万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

震災による失業は復興事業で吸収を

2011年05月31日 15時59分35秒 | 日本政治
【東日本大震災 復興を問う】社会保障との整合性重要(産経新聞) - goo ニュース
 東日本大震災により、被災地における雇用の喪失は深刻であり、加えて、被災地以外でも間接的なマイナス影響による企業倒産も懸念されております。今後、45万から65万人の失業増加を予測する試算もあるそうです。

 震災に起因する大量失業は、近い将来において、生活保護者の数が急増することを意味しています。震災以前から生活保護者の数は増え続けており、終に200万人を突破したとの報道もあり、財源の確保は容易ではありません。被災地復興のための資金も必要となるのですから、我が国の財政は火の車となります。増税案も財源不足の問題への対応なのでしょうが、生活保護者を減らすためにも、復興事業には、震災による失業者を優先して雇用すべきではないかと思うのです。

 公共事業については、WTOの「政府調達に関する協定」の規定に従い、大規模な工事に限定して、外国企業にも入札を認めているそうです。コスト競争からしますと、中国企業や韓国企業・・・といった低コストを武器とした外国企業や低賃金の外国人労働者を使用する企業が落札することも考えられます。この規定の第23条には、適用除外として安全保障や治安維持などが挙げられており、災害がこの適用除外に当たるかどうかは微妙なところではありますが、少なくとも、日本国内での人員に関しては、被災者支援と失業対策を理由に、日本人の雇用を条件とすることができるのではないでしょうか。

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ダライ・ラマ14世の政治的引退―中国の野望を阻止する捨て身の一手か

2011年05月30日 15時09分04秒 | アジア
ダライ・ラマ政治的引退、亡命政府が憲章改正(読売新聞) - goo ニュース
 ダライ・ラマ14世は、チベット亡命政府の憲章を改正し、政治的役職から一切身を引くそうです。この決断、チベットの将来を見越した、ダライ・ラマ14世の捨て身の一手に思えてならないのです。

 何故ならば、ダライ・ラマという地位に政治的な権限を残すと、近い将来、中国の支配下に置かれることになりかねないからです。ダライ・ラマの地位は、チベット仏教の輪廻転生の思想に基づいて、先代のダライ・ラマの生まれ変わりが就任するしきたりとなっています。この生まれ変わりを見つけて認定するのが、パンチェン・ラマとされているのですが(必ずしも認定が必要でもないらしい・・・)、現在、このパンチェン・ラマ11世は、ダライ・ラマ14世が認定した”本物”ではなく、中国政府が勝手に承認した”偽物”です。つまり、次のダライ・ラマ15世は、中国の傀儡である偽パンチェン・ラマ11世によって”発見”されて”就任”する可能性が高いのです。このことは、ダライ・ラマ15世が、政治的権限を使ってチベットを完全に中国の支配下に組み入れてしまうことを意味しています(独立や自治権拡大の要求も、取り下げられるかもしれない・・・)。

 ダライ・ラマの地位を政治と切り離したことは、チベットを取り戻すために深慮の末に選んだ方策であり、勇気ある決断を下したダライ・ラマ14世に、敬意を表したいと思うのです。

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独断の海水注入継続は緊急避難では

2011年05月29日 15時34分30秒 | 日本政治
菅首相、吉田所長の処分必要ないとの認識(読売新聞) - goo ニュース
 福島第1原発事故に際して、現場の所長の独断で1号機への海水注入が継続されたことについては、賛否両論があるようです。

 組織にあっては現場の独断は絶対に許されない、とする立場からは、政府や東電幹部の指示や命令に反した吉田所長の行為は、当然に、処分されるべきということになります(もっとも、菅首相は、処分の必要はないと発言しているようです・・・)。一方、この独断、国民への被害を最小限に抑え、原子力事故の拡大を防止するという正当な理由があったとしますと、緊急避難の文脈で理解できるのではないかと思うのです。刑法では、やむを得ない場合には、緊急避難として違法性が阻却されます。原発事故の場合、専門家ではない政治家の判断に忠実に従うよりも、専門家でもある現場の判断の方が的確である可能性が高く、特に、一分一秒を争う冷却作業にあっての中断は、より深刻な事態を招く恐れは十分にありました。

 現行の原子力災害対策措置法では、内閣総理大臣が、原子力災害対策本部長に就任することになっていますが、専門知識を要する物事の解決に政治家を充てることには疑問がありますし、平時ではなく、原発事故が災害時に発生する場合には、首相に加重の負担がかかります。今回の事故を教訓として、法律上の問題点も含め、専門家を軸とした原発事故への即応体制を整備すべきなのではないかと思うのです。

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韓国議員の北方領土訪問は竹島占拠の不法性をアピール

2011年05月28日 15時33分11秒 | 国際政治
北方領土、韓国議員が初訪問 竹島問題、日本に圧力(産経新聞) - goo ニュース
 今月24日に、韓国の「独島領土守護対策特別委員会」に所属する議員三名が、国後島を訪問したそうです。ロシアとの共闘を見せ付けることで、日本国に竹島問題で圧力をかけようする思惑からの行動のようですが、この訪問、むしろ、韓国による竹島の不法占拠を、国際社会に印象付けることになるのではないでしょうか。

 これまで韓国政府は、竹島は”歴史的にも、法的にも韓国領”と主張し、日本国政府による司法解決の要求を”領土問題は存在しない”と突っぱねてきました。一方、北方領土については、国際社会では、ロシアによる不法占領状態が継続しているとする認識があり、アメリカは、1956年の日ソ共同宣言当時から、日本領とする立場を表明しています。EUの欧州議会でも、2005年7月に、北方領土を日本国に返還することを求める決議を行っているのです。韓国が、領土問題についてロシアとの共闘をアピールすることは、それはすなわち、竹島が北方領土と同様に、現実には領土問題が存在し、しかも、それが不法占拠であることを、自ら暗に認めたことに他なりません。

 北方領土と竹島とは、不法占拠に至った歴史的な経緯も、法的な根拠も違っていますので、本来は、同列には扱えないのですが(竹島占拠の方が不法性が明確・・・)、韓国議員の北方領土訪問は、当初の思惑とは逆の方向に向かうのではないでしょうか。

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震災後の今は原発を止める時期ではないのでは

2011年05月27日 11時19分40秒 | 日本政治
節電要請の可能性に言及 関西電力社長が会見(朝日新聞) - goo ニュース
 菅首相の突然の要請により、浜岡原発が運転を停止したことで、東電に続き、中部電力も、夏季の電力供給不足が懸念されることになりました。本日のニュースによりますと、原発停止のドミノ倒しが、関西電力にも及びそうなのです。

 福井県に設置されている11基の原発があり、そのうち6基は、7月末までに定期検査のために運転停止となるそうです。これらの原発が稼働再開となりませんと、東電や中部電力と同様の電力不足が関電にも発生することになるのですが、福井県知事は、”県民の安全を優先”として、原発の再稼働を認めない方針を示しています。原発の安全性の確保について、見直しと対策を急ぐ必要があるとしても、東日本大震災で復旧を急がなければならない”今”が、原発を止めるに適した時期であるとは思えないのです。

 はたして、電力需要の高まる復興期に、わざわざ電力供給量に制限を設けることは、妥当な判断なのでしょうか。原子力の安全性の向上については、原子炉を停止せずともできることから着手し、復興後に経済と産業が安定した時点で、停止が必要な抜本的な安全対策を講じたり、新型原子炉への建て替えなども含めたエネルギー政策を徹底的に議論すれればよいのではないかと思うのです。

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太陽光発電狂想曲―民間投資家への電力利権の供与では

2011年05月26日 17時37分26秒 | 日本政治
太陽光普及へ共同で発電設備 19道県とソフトバンク(朝日新聞) - goo ニュース
 19もの地方自治体が、ソフトバンクの孫氏が提唱するメガ・ソーラー事業への協力を表明しているそうです。この協力、明らかに地方自治体による民間人への利権供与となるのですが、知事たちは、自分達の行動が、法律に違反する可能性があるとは思わないのでしょうか。

 地方自治体はもろ手を挙げて賛同しているようですが、財政や電力料金に多大な影響を与えますので、知事の一存で決定できる問題ではないはずです。納税者、企業、電力会社などの合意を取り付ける必要もあります、予算や用地使用の許可に関する法改正ついては、国会や地方議会の審議と採決を経なければなりません。また、たとえ、関係者の合意を得たとしても、ソフトバンクにのみを、メガ・ソーラーの事業者として指定する方法は、明らかに公平性に反しています(違法の可能性・・・)。実際に、東北電力でも、メガ・ソーラー施設の建設を予定しているそうですので、あらゆる企業や事業者に対して、メガ・ソーラー市場を開放すべきです。もし、孫氏ではなく、他の個人や企業であったならば、批難轟々となるはずなのですが、何故か、マスコミは沈黙しているのです。

 このままこの構想が暴走するとしますと、一民間人に、太陽光発電の利権を独占させることになります(発電事業については、ソフトバンクとの関係が不明とのこと・・・)。しかも、電力会社が電力を高値で買い取るとしますと、福島第一原子力発電所の賠償金の支払いで、財政的な苦境にある東電をはじめ、電力会社の財務状況がさらに悪化することも予測されます(株価下落と外国政府系ファンドによる買収の懸念・・・)。こうした状況は、我が国の産業にとりまして望ましいはずもなく、太陽光発電については、一度、頭を冷やしてから考え直すべきと思うのです。

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太陽光発電促進策への懐疑―中国依存度が高まる?

2011年05月25日 14時27分12秒 | 国際政治
太陽光発電、20年後は15倍に 経産省サンライズ計画(朝日新聞) - goo ニュース
 我が国の経産省は、数ある自然エネルギーのうち、何故にか、太陽光発電を促進する方針を打ち出しています。しかしながら、太陽光発電の肩入れには、何らの問題はないのでしょうか。

 自然エネルギーは、石油依存からの脱却とエネルギー自給率の向上を旗印として推進されてきましたが、太陽光発電は、新たな”依存”を生み出す可能性があると思うのです。それは、太陽光発電設備の素材となるシリコン・ウェハーの製造には、大量の電気が必要であり、電気料金が低い国ほど、価格競争力を持つからです。太陽電池の生産シェアは、かつては我が国が世界一でしたが、今では、中国をはじめ、電気コストが安い諸国での生産が伸びているそうです。特に中国では、今後、230機という桁外れの数の原子力発電所を建設する計画がありますので、電力コストの低さから、シリコン製造拠点として圧倒的に優位な立場に立つことが予想されます。

 将来的には、我が国での太陽光発電の普及が進むほど、中国からの形を変えた”エネルギー輸入”が増加し、かつ、かの国での原子力発電所の数も増えてゆくことになります。つまり、原子力発電による電力が、太陽光発電に衣替えしたに過ぎず、しかも、その過程では、膨大な電力が消費されるのです。もちろん、こうした問題点は、今後の研究・技術開発によって解決されるかもしれませんが、太陽光発電への過信には、思わぬ落とし穴が潜んでいるかもしれないのです。

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電田プロジェクト―食管制度ならぬ電管制度では

2011年05月24日 15時42分42秒 | 日本政治
休耕田で太陽光発電…孫社長が「電田」計画(読売新聞) - goo ニュース
 先日、ソフト・バンクの孫氏は、休耕田に太陽光発電を設置する案を打ち出したそうです。関心を示す自治体もあるようですが、このプロジェクト、食管制度ならぬ、”電管制度”になるのではないかと思うのです。

 孫氏は、このプロジェクトに先だって、大規模太陽光発電所を全国10か所に建設するメガ・ソーラー計画も提案しており、休耕田の利用は、建設用地確保を目的にしたものであるのかもしれません。自然エネルギーへの期待に乗った形ですが、太陽光発電には、発電効率の低さによるコスト高という難問があります。おそらく、孫氏は、電力会社による太陽光発電買い取り制度の利用か、政府あるいは自治体の補助金を想定しているのでしょうが、この方法ですと、太陽光発電の面積が拡大するほど、財政負担と電力料金が上昇するという深刻な問題点が発生します。食管制度のもとで、政府の予算がひっ迫し、米価が高止まりとなったように・・・。電力事業については、平成7年より自由化が進められてきましたが、むしろ、「電田プロジェクト」は、コスト競争の働かない新たな統制分野を生み出すかもしれないのです。

 そもそも、地方自治体が、特定の事業者と癒着し、補助金を支給したり、費用の一部負担したり、あるいは、政府が、特定の事業者にのみ休耕田の貸し出しに許可を与えることは、特定営利企業への利益供与にあたる可能性もあります(地方自治法第232条違反)。孫氏の企業ではなく、休耕田の所有者である農家が同様の事業を始めることも考えられますが、電管制度化の問題がある限り、国民の負担と産業へのマイナス影響が強く、実現は難しいのではないかと思うのです。

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尖閣事件―日本国の法廷で決着を

2011年05月23日 15時12分28秒 | その他
中国の船長「日本の艦艇がぶつかってきた」香港紙で主張(朝日新聞) - goo ニュース
 昨年、尖閣諸島周辺海域で、中国漁船が我が国の海保艦艇に体当たりするという重大事件が発生しました。香港紙によりますと、釈放されて中国国内に戻った船長は、この事件について、日本国側とは全く逆の主張をしているそうです。衝突してきたのは海保側であり、逮捕時には殴られ、取り調べでは罵られたと・・・。

 我が国では、ぶつかってきたのは中国船側とされており、実際に、部分的に公開されたビデオでも確認されています。しかも、政府は明言しないものの、船長逮捕に際しては、中国漁船側が、海保職員に対して槍で突くといった暴力をふるったとも噂されています。両者の主張は、真っ向から対立するわけですが、白黒をはっきりさせるためには、ビデオといった物証や証言に基づいて、法廷で争うしかありません。先日、那覇警察審査会では、起訴相当の議決をしていますので、もう一度、同様の議決が出ますと、中国人船長は、強制起訴されます。無実を訴えるには、裁判所ほど相応しい場所はないのですから、中国人船長は、自ら出廷すべきなのではないかと思うのです。

 もっとも、中国は、尖閣諸島の領有権を主張していますので、自国領であったとして、出廷を拒否するかもしれません。しかしながら、中国人船長の起訴は、中国に対して、領土問題も含めて、裁判所での決着を求めるよい機会となるかもしれないのです。

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カンヌ映画祭監督追放処分への疑問

2011年05月22日 14時45分22秒 | 社会
ヒトラー共感発言のトリアー監督追放…カンヌ(読売新聞) - goo ニュース
 今年のカンヌ映画祭は、”ヒトラーに共感”と発言した監督が追放されたことで、別の意味で世間の注目を浴びることになりました。この事件について、我が国の新聞のコラム欄でも、「表現の自由に優先し口に出したら絶対許されない言葉がある」と言わんばかりの決定であるとの評も見受けられます。

 映画祭の追放決定には、賛否両論があったそうですが、もし、”口に出したら制裁する”、という態度で主催者側が構えているとしますと、やはり、追放処分には疑問を抱かざるをえないのです。何故ならば、”ヒトラーに共感”というその一言が処分の対象になる理由が明らかにされてはいないからです。

 ヒトラーが台頭した背景には、ドイツ人の多くが、”ヒトラーに共感”したという事実がありました。この共感そのものをタブーにしては、人間の深層心理をストレートに描き出すような作品は、今後一切、生まれてこないことになります。表現の自由が命の映画界で、この自由を束縛することは、矛盾した態度です。

 また、トリアー監督が、ヒトラーのユダヤ人虐殺を擁護したと解釈されたことが、追放の原因であるならば、”ヒトラーに共感”ではなく、”ユダヤ人虐殺に共感”と発言した場合にこそ、非人道的な行為の容認として非難すべきです。虐殺事件は、ユダヤ人を対象とした場合に限らず、他の民族間でも起きていますので、ユダヤ人だけが特別という構図になりかねません(あるいは、カンヌ映画祭の主催者がユダヤ系?)。

 この事件により、多くの監督達が、カンヌ映画祭へは、主催者に媚びた作品を出品しようとするようになるかもしれません。似通った作品ばかりが並ぶとしますと、これもまた、映画祭の価値を下げてしまうと思うのです。 

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政治家の万能感が人災を招く

2011年05月21日 15時27分18秒 | 日本政治
首相の意向で海水注入中断…震災翌日に55分間(読売新聞) - goo ニュース
 権力の座にある者は、時にして、自らを万能と信じ込むものです。独裁者の末路が悲惨になりがちな原因も、この根拠なき”万能感”にあります。かのナポレオンは、”世の辞書には不可能という文字はない”と言い放ちましたし、自己陶酔に陥ったヒトラーもまた然りです。

 震災発生から二カ月以上が過ぎて、福島第一原発の事故に際しての菅首相の対応が、ようやく明らかになってきましたが、この時の首相の態度にも、政治家の奢りが見えるのです。常識的に考えれば、菅首相に、事態を的確に把握し、収拾させるほどの、原子力に関する専門的な知識があるはずはありません。理系出身とはいえ、人生の大半を政治家として歩んできたのですから、最新の先端的な科学技術に詳しいとは考えられないのです。特に高度な技術的な問題となりますと、政治家と一般の国民とでは、それほど差はありません。専門外にもかかわらず、政治家が迂闊に口を挟みますと、事態は好転するどころか、大惨事を引き起こしかねないのです。

 首相が命じたとされる海水注入の中断が、その後の事故の深刻化にどの程度影響したのかは、それこそ専門家の分析と評価を待つしかありませんが、政治家は、自らの限界を知り、謙虚であるよう努めませんと、天災は人災に転じてしまうと思うのです。

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エネルギー政策は全方位戦略で

2011年05月20日 11時28分31秒 | 日本政治
エネルギー政策の見直しを議論 新成長戦略実現会議(朝日新聞) - goo ニュース
 想定以上に深刻な被害をもたらした福島第一原発の事故は、原発依存率を高める方向にあった既存のエネルギー政策に見直しを迫っているようです。しかしながら、長期的な視野から見ますと、全面的に再生可能な自然エネルギーに舵を切るよりも、原子力を含めた全方位戦略で臨むべきではないかと思うのです。

 その理由は、あらゆるエネルギー技術は、それ固有の問題を抱えており、今後、それぞれの分野での技術革新があり得るからです。期待が寄せられている自然エネルギーについては、コスト高、低い発電効率、供給の安定性の欠如、自然エネルギー対応型のスマート・グリッドの開発と普及の遅れ・・・といった問題点があります。原子力については、原発事故が露呈したように安全性が最大の問題点ですが、この欠点も、新型の原子炉の開発が進んできており、越えられない壁ではなくなりつつあります。また、核融合や核燃料サイクルの研究は、廃棄物問題の解決策ともなり得ます。さらに、火力については、石油やガスの枯渇、二酸化炭素の排出量、資源調達の不安定性・・・などが問題点となりつつも、メタン・ハイドレードといった新エネルギー資源も利用可能ですので、技術次第では、有望なエネルギー供給源となります(石油を造るとう「オーランチオキトリウム」は自然エネルギーか?)。

 それぞれ、未来を開く可能性を秘めているですから、官民ともに、あらゆる方面での研究と技術革新を目指すべきと思うのです。むしろ、様々な利用可能なエネルギー技術を揃えていれば、産業分野、地理的条件、利用者の立場・・・などに合わせて、最適なエネルギー供給を実現することができますし、有力な輸出産業に育でることもできるのではないでしょうか。

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青森県知事選―原発が基地問題化する怖れ

2011年05月19日 17時51分13秒 | 日本政治
青森県知事選告示、3氏が立候補届け出(読売新聞) - goo ニュース
 普天間基地の移転問題をめぐって深刻化した、政府と沖縄との間の軋轢は未だ解消される気配がありません。国の政策と地方の意向とが衝突する場合、その解決は、容易なことではないのです。

 こうした国と地方との”ぎくしゃく”した関係は、青森県との間でも起きる怖れがあります。何故ならば、来月に予定されている青森県知事選挙の結果次第では、ここでも、国のエネルギー政策と地方の選択とが、対立する可能性があるからです。特に、青森県の六ヶ所村では、近々、核燃料の再処理施設の稼働が予定しており、他の原発を抱える県とは異なる事情があります。今のところ、建設中や計画段階の原発の中止や白紙撤回を求めているのは、共産党の候補者だけのようですが、民主党の候補者は、原発に厳しい世論を追い風とするために、脱原発の方針で臨むようです。もし、脱原発・反原発の知事が誕生するとしますと、核燃料の再利用計画の行方も不透明化します。

 今後とも長期にわたって民主党政権が続くとは限りませんし、原発事故の検証も済んではいません。浜岡原発のように、代替策もなく、知事選の結果を受けて、即座に原発が停止されるという事態に陥れば、経済や産業へのさらなる打撃となりますので、原発に関する国と地方との権限をより明確化した上で、産業界を含めた多様な利益の調整を図るべきと思うのです。

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不安な食糧事情―密室農政からの脱却を

2011年05月18日 15時42分57秒 | 日本政治
穀物高騰、家計を直撃 パンにコーヒー、油も値上げ(朝日新聞) - goo ニュース
 東日本大震災は、津波による塩害に加えて、福島第一原発の放射能汚染により、作付不能となった農地もあり、今年は”米不足”が心配されています。折しも、国際市場でも、農産物価格が上昇傾向にあり、震災による打撃に食糧不安が追い打ちをかけそうです。

 米価や穀物価格といった食料価格は、家計に直接影響を与えるのですが、これまでの農政は、こうした農産物価格や作付面積について、国民に対する充分な説明を怠ってきたようです。震災被害により今年の収穫を見送った農地は、減反扱いされるとのニュースが報じられてはいるものの、肝心の作付面積の増減や農産物価格については、ほとんど情報らしい情報がないのです。農政について、政府がオープンに情報を提供していれば、国民も、食糧価格の動向を予測することができますし、政府に要望を伝えることができます。国民生活に直結する重大な問題でありながら、現状では、農家以外の国民は、農政について考える材料に乏しいのです。

 今般の事情を考慮すれば、減反措置を受ける被災地以外では、農産物の増産を図ることが、国民に安心を与えるとも考えられます。我が国は、食糧自給率も低いのですから、政府も国民も、密室農政から脱却し、よりオープンに農政を議論する環境を整えるべきと思うのです。

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”カダフィ容疑者”か”カダフィ氏”か

2011年05月17日 15時45分59秒 | その他
カダフィ氏ら3人の逮捕状請求 国際刑事裁判所(朝日新聞) - goo ニュース
 オサマ・ビンラディンが米軍特殊部隊によって殺害された時、マスコミは、こぞって”ビンラディン容疑者”と表記して、この一大ニュースを報じました。この時は、容疑者という表記に、対テロ戦争の一環という性格から、どこか違和感を覚えたのものです(もちろん、同時にテロ事件の容疑者でもあるのですが・・・)。

 こうした中、本日、リビアの独裁者カダフィ氏に対して、国際刑事裁判所が、人道に対する罪により、逮捕状を請求したたという情報が伝えられました。ところが、リビアに関する報道では、表記には変化はなく、一向に”カダフィ氏”のままなのです。ビンラディンを容疑者と呼んだ基準からすれば、マスコミは、カダフィ氏の呼称も、即、容疑者に変更するはずなのですが・・・。”容疑者”という表現は、ビンラディン殺害の場合には、”裁判を受ける正当な権利がある者”というニュアンスが色濃くなりますが、”カダフィ氏”の場合は、この表現を使うと、”お尋ね者”の犯罪者というイメージが強くなります(なお、本ブログでは、国民を無慈悲に虐殺したカダフィ氏については、”氏”を付けることに抵抗感があり、呼び捨てにしている記事もあります・・・)。

 リビアが内戦状態にあることを考慮しているとも考えられますが、ビンラディン報道との間には一貫性が見受けられません。少なくとも、現実に、国際刑事裁判所で逮捕状が請求された人物の方が、はるかに”容疑者”という表現が相応しいのではないでしょうか。マスコミの表記の使い分けには、犯罪者やテロリストを巧妙に擁護する意図があるようにも思えるのです。

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