万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

郵便不正事件―国家の信頼性を悪用する国会議員

2009年05月31日 15時20分45秒 | 日本政治
「国会議員に頼まれた」厚労省元部長が供述…郵便不正(読売新聞) - goo ニュース
 報道によりますと、郵便不正事件で捕まった厚生労働省の係長の元上司が、証明書の偽造の理由について、国会議員からの依頼があったからと供述しているようです。もし、この供述が事実としますと、日本国の政治と行政の組織は相当に腐敗していることになります。

 この事件から明らかになることは、(1)国会議員は、不正行為であっても、それを省庁に依頼することができる、(2)省庁は、組織として、議員の不正な要求や依頼に応じている、(3)不正であることを認識していながら、省庁は、公文書を偽造するという刑法上の罪を犯している・・・などです。これらの行為は、国家権力の悪用そのものであり、ある意味で、私的な犯罪組織よりもなお悪質であるかも知れません。何故ならば、国家の信頼性を私的な利益のために悪用しているからです。もしかしますと、国会議員の中には、権力とは、法から逃れて自分勝手するためのものと勘違いしている人がいるのかもしれません。

 国民が国会議員に期待していることは、不正を蔓延らせることではなく、その逆に、社会悪を糺し、公正で安全な社会を実現することです。これでは、犯罪者に国家権力を預けているようで、心配でなりません。
  
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北朝鮮―長距離弾道ミサイル実験の口実は

2009年05月30日 15時21分47秒 | 国際政治
北の長距離弾道ミサイル、発射基地に搬入か…韓国メディア(読売新聞) - goo ニュース
 北朝鮮は、長距離ミサイルの発射、核実験、短距離ミサイルの発射に続いて、今度は、長距離弾道ミサイルの発射を狙っているようです。前回の長距離ミサイルの発射実験の時には、”人工衛星の打ち上げ”でカモフラージュしていましたが、今回もまた、この口実を使うのでしょうか。

 前回の”人工衛星の打ち上げ”実験では、北朝鮮は、国内に向けて成功と報じていますので、もし、今回の打ち上げも人工衛星とするならば、前回の発射実験の失敗を認めたことになります。また、これまでのところ、人工衛星の打ち上げに関する事前通知を、国際機関や周辺諸国に行ったという情報もありません。この様子を見ますと、どうやら北朝鮮は、もはやカモフラージュも何も打ち捨てて、ひたすらに”自衛”を口実に暴挙を働こうとしているとしか思えないのです。

 あるいは自暴自棄な行動に見せながら、北朝鮮は、スケジュールに従って着々と実験を実行に移し、最終的には、事前に計画していたシナリオ通りに軍事行動を起こす可能性も否定できません。文明が野蛮に対して脆弱であることを思い起こし、国際社会も、そうして、北朝鮮のミサイル攻撃にさらされる我が国もまた、万が一の事態への備えを怠ってはならないと思うのです。

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補正予算の成立で長期金利はさらに上昇?

2009年05月29日 12時50分04秒 | 日本政治
長期金利が一時1・5%に上昇(産経新聞) - goo ニュース
 第二次補正予算が、ついに成立する見込みとなったと報じられています。その一方で、各国の国債増発ラッシュによる影響を受けて、長期金利が上昇傾向にあるとも伝えられ、日本国の経済は先行き不透明となりそうです。

 第二次補正予算が成立しますと、政府は、財源を調達するために国債をさらに発行せざるを得なくなりますので(10兆円規模)、今後、長期金利はさらに上昇するかもしれません。金利の上昇は、国債の利払いの増加をも意味しており、日本国の財政はさらに危機的な状況に至ることになります。また、金利の全般的な上昇は、企業の資金調達を圧迫しますし、住宅ローンなどの金利上昇も国民の多くにとっては負担の増加となりましょう。不景気により歳入が減少し、国民所得も減少していることを考えますと、まことに心配な限りです。

 そもそも政府は、財政を歳出面だけではなく、財源の調達、市場への影響、長期的な展望を含め、トータルな影響を考えて政策を立案すべきであり、一面的な効果のみで判断しますと、思わぬ副作用に国民や企業は苦しめられることになります。後先構わずの補正予算であってはならないと思うのです。

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国際商品相場の上昇―量的緩和は裏目に出た?

2009年05月28日 18時17分31秒 | 国際経済
NY原油は6か月半ぶりの高値、1バレル=63・45ドル(読売新聞) - goo ニュース
 新聞報道によりますと、各国中央銀行が実施してきた量的緩和政策によって供給されてきた資金が、国際商品市場に大量に流入しているそうです(日経新聞本日付夕刊)。もしかしますと、中央銀行のこの政策は、裏目に出てしまったのかもしれません。

 そもそも各国の中央銀行が量的緩和策に踏み切った理由は、金融恐慌による信用収縮や貸し渋りが発生しないよう、積極的な資金供給を行うことにありました。つまり、市場に潤沢なマネーを供給することにより、企業活動を資金繰りの側面から支え、連鎖的な倒産や失業を防ぐことを意図していたのです。ところが、量的緩和によって生じた大量のマネーは、実際には企業サイドには向かわず、金融危機の発生原因の一つに挙げられる投機行為へと向かってしまいました。結果として、景気回復を見込んで商品市場は過熱気味となり、半年ぶりの高値を付けるようになったのです。

 このままでは、原材料の価格だけが上昇し、ようやく上向いてきた景気を再び下降させる原因ともなりかねません。各国中央銀行は、量的緩和によって生じたマネーのゆき先をきちんと見届けるませんと、良かれとして行った政策が、国際商品市場でのバブル発生のリスクを高めるとともに、企業活動にとってマイナスに働いてしまうと思うのです。

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時代錯誤の北朝鮮

2009年05月27日 15時32分16秒 | 国際政治
北朝鮮の計算ずくな伝言――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 北朝鮮は、金正日独裁体制を維持するために、国民生活を含めてあらゆるものを犠牲にして核開発を続けるとの憶測が流れているようです。もし、北朝鮮が、”誇り”を持ちたいと願うならば、まずは、この時代遅れで劣悪な体制を放棄すべきと思うのです。

 古代ギリシャの時代から、独裁者(僭主)は人々から嫌われてきており、アリストテレスは、独裁者が独裁体制を維持する方法として、およそ以下のような手法を紹介しています。

(1)頭角を現す者や気概のある者を抹殺する
(2)高邁な精神や人間相互の信頼が醸成される場を許可しない
(3)私的で自由な集会を禁じ、国民を孤立化させる
(4)公的な場への出席を強要し、国民を監視する
(5)国民の中にスパイを配置する
(6)国民の間に相互不信の種をまく
(7)国民を貧乏にし、謀反の企てを起こさないようにする

 さらに、”僭主独裁者は、むやみと戦争を起こす人間であり、それは、国民が余計な暇をもたないようにするためと、かれらが、たえず指導者を必要とするためである”、とも述べています。まさに、現在の北朝鮮の状況と見まがう記述であり、かの国が、人類の経験知から全く学ぼうとしていないことを示しています。あるいは、独裁体制が劣悪な体制であることにすら、思い至っていないのかもしれません。独裁国家を維持している限り、北朝鮮が核を以って自らを誇ったとしても、それは時代錯誤でしかないと思うのです。

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温暖化対策には削減率より制度の議論を

2009年05月26日 16時33分15秒 | 日本政治
温室ガス「中期目標で15~25%削減」 環境相が意欲(朝日新聞) - goo ニュース

 地球温暖化対策と言いますと、政府は、それを温室ガスの削減の目標のパーセンテージの問題にすり替えてしまっているようです。しかしながら、真に必要とされている議論は、別のところにあるのではないかと思うのです。

 そもそも、地球温暖化の二酸化炭素犯人説についても異論があり、必ずしも、科学者の間で意見が一致しているわけではありません。また、特定の年の排出量を基準として削減率を決める方法自体にも公平性の観点から問題があります。さらに、経済がグローバル化し、企業が多国籍化ている現状を考えますと、国別に削減率を決める方法も合理的とは言えず、企業は、製造拠点を移すだけでトータルの排出量には変化がないという結果は十分にあり得ることです。むしろ、先進国での厳しい目標設定は、環境基準の緩い新興国への製造拠点の移転を促し、地球全体から見ますと二酸化炭素の排出量はさらに増加し、環境汚染も拡大する可能すらあるのです。

 環境相は見栄っぱりなようで、高い目標設定を実現させたいようですが、それ以前の問題として、制度の抜本的な見直しを求める方がはるかに環境対策としては意義があると思うのです。

 なお、以下に、本ブログにコメントをくださいました方からご紹介をいただきましたサイトがありますので、以下に掲載いたします。

@地球温暖化は人類の責任ではありません
http://www.youtube.com/user/BERSERKHAWKWIND
http://www.mission-k.net/globalwarming/protest-top.html

@元米副大統領アル・ゴアによるプロパガンダ映画『不都合な真実』で主張されている人為的温暖化理論の大嘘
http://www.mission-k.net/globalwarming/gore/gore.html

@太陽活動=宇宙線説が正解と考えられるこれだけある根拠
http://www.mission-k.net/globalwarming/cosmicray/cosmicray.html

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国際社会の”無法者”となった北朝鮮

2009年05月25日 17時13分08秒 | 国際政治
北朝鮮、短距離ミサイルも発射(朝日新聞) - goo ニュース
 北朝鮮は、本日、ついに二回目の核実験に踏み切り、懸念されていた事態が現実となってしましました。この行為は、北朝鮮自らが、国際社会に対して自国が”無法者”であることを宣言したようなものではないかと思うのです。

 曲がりなりにも六カ国協議の北朝鮮を除く参加国は、北朝鮮を”話し合い”の席に着くに足る相手と見なしていました。つまり、理性が働く余地のある国と考えていたのであり、融和政策に対する厳しい非難を受けながらも対話路線を選択したのも、北朝鮮に対する期待があったからです。しかしながら、核実験に加えて短距離ミサイルの発射を行ったとなりますと、これが幻想であったことは否定のしようもありません。北朝鮮は、国際社会のルールを一切守るつもりはないと言っているのですから、まさしく”無法者”となってしまったのです。

 北朝鮮への期待が裏切られたとなりますと、取るべき措置は、より厳しいものとならざるを得ません。かの国の体制崩壊を真剣に考える時期に来ているように思うのです。

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プロパガンダ映画の時代に幕を下ろしては?

2009年05月24日 15時16分55秒 | 国際政治
「南京!南京!」上海で日本人向け上映会 賛否分かれる(朝日新聞) - goo ニュース
 ナチスやソ連邦を始めとして、全体主義国家では、国民の思想コントロールの手段として、国家がかりでプロパガンダ映画が作成されてきました。21世紀に入ってもこの手法が完全に放棄されたわけではなく、「南京!南京!」もまた、中国共産党の国策映画の一面があることを否定することはできません。

 しかもこの作品は、グローバル化の波に乗って海外での放映をも意図しているらしく、国内向けに留まらず、対外的なプロパガンダの手段ともなりそうです。監督の弁によりますと、”南京”を描くことで”反戦を訴えたい”とのことですが、伝えられる内容を読む限りでは、日本軍の虐殺行為を広報しようとする意図は明らかです。あるいは、”南京”をテーマとすれば、当局の許可が容易におりますので、アジアの軍事的な脅威となった自国の行動を暗に戒めるために作成された、とする高等戦術説も成り立つかもしれません。対外的な批判が、実は自国の体制批判であることが中国ではよくあることだからです。

 少なくとも、今日では、プロパガンダ映画を作成しましても、観衆の側も最初からプロパガンダであると分かっていますので、政府が目論むほどの宣伝効果はないはずです。むしろ、作品の解釈をめぐっては、国際的な摩擦を高める可能性もありますし、また、自国においても物議を醸すことになりますので、そろそろプロパガンダ映画の時代に幕を下ろすべきとも思うのです。

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北方領土返還運動―半世紀が過ぎてこそ

2009年05月23日 15時57分33秒 | 日本政治
北方領土法、成立の公算 「固有の領土」明記(共同通信) - goo ニュース
 戦後半世紀が過ぎ、ようやくのことで北方領土の返還運動が本格化しそうな気配が感じられるようになりました。遅すぎたとの非難もありましょうが、もしかしますと、冷戦構造が崩壊した今だからこそ北方領土の返還を堂々と主張できるとも思うのです。

 もし、ソ連邦が健在であった時代に、領土問題の解決を最優先として、かの国と妥協していたとしましたら、我が国が、一方的な譲歩を強いられた結果となったかもしれません。敗戦に打ちひしがれた当時にあっては、ソ連の不法占拠を勝者の権利として諦める風潮に流される可能性もありましたし、左派の法学者もまた、ソ連有利の解決を後押していましたので、この展開は十分にあり得るものでした(1956年の日ソ共同宣言とその後の経緯・・・)。しかしながら、今日に至っては、連合国が宣言した戦争による領土併合の否定が原則として確立し、また、秘密条約の効力の否定も常識となっています。況してやソ連邦は、日ソ中立条約に違反し、降伏後に領土占領を行ったのですから、北方領土領有の法的な根拠が乏しいことは明らかです。

 現在、ロシアは覇権を追求するプーチン首相の影響力が強く、まだまだ安心はできませんが、日本国政府は、北方領土が我が国の固有の領土であるとする法的根拠があるのですから、ロシア政府を説得することに最大の努力を払うべきと思うのです。もし、中途半端な妥協をしますと、国際社会が築き上げてきた無併合の原則を台無しにすることなるのですから。

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永住外国人について国民に情報を

2009年05月22日 12時37分23秒 | 日本政治
在日韓国人ら携帯不要に 入管法改正案の新証明書(共同通信) - goo ニュース
 今国会で、特別永住外国人に対する身分証明書の常時携帯の義務付けを削除する方向で、入管難民法が改正されると報じられています。タイトルには在日韓国人とありますが、おそらく、在日朝鮮人や在日中国人の人々もこの法案の対象となるのでしょう。この措置によって問題となる点は、日本国の安全保障と治安の維持なのではないか、と思うのです。

 戦後、在日韓国・朝鮮人の人々が空襲で焼け野原となった空地を占拠し、自治区のような集住地区を形成したため、日本国の警察も容易に踏み込めなかったというお話が、まことしやかに伝えられています。広域暴力団との密接な関係も指摘されており、また、朝鮮総連が、日本人拉致事件など、日本国の破壊活動に加担したことも、れっきとした事実としてあります。このため、日本国民の多くが、”怖い”人々と言うイメージを抱いていることは否めません。永住外国人の人々に対するマイナス・イメージについては、”言われなき偏見”、あるいは、”差別”であるとする主張も聞こえてはいますが、戦後の経緯に鑑みますと、必ずしも事実に反しているとも言えないようなのです。

 もし、入管難民法を緩和するならば、永住外国人の人々が、日本国の法を誠実に順守し、本国と通じた破壊活動や犯罪の温床となっていないことを、国民に対してデータを示して証明すべきなのではないでしょうか。国籍法改正に際しても見られたのですが、国民の合意を得ることなく、かつ、国民に不安を残すような内容の法改正を繰り返しますと、たとえそれが問題のない法案であったとしても、国民の不信感を高め、政治は信頼性を失ってゆくのではないかと思うのです。

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裁判員の守秘義務は必要?

2009年05月21日 17時52分16秒 | 社会
陪審制「発祥」の国 英国 生涯、内容口外できず 事件・裁判報道も規制(産経新聞) - goo ニュース
 個人の犯罪行為に対して刑罰を定める刑法が公法に分類されている理由は、それが、”公共の安全”、つまり治安の維持と結びついているからです。ここに、刑法の、犯罪者を裁くという役割と、社会秩序を維持する役割という二つの役割が見えてきます。陪審員や裁判員に対する守秘義務の如何の問題は、この二つの役割の間の摩擦と無縁ではないように思えるのです。
 
 陪審制度発祥の地のイギリスでは、上記の記事にあるように、陪審の評議について、陪審員は一切口外してはならないという厳しい法規制があります。一方、アメリカの制度では、憲法で保障された言論の自由に鑑みて、陪審員には守秘義務が課されておらず、報道機関に対しても自由な発言が許されています。言わば、イギリスでは、刑事事件の被告を中立・公平な立場から裁くことに重点が置かれており、アメリカでは、報道などを通して国民に情報を提供し、社会内部の問題として共に解決することに関心が払われているようです。刑法と社会秩序の関係をどのように捉えるかによって、守秘義務のあり方も180度異なるのです。

 さて、我が国の裁判員制度では、司法の民主化を掲げて国民の裁判参加を義務付けた点を考えますと、社会性を重視したアメリカ型を採用し、守秘義務の撤廃、あるいは、緩和した方が、制度導入の趣旨には合っていると言えるかもしれません。もし、中立・公平な裁判の実現を優先させるならば、職業裁判官による裁判であっても構わないのですから。

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裁判員制度の見直し―量刑の変化を参考に

2009年05月20日 15時40分05秒 | 日本政治
裁判員候補者は… 責任感と不安 思いさまざま(産経新聞) - goo ニュース
 明日から裁判員制度がスタートし、司法の場に抽選で選ばれた国民が参加することになりました。この制度の導入に当たっては、制度設計上の問題や憲法上の問題が指摘されつつも、結局、裁判に”国民の健全な社会常識を反映させる”ことを根拠に、制度導入の方向に押し切られた形となりました。

 ところで、この制度は、三年後の見直しが定められているそうですが、見直しのポイントとなるのは、どれだけ量刑の基準に変化が見られたのか、ということではないかと思うのです。しばしば、素人の裁判員では、法律の専門家である裁判官の意見に引きずられることになり、また、過去の量刑の基準が参考資料として配布されれば、その基準を尊重せざるを得ないという批判がなされてきました。もし、この懸念されている通りの展開となれば、わざわざ裁判員制度を導入した意義が失われてしまいます。何故ならば、裁判員の常識と国民の常識とでは、違いがないことが明らかとなるからです。

 そこで、もし、裁判員制度の見直しを行うならば、判断材料として、裁判員制度による判決のデータを収集し、制度導入前と後とでは、どのような変化が起きたのかを分析すべきと思うのです。また、裁判員による判決を妥当と見なすかどうか、国民、ならびに、事件当事者に問うことも重要です。誰もが信頼し得る制度でなければ、公平性を旨とする裁判制度としては長続きしないのではないでしょうか。

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国連―透明性なくして信頼なし

2009年05月19日 15時26分14秒 | 国際政治
職員採用試験を「中止」=「手間かかる」が理由、日本反発-国連(時事通信) - goo ニュース
 戦後長きにわたり、日本国では”国連神話”が広がり、国連無誤謬説の信者まで登場してきました。しかしながら、国連とて人間が作る組織ですので、誤りや欠陥がないはずはありません。本日、手間がかかるとの理由で、国連が職員採用試験を中止するとの報に接し、これを機に、国連の組織を抜本的に見直すべきではないかと思うのです。

 国連が民主的な組織ではないことはよく知られており、完全なる民主化が困難である以上、組織の透明性を高めなければ、得体の知れないどこか遠くの組織と見なされ兼ねません。国連の最大の欠陥とは、まさに国際機構としての不透明性にあるのであり、この欠点を是正しないことには、国際社会のみならず、一般の人々からの信頼を得られるはずもありません。不透明性の問題を指摘されていながら、もし、公開の職員採用試験を止めて”縁故採用”に代えるとしますと、欠陥を直すどころか、さらに悪化させることになりましょう。

 日本国政府は、自国民の採用が難しくなることを理由に、採用試験中止に反対しているようですが、国連の透明性確保の観点から、組織改革を訴えるべきではなかったかと思うのです。国連に信頼性が伴わなければ、結局は、閉鎖的かつ肥大化した官僚機構を持つ”無用の長物”と化してしまうかもしれないのですから。

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新型インフルエンザ―一斉待機か一部待機か

2009年05月18日 17時15分49秒 | 社会
「最悪想定で対処」「一斉待機はナンセンス」…対応に賛否(読売新聞) - goo ニュース
 遂に130人の国内感染者を数えた新型インフルエンザの対応について、一斉待機の手法は妥当であるとする意見と、行き過ぎではないかとする意見とに賛否が分かれているようです。

 新型インフルエンザの危険度については、感染力が強い一方で、毒性は弱いと報告されております。感染力のみに注目しますと、学校の休校や行事の取りやめなど、徹底的な根絶策が取られるべきなのでしょうが、弱毒性であるならば、一般のインフルエンザの流行時と同様の対応でも構わないことになります。むしろ、軽度で済むならば、罹患したほうが免疫ができることになりますし、心臓病といった健康に問題がある人だけが重病になるならば、一斉待機ではなく、重病となる恐れのある人々だけに一定期間の休暇を与えるという方法もあります。

 メキシコでも一斉休暇の措置をとりましたが、もし、この方法でも感染を防げないことが判明したならば、別の方法を探るべきと言えましょう。何時止むとも分からない状況で一斉待機の手法をとりますと、最悪の場合には、相当長期間にわたって、あらゆる活動が休止せざるを得なくなると思うのです。

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危ない独裁者にも”友愛”を?

2009年05月17日 15時31分42秒 | 日本政治
「友愛」の人、鳩山新代表 宇宙人の異名、タフさ強調(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、民主党の鳩山氏は、全てを包み込むような”友愛”の政治を理想に掲げて、民主党の代表に就任しました。この友愛が外交政策として現れると、”全方位外交”ということになるのでしょうが、果たして、国際社会を恫喝したり、国民を弾圧したり、法秩序を乱すような諸国に対しても、氏は、”友愛”をもって暖かく迎え入れるのでしょうか。

 鳩山氏の唱える”友愛”とは、フランス革命のスローガンであった”自由、平等、博愛”のうち、日本語では”博愛”と訳されながら、実際には”兄弟愛”や”同士愛”を意味する”フラタニティー(fraternity)”を意味するものと考えられます。つまり、”友愛”とは、絶対王制に対抗するための闘争的なスローガンとして用いられた歴史があるのです。もし、この”友愛”を、絶対王制と同質性を持つ独裁国家に適用するとなりますと、これは、大きな自己矛盾となりましょう。何故ならば、闘うべき相手と、”愛”をもって手を結ぶことになるのですから。

 ”友愛”は、普遍的な”愛”ではなく、組織の絆としての”愛”に過ぎないという字義上の疑問点もありますが、もし、絶対王制さながらの独裁者や弾圧国家をも抱擁するとしますと、むしろ、理想から遠のいてしまうのではないか、と思うのです。

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