万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

比外相の日本の軍事力強化歓迎-アジアに新時代が到来する

2012年12月10日 15時34分08秒 | アジア
日本の軍事的強化「歓迎」=「中国の対抗勢力に」と要望―比外相(時事通信) - goo ニュース
 近年、経済大国化を背景に、中国は、急速に軍事力を拡大させてきました。アジアに華夷秩序を構築してきた歴史があるだけに、中国の覇権主義の野望は、留まるところを知りません。こうした中、フィリピン外相は、フィナンシャル・タイムズのインターヴューに応える形で、日本国の軍事力強化を支持したと報じられております。

 戦後一貫して、日本国の左翼勢力は、”先の戦争で甚大な被害を受けたアジア諸国は、日本国の軍事的プレゼンスに反対している”と主張してきました。ところが、フィリピン外相は、この”虚像”を自らの言葉で初めて明確に覆し、日本国と共に中国包囲網の一翼を担う意思があることを表明されたのです。膨張しつつある大国の軍事的脅威に対しては、周辺諸国が結束して押さえ込むことは、バランス・オブ・パワーの原則に従うものです。中国が、国際法を順守せず、主権平等も民族自決をも否定する以上、周辺諸国は、軍事力を以って、中国の拡張主義を阻止するしかないのです。もし、この構想が実現すれば、それは、アジアの歴史において重大な転換点ともなります。史上初めて、独立した主権国家が集い、覇権主義を打ち砕くべく連携することになるのですから。

 中国包囲網を形成する構想は、”自由と繁栄の弧構想”の一環としても主張されてきましたが、フィリピン外相の発言は、アジアに新時代が到来することを予感させます。そしてそれは、中国が目指す華夷秩序復活構想と対峙し、それを阻止することでもあるのです。今度こそ、日本国は、同盟国であるアメリカとともに、アジアに法と正義に基づく秩序を、そして自由と平和を確立するために、国際社会に対する責任を果たすべきなのではないでしょうか。

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コメント (4)
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