万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

原発再稼働反対派の冷酷-失業容認

2012年12月13日 15時53分26秒 | 日本政治
 脱原発や卒原発を主張する左翼勢力の人々は、きまり文句のように、”経済を安全に優先させるとはできない”と訴えています。反対派の人々の目には、原発再稼働を訴える人々は、”人命軽視の欲たかり”に映るようです。

 しかしながら、経済重視は、口汚く罵られるほど、悪辣な態度なのでしょうか。左翼の思想そのものが、労働という経済活動の一環に土台にしていることを考えますと、この態度は、自己矛盾でもあります。日本国内から雇用が失われれば、労働の場もなくなり、左翼勢力もまた、基盤を失って衰退してゆくことでしょう。経済こそが、人々の生活の糧であることは、どの時代も変わりはありません。農業が主要産業であった時代でも、水源の汚染を理由に、水田への水の供給が止められたり、使用料が高騰すれば、収穫も減少し、人々は、飢餓に襲われたはずです。左翼の人々は、国民に対して、”命こそ一番大事なのですから、職や所得を失っても、貧困に瀕しても、我慢すべきですね”と言葉巧みに同調を求めているのです。しかしながら、その先に待ち受けている悲惨な光景を、正確に予測しているのでしょうか。しかも、先の水田の例に譬えれば、水源は、0.01%確率で汚染されている可能性があるに過ぎないにも拘わらず、100%危険であるかのように宣伝し、水源の水を一滴たりとも使わせないようにしているのです。

 安全の確保もまた、原発ゼロや全原発廃炉のみが、唯一の手段ではありません。原発を使いながら、安全性を強化したり、先端的な安全システムを開発するという、別の道もあります。技術力によって、0.01%のリスクを、限りなく0に近づけることもできるのです。脱・卒原発派の人々の経済軽視、すなわち、失業容認こそ、冷酷な態度なのではないかと思うのです。

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コメント (34)
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