですから、日韓友好は、夢のまた夢であると思うのです。

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急がれる”デモ分析”-適切な対応のための一歩

2013年06月18日 17時49分39秒 | 国際政治
W杯反対デモ拡大、ブラジリアなどで計約20万人参加(スポニチ) - goo ニュース
 トルコで発生した大規模デモに続くかのように、ブラジルでも20万人が参加するデモが起きたと報じられています。ワールドカップの開催に反対して…。

 デモ隊の要求は異なるものの、トルコもまた、オリンピック開催の立候補地ですので、ブラジルのデモとの共通点がないわけではありません。この共通点、いささか気になるところではありますが、最近、各地で発生しているデモについては、精緻な背景分析を試みる必要があるのではないかと思うのです。デモを簡単に分類してみますと、(1)自然発生的な国民の抗議行動、(2)国内の一部の団体や勢力が煽動した政治的運動、(3)外国の政府や勢力が内政干渉のために組織した集団行動…などがあります。もちろん、(1)から(3)までの要因が混合しているケースもあり、例えば、日本国でも、福島第一原発の事故以来、デモが頻繁に催されるようになりましたが、(1)の側面は弱く、最近では、左翼団体による(2)のみなならず、中韓の陰、すなわち、(3)の要素が報告されています。デモの本質を正確に識別しませんと、有効な対策を建てることはできず、むしろ、事態を悪化させます。

 (1)の場合には、国民の政府や政治サイドに対する要望なのですから、要求内容に真摯に向き合い、政策化すれば国民の不満は収まります。一方、(2)と(3)の場合には、安易に(1)であると想定して政策を決定しますと、内政が一部の集団や外国勢力による政策誘導を受けることを意味しますので(民主主義の迂回経路に…)、国益を著しく損なうこともあります。デモへの対応は、情報収集や情報分析などを通した”デモ分析”を基盤とすべきと思うのです。

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ローマと同様に中国も鉛で滅ぶ?-重金属汚染の危機

2013年06月17日 15時22分59秒 | アジア
リンク: 中国人の血液中の重金属含有量が高いのはなぜか?―独メディア - 速報:@niftyニュース.
 先日、歴史番組を見ておりましたところ、登場した学者の方が、ローマ帝国滅亡に関する新説を披露しておりました。ローマ帝国が滅んだ理由は、ワインに含有された鉛に原因があると…。

 ローマ時代のワインに鉛を含まれていた理由は、ワインを甘くするために加えられたサバという添加物に、鉛成分が含有されていたためであり、鉛が体内に蓄積されますと、脳や神経に異常を来たすと共に、出生率が下る中毒症状が現れます。そう言われてみますと、ローマ皇帝には、ネロ帝のように常軌を逸した行動に走った人物もおります。そして、鉛中毒によるローマ人の出生率の低下が、やがて、人口減をもたらし、ゲルマン諸族といった周辺の異民族を帝国内に呼び込む原因となったと言うのです。確かに、最後には、ローマ帝国には、”ローマ人”はいなくなったとされています。一方、中国もまた、現在、深刻な鉛汚染に直面しています。本日の報道によりますと、他のアジア人と比較して、中国人の血液中の重金属含有量は高い値を示しているそうです。中国の場合、鉛やカドミウム汚染の原因は、急速な経済成長に伴う土地や水質汚染にありますが、相当数の中国国民が、鉛中毒を病んでいる可能性は否定できません(神経症状であるだけに、国民の正常な思考力も損なわれてしまう…)。

 習政権は、中華帝国再来の野望に邁進し、軍拡に多額の予算をつぎ込んでおりますが、ローマ帝国と同様に、重金属汚染によって滅びないためには、まずは、優先して環境政策に取り組むべきなのではないでしょうか。たとえ覇権国家にのし上がったとしても、国民がいなくなるかもしれないのですから。

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国連は韓国にこそ勧告すべき-朝鮮戦争とベトナム戦争の被害者救済を

2013年06月16日 15時30分53秒 | 国際政治
一方的な国連勧告「慰安婦は日本軍の性奴隷」 歴史認識の見直しを(産経新聞) - goo ニュース
 90年代後半頃から、国連人権委員会など、国連機関による日本に対する非難勧告が相次ぐようになりました。作成されたクマラスワミ報告やマクドゥーガル報告は、事実誤認や虚偽に満ちていたにも拘わらず…。

 日本軍による朝鮮女性20万人強制連行説は、史料や時代状況から、今では、日本国政府が命じたものではなく、韓国人事業者による詐欺まがいの慰安婦募集であったことが、ほぼ判明しています。しかしながら、1993年に河野談話発表され、上記の国連勧告のように国際的な圧力が強まったことから、日本国は、アジア女性基金が設け、フィリピン、台湾、韓国、オランダ、インドネシアを対象に、被害者とされた400名ほどの女性達に、償い金の支給、もしくは、福祉事業を実施しました。日本軍の占領地では、軍規違反や戦争法違反の行為もないわけではなかったからです(既に軍事法廷で判決を受け、刑も執行…)。ところが、韓国は、アジア女性基金からの受け取りを拒絶する元慰安婦が多く、約200名(仮に被害者が20万人であれば、この数は少なすぎる…)ほどが元慰安婦に認定されていながら、償い金を受け取ったのは、わずか7名に過ぎなかったのです(個人賠償に持ち込みたい思惑があったようですが、何故か、過去のwikipediaにはこの記述があったにも拘わらず、今は、削除されている…)。本来、韓国人慰安婦は、プロの女性達が多く、戦争被害者というよりも民間の犯罪行為の被害者ですので、戦争被害というわけではないのです。国連機関が、戦争被害者の救済を訴えるならば、韓国政府が行った朝鮮戦争時における自国民女性の慰安婦化やベトナム戦争における虐殺・暴行の被害者にこそ、救いの手を差し伸べるべきです。韓国では、アジア女性基金での償い金の受け取りは拒否しながら、国内では、元慰安婦に対して給付金を支給したそうです。その一方で、朝鮮戦争やベトナム戦争における被害者に対しては、事実の隠蔽こそすれ、放置しているのです。ベトナム戦争での混血児(ライダイハン)の数は、最大で2万人ともされ、その背後には、韓国軍に虐殺された夥しい数の女性達がいます(戦争孤児も多いはず…)。韓国こそ、国連勧告を受けるべき国の一つなのです。

 国連人権委員会も、国連拷問禁止委員会も、全世界の人々の人権を等しく護るために機関です。国連の存在意義を考えれば、既に償い事業が行われた出来事を蒸し返すよりも、現在行われている痛ましい人権侵害、そして、未だに救済されていない人々を助けるために仕事をすべきではないかと思うのです。

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